※どうでもいい内容なのに、イミワカランくらい長くなってしまいました。
ご閲覧の際はご注意ください。
仕事場で上司から借りた(借りさせられた)、「ひぐらしのなく頃に」を朝の5時までハマり倒して就寝し、起きたらすでに12:30だった休日の昼。
俺は寝ぼけつつおぼろげな現世をとらえながら、パソコンを立ち上げてエロ動画を探す。
いつもの孤独で平和な休日。
いや、そんな事ばかりやってる場合ではなかった。
俺は今日、いろいろと用事があったのだ。滞納金の支払い、散髪、眼鏡を新調する、という3つのイベントを今日はいい加減こなさなくてはならない。エロ動画を見ている暇などないのだ。
まずは滞納金の支払いをするため、カードも作っていない近くのどうでもいい銀行に向かった。
既に勤め人として社保健に入っているので国民健康保険の延滞など夢にも思っていなかった。しかし、通知が来ているのならば仕方ない。とりあえずは他の支払い物とまとめてサクッと払っておいた。
次にメガネ屋に向かったが平日の割に客が多く、待ちそうだったので購入は今度にすることにし、店を出る。そして流れるように散髪屋に行き、お店の兄ちゃんと他愛もない話をしながら髪を切ってもらうことに成功した。なんでもないことを「成功した」なんて言ってみるとなんだかハードボイルドチックでいいんじゃないと思ったがどうだろうか。どうもこうもないか。
休日の昼下がり。暇な俺には時間だけが手持無沙汰だった。こういうときに、人は自分を磨くものである。俺もそれに習い、自分を磨くことにしよう。
そして俺は、当然のように行きつけのパチ屋に入るのだった。
店内はパチンココーナーはちらほらと人がいるものの、スロットコーナーにおいては死臭が漂った雰囲気が充満していた。こういう雰囲気のお店が近い将来に閉店を迎える確率が高いのを俺は知っている。普段、行ってはいけない店の代表格なのだろうが、俺もこの店を使う以上はそれなりの情報を持っている。
今日はオール設定コーナーを3つほど設けるというイベントだ。この店は普段の「極上あります!」なんて言うメールは嘘っぱちだが、設定の示唆をはっきり謳うイベントにはガセはない。癖のある3種類の高設定札で台をナビするイベントや、今日のようなイベントは実は信頼していいイベントだ。
ま、そのようなごたくはもういいか。最早俺は引退し、牙をもがれた養分覚悟のスロッター。樹海に旅立たない程度に遊ばせてもらおう。オール設定コーナーのニューハナハナに着席する。データは1350GB7R2。普通なら座るような台ではないが、イベント内容の兼ね合いと周りも1台がちょい浮き程度で大して出ていないということから気軽に着席してみた。
打ち始める事2千円、散髪して厄でもおちていたのかBIGボーナスを引き当てる。これで少しは楽しめそうだ。それにしてもハナハナを打っていて毎回思うことだが、生殖器に例えられたりするハイビスカスという花が光って7が揃えられるなんて、考えた奴は気が狂っているとしか思えない。また、女性が打つところも度々みかけるが、どんな事を思って打つのだろう。光るだけだし面白みもないし、そうなると金の為だけということになるか。でも、どう見てもオワットル台に座る異性もいる。そういう人はそういう比喩があることもしらない人なのかもしれないな。ま、そんな台を好んで打つ俺も、気や色んなものが狂っているのだろうな。と、自虐気味に心の中でつぶやく。
あまり期待しないで打ち始めたが、レギュラーも当りだしてなんだかいい感じにまとまってきている。となると対抗の台が気になりだす。そして「終日GOサイン」という可能性も見え始め、錆ついていた俺の立ち回り経験に油が注がれて牙を研ぎ始める。
こういうイベントは周りの台が沈めば沈むほど他に当たりがあるという証明が生まれる。また過去のこの店での経験を顧みるに、俺の台と対抗台はイベント時に設定の入りやすい場所だ。だが、二つとも入るということは無いわけではなかったが、考えられにくい。最高に考えて3と5or6…。どちらが狸か…。
そうこうしている内に、自分の台はセーフティーゾーンまで延びた。今日の勝ちはほぼ確定だ。あとはこの台が打ち切るべき台かそうでないか…。みれば対抗台は苦戦していた。
非情の鉄仮面、阪神タイガース田村勤を愛した俺は、パチスロを打つときはウザい程に全ての事象に興味がない様を貫き通す。隣が連チャンして台が騒いでも関心のない振りをし、自分の台が連チャンしようとも表情を変えることは基本ない。実際のところ他人の台など本当にどうでもいいし、そんな余裕もない。が、自分の台に絡む台がある時には最大級の警戒をする。それは慣れたスロ打ちなら必ず持っている本能のようなものである。一度は錆ついていた俺だったがこの感覚はまだ残っているらしく、誰にも気づかれないところで口元がわずかに綻ぶのだった。
対抗台の様子は別段注視しなくても読み取れた。レバーを叩く音がだんだんと大きくなっている、ストップボタンを押す行為が叩く行為に変わる、挙句に対抗台の打ち手は隣の台をかけもちしてコインを投入し始めていた。
『勝負あったな』
自分の台も一度ハマリを食らい、下皿のコインが無くなった時に鋭い視線を感じるが、何事もなかったかのように今まで浮いたコインをありったけ下皿に入れてやる。相手が首を振るのが見える。…俺はこの瞬間がたまらなく好きだ。つくづく歪んだ人間だと思う。
後ろで常連とおぼしきおっさんが仲間と話し始める。
「この台は絶対はいらねぇとおもうんだよ。(対抗台を指して)たぶんこっちだと思うんだけどな」
おいおい、おっさんそんなに俺が嫌いか。それともマネージャーとつるんでんのか?
ま、本当につるんでたらそんな事大声で言わないな。小心者の俺はそんな簡単に読まれちゃこの客のいねぇ店は直ぐにでも潰れるだろうよと心の中で皮肉ってやった。
やがて対抗台の打ち手はメダルをのまれ、ガランとしたシマには俺だけが残った。
ガラガラの店の高設定ほど居心地のいい場所はない。そして、研いでいた自分の牙を解放してやる。
「いくぞ、シフトチェンジ!」
『
キ
カ
イ
ノ
カ
ラ
ダ
!
』
ジャッキィーン!!!
逃げ切りを確定させ、煙草の煙が飛んでくることもなく、紅茶花伝を片手に自分だけに用意された贅沢な空間。
ハマりすらもリズムとなり、レギュラーにもラッキーとにんまり笑う、リーチ目が飛んで来た日(10%で後告知です)には悶絶しながらトイレに向かう。
手札にキングとエースのフルハウスを揃えたような充足感が体中をみたしていくのを感じた。
結局最大ハマりは672と展開にも大変恵まれ、ケーキの残りかすまで舐め回すように、閉店まで至福の時間を満喫しつくした俺なのであった。
+57000
年始からわけもわからず3連勝か…。
あとは去年の西村(巨人)みたいにならない事を祈るのみだ…。
こうして自分磨きを終えた俺は、夜の繁華街へと姿を消すのだった…。※
※夜の繁華街の真ん中に住居を構えているため。
客引きに目を合わせずにそそくさと歩くさまはとても他人に見せられたものじゃない。 |
|