ファミコン落ちギャル物語
今でこそ、やれ女子高生ものだのやれコスプレものだのといった、羞恥心のかけらもなくうら若き二次元の乙女との醜態極まりない疑似恋愛だのを楽しむソフトがコンシューマにも溢れかえっていますが、私が子供の頃に流行っていたコンシューマ機代表格であるファミコンではそんなモテナイ男にも救いの手(破滅の手とも言う)をさしのべた便利なソフトが開発されていたはずもなく、たまにショボい表示能力で表現される後のファミコンギャル(ファミコンソフトの女の子)と呼ばれる女の子のグラフィックに熱視線を浴びせ、色々な想像を張り巡らせていたわけであります。

ちなみにここで最初に断っておきますが、私はファミコンギャルに萌えて妙な想像をするといったような、そんな情けない趣味は持ち合わせておりません。
先手を打ったところで話を続けます。
そういった環境の中、限界を感じるグラフィックながらも人々に愛され、出演しているゲーム内容の薄さを乗り越えて人気になったファミコンギャル達がいます。

「カイの冒険」のカイ。「リップルアイランド」のキャル。「アテナ」のアテナ。「奇々怪界」の小夜。「銀河の三人」のリミ。「ナゾラーランド」のトモ。「まじかるどろぴー」のどろぴー。「水龍のドラゴン」のシンシア。etc…

彼女らは「萌え」という言葉がオタクメジャーデビューする前に一部の物好き達の心に住み着き、それぞれの担当ソフトに内容以上の力を与え、時を経てもこのようなインターネットというメジャーな世界で存在を示し、恋愛シュミレーションなにするものぞ! と今でも気を吐いているのです。
とにかく、なんせライバルが少ないために(萌えの世界が金になると世の中の制作者側連中がまだ気付いてなかったために)、ちょっと出演すればたちまちウワサになったファミコンギャル達ですが、それでもどうも狙っているはずなのに、今の時代も埋もれてしまっているファミコンギャル達が少なからずいます。
前置きが長くなりました(悪い癖です)、今回の企画はそんな不遇のファミコンギャル達を発掘するコーナーです。
なお、もちろん画像はのせませんので、押入の奥の段ボールからソフトを引っぱり出して紹介キャラを確認しましょう。そんなゲーム持ってないんだ! といわれそうな奴らばっかりですが。


・FILE1
「愛先生のO・SHI・E・TEわたしの星」より「レム」

このゲームは案外ファミコン界では有名です。対象キャラのレムについても知ってる方は多いかと思われます。内容は占いゲーム。
ただ、このゲームが有名なのは内容の糞っぷりであって、レムの人気があって現在の知名度を獲得しているとは言い難いでしょう。
ゲーム中やたら出てくるこのゲームの主人公格レムですが、ゲームタイトルにもある「愛先生」というのはなんとオッサン。そのいかにも詐欺臭い手法で関係を位置づけられたレムはユーザーの目に悪の権化と映り、正統的な評価は与えられないというまさに不遇のヒロインと言えるでしょう。あと、彼女の動きには妙に力が入ってるみたい。まぁ占いゲームだし、出てくるキャラがアニメでもしないとどうにもなりませんね。ちなみにこのゲーム、サイトを通じて知り合った「むねくん」さんのオフ会で初めて存在を確認いたしました。せっかくのオフ会でなにやってんでしょうか。私ら。


・FILE2
「ドリームマスター」より「オルタリア王国の姫」

ソフト開発バースデイと言ったら多少は知ってる人もいるのに(貝獣物語、じゅうべえくえすとを開発したチーム)、ドリームマスターと言ってもあまりピンと来る人は少ない、そんな不幸なゲームからヒロインを出典。名前も自分で決められます。カタカナ使用OK。
1992年という、後2年したらファミコンが終わる時代、スーパーファミコンのソフトがバリバリに猛威を振るっている時代にRPGというジャンルで発売してしまったのが不幸の始まりでしょうか。結果、誰もしりません。
ファミコン後期発だけあって、メタルスレイダーグローリーのそれとは次元は違うものの、グラフィックはかなりよい感じです。つーかイイです。今みると。ビックリした。ビックリしてビックリした余韻でここにのっけてしまったので、実は特に語ることがないということにまたビックリです。


・FILE3
「ガンナック」より「主人公」

ぷよぷよも無かった当時、コンパイルの主力開発商品であるザナック、ガンヘッドと来てこのガンナックの発売。ですがガンナックには皆気付きませんでした。
スピードアップが出来ない事を除けば総じてゲームの出来もよく、ハード以上にすればまさに硬派なアーケード的絶妙な難易度のゲームも味わえる所がしっかりしています。そんな中で主人公は何故か巫女さん(ゲーム上便宜では魔導師)。奇々怪界でも狙ったのか。確かにシューティングの歴史はこの頃から今までの硬派さ+キャラクターとストーリー性をあわせたものが開発されはしていました。が、本作品は別にその世にも珍しき巫女さんパイロットのキャラを全面に押し出したわけでもなく、一番気合いの入っているグラフィックはお店のおねいさんと言った具合。なんか不憫だ。


・FILE4
「クライシスフォース」より「マヤ」

ガンナックに続いてシューティング。シューティングフィーバー!(壊れ気味)
大体、クライシスフォースを知っている人がいるとしても、このキャラを覚えている人がいるのかどうか。
ゲームではデモ画面まで待たないと出てきません。
高校生双子兄妹パイロット、「アスカとマヤ」のマヤの方。ちなみにアスカは男。アスカなのに男。珍しいのか珍しくないのか微妙な線。「薫くんorさん」と似たようなものなのでしょうか。
メーカーはあのコナミ。グラディウスやツインビーや沙羅曼陀のコナミ。
多分、ファミコンには非常に貴重な女子高生キャラで、このマヤはゲーム内では制服姿で登場します。狙っているのがよくわかりますね。
ちなみにアスカの方はしょぼい無地のカッターシャツ。開発陣のどうでもよさが伝わってきますね。
かつてウインビーにパステルというパイロットをのせて、ドラマCDやらなんやらといった政策を施し、国民的アイドル化計画(だったっけ?)とかぶちまけたコナミの闇歴史といったところでしょうか。とにかく中途半端にキャラのせてみましたというその姿勢がこっぱずかしくて悲壮感を倍増させます。女子高生グラフィックっつってもFCだし。
ちなみにゲーム内容に「合体システム」とかいうのがあって、そのせいでこのゲームを覚えている人の中でもアスカとマヤというキャラクターの存在を覚えている人から、必ずと言っていいほど「兄と妹が合体!!」などと破廉恥な意味合いで叩かれております。とにかく、そういったあらゆる面で不幸なヒロイン「落ちギャル」といえる彼女。なんとか誰か、CGをちょこちょこっと描いてあげるとか、ちょっとでもそういった供養というものをしてやれぬものだろうか。珍しいよ、ファミコンの女子高生(しつこい)。


・FILE5
「ファリア」より「主人公」
最後にします。マヤで疲れたから(死)。
こいつも境遇の不幸さは並大抵のものではありません。
ゼルダ風アクション系RPGで、女性が主人公というワルキューレの冒険のワルキューレくらいしかメジャーな相手が見つからない舞台に降り立ちましたが、ハイスコアメディアワークという「ゾンビハンター」と、同社が発行していた雑誌「ハイスコア」で、ドラクエ2の攻略記事を無断で掲載して訴えられた(見事に勝訴される)という事くらいしか人々の記憶にない会社から発売ということもあり、このゲームを知ってる人はごく少数です。というか、これも誇張表現であり、多分雑誌ハイスコアもゾンビハンターも知らない人の方が世の中では多いと思います。
女性が主人公ということですが、ゲームはまずまずのシビアっぷり。ダンジョンの謎解きが頭の悪い子にはさっぱりです。
キャラはあさりよしとおが描いていると言うことですが、それなりに闇歴史なのでしょうかね。はてなダイアリーにはこの仕事はのってません(2005年2月7日現在)。
ついでにいっておくと、実はこのゲーム、らんま1/2的展開。
でも、そこまで遊んだ人もそんなにいないんだろうなあ。

以上、今回5人の落ちギャル達について語ってみた。
ファミコンギャルの勝ち組にはなれなかった彼女たちだが、魅力はそれぞれ十分にあった。しかし運が今ひとつ足りなかった。アサヒエンペラーだった。ヤマトダマシイだった。プレクラスニーだった。
そんな彼女たちの魅力をいつの日か愛ある形でサルベージしてくれる物好きな人達が表れるのを待とうではないか。
今の勝ち組ファミコンギャル達も、インターネットが普及する前はまさかこうしてCG描かれたりとか同人本だされたりとか、現在の夢のような地位が確保されるなどとは思ってもいなかっただろうから…。