旅人復活、ブリスベン子守り旅
*** 2007年12月21日〜12月31日 ***



旅の始めに
息子も3歳になったので、思い切って息子を連れて旅に出ることにした。「思い切って」というのは、長時間の飛行が難関でこれまで旅を休止していたのだ。2年前に息子をケアンズに連れて行ったが、飛行機の中で退屈して暴れだす息子に懲り懲りだったのだ。
息子も段々と成長して(詳細は「男のイクジな日々」をご覧ください。)、そろそろ大丈夫かなという気になった。義母(妻の母)にも同行してもらうことにしたので、8時間の飛行でも、1人 2時間半だけ息子の相手をすればいい。よし行ってみましょう、海外へ。「みちのくにひとりたび」の再開なのだ。

クリスマス休暇
今回の行き先は、オーストラリア東海岸。息子のことを考えると、時差がなく、またレンタカーで自由に動けるオーストラリアが最適ということになる。一番近いケアンズは雨季に入る時期だし、シドニーは遠すぎる。ということで消去法でブリスベンになった。ブリスベンはたしか3回目で、直近では2000年にブリスベンからシドニーまでの約1000kmをのんびりと車で南下した。
今回はあまり移動はしないようにと、ゴールドコースト(ブリスベンから南に1時間)とサンシャインコースト(ブリスベンから北に1時間)でのんびりすることにした。ただ、その準備、つまり宿の予約はたいへんだった。この時期はオーストラリアではクリスマス休暇の時期(子供は夏休み)で1年で一番混雑する時期なのだ。日本でいえばGWみたいなもんなのだろう。以前 この時期にパース周辺に行ったときも宿がなかなか見つからなくて大変だった。今回は旅行に行くのを決めたのが10月初めで宿の予約をするにはもう遅すぎる時期だったのだ。
日本やオーストラリアの予約サイトで探したが、全然駄目。宿に直接メールをしたりしたがこれも駄目。これはもう駄目かと思ったりもしたが、粘り強く探し続けて、出発の2週間前に予約完了となった。問い合わせをした宿はおそらく100を超えたのではないだろうか。旅立つ前にもうぐったりである。

★機中の息子
ブリスベンまでの飛行時間は約8時間。出発は夜の9時半なので、いつもならば息子は寝ている時間だ。だが旅立ちの興奮からかしっかりと起きている。絵本を読んだり、シールを貼ったり、おもちゃの車で遊んだりと、以前に比べてだいぶ一人遊びができるようになった。 なかなか寝てくれないが、ようやく11時半くらい寝付いてくれた。ほっと一息である。








★ゴールドコースト
前半の4泊はゴールドコースト。宿をとったのは、一番賑やかなサーファーズパラダイスから車で南に10分ほどのマーメイドビーチ。旅行のピークシーズンではあるが海岸はさほど混んでいない。海岸線が30kmも続いているので、日本の海水浴場のような混雑にはなりようもない。のんびりと水遊びをしている家族が目立つ。息子も波打ち際できゃっきゃと遊んで、大喜びである。







アイ・チャーチ
義母と妻はクリスチャン。義母のほうが熱心で、ブリスベンで英語と日本語で礼拝をやっているという教会(Brisbane International Japanese Church、通称アイ・チャーチ)をネットで探しておいた。http://ichurch.web.fc2.com/それで早速日曜日の礼拝に出かけることにした。普通ならば車で1時間程度で行けるはずだが道に迷って2時間半もかかってしまった。礼拝の終わりの頃に着いたのだが、牧師さんが英語で話し、牧師の奥さんがそれを日本訳するというスタイルで進められていた。だから日本人でも気軽に礼拝に参加できるというわけだ。
礼拝のあとの簡単な昼食会で牧師さん(アメリカ人)と奥さん(日本人)に色々と話を聞いたが、牧師さんは元々はアメリカにいたが、そのたと日本に移り、日本にも30年以上いたということだ 。数年前からここで活動している。若く見えるが79歳と聞いてびっくり。生きがいや使命感を持って生きているから元気なのだろうか。
日本人もけっこういるが、だいたいのパターンは、旦那がオーストラリア人で奥さんが日本人という組み合わせ。私の持論だが、欧米人の男性の中でナイーブな人たちは強い欧米女性よりも優しいアジア女性に惹かれるのだ。日本の女性は強くなったとはいっても、まだまだ欧米女性に比べれば優しくかよわいのだ。当たっているだろうか?

次の日(24日)はクリスマスキャロルを歌う会があるというので、義母の強い希望もあり、再び教会を訪れた。クリスチャンではない私だが、ちょっとだけクリスチャン気分に浸った時間だった。

キリスト教について一言。最近思うのだが、自分いや人間がコントロールできないことがあるのだと素直に認めることっていうのは大切だと思う。それを自然の摂理と呼ぶか神様と呼ぶかはわからないが、自分はそうした力の元で生かされているっていうのだろうか。そう考えると気持ちが楽になるし、人にも優しくできる。こんなふうに考えるのは自分が初老と呼ばれる世代に近づいているからかもしれない。

そういう意味で宗教も悪くはないなと思うのだが、ただ一般人からすると違和感を感じるのは、神様(キリスト)に対する接し方。賛美歌など似たような曲がいっぱいあるが、これでもかこれでもかと神様を讃えている。もちろん神様は偉いのだろうが、そこまで言わなくても、という気持ちになってしまう。まだまだクリスチャンにはなれそうもない私である。

★渋滞
今日は12月26日。ゴールドコースとをあとにして、サンシャインコースとに向かう。サンシャインコーストはブリスベンの北100kmくらいから始まる海岸線だが、さほど日本では有名ではない。
ゴールドコーストからは国道1号線(パシフィックハイウェイ、ブルースハイウェイ)で北上していくのだが、何と渋滞に次ぐ渋滞。オーストラリアは何回も車で旅しているが、これほどの渋滞は初めてだ。まあ日本のゴールデンウィークのような時期なのでこれも仕方がない。天気も悪く豪雨の中をサインシャインコーストの北の外れヌーサ・ノース・ショアに向かった。





★サンシャインコースト

旅行ガイドブックなどを見ると「サンシャインコーストはゴールドコーストほどの華やかさはないが、地元の人々に愛されている素朴なビーチが多い」などと書かれている。こういう書き方をされると行きたくなってしまうではないか。とういことで、今回の旅行の後半はサンシャインコーストで過ごすこととした。その中心の町がヌーサ。しかし行ってみてびっくり。無茶苦茶賑やかなのである。メインストリート(ヘイスティングス・ストリート)などはもう原宿状態である。どこが素朴なビーチなんだと文句を言いたくなるくらいの盛況ぶりである。もちろん1年で最も賑わう時期だからこそなのだろうが、ちょっと予想外であった。




★野良ルーのいるリゾート


私たちが泊ったのは、ヌーサの町からちょっと離れたヌーサ・ノースショア。ヌーサ川を渡るのだが、橋がないため5分ほどフェリーに乗ることになる。日本だとすぐに橋をかけてしまうのだろうが、環境保護のため(と想像される)川岸でフェリーをのんびり待つことになる。
川を渡ってしまうと、そこはもう国立公園でその一角にヌーサ・ノースショア・リゾートがある。キャンプ場も併設されているが、私たちが泊ったのは、ユニット(日本でいえば長屋のような建物で、一つの建物に3つの部屋が並んでいる。)
自然にあふれた静かな施設である。最初は驚いてしまったが、あたりを野生のカンガルーが飛び回っている。野生とは言っても人間に慣れていて手からえさをもらうほどだ。野鳥も飛び交っているし、夜にはフクロウも出現する。

ヌーサの賑やかさから程遠い環境で、私としてはほっとした。
 

★雨、雨、雨

今年のブリスベン周辺は十数年ぶり(五十年ぶり?)の冷夏とかで、なかなか晴れないのだ。晴れたのは旅行の最初の頃だけで、サンシャインコーストに移ってからは連日の「曇り時々雨」である。もう晴れることはないのかとあきらめかけた12月28日の夕方からようやく晴れたのだ。久しぶりに見る青空はやはりすがすがしい。夜は素晴らしい星空で、人工衛星の光もしっかりと確認できる。
息子もこんなに多くの星を見るのは生まれて初めてだが、ちょっと見てすぐに飽きてしまった。星に感動するのは大人だけのようだ。

★ゴルフはできたか
子連れの旅行なのでゴルフはなかなかできないと予想したが、キャディバックは念のため、いやダメモトで持ってきていた。さて、ゴルフはできたのか。
プレーしたのは3回。最初はゴールドコースト(マーメイドビーチ)からちょっと内陸に入ったところにある、超お手軽コース。ゴルフ場と呼ぶにはおこがましいと日本人は怒りそうなくらいのコース。日本でいえばショートコースでパー3とパー4のホールが半々くらいだ。ほとんど手入れもされずに原っぱをゴルフ場にしたようなところで、9ホールで10ドル(1000円)と料金もお手軽。気楽に練習するにはいいかもしれない。
あとの2回はサンシャインコーストのティワンティン・ゴルフコース。ノースショアから川を渡ってすぐのところにある。こちらはごく普通のゴルフ場。料金は9ホールで30ドル(3000円)程度。
オーストラリアのゴルフ場がありがたいのは、よほどの高級コースでない限り、ビジター歓迎だし、予約無しにふらっと行ってもすぐに回らせてくれる。
雨や風にたたられたが、妻と一緒にプレーできただけで満足。そして、子守りをしてくれた義母に感謝。


★お国柄

久々(2年半ぶり)のオーストラリアだった。広大な大地、大きな太った人々、子沢山の家族たち、山盛りのフライドポテト、至るところにあるバーベキュー設備等々、オーストラリアはやはりオーストラリアであった。
ただ、今回の旅行でしんどく感じた点が2つあった。

一つ目はカーナビの無い運転。今や日本ではレンタカーには無料でカーナビが付いている。私など自分の車を地元で運転するときでもカーナビが無いとお手上げの状態。オーストラリアではカーナビの普及はまだまだのようで、レンタカーカウンターには「GPSどうぞ」みたいな宣伝はあるが、もちろん有料だ。そういうわけで久々にカーナビ無しの車の運転だ。妻が運転するときには、助手席で地図を見ながらナビをするが、疲れるのなんの。なかなか目的地に着けなかったりする。
今さらながらカーナビの便利さを再認識した。目的地さえセットすればあとはサルでもOKだ。だが真面目に考えると、こうした便利さも考えものなのだろう。便利ということは頭を使わないことだからだ。そうはいってもカーナビは便利なんだよなぁ。。

二つ目は現地の物価の高さ。以前よく海外旅行をしていた頃は、どこに行っても日本よりも割安感があり、得した気分で食事をしたり買い物をしたりしていた。しかし、日本がデフレに苦しみ、円安が進んだことにより、こうした感覚は全く消失してしまった。とにかく物価は高く感じた。到着初日にガラクタ市のようなところに行ったところ、まあまあ面白そうな物をいろいろと売っている。でもよくよく考えると大体のものは日本の百円ショップで買えてしまえるようなものなのだ。それが、3ドル (300円)とか5ドル(500円)くらいはしてしまう。オージーが百円ショップに行ったら、きっと感動して買いまくってしまうのではなかろうか。
ちょっとしたレストランで食事をすると1人30〜40ドルはかかってしまうし、ファーストフードだって日本より割高に感じる。****という町のショッピングセンターに回転寿司(兼和食レストラン)の店があ ったので面白半分に入ってみた。一番安い皿が3ドルでちょっとよいネタになると5ドルとか6ドルもしてしまう。私はうーんとうなって8ドルの天ぷらそばを注文した。やはり 寿司はオージーにとっても割高なので、日本のように皿を積み上げて食べている人はいなかった。オージーが日本の回転寿司に行ったら、もう歓喜して皿を高々と積み上げるに違いない。w

★息子はどうした

10月に3歳になったばかりの我が息子。彼はこの旅行中どのように過ごしていたのであろうか。
●飛行機
既に書いたとおり最難関の飛行機は無事通過。復路も睡眠薬(風邪薬)の影響か1時間ちょっとは寝てくれた。以前のように、前の席に座っている人の髪の毛を引っ張ることもないし、もう降りたいと暴れることもなかった。思ったほどたいへんではなかった、というのが実感だ。
●プール
今回彼が一番楽しんだと思われるのはプールだった。ゴールドコーストでもサンシャインコーストでもプール付きの宿だったので、大いに楽しんでいた。天候不順でかなり気温が低かったが、プールに入りたいとおばあちゃんにせがんで、大喜びで遊んでいた。 (あの涼しさで孫に付き合うおばあちゃんもすごい!私には真似できません。)
●海
海の近くでずっと過ごしたわけだが、 海には何度か行っただけだった。まだ泳げるわけではないので、波際で打ち寄せてくる波とたわむれていた。 大人からみると何が面白いのかと思ってしまうが、3歳児はきゃっきゃっととても楽しんでいた。しかし、現地の小さな子供たちが波に向かって走り回っているのに比べ、 ウチの息子はとても臆病だ。親の手をしっかり握って 、波がくるのを待っている。お前も男らしく走り回れとけしかけたところ、走ったはいいが思いっきり前のめりに転んでしまい大泣き。ただ、もう海を怖がっていやがるかと思ったらすぐに復活して遊び始めたのは褒めてあげよう。
●日常
3歳児にとって自宅であろうが旅先であろうが、遊びにかける真剣な(?)姿勢は変わらない。昼寝をいやがり夜も寝るのを惜しんでひたすら遊ぼうとする。日本からお気に入りのおもちゃ(プラレール、レゴ、ミニチュアの車、絵本等々)をいっぱい持ってきたので、退屈など全然していない様子であった。旅行に来たのだから少しはのんびりすればいいのに、と考えるのは大人だけのようだ。

★旅の終わりに
やはり小さな子供を連れた旅行は落着かなくてたいへんである。今回の旅行は義母が付いてきてくれたお陰でかなり楽にはなったが。
息子はまだ3歳なので、外国ということもわからないわけで、旅行の記憶だってすぐに消えてしまうだろう。息子にしてみれば公園があって動物がいたりすれば、どんなところでもご機嫌なわけだ。わざわざ苦労して外国に行く必要もないような気にもなる。
でも行ってみてよかったと思う。やはりオーストラリアの大地は広大だったし、無数の星がきらめく夜空も素晴らしかった。息子の成長も実感することができた。それに、ちょっとの間でも日本を離れると多少なりとも日本や自分の生活を客観視できもする。やはり旅はいいなぁと思う。 そして、もう子供を連れた旅行も(おばあちゃんさえいれば)大丈夫だと思う。

子連れの身となったが、みちのくにひとりたびは復活したのである。じゃんじゃん。










感想はこちらから