何故か香港、ジャパンマネーの逃避行
*** 2004年9月22日〜9月24日 ***


★何故か香港
★ベンジャミン・フルフォード
★日本は破綻するのか★破綻に対する備えとは
★香港に銀行口座を持とう
★飯店に地獄を見た★朝は飲茶だ
★エスカレーターの街★ビル、ビル、人、人
★そして、最後に


★何故か香港
子供が11月初めに生まれるため旅の休養宣言をした私だが、なぜか香港に向かう機中にいる。
香港はこれが3回目か4回目だが、旅の途中にちょっとだけ寄ったことが多く、あまり詳しくない。
女性にとってはブランド物のショッピングなどで魅力的な街なのだろうが、私はそういうことに全く興味がない。
もちろん食は香港にあり、などというくらいでそういう楽しみはあるが、少々物価が高い。これまでの経験でも日本とたいして変わりがないなあ、という印象。
それなら物価の安い上海に行きたくなってしまう。

そんな私が何故香港に行くのか。
しかも今回は2泊3日の強行軍。初日は18時に香港に着き、最終日は香港を朝9時半に出る。空港から街への移動などを考えると正味1日の滞在だ。
観光もなにもあったもんじゃない。

では、何故私が香港にいるのか。(くどい!)
ゆっくりそのへんを話していこう。

★ベンジャミン・フルフォード
私は旅に出るときはその旅のテーマに沿った本を持っていくことにしている。ゴルフ合宿であればゴルフのレッスン本、オーストリアであればハプスブルグ家の歴史本とか。
それで今回私が成田空港の本屋でたまたま目にして買ったのが、ベンジャミン・フルフォード著「まんが・八百長経済大国の最期」である。
このベンジャミン・フルフォード氏の経歴がちょっと変わっている。著書の経歴を引用しよう。「米経済誌『フォーブス』アジア太平洋支局長。1961年カナダ生まれ。上智大学比較文化学科を経て、カダナ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業後、日本でジャーナリスト活動に入る。米紙の東京特派員を経て、現職。著書に『日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日』『ヤクザ・リセッション』『泥棒国家の完成』がある。」
祖父が政治家、父が外交官という毛並みのよい家系に生まれながら、ジャーナリストの道に入り、日本の政治・経済問題に関心を持ち、けっこう真剣に日本の将来を案じている。
まんがの中の彼はキャバクラ好きでママチャリで駆け回る変な外人記者として描かれているが、その主張はいたって真面目で考えさせられるところも多い。
彼の主張を簡潔にまとめると以下のとおりである。
@日本は「政・官・業・ヤクザ」の”鉄の四角形”が支配している。
A小泉首相はこのシステムを温存しており、「改革」はニセモノである。
B日本の破産は目前に迫っている。

ベンジャミン氏の主張で目を引くのは、ヤクザの存在をかなり問題視している点である。よく「政・官・業」の癒着ということは言われるが、彼は「政・官・業・ヤクザ」の”鉄の四角形”という表現をしており、いわゆる失われた10年をヤクザ・リセッションと呼んでいるくらいである。
この癒着関係こそが国民から富をまきあげる源泉であり、この関係はより強固なものになっていると彼は主張している。

この本を読んでみて、外国人ならではの思い込みのようなものを感じる反面、外国人だからこそ言える部分も多々あるように感じた。まんがになっていて読みやすいので、興味のある人は是非どうぞ。3時間もあれば読みきれると思う。

どうも長々とベンジャミン氏の著作の説明ばかりしてしまい、何故著作と今回の旅が関係するのか説明していなかった。
今回の私の香港行きの目的は香港の銀行に口座を開設することなのだ。
といってもピンとこないと思う。
ゆっくりとそのへんを説明しよう。
もう、今回はこの話中心でいこう。香港の話はあまり出てこないがご勘弁。

★日本は破綻するのか
最近「預金封鎖」とか「財産税」などという言葉をよく耳にする。書店でもこの手の本がよく売れているらしい。
要は日本が財政的に破綻して、預金封鎖をして預金を引き出せなくするとか、資産を凍結して課税をするとかいった話である。
私も最初は「人々の不安につけこんだ下らない説」と考えていたが、一応私の趣味の一つである「資産運用」にも関係するので、何冊か本を読んでみた。
前田和彦著「借金国家から資産を守る方法」、太田春雄著「海外分散で資産を死守せよ」、本吉正雄著「元日銀マンが教える預金封鎖」、方波見寧著「楽して得する、海外投資」などである。

著者によって若干のニュアンスの違いはあるが、日本はいずれ財政的に破綻し、超円安やハイパーインフレが到来し、政府は預金封鎖せざるをえなくなる、といった感じである。俄かには信じがたく、眉唾もんだという印象も受ける。
こうした不安にかられる富裕層(特にお年寄り)を食い物にする詐欺まがいの事件も多いようで、「お笑ひプライベートバンク」なる本も出版されていて、そのへんの事情が面白おかしく書かれている。上記の預金封鎖等をテーマにした本は「脅し本」と呼ばれているそうだ。

しかし、事実として、預金封鎖というのは日本で過去2回行われている。昭和2年と昭和21年である。最初の預金封鎖は銀行の取り付け騒ぎを抑えるためのものであり、2回目の預金封鎖は戦後のハイパーインフレを抑えるためのものであった、と言われている。2回目の預金封鎖において政府は結局ハイパーインフレを抑えることはできず、約2年半の預金封鎖が解除されたときにはお金の価値は十分の一になってしまっていた。

さて、現代において、そして、世界第二の経済大国といわれる日本において、そんな馬鹿げたことが起きるのだろうか。
ほとんどの人は即座に首を振るだろうが、以下の数値を見るとちょっと心配になってくる。

2004年度の日本の「一般会計」の支出は82兆円、税収は40兆円。2005年3月時点の国債(借金)残高予測は483兆円。
わかりやすく例えてみると、年収が400万円なのに820万円の支出をしているサラリーマンが4830万円の借金を抱えていることになる。
普通だったらそんなの返せるわけがないだろう、ということになる。借金だけだったら年収のうちの幾ばくかで一生かけて返済していくという手もあろうが、年収の倍を消費してしまうという浪費家なのだ。
低金利の今でさえこの状況。もし金利が上昇したらどうなっちゃうのか、想像するのも恐ろしい。
これが日本の現状である。

視点を変えて別の数字を見てみよう。
国と地方の債務残高のGDP(国内総生産)比である。(OECD調べ、2004年)
日本161%、イタリア116%、カナダ73%、フランス72%、ドイツ66%、アメリカ66%、イギリス55%。
借金をGDPと比較するのがどういう意味なのか今ひとつわかりづらいが、自国の経済規模に対してどの程度借金をしているかということのようだ。
理論的にこの数字がどこまで行くと破綻するということはないのだが、過去に破綻しなかった最高記録は英国の200%らしいのだ。そして、日本をもうすぐこの200%を抜きさることが予想されている。

ある人は言うかもしれない。いくら借金があっても資産があればそれを売却すればいいのだから問題はないと。そして日本は債権国だと。
日本政府は2003年に初めて国のバランスシート(貸借対照表)を公開した。資産が822兆円に対し、負債は1707兆円。なんと885兆円の債務超過であった。

さあ、上記の各種の数字を見て皆さんはどう感じるだろうか。
なんか「脅し本」の言い回しに似てきたしまった。(笑)
今まで大丈夫だったのだから今後も大丈夫と楽観的に考える人ばかりではあるまい。ひょっとしたらという不安を感じる人が出てくるのも無理はない。
私も不安を感じる人の一人である。
では、個人として何ができるのかを次に考えてみよう。

★破綻に対する備えとは
日本が財政的に破綻した場合に想定されることは、超円安、ハイパーインフレ、預金封鎖、財産税等である。
そして、その対策として一般的には(つまり「脅し本」の中では)以下のように言われているようである。
●超円安対策
円の価値が下がるのだから、外貨建て資産を持てばいい。
●ハイパーインフレ対策
貨幣の価値が下がるのだから、モノを持てばいい。
●預金封鎖対策
国内の金融機関からお金が引き出せなくなるのだから、海外の金融機関にお金を預ければいい。
●財産税対策
日本政府が把握できるのは国内の資産だけなので、海外の金融機関にお金を預ければいい。
ただ、法律的には日本国政府は海外にある日本人の資産に対しても課税権がある(らしい)ので、海外資産を正直に申告しなければ法律違反ということになる。
(200万円以上の海外送金については、金融機関は当局に届出の義務がある。)

すごく単純に考えると、対策の一つとしては海外に外貨建て資産を持つ、ということになる。
そういうわけで、現在日本のお金持ちの間では、資産を海外に移転することがはやっているのだ。(格好よく言うと「キャピタルフライト」)

私自身たいした資産を持っているわけではないが、趣味でAFP(初級ファイナンシャル・アドバイザー)の資格も取っているし、一応税理士試験も通っている。将来のためにも実地に経験しようと考えたわけだ。
(それに口実があれば身重の妻を日本に置いて旅行ができる。それが一番大きな理由だったりして。。。(笑))

その第一歩はまず海外の銀行に口座を開設すること。そのためだけに今回香港に来たわけだ。
暇だなぁ、と感じる人もいるだろう。
しかし、何事も経験してみないとわからないものだ。
さあ、香港に銀行口座を開設しよう。

★香港に銀行口座を持とう
お金持ち日本人にニーズがあるので、そうした口座開設をサポートする会社もいっぱいある。インターネットで「海外口座開設」で検索すれば山ほどヒットするし、書籍だっていっぱい出ている。
海外口座の開き方はいろいろあって、中には日本にいながらにして開ける金融機関もある。(アビー・インターナショナルとかANZとか)
香港の銀行は現地まで行かないとダメなのだが、香港は金融課税が非課税なので人気があり、1度開いてしまえばあとはインターネットバンキングも充実している。(もちろん一定額以上の所得になれば日本で申告して納税する必要がある。)
それでまず手始めに香港のHSBCに口座を持とうということになった。
HSBCは知る人ぞ知る巨大金融グループで、新聞で目にすることも多い。イギリス系の銀行で、HSBCとは ongkong hanghai anking orporation の略。日本語で言うと、香港上海銀行というわけだ。名前のとおり香港を中心に大きくなった金融グループなので、香港においては非常に大きな地位を占めており、紙幣まで発行している。(香港は日本のような中央銀行制ではなく、3つの民間銀行が紙幣を発行している。)
今回はこのHSBCに口座を開設しようと考えたのだ。
では、体験に基づき、HSBCの口座開設の案内をしよう。

●その1:紹介状を入手する。
HSBCで日本人がよく利用する口座に 「Power Vantage」という口座がある。この口座はマルチアカウント(普通/当座/定期の預金で香港ドルと外貨(USドルやポンド、円など)が利用可能)で投資用の口座にも利用可能なものだ。
香港の銀行は証券業も営んでいて、銀行で株式や投資信託も購入できる。そうした投資をするかしないかは別として何か便利そうではある。
でもこの口座を開くには紹介状がいる。それはHSBCの口座保有者であれば誰の紹介状でもいいということなので、非常に形式的なものだ。馬鹿らしいとは思うがそれがルールなので仕方がない。ではどうするか。香港に友人のいる日本人など滅多にはいないだろう。
だがニーズのあるところにビジネスあり、ということで、紹介状を発行してくれる会社がいっぱいあるのだ。
海外投資に関して情報提供をしてくれる「海外投資を楽しむ会(AIC)」でも紹介状を発行してくれる。(ただし、事前に入会金2100円を払って会員になる必要がある。)
郵送等には応じてもらえず、吉祥寺駅前のルノアールで待ち合わせをして入手した。手数料は5000円。ちょっと秘密めいているが別に違法でもなんでもない。
とにかく紹介状がないと 「Power Vantage」の口座開設はできないのだ。

●その2:香港に行く。
とにかく現地に行かないことにはダメなのだ。

●その3:HSBC本店に行く。
   
香港の街を歩いているとやたらとHSBCの看板を目にする。とにかく支店の数はすごい。もちろん地元の人たちを相手にしている銀行なので、
外国人が口座を開くことにそれほど協力的な支店ばかりではないようで、AICでは本店に行くことを勧められた。
本店があるのは香港島の中環というエリア。東京でいえば丸の内のような一等地である。そこに巨大なビルがそびえたっている。地元の人は
蟹ビルと呼んでいるそうで、たしかに外壁のゴツゴツした感じが蟹を連想させる。
正面に2匹のライオン像が鎮座しており、そこを入っていくと上階に向うエスカレーターがある。エスカレーターが着くのは3階。そこで、「Power Vantage」の口座を開きたいというと、番号の書いた札を渡され、ソファーで待つように言われる。
周囲の雰囲気はなかなか落ち着いている。いくつものブースがあって隣のブースとの間隔も十分にあり、日本の銀行よりもゆったりしているような印象を受けた。

ほどなく順番がきて、ブースに案内される。私の担当は中年のご婦人だ。
さほど英語ができるわけでもない私としてはちょっと緊張する。私が紹介状とパスポートを提示すると、彼女はすぐに数枚の書類を差し出し、これに記入してくれという。住所とか職業とか運用予定とか、まあ日本の銀行でもそうなのだろうが、自分の基本情報を記入するようになっている。
ちょっと驚いたのは英文の下に日本語が併記されている。そう、最近私のような日本人がたくさんやってくるので、銀行側も日本人用の記入フォームを用意しているというわけ。なんだかちょっと拍子抜け。
まあ手続きは順調に進んだ。ただ、 「Power Vantage」口座を開くには最低1万香港ドル(約15万円)を預ける必要があるということを言われたのが予想外で、仕方がないので銀行のATMで新生銀行のキャッシュカードで引き出すことになった。

そうしているうちにトーマス氏なる日本語が話せる若者(日本人と中国人のハーフとのこと)がやってきて、細かい説明を日本語でしてくれた。日本から郵送で処理を依頼するときのリスク(郵便事故?)は顧客側にあるとかいろいろ。
そして、投資に興味があるのならば相談に乗りますとのこと。面倒くさそうなので、今日は用事があると断ったのはいうまでもない。
手続き的には30分くらいかかっただろうか、無事HSBCのATMカードを手渡された。

●その4:ATMカードを一度使う。
香港で口座を開く人はこれを忘れてはいけない。多くの日本人は帰国してからインターネットバンキングでいろいろと取引をするのだろうが、そのためにはカードを有効にしておく必要があるというのだ。そうしないと、インターネットバンキングの入口で暗証番号を入力してもはねられてしまう。
だから、残高照会でもいいし、暗証番号の変更でもいいから、香港のATMで一度カードを使用しておかねばならない。私は暗証番号(6桁)を変更しておいた。

ということで、手続きは全て終了。
ともかくもこれで今回の旅の目的は無事達成された。

★飯店に地獄を見た
銀行の話ばかりでもなんなので、ちょっとだけ旅の小話。
初日にホテルに着いたのは19時半。ホテル近くの飯店に行ってみた。どこにでもありそうなテーブルが5つほどの小さな店だ。
注文したのは酢豚(sweet and sour pork)とチャーハン、そして青島ビール。
まず出てきたのが酢豚。量が多くて日本の感覚だと2人前。店員さんが何か言っている。よくわからないが適当に頷くと、てんこ盛りの白米がでてきた。チャーハンを頼んであるのに、白米出すのかよぉと思いつつ酢豚を食べるとこれは美味。けっこう美味い。
そしてチャーハンが出てきたがこれがまた2人前くらいある。いくらなんでもこんなには食えない。
私がその量の多さに驚いていると、隣のテーブルのおっさんが君はずいぶん食べるねみたいに英語で話しかけてきた。見かけは上条恒彦風のおっさんで、連れの若者とだいぶ飲んでいる様子だ。どこからきたかとか、結婚しているのかとか、いろいろと聞いてくる。
まあ気のいいおっさんである。

私のほうは会話もそこそこに、ビールをちびちびと飲みながら大量の酢豚とチャーハンと格闘していた。ビールの大瓶をあらかた飲み干し、そろそろお勘定してもらおうか、と思った矢先、おっさんの連れの若者がショーケースから青島ビールの大瓶を取り出し、私のテーブルの上にどんと置いたのだ。私が驚いて隣のテーブルを見ると、おっさんが俺のおごりだ、と言っている。実は私はアルコールには弱くて、自宅ではせいぜい缶ビールを1本程度。しかも妻と分け合うくらい。今もビールの大瓶を飲んでけっこう酔っている。そのうえ、さらに大瓶1本とは、私のキャパを遥かに超えている。
私はお腹いっぱいでもう十分という身振りをするが、おっさんは「You can drink it.」とにこにこしている。うーん、弱った。
考えたあげく時間稼ぎをしておっさんが帰るのを待つ作戦に出たが、おっさんは一向に帰る気配がない。そこでやむなく作戦変更。そこそこ飲んでしまうしかない。根性でコップ何杯か飲み、ビール瓶に3分の1くらい残るくらいまで頑張った。よし、もうこのくらいでよいだろうと、お勘定をしてもらい、最後におっさんにお礼を言った。おっさんは私の手を握り、なにやら英語でまくしたてている。私はもう腹がぱんぱんに張ってしまい、早くホテルに戻りたい一心である。そのときおっさんの目がコップにくぎ付けになった。コップにはビールがなみなみと注がれた状態だ。
やばい、と思った。予想通りおっさんは飲み干していけよという身振りをしている。日本でもいるよね、こういう酔っ払いって。私は最後に力を振り絞ってコップ半分飲んだ。しかしおっさんは許してくれない。私は最後の最後の力を振り絞って飲み干した。もう腹がぐるしい。。。
ようやく解放された私は吐きそうになりながらも何とかこらえ、ホテルに戻ったのであった。

★朝は飲茶だ
   
香港や上海の私のイメージは、飲茶。朝からのんびりと新聞を読んで飲茶している人々。
だから今回も朝は飲茶と決めていた。早起きをしてのんびりと散歩がてら油麻地あたりの酒店(レストラン)に入ろうと思っていた。
ところが昨晩はああいう状態で、朝起きてみるともう7時過ぎで頭ががんがんする。(私は二日酔いすると頭痛になる。)しかし、なんとかシャワーを浴びて地下鉄で油麻地に行ったのだ。
入ったのは倫敦大酒楼(ロンドン・レストラン)。庶民的なレストランとして有名なようで、お値段もリーズナブル。見回すとイメージどおり暇そうなおっさんたちが皆熱心に新聞を読んでいる。ワゴンを押すおばさんたちに妙に心が和んでしまう。予想通りの光景に私は二日酔いを忘れ、美味しく点心をいただいたのだ。

★エスカレーターの街
  
今回私が泊まったホテルは、 ビショップ・レイ インターナショナル・ハウス。香港島の中心から山側に20分くらい歩いたところにある。
本当はもっと便のよい所に泊まりたかったのだが、これはと思うホテルは全部満室で、もはやこのホテルしか空いていなかったのだ。
歩いて20分ということだが、坂道がきつく上りはかなりきつい。それでこの街にはエスカレーターがある。街にエスカレーターがあるっていうのはピンとこないかもしれない。ところが、本当にエスカレーターがあるのだ。坂道の脇に屋根つきのエスカレーターが何基も連なっていて、とても不思議な光景だ。ガイドブックによると、全長800m、基数20、建設費30億円。
エスカレータの脇には洒落たレストランやカフェも多く、一見の価値あり。
(ちなみに朝は通勤のために下りとなり、それ以外の時間は上りとなります。)

★ビル、ビル、人、人
   
銀行で手続きをしたあとは、香港島をぶらぶらとしていたが、おびただしい数の高層ビル、そしてどこに行っても人の群れ。
一日中、新宿や渋谷にいるような感じだ。いやあ、中国人は元気。かないません。
もう疲れきってしまい、夕飯はマックで買ったハンバーガーをホテルで食べるはめになった。
ああ、食は香港にあるはずだった。。

★そして、最後に
最後に日本の財政の話に戻ろう。
日本の状況ってかなり厳しいと思う。
そして一番の問題はこんなにひどい状況だという認識を持っている国民が非常に少ないってこと。
冒頭のベンジャミン氏もそのことを憂えている。

普通の国だったら、この惨状をどうやって克服するかが選挙の争点になるのだろう。
年金やら高速道路やら郵便局やらの問題以前の、国家財政の異常事態を打開するという根本的な問題だ。

政府は、個人向け国債などと大宣伝して国民に国債を買わせようとしているけれど、国民はこうした状況を認識して買っているのだろうか。
国債の96%は日本国内で保有されている、つまり、外国(人)は恐くて買えない代物なのだ。
状況を認識したうえで、お国のために役立とう、損してもかまいません、という愛国心から買っているのならまだいいだろう。
だが多くの人々は、国なら安心だし、少し利回りもいいらしいし、くらいの気持ちで買っているのではなかろうか。
国債を買う人々は国家財政を助けているというより、問題先送りの片棒をかついでいる方に近いのではないだろうか。

私も日本人だ。ずっと暮らしてきた日本を愛する気持ちもある。
預金封鎖対策が流行にならずに、日本の財政が健全になってくれるにこしたことはない。もちろん国民としてそのためには大きな痛みを負担しなければならないだろうし、その必要も理解しているつもりだ。

だが、改革など口先ばかりでその場凌ぎばかりしている政府の姿勢にはあきらめの気持ちが先立ってしまう。
ならば、自己防衛をするしかない。そう考える人が増えるのは当たり前だ。

私ももちろん、預金封鎖等の発生を無条件に信じているわけではない。過去2回預金封鎖の事実があるとはいっても、それは戦前戦後のドサクサに紛れて行なわれたもので、それが現代において起きる可能性は低いだろう。
でも、不自然なことは長くは続かない。松田聖子の結婚が長続きしないのと同じことで、不自然なことはいつかは破綻する。
冗談のようで、冗談ではない。
預金封鎖という形でなくても、何らかの経済的な混乱(通貨安?インフレ?、金利高???)、そして国民負担の増大という形で、大きく膨らんだ風船がいずれ破裂する可能性は高いのではないだろうか。それは来年ではないかもしれないが、いくらなんでも10年は持たないと考えるのはごく自然な考えではなかろうか。。。

日本の財政状態なんて自分には無関係と決め込んでしまうのも、それはそれでよいだろう。ただし、多少なりとも頭を使って考えた人とは将来きっと大きな違いとなって表れると思う。
うん、そんな感じだなぁ。。

今回は真面目な話になってしまった。
もし、最後まで読んでくれていたらありがとう。謝謝。


感想はこちらから