空に舞うって言ったらFE聖戦の4章ですね(笑)


長い長い洞窟を抜けると、そこは雪国だったんじゃなくて湖の向こうに城が見えた。やたらとデカい。
辺りを見渡すが、橋も無ければ船もない。ただ、ほこらが1つこちら側にあるだ けだった。

まぁ、こういう場合大抵、ほこらに行けば何か手がかりがあるモノである。そう 考え、とりあえずほこらにむかうとそこにはオジサンが一人いた。話しかけるとシルバーオーブを渡してくれ た。だが湖をわたる手がかりのようなモノは何もなかったので。仕方なくほこ らを出てバビュンとルーラで一旦アリアハンに帰ることにした。



家に帰り、母さんの手料理を食べ、洞窟を探索する間によごれた身体を洗い、さっ ぱりしたところで荷物を整理することにした。
ほこらでもらったシルバーオーブを手に取りじぃっとながめてみると、
ぼうっ
とかすかに光っている。
そういや前にもいくつか同じ様なオーブを手に入れていたなと思って、ハコ(ふくろの名 前)の中をのぞいてみる。こんなに綺麗なのだから、さぞかし高く売れるだろう と思ったのに、買えないと言われたのでおぼえていたのだ。
ハコの中はきちんと整頓しておいただけあって、すぐに見つかった。今回のシル バーオーブで6つ目であった。

そういえば、前に誰かがオーブは全部でいくつか言っていたなぁと思い、ふか〜 〜く思い出してみた。何となくおぼえていたのだ。おぉ、そういえば6つだった 。じゃぁこれで全部か、と思うが、思考は更に深いところに入り込む。何やら生 まれたばかりのころに枕元で交わされたらしい、母さんと、顔も覚えていない父 さんの会話まで思い出してしまったが、さすがにそれは夢でもみたのだろうと結 論づけた。

まぁ、何はともあれすべてのオーブがそろったのだ。以前、世界地図完成のため の旅をしていたときに、オーブを全部ささげれば孵るというたまごが安置してあ る神殿があった。試しにオーブを持って行ってみよう。でっかい『が』だか『ち ょう』だかが生まれるかもしれない。……………ん?それなら『たまご』じゃな くて『まゆ』か…まぁいいや。



たまごの神殿にたどり着いた。相変わらず巫女(?)『モスラ〜や モスラ〜♪ 』とか歌い出しそうだ…)のお姉さんたちは気味の悪いしゃべり方をする。
そんなことを思いながら、台座にオーブを1つのせてみる。
すると、ボッと火がついた。思わずビビるが、くそ寒い神殿の中が少しだけ暖かく なったので、まぁよしとする。

次々とのこりのオーブも台座に安置していく。その度に、たいまつに火がともり 、神殿の中は、どんどん暖かくすごしやすくなっていく。最後のオーブをおき、 最後のたいまつに火がつく。ふと、ひょっとしてここには、オーブを手に入 れる度に持ってきて、いっこずつ安置していくべきだったのでは?と思った。そう したら、最後のオーブのときに少しは達成感というモノがわいたかもしれない 。
そんなことを考えつつ、中央のたまごの前にいるお姉さん達に話しかけてみる。

彼女たちが何か言うと、6つのオーブが光り出し、鏡でも使ったかのように光が たまごに集中する。まさか親がたまごを暖めるのを拒否しちまったから、オーブ を使って暖めてんのか?とか思いつつも、視線はたまごからはなせない。何が生 まれるのかどきどきものである。ぴしぴしっと、からにヒビが入っていき、と うとう中に入っていたモノがその姿を見せた。

それは、人が一人乗れるくらいのサイズの、キラキラと光るきれいな鳥であった 。
お姉さん達が話しかけると、あいていた天井から飛び出していく。道理で寒かっ たわけだ。
えーもん見せて貰ったわーと思い、お姉さんsに話しかけると、外に行けばさっ きの鳥が待っている、という。どうやらあの鳥は背中に人を乗せてくれるらしい 。

外に出ると、朝日がさんさんとふりそそいでいた。ふむ、いい天気だ…と思い深 呼吸をしていると、頭上にぬっと、何やらデカいかげがでてきた。不審に思いそ ちらに目をやると、くそデカい悪シュミなほどにハデな鳥がそこにいた。ぎょっ として思わず後ずさる。そうだ、鳥と言えばさっきの鳥は……と周囲を見回して みるが、それらしいものはいない。鳥といえば目の前にいるそれだけだ。まさか ……とイヤな考えが頭をかすめる。皆に意見を聞こうと振り返ると、皆同じ考え に行き着いたらしい。つまり、さっきの鳥が、ほんの神殿を出るまでの間に、こ んなにくそデカくケバくなった、という考えである。

とにかく確認してみようと名前を呼んでみることにする。
えーと、えーと、えぇぇぇぇぇ〜とぉ〜……………………
「ラーミア」
ボソっとモモが耳打ちしてくれる。そうだ、ラーミアだ。すぅと大きく息を吸い 、
「ら…ラーミア?」
と呼びかけてみる。
んぎゃっ♪
と嬉しそうに目の前のデカい鳥が鳴き、こちらに、のってのって♪と言うかの様 に足取りも軽く背を向ける。……そうか、やっぱりコイツがさっきの鳥か……と思うと、少し哀しい気分になった。あんなに綺麗だったのに。

まぁ、乗れというのだ。行為を無下にするのも悪かろうと思い、皆でラーミアの 背中に乗る。するとラーミアはばっさばっさと浮き上がり、まっすぐ北に向かっ て飛びはじめた。



ラーミアは一直線に北へと飛んでいく。
どこか連れていきたいところでもあるのだろうか?
そう思い、ラーミアの飛ぶのにまかせた。眼下には持っている地図通りの海岸線 がある。
皆、眼下に広がる光景に目を奪われているように見える。はう〜っと呆けた顔で 下を眺めるうちに、ふとどうでもよいようなことが気になり出していた。
ラーミア……その名前は…そうだ、何か前についていたような気がするのだが… …ふ…ふ……
ぶすちょう??などと呟いてみたら、
ふしっっっ
と気の抜けたような音がする。嫌な感じがしたので思わず身をそらすと、目の前 を何やらとがったモノが通り過ぎて行った。
一体何が…(汗)
密かにビビりつつ、音の出所をさがすと、チェリナが吹き矢を手に持ったまま、 ちぃっっっっっ(悔)と言いたげにこちらを見ていた。
余程ぶすちょうネタが気にくわなかったらしい。まぁ自分でもつまんねぇとは思 ったが、いいのか?チェリナ、聖職者だろ?(汗)

やがて、日はどんどん高くなり、昼になりそして夕方になって夜がきた。ラーミ アはまだまだ北に向かって飛びつづけている。 どこかに降りるような気配はカケラもない。 朝食も昼食も夕食も抜きで、いい加減に腹が減って仕方がないのだが、 食料は全部船の中である。鳥だからといってまさかラーミアをバラして食うワケにもいかない。 我慢するしかないのか。



そして、また朝日が昇った。眼下にあるのは昨日も見た景色である。どうやら 一周して戻ってきたらしい。さすがにおかしい、と言うことに気付く。
こいつはまっすぐしか飛べんのか?(汗)
そんな疑問が頭をかすめる。だが確かめもせずに決めつけるのはちょっと気が引 ける。そこで試しに、ラーミアに右に旋回してくれないか、と言ってみる。
ぎゅいぃぃ〜ん、
とラーミアはきっかし90度右に旋回した。どういうツクリをしてるんだ?と思 うと同時に、さらにもう一つ疑問が頭の中に生じた。そこで試しにもう一度右に 旋回するように言ってみた。
ぎゅいぃぃ〜ん、
と音をたて、ラーミアは再びきっかし90度右に旋回した。何度言っても、どの 方向を頼んでも、きっかし90度であった。どうやらラーミアは直角にしか曲が れないらしい。そう結論付けしたところで、ラーミアに地上に降ろしてくれない かと聞いてみる。すると快くおろしてくれた。
コイツ…何の考えも無しに飛んで いたのか……けっこうアホだな…と思うが、このことに丸一日(とちょっと)気 付かなかった自分たちもかなりのものである。さすがボケパーティーだ。と自爆 ツッコミを入れながら、空きっ腹を抱え、すぐに飯が食べられる我が家へと、ル ーラを唱えるのであった。ラーミアは船で拾いにくればいいだろう。

……ラーミアもまた、船と同様にルーラで飛んでいった先についてきてくれるこ とに気付くのは翌朝のことである。



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