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ほろこぉすと教室


北倉(真桜)明美(以降明美):は〜い♪ヒロ君のアイドル明美ちゃんでーす。
真桜冬実(以降冬実):……恥ずかしいなぁ、姉さん。
明美:でも本当の事だから。ところでさ、最近『耳折れ』の猫って知ってる?
冬実:??
明美:あー、みーちゃん知らないんだ〜。流行なんだよぉ。
冬実:(`ヘ´)
明美:じゃあ、『耳反り』の猫は?
冬実:知りません。
明美:ねえ、みーちゃん、一つだけ聞いても良い?
冬実:……なんですか。
明美:テレビとか見てないでしょ。
冬実:受験生になんてことを言うんですか。私はいったいどれだけの時間拘束されていると……
明美:そんな堅っ苦しいことを高校一年生が言わないの。みーちゃん、まじめなだけだと人気なくすわよ。
冬実:それより姉さん。
明美:でもホント、ぺたんって耳が折れてるとかわいーんだよぉ。顔がまん丸く見えてさ、もー抱きしめたくなるくらい。
冬実:……だから時々猫のにおいがするんですね。
明美:ぎく、なんでそのことお!
冬実:……ほんとに抱きしめてたんですか。そうじゃなくて、今回の話題……
明美:「猫娘」ってあるでしょ?垂れ耳猫って、絶対…

冬実:姉さん!

明美:(びくっっ)
冬実:まじめに、やる気あるんですか。
明美:………みーちゃん。
冬実:はい?
明美:あんまりがっちがちにまぢめなのも、人気なくすわよ。
冬実:しつこいですね。しつこいのも嫌われますよ。
明美:それに、無関係じゃないの。『人格』がお題でしょ?
冬実:それと猫とどういう風に関係するんですか。簡潔に一言で言ってください。
明美:((^^ゞ冷たい娘ね)外に見える人格(persona)と実際の人格のことの一例よ。
冬実:……半分以上趣味入ってませんでしたか。
明美:(だから、そのジト目だけはやめてよ(^^ゞ)うーん、じゃあ説明するから。
    人間は一つの人格しかないと思われているし、正確には一つの同一性、Identityを主体とする精神構造が人格だと思われてる。
    でも、正常であろうと異常であろうと、実際にはそんなに単純に人格ってものは形成されていない。
    もっと言ってしまうと、どの人間でも『多重人格症状』を持っているといえるわけ。
冬実:『多面性』と同意義だというんですか?
明美:ちょっと違うわね。外面に見える人格ってのは基本的に『内面の自分が作為して』作っているものでしょ?
    でもそれはあくまで人格の一部を意識しているだけ。
    実際には意識していなくてもそういう断片ってのは蓄積されてる。
冬実:ふーん。……で、その『意識』って誰が行ってるんですか?
明美:そう。意識できる、しているのは主人格と呼ばれる人格で、もっとも同一性の大きな人格の塊の一つなの。
    本来は主人格が人格と呼ばれるすべてを統括してるかと言えばどっこい。
    ほら、頭の中で『天使と悪魔が会話している』のが古典的な表現であるでしょう。
    現実でも同じなのよ。
冬実:車に乗ったら人格が変わるのと同じですか。作者はよく言われるそうですが。
明美:そんなのは気にしちゃダメでしょ。
冬実:……現実逃避。
明美:(全くこの娘は……)まあそんなものよ。そして、主人格とパイプがつながっているものの、その『同一性』が薄れて乖離したものを『MPD(Multiple Personality Disorder)』と言うのよ。
冬実:パイプ?
明美:うん。疑似多重人格では完全に人格が移らず、記憶という形で残るらしいのよ。
    それだけじゃないんだけどね。
    本当の多重人格者でも一部の人格については認知している場合もあるらしいわよ。
    それに多重人格ってのはまれで、普通は人格を切り離してしまうことの方が多いの。
    記憶喪失やフーグって呼ばれる『別人化』症状がそれね。
冬実:ある人は『正気なんかこの世に存在しない』って言ってましたけど。
明美:『精神は肉体のおもちゃだ』だったかしら?穿った見方だと思うけど。
冬実:……それで姉さん。先刻の猫の話とどう結びつくのか教えてください。
明美:もー鈍いわねー。猫の外観の話はしたでしょ?かーいいって。
    外的な人格っていうのはあくまで理想を追求してたり、自己防衛だったり、そのぎゃくだったりするの。
    先刻言った、猫の外観みたいにね。
冬実:それは、何となく理解します。
明美:人格に付随するのが性格で、人格が『我思う故に我あり』に対して、性格ってのはそれを方向付けるモノなのよね。
冬実:??
明美:たとえば、真面目で杓子定規でテレビも見ないみーちゃん。真面目で不真面目な人を見るとすごく冷たい。
冬実:……
明美:でも、それは『外面的人格』を形作る時には変えられるでしょ?変えられない人もいるけど。
冬実:だから、どこにでも多重人格のヒトはいるってことですか?
明美:うん。
冬実:はぐらかしすぎです。第一人格の断片の話だってでてきませんし、そんなんで説明できたら精神科医は必要ありません。
明美:んー、いらないんじゃないの?もともと、精神病って社会的に迫害されるべき地位にいるんだし。
冬実:危険な発言は削除されますよ。
明美:失敬失敬。えーと、精神病って鑑定されるって事は、『社会的に秩序を維持できない』、『病的と見なし』、『患者はそれにより苦痛を訴える』必要があるんだよね。
冬実:だから患者が苦痛でなかったり、社会的に秩序を維持できるなら病気ではないと?
明美:精神分裂症の一部が発症していながら解決しないのはそれよ。
冬実:……今すごく矛盾してるような気がしたんですけど。
明美:ん、そこは『社会的』という定義があるからでしょ。まだまだ人格も精神も完全に解明するには難しい分野だもんね。
冬実:……うまくまとめましたね。
明美:そりゃ、進行役ですもの。はい、次回予告。
冬実:はい姉さん。次回は若干オカルトです。『カバラ魔術』について。
明美:あー。少しだけでてきてるねー。
冬実:……作者の趣味ですから。では、また次回よろしくお願いします。


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