NO.1キャディのいる町 ホアヒン

*** 2002年4月30日〜2002年5月7日 ***

      町のお寺        日の出     ゴルフ場の売店
                   

☆旅の始めに
☆ホアヒンというところ
☆ホアヒンには誰が来る?
☆ホアヒンの海
☆ナイトマーケット
☆タイマッサージ
☆ホアヒンのゴルフ事情
☆セカンドクラスのバス
☆ちょっとだけバンコク
☆旅の終わりに





☆旅の始めに
本当ならこんな時期(GW)に旅行などしたくない。
飛行機代は高いし(通常の倍以上!)、メチャ込みだ。海外旅行など疲れにいくようなものだ。
でも、しがないサラリーマンはこんな時期しか旅行できないのだ。
ずいぶんいろいろな時期に旅行しているぞ、という非難の声も聞こえてきそうだが、私の場合、行きたくなってしまうともう仕方がない。
今回の目的地はタイのホアヒン。
同じ場所にはあまり行かない私がこれでたしか5回目。いかにホアヒンが快適なところか少しでも伝えられたらと思う。

☆ホアヒンというところ
ホアヒン(Hua Hin)と聞いてピンとくる人がいたら、その人はけっこうタイには詳しい。
ホアヒンはまだまだ日本人にはポピュラーな場所ではないのだ。
位置的にはバンコクから南西に約230kmで、有名なパタヤとはシャム湾を挟んだ対岸にある。
ガイドブックによると、王室の避暑地として有名とのこと。ホアヒン駅には王室専用の待合室がある。
そんなわけで、ロイヤル・ホアヒンという言い方をされるようで、ゴルフ場もロイヤル・ホアヒン・ゴルフコースという。
なぜ私がホアヒンに5回もきてしまったのか、少しずつお話ししよう。
       

☆ホアヒンには誰が来る?
日本ではまだあまり知られていないホアヒン。しかし、その賑わいは年毎に増している。
私が今回泊まったヒルトン(以前はメリアというヨーロッパ資本のホテルだったが、2年くらい前にヒルトンに経営が移った。)は、ビーチに面していて、また町にも近い。3年前もこの時期(GW)に泊まったのだが、さほど込んではいなかった。
ところが、今回はほぼ満室状態。プールなどもたいへんな賑わいだ。
だが、日本人の姿はほとんど見かけない。では、誰が?
私の感覚では欧米人が7割で、中国系が3割っといった感じだ。(以前よりも中国系の客が増えたような気がする。)
欧米人は話している言語から判断するしかないのだが、やはりドイツ人が目立つ。
ドイツ人の旅行好きは有名だ。以前スリランカの南西海岸のベントータというリゾートに行ったときに、まわりじゅうがドイツ人だったのに驚いたことがある。カネと時間の両方を持っているのがドイツ人ということのようだ。
欧米人にはいつも感心する。何をするでもなくプールサイドで寝そべっている。

もちろんヒルトンのような高級ホテルばかりに彼ら(欧米人)は泊まっているわけではない。町を歩いているとゲストハウスという看板をよく見かける。ゲストハウスもピンキリだが、1泊100バーツ(約300円)くらいからあるようだ。ゲストハウスの店先でくつろいでいる欧米人も多い。
このように観光客は欧米人が多数派なので、町にはヨーロッパ風の店名(ダニエルだとか、ベルリンだとか)を付けたレストランとか、洋服屋などが多いのだ。
                                                       
                                                       
                                                       
                                                       
                                                     

☆ホアヒンの海
ホアヒンには漁港がある。だから海には漁船がいっぱい浮かんでいて、夜になると漁火がとてもきれいだ。
でも海はさほどきれいではない。透明度もイマイチだし、砂も白砂ではない。
このへんがプーケットやサムイほど人気が出なかった理由なのだろう。
でも、シーフードは豊富で、町の至る所にシーフード・レストランがある。海にせり出したビーチ・レストランもいっぱいある。
夕暮れ時に海を眺めながらビールを飲むのは快適だ。
太陽は陸側に沈むのだが、赤く色づいた雲が空いっぱいに広がってとてもきれいだ。

ホアヒンの海で特徴的なのは、海岸に大きな岩がごろごろとしているところ。ホアヒンというのはタイ語で、「石の頭」という意味だとか。
不思議なのは馬がいるということ。もちろん観光用で、馬に乗らないかとしつこく誘ってくる。馬に乗る観光客など滅多にいないのだが、あいかわらず彼らは営業に励んでいる。



海岸にはタイ版海の家がいっぱいある。
パラソルと椅子・テーブルがセットになっている。1セット当たり1日100バーツ(約300円)くらいだ。
平日は閑散としているが、日曜日になると地元の人たちがいっぱい遊びにくる。家族でパラソルを借りてとても楽しそうだ。
のんびりと椅子に腰掛けて海を眺めていると、ひっきりなしに物売りがやってくる。卵・焼鳥などの食べものだけでなく、布地とかアクセサリーとか、マニキュア塗りなんかもあったりする。浮き輪貸しの兄ちゃんもいる。
タイっていうのは本当に商売熱心な国なのだ。

☆ナイトマーケット
   
タイでナイトマーケットというとチェンマイのナイト・バザールが有名だ。たしかにチェンマイのナイト・バザールは規模も大きく、山岳の少数民族なども繰り出しているし、手工芸品もいっぱいあって、なかなかのものだ。
こちらホアヒンのナイトマーケットはというと、ローカル色豊なのだ。観光客も多いのだが、地元の人たちの惣菜市場みたいな感じなのだ。
どんな屋台が多いかというと、食べ物の屋台が多い。ラーメン(チキン・アヒル・シーフード等店により具が違う。)、シーフード、焼き鳥、揚げ物、ローストチキン、お菓子、クレープ、かき氷等々種々雑多だ。もちろん、工芸品とか、衣類とかも売ってはいるが、食べ物屋台に圧倒されている。
土曜日の晩ともなると地元の人たちが外食がてら訪れるのか、ものすごい盛況ぶりだ。
●ホアヒンの陳健一
  
こうした数多くの屋台の中でひときわ人気のある店がある。マーケットをしばらく歩いて小さな通りをわたったところにある。
テーブルを十数個並べているので、このへんではけっこう大きな店だ。だが、調理しているのはたったの一人。この人の中華鍋さばきがすごいのだ。
とにかく一人で全て作っているわけで休むことがない。たまに2m!くらいまで火柱をあげる。陳健一みたいなオッサンなのだ。
込んでいるときは客も50人を超えていると思うが、オッサンの超人的な鍋さばきのおかけでさほど待たされることもなく、美味しいできたて料理を食すことができるわけなのだ。
2日間通ったが、いくら飲み食いしても1人500円を食べるのは至難の業であった。ああ、しあわせ。

☆タイマッサージ
私がホアヒンを好きな理由の一つはタイマッサージだ。ほろ酔い気分で受けるあのマッサージの心地よいこと。さあ、明日もゴルフを頑張ろうという気持ちになる。
私がホアヒンに来始めた頃(十数年前)、タイマッサージの店はあまり数多くなかった。サムロ(3輪自転車)かバイクに乗って町外れまで出かけたものだ。
もちろん客は地元の人が中心で、店の看板もタイ語でしか書いていないので、タイマッサージの店かどうかは外からはわからなかった。
ところが、ホアヒンにどんどん観光客がくるものだから、町中に続々とタイマッサージ店がオープンした。店名も「You and Me」だとか、「Night and Day」とかいった、いかにも観光客を意識した名前だったりする。中には日本語で「タイマッサージ」と書いてある店もある。
なんとなく情緒がなくなったなぁと思いつつ、近場の店に毎夜通ってしまうわけなのだ。
ちなみに料金は2時間で400バーツ(約1200円)と表示されているが、向こうの店は300バーツ(約900円)だったよと言うと、簡単にまけてくれる。たっぷり2時間のマッサージでなんと900円だ。
タイにも割高なもの(例えばビール)、割安なものがあるが、タイマッサージは割安なものの代表選手だと思う。
タイマッサージといってもピンとこない人も多いだろう。ガイドブックなどによると伝統的なものだそうで、バンコクのある寺にはマッサージの学校もあったりする。
私は日本のマッサージ(按摩)を受けたことなどほとんどないので、比較が難しいが、恐らくタイマッサージは足のマッサージに特徴があるのではないか。
とにかく徹底的に足を揉みほぐす。2時間コースだと最初の1時間は足だけのマッサージだ。マッサージ嬢(ただのオバサン、オネエサンです。)は手・腕・肘・膝などを使って入念に足も揉み解してくれる。痛いくらいに。
それ以外の特徴っていうと、うーん、なんというかストレッチみたいな感じなのだ。2時間コースの後半はえびぞりのようなアクロバティックな体位(?)をいろいろとさせられて、あまりゆっくり寝ていられなかったりする。(変な意味ではないです。)
タイのどこにでもマッサージ屋はある。是非おためしあれ。
(ただマッサージというとボディ・マッサージと勘違いされることもあるので、タイ・マッサージと言ってください。)

☆ホアヒンのゴルフ事情
●ロイヤル・ホアヒンが変った!
私がホアヒンが好きな最大の理由はやはりゴルフ。でもゴルフ事情もいろいろと変化が生じているようなのだ。
ホアヒンにはタイ最古(1924年オープン)のゴルフ場がある。当時の王様が作らせたとかで名前も「ロイヤル・ホアヒン・ゴルフ・コース」という。
別に王室関係者だけがプレーできるわけではなく、誰でもプレーできる。
そんなに手入れがよいというわけではない。いや、日本人の感覚からすると荒れ放題のコースということになるかもしれない。
河川敷プレーヤーの私からすると、河川敷よりは整っているという程度で、フェアウェイもグリーンもけっこう剥げているし、ラフなどは草も生えていない荒地が多い。

そんなロイヤル・ホアヒン・ゴルフ・コースに3年ぶりに来たわけだが、だいぶ変わっていたのだ。
まずはクラブハウスが改築された。以前は1階に気楽な食堂があったのだが、なんと2階を作ってそこが雰囲気のよい立派なレストランになっていた。
次にカート。以前は手引きカートすらなく、キャディさんんがバッグを背負っていたのだが、手引きカートが導入された。
そして、コースの整備。もちろん、まだまだ荒れ放題の状態だが、なにやらいろいろと手を加えているようなのだ。木々を手入れして動物の形にしてみたり、コンクリ舗装のカート道を造っていたり。

そうした背景にあるのが周囲のゴルフ場との競争ではないか。
というのは、周囲にずいぶんと素晴らしいゴルフ場が続々と出来ているようなのだ。パーム・ヒルズ、スプリング・フィールド、インペリアル・レイク・ビュー等々。だいたい隣町チャームのゴルフ場なのだが、ホアヒンの主要ホテルに送迎バスを走らせている。こんなことは3年前にはなかったことだ。
今回たまたま一緒にプレーした日本人の方はそうしたゴルフ場全てでプレーしたということだったが、ロイヤル・ホアヒンとは比べものにならないくらい、コースが整備されクラブハウスも豪華だそうだ。しかも料金は大差ないとのこと。
私としてはのんびりとした、商売っ気のないロイヤル・ホアヒンが好きなわけだが、やはり時代の流れには逆らえないということのようなのだ。

●NO.1キャディ
今回の旅のタイトルは「NO.1キャディのいる町、ホアヒン」だ。どういう意味か説明しよう。
タイのゴルフ場はどこもそうだが、ゴルフ場につくとキャディさんがバッグを受け取ってくれる。それは日本のゴルフ場と同じだが、タイではここでバッグを受け取ったキャディさんがそのままコースも一緒に回ることが多い。それゆえ馴染みのキャディさんにお願いしたいときは、ここで指名をすることになる。(タイではキャディさんも指名制なのだ。)

ゴルフ第一日目、私は「ウェさんはいるか?」と聞く。そして、「NO.1のキャディだよ。」と言う。
キャディさんはユニフォームに背番号を付けていて、私が師と仰ぐウェさんの背番号は「1」なのだ。
そう、NO.1キャディとはウェさんのことなのだ。
ウェさんはキャディさんだが、なかなかゴルフが上手い。とても小柄で、飛距離はさほど出ないが、自称ハンデ0とのこと。
ウェさんはどうやってゴルフを覚えたのか知らないが、たしかに理にかなったスウィングをしていていろいろと指導してくれる。特にアプローチが上手いのだ。
平日で空いていると私のクラブを使って一緒にプレーしてしまう。日本ではこんなことは許されないだろうが、タイはおおらかなのだ。
そんなウェさんに今回も指導を仰ぐことにしたのだ。

●ああ、夢のマスターズ
当然ながら私は毎日ゴルフをする。もうこれは日課なのだ。
料金はキャディフィを含めて平日1000バーツ(約3000円)、土日1400バーツ(約4200円)だ。
ホアヒンはバンコクから車を飛ばせば2〜3時間なので、週末はバンコクからやってくるお客さんも多く、かなり込み合う。今日は土曜日ということで、私はその混雑を避けるべく、ゴルフ場に朝6時に着いたのだ。朝陽がとてもきれいだった。
まだ誰もいないだろうと思ったら、意外にもけっこう人がいるのだ。どこにもゴルフばかはいるものだと感心した。
スタートホール(1番)は込んでいたが、ありがたいことに10番ホールからを1人で回らせてもらったので、前半はスイスイと1時間ちょっとで回ってしまった。スコアも42と私としては大満足の出来。なにやら初のハーフ30台が達成できるような気までしてきた。

そして、後半戦だ。1番ホールに行ってみると、これがすごい人だかりなのだ。まだ朝の7時過ぎだというのに。
こういうときはタイのゴルフ場でもどんどん組み合わせてしまう。ロイヤル・ホアヒンでは5人を1組とする。
私は日本人夫婦、タイ人親子と一緒の組に入れてもらった。私の前の組は中国系の5人組、後の組は欧米系の5人組という具合でなかなか国際色豊かなのだ。
5人で回るとにぎやかだ。5人といってもそれぞれにキャディが付いているので、総勢10人ということになる。この10人が群をなしてコースを移動していくのだ。もうピクニック気分!
ショートホールはもっとすごい。先行の組が全員グリーンオンしたのちに後続の組に打たせるわけだが、ティーショットのときは自分以外の19人が見ているわけで、ワンオンでもしようものなら大歓声だ。
私はこうした雰囲気をあのマスターズにだぶらせて自己陶酔に浸ってしまった。これはマスターズだ、今俺はマスターズに出場しているのだと。こうした中で自己初のハーフ30台を出してやろうと意気込んだのだ。

結果はいかに?
もうおわかりですね。ゴルフは心のスポーツ。素人は意気込むほどにプレーが乱れる。
結果は52と惨澹たるスコア。チョロあり、シャンクありの恥ずかしいプレーで、私の第1回マスターズは幕を閉じた。
うーん、ゴルフは難しい。

●タイガー・ウッズのいとこたち
今回ホアヒンでゴルフをして一番目に付いたのがジュニアの選手たちだ。
あのタイガー・ウッズの母親がタイ人なのは有名な話。タイのジュニア選手たちはいわばタイガーのいとこたちなのだ。
土曜日にタイ人親子と一緒になったと書いたが、子供のほうは15歳で、なかなか華麗なスウィングをする。父親のほうは全くの自己流なので、子供がレッスンプロの指導を受けているのは明らかだ。父親に聞いてみると、彼はおそらくプロになるだろうとのこと。
ドライバーもよく飛ぶし、小技だってうまい。俺だって子供の頃からやっていれば、と少々嫉妬を感じたくらいだ。

月曜日にもジュニアとまわった。今度はキャディさんの娘さんとその友達。
年齢は16歳。
まあ女の子のゴルフだからたいしたことなかろうとタカをくくっていたら、これがまた上手いのだ。
彼女(キャディさんの娘)の友達のほうはまだまだだが、彼女のほうはほとんどミスもない。スウィングもとてもきれいで、けっして自己流ではない。やはり誰かに習っているに違いない。
聞いてみるとハンデが9とのこと。上手いわけだ。彼女も将来はプロになりたいと言っていた。
ちょっと不思議に感じたのが彼女が何故こんなにゴルフに打ち込めるのかという点。
タイではまだまだゴルフは金持ちのスポーツで、庶民からは縁遠いはずなのだ。
母親がキャディさんだが、体力的にもきついし、そんなに割のいい仕事ではない。
父親が金持ちなのか?でもそれなら母親はキャディをやらないはずだし。
けっこう良いクラブを使っているのだ。ドライバーはキャロウェイのグレイト・ビッグ・バーサ。プレー中もケイタイで電話していたし。
うーん、わからない。彼女(娘)にいろいろと聞いてみたが、お互い英語もままならないので、彼女が学生なのか働いているのかもわからなかった。
いつしか彼女らタイ人ゴルファーが世界に羽ばたくことを期待したい。

☆セカンドクラスのバス
ホアヒンからバンコクに戻るのは当然ながらバス。
しかし、今回はなかなか苦労したのだ。
ホテルを12時にチェックアウトして、早速バスターミナルに向かった。
ターミナルに着くと多くの乗客がバスを待っていた。
一瞬いやな予感が頭をよぎった。窓口に行くと17時まで予約でいっぱいだという。
うーん、これは困った。これまでの経験では満席など一度もなかったのだ。
やはりホアヒンが人気行楽地になった証拠ということなのだろう。しかし、17時までまだ5時間もある。
近くの旅行会社の係員に相談したところ、車をチャーターするとバンコクまで1800バーツ(約5400円)だという。これは現地の物価では滅茶苦茶高いのだ。
日本では2人で成田エクスプレスに乗ると6000円もかかるので、それに比べれば安いのだが、もう現地物価に慣れきっている私としてはそんな高額を払う気にはなれない。
すると旅行会社の人はセカンドクラスのバスなら込んでないはずだという。
タイのバスはエアコン付きとエアコンなしがあって、外国人はちょっと高くてもエアコン付きのバスに乗ることが多い。エアコンなしではいくらなんでもと私が言うと、係員はセカンドクラスのバスでもエアコンは付いているという。私は、えっと驚き、では何が違うのかと聞くと、セカンドクラスのバスにはトイレが付いていないというのだ。それなら別に問題ない。
半信半疑でセカンドクラスのバスターミナルにタクシーで移動することにした。バスの種類によってターミナルの場所が違うのだ。
ターミナルに着くと、バンコク行きのバスはもう待機していて、10分後の出発だという。しかも席はあるという。もう乗るしかない。

乗ってみると、嬉しいことにエアコンもきいている。ファーストクラスのバスは座席指定制だが、こちらは自由席だ。料金は1人99バーツ(約300円)で、ファーストクラス(128バーツ)に比べちょっとだけ安い。
ほぼ満席の状態でバスはバンコクに向けて出発した。
バスの中で食べるは「鳥肉のせご飯」の弁当だ(25バーツ、約75円)。ご飯に鶏肉をのせただけのものなのだが、とっても美味い。ご飯が鶏肉の煮汁で炊かれているので味がついていてなかなかいける。
まあ、セカンドクラスのバスということで仕方ないのだが、たしかにぼろいバスで、座席のリクライニングはあまりうまく動かない。私の前の座席など途中で壊れてしまった。思わず笑ってしまったが、よくあることのようで、バスの係員が手馴れた様子で修理をして直してしまった。
セカンドクラスのバスでも所要時間はさほど変わらずバンコクには3時間半ほどで着いたのだった。

☆ちょっとだけバンコク
何度かお寺などを見ながらバンコクをぶらぶらしたことがあるが、最近は目的地(チェンマイとかホアヒンとか)に行く前にちょっと立ち寄るだけだ。
だから、最近のバンコクのことはあまり知らない。今回も行き帰りに泊まっただけだ。
でも、ちょっとだけ気づいたことを報告しよう。
●ホテル天国
バンコクのホテルの充実具合はすごい。
私の旅行経験からは質・量・安さでダントツのNO.1都市である。数が多くて競争が激しいから料金が下がるのだろうが、とにかく安い。1室1万円も出せばかなりの高級ホテルに泊まることができる。ちなみに今回私が泊ったバンコク・センターホテルは1室朝食付でなんと2500円!2人で泊ったので1人1250円だ。朝食付で1250円というとかなりひどいホテルを想像するかもしれないが、日本人を含め外国人も珍しくはない。
室内の清潔度も問題はないし、朝食だって不味くはない。若干高速道路の車の音が気になるが、1250円では文句はいえまい。

●バンコクのメーデー
ホアヒン行きのバスに乗るためにタクシーでバスターミナルに向った。しかし、渋滞に巻き込まれた。もちろんバンコクの道路渋滞は有名なのだが、まだ午前中なのにすごい渋滞。
その原因はメーデーの行進だった。皆のんびりと行進していた。






●これぞカラオケボックス
ワールドトレードセンターの6階に面白いものがあった。ゲームセンターのわきに、人が2〜3人くらい入れるボックスがいくつか置いてある。何かと思ったらこれがカラオケボックスなのだ。
しかも窓がついていて、外から丸見え。
こんなボックスは健全すぎて日本では流行らないのだろうか。





●バンコクのタクシー
バンコクにきていつも思うのはタクシーの数の多さ。
最近スカイトレインという電車もできたようだが、基本的に交通手段はバスかタクシーということで、ものすごい数のタクシーが走っている。
走っている車の半分くらいがタクシーではないかと思うくらいなのだ。
今回思ったのは運転手のマナーがかなりよくなったということ。以前はメーターを使わずに日本人からぼったくろうとする運ちゃんが多かったのだが、今回は深夜の空港でもきちんとメーターを使ってくれた。ワールドトレードセンターのタクシー乗場には、「メーターを使わない違反に対しては通報をしてください。」という大きな看板があったくらいなので、当局もそのへんの取締りを強化しているらしい。
それにしてもバンコクのタクシーは滅茶苦茶スピードを出す。今朝ホテルから空港まで乗ったタクシーはすごかった。
朝の4時半に乗ったので、高速道路を使わなくても時間はかからないだろうと思い、一般道路で空港に行くように指示をした。
4車線くらいの道路だが、彼は一番右側の車線を使い、飛ばすのなんのって、なんと最高140km!出していたのだ。
これまでもすごい運ちゃんはいっぱいいたが、高速道路でなくて140kmっていうのはすごい。こちらの運ちゃんはあまり車間距離をとらないので、慣れないうちはヒヤヒヤしてしまう。
時速100km以上出していても車間距離はせいぜい10mくらいしか取らないのだ。(本当の話!)

前方を見ていると追突しそうで怖くて体に力が入ってしまうので、最近ではつとめて遠くの景色を見るようにしている。(笑)
穏やかそうに見えるタイの人々だが、スピード狂が多いのは何故なのだろう。

☆旅の終わりに
今は成田に向かう飛行機の中。
ゴルフは5日連続でプレーできたし、のんびりと過ごせた。とても満足。
でもちょっと複雑な心境でもある。
何度も書いたようにホアヒンはずいぶんと観光客が増え、店も増え、賑わいが増したようだ。
でも、私としては、例えて言うと、一見さんお断りの馴染の店がチェーン展開を始めたような、あるいは、雛から育てた飼い鳥が巣立ってしまったような、そんな気分なのだ。
私の勝手な言い分だが、ホアヒンの良さはひなびた漁村の佇まいが今なお残されているところにある。もちろん今でもちょっと路地を入っていくと下町風の町並だ。だが、最近の発展ぶりからそうした雰囲気がだいぶ減ってきてしまったのだ。
この勢いからするとホアヒンはさらに賑わいを増すのかもしれない。
今回もこんなことがあった。例によって夕食後にタイマッサージを受けて22時くらいにホテルに戻ってきた。エレベータで乗り合わせた3人組がどうも変な取り合わせなのだ。
中国人風の中年男が2人と若いタイ人女性が1人。女性はなかなかの美人。
うーん、こいつらはどんな関係なのだろう、と思っていると、3人のうちの2人(男と女)が私と同じ階に降りたのだ。すると、エレベータに残った男が「頑張れよ!」と日本語で声をかけた。
そしてエレベータを降りた男女は手をつないで客室へと入っていった。そうなんだ、日本人の中年のオッサンが女性をホテルに連れ込んだというわけなんだ。
うーん、ホアヒンもここまできたか、という感じだ。
そんなことしたいのなら、バンコクでもパタヤでもいいではないか、と私は非常に悲しい気持ちになった。

ホアヒンはパタヤやプーケットのような猥雑なリゾートにはなってほしくない。
今はまだ日本人観光客が少ないホアヒンが、もし日本人でいっぱいになってしまったら、そして、例によって買春天国になってしまったら、そのときは私はもうホアヒンには行かなくなってしまうのかもしれない。
そんなことにはなってほしくない、ホアヒンはいつまでも私にとってのオアシスであってほしい、と心から祈っているのだ。

おしまい。


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