ジャックとジェニーのフロリダ ゴルフスクールの旅  2001年7月19日〜31日

☆機中にて(01/7/19)
☆スクール前夜(01/7/20)
☆スクール初日(01/7/21)
☆スクール2日目(01/7/22)
☆スクール最終日(01/7/23)
☆ゴルフはお年寄りのスポーツ(01/7/24)
☆宇宙好きのアメリカ人(01/7/25)
☆フロリダの夏ゴルフ事情(01/7/26)
☆アメリカのマック(01/7/27)
☆アルコール規制(01/7/28)
☆大きな人々(01/7/29)
☆ゴルフ最後の日(01/7/30)


☆機中にて(01/7/19)
ようやく夏休み。休むために働いている私にとっては待望久しい夏休み。
しかし、今回はいつもとは少々様子が違う。
まず、けちのつき始めが私の骨折。ちょうど1ヶ月前に自宅のエアロバイクに蹴躓いて右足小指を強打し、何と骨折。今回の旅のテーマはゴルフだが、ゴルフができるか危ぶまれた。
ようやく直ってきたら、今度は妻に異変が続出。14日(土)に何故か炎天下を1時間も歩いたため、今はやりの熱中症にかかり、高熱を出してしまった。(38度5分)
これだけならまだよいが、16日(月)にはかなり激しいジンマシンを発病。医者も「こんなすごいジンマシンは見たことがない」と驚くほど。
もう全身湿疹だらけ。顔もケーシー高峰状態で、近寄りがたい雰囲気。(私も夫でなければ近寄らない!)翌日になってもあまり改善の兆しはなく、いよいよ旅行中止も脳裏を横切った。
もう駄目かとも思ったが、18日(水)に医者に点滴をしてもらったところ、だいぶ気分がよくなったということで、旅は決行されちゃったのだ。
今、ヒューストンに向かう機中で、妻は隣の席でうつらうつらしているが、まだまだ湿疹は痛々しく、この先どうなることやら少々不安ではある。
一応、現地の病院に行ったときのことを考えて、ジンマシンを英語で何というかだけは調べておいた。「rash」というらしい。まあ、症状が悪化しないことを祈るのみだ。
自動車の運転が嫌いな私にとって、妻は貴重なドライバー。現地でレンタカーを借りるので、是非頑張ってもらいたい。私の運転は危険ですよ。(笑)

こんな感じで、今回の旅行は幸先が悪いのだが、よいことも一つあった。私は旅に出たときだけ小説を読む。普段は仕事関係の本を読むくらいで、どうも小説を読もうという気が起きない。しかし、旅に出るとのんびりと小説を読むのが楽しみなのだ。だいたい、推理小説やサスペンスもの。私の定番は、クリスティ、キング、クィネル、フリーマントル、メアリ・クラーク等々。
一人の作家が気に入ると、その作家から抜け出せないのが昔からの私の癖。だからなかなか作家のレパートリーが広がらない。
ところが、数年前に久々に新顔を発掘。ウィングフィールドという英国の作家だ。そのときに読んだのがたしか「クリスマスのフロスト」。そして2〜3年前に「フロスト日和」を読んだ。
フロストというのは刑事の名前で、舞台は英国の片田舎。フロストは下品きわまりない刑事で下らぬジョークを連発する。あとからあとから事件が起き、何が何だかわけがわからなくなってしまうが、最後にフロストが見事解決する。決してシリアスな展開ではないが、人情味溢れる展開にほっとさせられてしまう。
私はこういうタイプの刑事小説をあまり読んだことがなかったので、すっかり気に入ってしまった。「フロスト日和」以後、早く次回作が翻訳出版されないかと心待ちしていたのだ。
それが先日本屋に行ったところ、何と新作「夜のフロスト」を発見した。出版されたのは先月なので、発売ほやほやだ。
今回の旅の楽しみが一つ加わった。じっくりフロストを読むのだ。

☆スクール前夜(01/7/20)
ホリデイ・イン・デイトナビーチで全英オープン(録画)を見ながらこの文章を書いている。
今回の旅のテーマはゴルフ。
ただのんびりとゴルフをするだけでは面白くない、よし夫婦でフロリダのゴルフスクールでレッスンを受けようと計画した。明日からサミット・ゴルフ・アカデミーでレッスンを受けるのだ。
妻が体調を崩したことはもう書いたが、まだまだおまけがあった。
昨晩真夜中に何やら呻き声が聞こえるので、目を覚ましたら、妻が腹痛で唸っていたのだ。涙を流しで苦痛に顔をゆがめている。これはもう医者に行くしかないと観念したらようやく痛みが和らいだ。夜が明けるとすっかり痛みは無くなり、オーランドからデイトナビーチへの2時間のドライブも彼女が運転した。たいしたもんだ。
ということで、どうやら計画どおり2人そろってスクールに通えそうだ。
夕方道順の確認を兼ねてスクールを訪ねてみた。ホテルから車でせいぜい15分のところだ。小雨模様なので誰も練習していないかと思ったら、数人が練習をしていた。
もちろん日本のようなネットはない本当の「打ちっ放し」で、250ヤードまで距離表示がある。さすが、アメリカだ。
ドアを開けて入っていくとカウンターの中には男性が3人。自分の名前を告げ、明日からスクールに参加する旨を話すと、3人のうちの1人がすぐにわかってくれた。
彼がティム先生で、インターネットの写真よりも少し若く見える(40台半ば?)。ティム先生の隣にいるもう少し年配(60台半ば?)の男性を紹介してくれた。「明日から君達を鍛えてくれるヴァージ先生だ。」てなことを言っているらしい。年はとっているがなかなか厳しそうな先生ではある。名前(ヒデアキ)を言ったが、難しいのでもっと簡単な名前はないかとのこと。面倒くさいので私がジャック、妻がジェニーということになった。(ジャックはゴルフの帝王ジャック・ニクラウスからいただいたのだ。)

ということでいよいよ明日からはレッスンなのだ。
何故フロリダくんだりまで行って高い授業料を払ってゴルフスクールに通わねばならないのか。口の悪い会社の後輩T君は「またフォームが滅茶苦茶になりますよ。」と言っていた。
たしかにそれにも一理あるが、大袈裟にいうと、アメリカは私のゴルフ人生(というほどのものでもないが(笑))の発祥の地なのだ。(変な表現?)
話せば長くなる。私は学生時代アメリカをバス(グレイハウンド)で旅したことがあるのだが、サンフランシスコからスタートして気に入った町に泊まりつつ1月くらいかけて東海岸に到達。
そしてワシントンの少し南のリッチモンドという町で姉の知合いのデービス家に2日ほど泊めてもらった。当時教育関係の仕事をしていたデービスさんは大の親日家で良き時代のアメリカ人という感じだ。、私をとてもよくもてなしてくれた。とても気さくで私を家族のように扱ってくれたのだ。
そんなデービスさんが私に言った。「ヒデヤキ、明日は何がしたい?」私が「何ができるのですか?」と聞くと、「そうだな。映画、ショッピング、ドライブ、ゴルフ・・・。」
当時は日本ではゴルフはまだそれほどポピュラーなスポーツではなかったし、学生の私にとっては興味はあるが、自分がプレーするということは全く考えられないスポーツだった。
私が「えっ、私でもできるのですか。クラブを握ったこともないのですよ。」と言うと、「問題ないよ。よし、明日はゴルフをしよう。」ということに。
ゴルフはアメリカ人にとっては別に贅沢な遊びではないことをそのときに初めて知った。デービスさんの住んでいる地域ではそのゴルフ場は地域の社交場のようなもので非常に身近な存在だ。7番ホールの裏がジャクソンさんの家、16番ホールの裏はワトソンさんの家といった感じなのだ。年会費などたいした金額はなくて、ゴルフをしない人はテニスをしてもよいしプールだって使える。それに眺めのよいレストランで食事をしたってよい。羨ましい環境だ。
さて、ワクワクして翌日を迎えたら、何と大雨。ゴルフは夢と消えたのだ。
私は会社に入って4年くらいたってからゴルフを始めたが、いつかデービスさんとあのゴルフ場でゴルフをしたい、とずっと考えていて、今から10年くらい前にクラブ持参でプレーしたのだ。

そんな思い出の地、アメリカで私の低迷するゴルフの浮上のきっかけをつかもうと考えたのだ。
さあ、そのきっかけがつかめるだろうか。ジャックとジェニーのゴルフ合宿の始まりだ。

☆スクール初日(01/7/21)
    
今日はゴルフ漬けの一日だった。ジャックことヒデアキにとってなかなか厳しい一日だった。
米国流のゴルフスクールの一日を振り返ってみよう。
9時 ゴルフスクール到着、軽い朝食
9時20分 練習場でスウィングのビデオ撮影
10時 クラブハウスに戻り、ビデオを見ながらスウィング指導
10時30分 練習場でスウィング指導
12時 近くのゴルフ場(スプルース・クリークGC)に移動し昼食
13時 練習ラウンド(9ホール)開始
16時 練習終了
20時 練習場で自主練習
21時 本日の練習終了

よくアメリカの教育は個性や自主性を重んじるとか聞くので、恐らくゴルフスクールもあまりスウィングはいじらずに長所を伸ばしてくれるのではないかと思っていた。いわゆる「誉めて育てる」というやつだ。
しかし、実際はグリップから始まりありとあらゆるところを直された。いや、まだ直っていないので、直そうとされた。
先生はゴルフを始めて60年のヴァージ先生。家はペンシルバニア州にあるのだが、このスクールをたまに手伝っているらしい。
生徒は私達夫婦2人だけだ。スクールのパンフレットには最多でも7人の少人数制と書いてあったが、この時期は生徒が少ないようで、完全な個人教授である。
ヴァージ先生は気さくでジョーク好きで優しい先生だが、指導は結構厳しい。
私は基本が全くできていないようで、とにかく何から何まで直されたのだ。それもやむをえないことなのだ。
妻と一緒にビデオを見たが、妻のスウィングに比べ私のスウィングの格好悪さときたら・・・。ヴァージ先生にもジェニーのスウィングの方がずっと良いと言われてしまった。
ヴァージ先生の私に対するアドバイスは以下のとおり。
・左手のグリップが弱い。親指と人差指で作るV字がもっとしっかりと右肩を指すように。
・始動が腕だけになっている。体全体を回していくように。
・スタンスで左右の足をもっと外に開くように。そうすると体が回転しやすくなる。
・左腕が曲がっている。もっと伸ばしなさい。
・右ひじが外を向いてしまっていてオーバースウィングになっている。右ひじは下を向かねばいけない。
・スウィングが速すぎる。腕だけで振っているので、体の回転が付いていっていない。もっとゆっくり振るように。
・もっと腰を強く速く回転させるように。そしてスムーズに。
・ゴルフは辛抱(patience)が大切だ。
等々。
ゴルフっていうのはアドバイスを受けてすぐに効果が出るってもんでもない。アドバイスを受けると逆にその日は頭が混乱してスウィングが悪くなったりする。
それで午後のラウンドレッスンは散々だった。滅多に芯には当たらない。レッスンなので、打ち直しをしたりもするが、なかなかいいショットは出ない。
ヴァージ先生も一緒にプレーするのだが、ゴルフ歴60年は伊達ではない。レッスンプロだから当たり前なのだが、素振りもなしに何気なく打っても、球は正確に真っ直ぐに飛んでいく。ああした力みのないスウィングを自分でもしたいと思うのだが、なかなか真似ができないのだ。
「ジャック、リラックスしろ。イージーに打て、イージーに。」とスウィングの都度アドバイスをしてくれるが、滅多にナイスショットは出ない。かなり落ち込んだ私を見て、ヴァージ先生は別れ際に「明日はもっと良くなるさ。」と声をかけてくれたのだった。

と書いていると何かまるで言葉がばっちり通じているようだが、実際は半分もわからない。もちろん身振り手振りを交えてくれているのだが、悪いスウィングの見本なのか、良いスウィングの見本なのかわからないことだってしばしばなのだ。自慢じゃないが、英語はよくわからん。
愚痴を言っても仕方がない。こんな個人レッスンの機会はそうそうないのだから、積極的に生かしたいものだ。
もう23時、小説を少し読んで寝ることにします。

☆スクール2日目(01/7/22)
今日も夜間の自主練習を終え、ビールを飲みながらこの文章を書いている。
スケジュールは初日とだいたい同じ。午前中は練習場でレッスン、午後はゴルフ場でラウンドレッスンというパターンだ。
しかし、疲れた。ヴァージ先生の指導はとても厳しいのだ。
午前中の練習場でのレッスンでは昨日に続き徹底的に欠点を矯正された。私も自分のスウィングが悪いのはわかってはいるが、十数年もこのスタイルでやっているので、そう簡単には直らない。指示に従ってやっているつもりだが、ヴァージ先生は首を横に振るばかり。時に頭をたたかれたりもする。「この頭がいけないんだ。俺のいうとおりに何故できないのだ。」と。
妻の方は優等生で、素晴らしいスウィングだそうで、「ジャック、ジェニーのスウィングを見習えよ。」と言われるのもしばしばだ。
結構フラストレーションがたまる。今日は天気が良く、汗だくで、もうフラフラの状態。
従って、午後のラウンドも推して知るべしの惨憺たるものだった。
昨日言われたこととほとんど同じだが、常に指摘されているのは次の点。
・バックスウィングを小さくしろ。右ひじを下に向けろ。
・スウィングが速すぎる。スローダウンしろ。
・もっと腰を水平にスムーズに回転させろ。良いテンポが良いスウィングにつながる。

指導は厳しいが、もちろんジョークを交え(私には半分もわかっていないが)楽しい雰囲気ではある。
練習場でもゴルフ場でもヴァージ先生は生徒(私)が球を打つのをじっと見ていて、打ったあとに「今のはよくない。(not good)」とか「まあまあ(not so bad)」とかコメントする。たまに素晴らしい当たりをすると拍手をしてくれて「かなりいいよ。(pretty good)」と褒めてくれるのだ。
だから打ったあとにヴァージ先生の顔色をうかがうのが癖になってしまった。たまにヴァージ先生が「お前自身は今のショットはどう思う。」と聞いてくることもある。あるとき明らかなミスショットをしたときに、そう聞かれたのだが、苦し紛れに「私は生徒であって、判定をする立場にはない。(I am a student. I am not a judge.)」と言ったら、先生に大うけした。スクールでもっともうけた私のジョークだった。

午後のラウンドレッスンの前にゴルフ場のレストランで一緒に食事をしたときにいろいろと話をした。
ヴァージ先生はゴルフスクールのオーナーであるティムさんの父親であることも判明した。ペンシルバニアに住んでいながら何故かフロリダでゴルフを教えている謎が解けたわけだ。
小さい頃から息子のティムさんにゴルフを教えたそうだ。(この練習場でも子供にゴルフを教える父親をよく見かける。)
ヴァージ先生自身は8歳でゴルフ場のキャディを始めたのがゴルフの道に入るきっかけになったとのこと。当時のアメリカ(第二次大戦前)ではゴルフは金持ちの遊びで、庶民はゴルフなどできなかったようだ。ヴァージ先生はなかなかの苦労人とお見受けした。
厳しくも楽しいゴルフスクールも明日が最終日。今夜の自主練習でゴルフで一番大事なこと(単純明快「力を抜くこと」)を思い出した。明日は良いショットを打てそうな気がする。
明日は生徒が一人加わるという。アメリカ人らしい。こういうスクールにどういう人が参加するのか興味津々だ。

☆スクール最終日(01/7/23)
ジャックは慎重にラインを読んでいた。ここはスプルース・クリークGCの9番ホールのグリーン上である。3日間のスクールの最後のラウンドレッスンの最終ホールである。
ジャックは何とかこのパットをねじこんでバーディを奪取し、3日間熱心に指導してくれたヴァージ先生に恩返しをしたかった。
8mの下りのフックライン、ジャックはボール3個分の曲がりを計算した。そしてその方向にボールを打ち出した。ボールはきれいな転がりでホールに向かっている。なんとラインの乗っている。あと30cmのところで奇しくもジャックとヴァージが同時に声を発した。「in the hole!!」と。その声が届いたのかボールは静かにホールの吸い込まれた。
やった、バーディだ。ヴァージがジャックに歩み寄り抱擁をした。「やればできるじゃないか、ジャック。お前はこの3日間でたいへんな進歩をしたぞ。」
なんとも劇的な幕切れであった。

少々大袈裟だが、本当に最後はバーディで締めくくったのだ。一年に何度も出ないバーディがよくぞここで出たと言う感じだった。
最後は良かったけれど、実は今日もショットはメロメロだった。もう両手は豆だらけで握力もあまりない状態で、ヴァージ先生に泣き言を言ったら、あっさりと「クラブを強く握りすぎだ。」と言われてしまった。
技術的には最後の最後まで同じことを指摘されていた。腰の回転が鈍い、肩が早く開きすぎる、右ひじがバックスウィングで開いている等々。
午前中の練習でも上手く打てなかったし、午後のラウンドも7番ホール(パー4)で10をたたいたりして散々だった。
しかし、まあこの3日間はよく練習をしたと思う。ラウンドレッスン以外に一日に400球は打ったのではないだろうか。ヴァージ先生もよくあきずに、いやあきれずに最後まで指導をしてくれた。本当に感謝の極みだ。
自分の欠点はよーくわかったので、これからその点をじっくり直していきたい。そして少しは上達して、またサミット・ゴルフ・アカデミーの門をたたくつもりだ。いつの日になるかはわからないが。
もし、このスクールに通ってみたいという人はサミット・ゴルフ・アカデミーのHPで直接連絡をしてもよいが、是非連絡をください。紹介します。
おすすめのスクールですよ。

少しだけゴルフ場の話。
3日間練習ラウンドをしたのはスプルース・クリーク・ゴルフクラブだったが、これはアメリカによくあるゴルフ・コミュニティだ。だいたい入口でセキュリティ・チェックがあって関係者以外は入れないようになっている。中はゴルフ場以外にテニスコートやプールがあり、多くの家がある。ゴルフ場というよりも小さな町という感じだ。
今日一緒にスクールで練習をしたアメリカ人が地元の人だったので、昼食時にいろいろと聞いてみたところ、このコミュニティの家はだいたいは金持ちのセカンドハウス(別荘)だそうだ。安い家で15万ドルくらいで、高い家はその数倍くらいはするのではないかとのこと。
映画スターもいるそうだ。何人か名前を挙げていたが、私にわかったのはトム・クルーズだけだった。彼らは自家用飛行機でこのコミュニティにやってくるらしい。それで謎が解けた。というには、このコミュニティの入口に「FLYーIN COMMYUNITY」と書いてあったのだ。それにゴルフ場の隣が小さな飛行場でたまに小さな飛行機が離着陸していたのだ。つまり、自家用飛行機で乗り付けられるられるというのがこのコミュニティの「売り」だったわけだ。さすがアメリカの金持ちはスケールが大きいもんだ。

そうそう、妻の話を忘れていた。私の妻も無事スクールを終えたのだ。高熱やらジンマシンやら腹痛で大騒ぎをしていたが、なんとか連日のスケジュールをこなした。
あの状態ではアメリカに行けたとしてもせいぜいホテルで静養しているのが関の山かと思っていたが、私と全く同じスケジュールをこなした。たいしたもんだ。
彼女もスクールで何かをつかんだと言っている。今後に期待しょう。

ということでスクールの話はおしまい。明日からはデイトナビーチから車で一時間のココア・ビーチに移る。さあ、のんびりしよう。

☆ゴルフはお年寄りのスポーツ(01/7/24)
今日はデイトナ・ビーチのホテルをチェックアウトしてココアビーチに向かうことになっている。ゴルフスクールが終わったのでのんびりしようかとも思ったが、スクールの成果を試したくなった。それで、昨日スクールで一緒になった人が教えてくれたデイトナ・ビーチ・ゴルフクラブに行くことにした。午前11時以降ならカート込みで13ドルだというのだ。この料金はアメリカ人にとっても結構安いようで、「ここならこんなに安くできるんだぜ。」と教えてくれたのだ。
11時になるのを待ちきれずに行ったところ、料金はカート込みで17ドルほど。どうも市営のようだ。平日なので空いているかと思ったがかなり混んでいる。普通は2人で回らせてくれるのだが、他の2人組と4人で回ることになった。
お相手はジュディさんとチャーリーさん。夫婦らしい。カートに車椅子マークの旗を付けているので、不思議に思っていたが、自己紹介のときにジュディさんがチャーリーさんは目が悪いのだと話してくれた。遠くの物があまりよく見えないようで、ボールの行方を追えなかったり、ロングパットのときにホールが見づらかったりするらしい。そのへんはジュディさんが手助けをするので大丈夫だ。話をしていてわかったのだが、チャーリーさんは何と80歳とのこと。お年寄りだとは思っていたが、そんな高齢とは思わなかった。80歳で少し目が悪いがゴルフくらいはしてしまうというのがいかにもアメリカらしい。
ゴルフ場も配慮をしている。車椅子マークの旗を付けていると普通はカートで乗り入れてはいけない所(グリーンの手前等)でもカートを乗り入れてもよいらしい。よく見ると私達の前の組も車椅子マークの旗を付けている。見たところお年寄りだが、何か障害があるようには見えない。ひょっとしたら、障害のある方とお年寄りはこの旗を付けることになっているのかもしれない。このゴルフ場が市営(私の推測)ということが関係しているのか、やたらとお年寄りの多いゴルフ場だった。こんなの初めてだ。
それとこのゴルフ場で面白かったことがもう一つ。何と、ゴルフ場の中を列車が走るのだ。たまに汽笛を鳴らして何十両もの貨車を連ねた貨物列車が通り過ぎていく。タイのチェンマイには競馬場を横切るゴルフ場があったが、世界にはいろいろなゴルフ場があるものだ。

☆宇宙好きのアメリカ人(01/7/25)
   
私は実はあまり観光が好きではない。面倒臭がりなので、観光も面倒くさくなってしまう。行列などするのは大嫌いなのだ。今回もオーランドの近くにきているので、ディズニーワールドとかいろいろと見所はある。しかし、おそらく混んでいるだろうから、そういうところに行く予定はなかった。
しかし、妻はどちらかというと観光が好きなので、やむをえずケネディ・スペース・センターとやらに行くことにしたわけだ。要はアメリカのロケットの発射基地だ。(ニュースで前日の夜にスペースシャトルが帰還したと言っていた。)
滞在しているココア・ビーチからは車で30分くらいだ。夏休みシーズンなので、かなり混雑している。やはり子供連れが多い。
地図を見ると広大な敷地だ。その中の何ヶ所かをバスで巡回するようになっている。スペースシャトルの発射台が見えるとはいってもかなり遠くから見るわけで、少々期待はずれだ。
このバスツアー以外にも映像主体のアトラクションがいろいろある。まあ、ノリはディズニーランドとあまり変わらない。商魂たくましいといおうか、園内には様々なレストランや土産物屋がある。値段もはっきりいって高い。どうも興醒めだ。何だか儲けるためにロケットを打ち上げているのではないかと文句を言いたくなる。(実際は天文学的な予算のうちのごくごく一部を回収しているだけなのだろうが・・・)宇宙のロマンが商業主義で影が薄くなってしまって、どうも気持ちがよくない。まるで今のオリンピックのようだ。
アメリカ人の宇宙好きには感心する。夕方宿のテラスで海を眺めていたら、同宿のアメリカ人が「お前は明日の朝ロケットが打ち上げられるのを知っているか。」と話しかけてきた。「知らない。」と答えると「めっちゃビューティフルだからお前も見るといい。」と大男が目を輝かせて打上げ時間を教えてくれた。早朝4時から8時の間だという。正確な時間は気象条件等々で直前にならないとわからないらしい。スペースシャトルではなくて、衛星の打上げらしい。私達も彼の熱心さにつられ目覚まし時計を4時にセットして何とか起きたのだが、さすがにその時間に人気のない海岸に出て行く勇気はなくまた寝てしまった。その後打上げのニュースはテレビでは見なかったが、果たして本当に打ち上げられたのだろうか。

☆フロリダの夏ゴルフ事情(01/7/26)
   
こうなったら毎日ゴルフをしてやろうじゃないかということで、昨日もケネディ・スペース・センターに行ったあとで、宿(サーフ・スタジオ・ビーチ・リゾートというモーテル)のすぐ近くのゴルフ場(ココアビーチ・ゴルフクラブ)に行った。9ホール回ったあとで少しだけ練習もした。
そして今日は30分程車に乗ってケネディ・スペース・センターの近くのゴルフ場(サバンナ・ゴルフコース)に行った。たいへん自然に満ちたゴルフ場だ。メリット島という島にあるゴルフ場だが、島の北は広大な自然保護区になっている。池では魚が飛び跳ねているし、いろいろな生き物を見かける。リス、野鳥、蛇、亀等々。いつワニが出てきてもおかしくない環境だ。猛烈に汚いトイレには何と巨大蜘蛛までいた。(さすがに用を足すのはあきらめた。)
フロリダのゴルフは眺めも素晴らしく快適だが、全てが快適なわけでもない。問題は「蚊」である。
昨年も全く同じ時期にフロリダ西海岸のマルコ島というところに行った。マイアミから車で北上して3時間くらいのところだ。ホテルに着いてさあゴルフをやろうとコンシェルジュのおばさん、いやおばあさんに近くのゴルフ場を紹介してもらおうとした。すると彼女は、近くにはマルコショア・ゴルフクラブがあるが今の季節はプレーしない方がいいという。理由を聞くと、彼女は顔を歪め何かまくしたてた。すごい形相なのだ。まるで魔法使いの婆さんのようだ。どういうことかよくわからないが、何かが目や鼻に入ってくると身振りで示している。耳にも入ってくると言っている。恐ろしい生き物が生息しているらしいのだ。ではゴルフ場はクローズかと聞くと、一応開いてはいるとのことだ。
埒があかないので、その恐ろしい生き物が生息するマルコショア・ゴルフクラブに行ってみた。車を降りてわかった。すごい虫なのだ。ブヨやら蚊やら。コンシェルジュの婆さんは「There are many bugs(虫)」と言っていたようだ。私にはブァーグと聞こえたのでわからなかったのだ。
ゴルフ場の受付に行ってプレーはできないのかと聞くと、虫は多いが問題はないとのこと。たしかにちらほらとプレーしている人もいる。それでプレーしたのだが、とにかくすごい虫の数。私達のカートのあとを虫が追いかけてくる感じなのだ。私がティーグラウンドに立つと、女房が笑いこけている。私が虫の群れを引き連れて歩いているというのだ。本当に半端じゃない。特に蚊には閉口してしまう。白黒の斑の蚊で、手足を刺しまくる。ボールを打つときに当然体は静止するが、そのときにチャンスとばかりに蚊は刺しまくってくる。もうゴルフどころじゃない!その日はヒーヒー泣きながらプレーをした。冗談ではなく何十箇所も刺された。
次の日からは私もいろいろと対策を講じた。まず服装は長ズボン。また蚊は夕暮れ時に多くなるので、プレーは早朝。そして、強力殺虫剤をスーパーで買ったのだ。しかし、殺虫剤はその一瞬は効果があるのだが、すぐに別の虫の軍団が出現するのでさほど効果はない。まあ、何でも慣れが大切なようで、私はこのゴルフ場で5回もプレーした!
たしかにこのゴルフ場は特別だったようだ。ゴルフ場が沼地にあるので虫が異常に多い。別のゴルフ場に行ったところ、さほど気にならなかったし。また、季節にもよるようで、ゴルフ場の係員はあと1ヶ月もするとだいぶ虫が少なくなると言っていた。
さて、それで今回のゴルフ。デイトナでもココアでもやはり蚊は結構いる。昨年のマルコ島ほどではないが、日本人の感覚からすると凄い。当然ながらスーパーで殺虫剤を買ってプレーしていた。一日あたり10箇所は刺されたと思う。

フロリダで真夏にゴルフをするというと暑くてたいへんではないかと思うかもしれない。だが暑さはあまり心配はない。アメリカのゴルフは乗用カート(自動車)を使うからだ。もちろん手引きカートも可能なゴルフ場も多いが、手引きカートのプレイヤーは滅多に見かけない。やはり猛烈な日差しなので私もいつも乗用カートを使用してしまう。日本のゴルフ場のように乗用カートはカート道しか走れないなどということはなくフェアウェイをどんどん走れるし、ボールを捜すときだってカートに乗って捜すのだ。隣のホールにカートでボールを捜しにいくことだってある。大袈裟にいうとボールを打つときだけカートから降りるという感覚なのだ。だから、いくら日差しが強くても汗などほとんどかかない。
まあ、楽チンなのはよいがあまり運動にはなっていない。日本でゴルフを終えたあとの達成感(?)みたいなものはあまりない。まあ、郷に入れば郷に従えということで仕方ないところだろうか。

☆アメリカのマック(01/7/27)
学生時代にアメリカをバスで旅したときは、まさしく貧乏旅行でよくマクドナルドの世話になった。アメリカのマックはやはりアメリカ的でふーん、と思うことが多かった。
まず、価格が店によって違ったりする。同じ町の中でも微妙に違うのだ。
次は笑顔がないという点。日本のマックは笑顔もサービスのうちといくことで店員はやたらと笑顔を振りまくが、こちらはマックが特別ということではないが、店員に笑顔はない。店員は結構威張っているのだ。(笑) そしてのんびりと仕事をしている。だから、ファスト・フードとという感じではなく、ハンバーガーにありつくまでに結構時間がかかる。
最後はドリンク。多くのマックは、飲物はセルフサービスになっていて、カップだけもらって自分で好きな飲物を注ぐ。これがお代わり自由。私がいつも不思議に思うのはお代わり自由なのに、やはりサイズが分かれている点。M(ミディアム)・L(ラージ)・S(スーパー)と分かれていてカップの大きさが違う。スーパーサイズなどはもうバケツみたいにでかい。。せこく考えるとどうせお代わり自由ならばMサイズがお得ではと考えてしまうが、アメリカ人は結構Lサイズ(かなりでかいカップ)を注文している。???。アメリカ人のおおらかさということなのか。彼らを観察していると、中で飲食をしていても多くの人はお代わりをしてカップを満杯にしてからカップ持参で店を出て行く。テイクアウトするときのことを考えてLサイズにしているのだろうか。せこい話でごめんなさい。(笑)

☆アルコール規制(01/7/28)
ゴルフを終えた帰り道、冷えたビールを買おうと小さな雑貨店に入った。ビールを選んでカウンターに行き金を払おうとしたところ、年配の女性店員が笑顔で「How old are you?」と聞いてきた。最初は「How are you?」と挨拶をされたのかとも思ったが、やはり年を聞かれたようだ。私は不思議に思いながらも「この女性は見知らぬアジア人男性に興味を持って世間話をしたがっているのだろう。俺っておばさんにもてるのか。」と勝手に解釈して、こちらも笑顔で「おばさんの目から見ると俺って何才くらいに見える?」と逆に聞き返したのだ。するとおばさんはは26才くらいくらいと答えた。私は非常に気をよくして満面の笑顔で本当の年齢を教えてやった。彼女は大いに驚き、傍らの私の妻に「若く見える旦那さんで羨ましいわ。」と言ったのだった。(あまりよく聞き取れなかったので推測)そして私たち(私だけ?)は大いに気をよくして店を出た。
翌日も同じ店に行ってビールを買ったのだが、今度は年配の男性がしかめっつらでやはり私に年を聞いてきたのだ。それでわかった。彼らはアルコールを販売するにあたって、私が未成年者でないことを義務的に確認していたわけなのだ。たしかに日本人は小柄で彼らからすると子供っぽい。私も学生時代に旅をしているときはアルコールを買う都度パスポートを提示させられたりした。犯罪大国アメリカもこと未成年者へのアルコール販売には非常に厳しいのだ。
しかし、今の私は無精髭がかなりのび、その中には白いものもだいぶ混じっている正真正銘のオッサンである。うーん、若く見えるのを喜ぶべきなのだろうか。

☆大きな人々(01/7/29)
   
学生時代にアメリカを旅して思ったのは、国の大きさもさることながら人々の大きさだった。背丈が高いのは想像していたとおりだが、横幅は想像以上だった。要は、太った人が多いということだ。私なども日本ではころころと肉付きのよい方だが、アメリカでは太っている部類には決して入らない!。とにかくアメリカにはスケールの大きいデブが多いのだ。
今回もよくぞここまで太ったもんだと感嘆してくなるほどの人にしょっちゅう出会った。
やはり食生活が問題なのだろう。とにかく食事の量がすごい。そしてデザートもすごい量だ。以前泊めてもらったデービス家での話。夕食をたらふく食べてもう満腹状態だったのだが、デービスさんはちょっと待ってくれと言ってわざわざ車ででかけ、特大のチェリーパイを買ってきてくれた。えっ、まだ食べるのか、といういのが正直な感想だった。
それと車社会の弊害か。運動なんてあまりしないのだろう。フロリダの夏ゴルフは乗用カートもやむをえないと思うが、アメリカに駐在していた会社の同僚の話では、場所や気候を問わず乗用カートが普通らしい。ゴルフをやったって運動にはならないわけだ。
肥満大国アメリカの前途はいかに。

☆ゴルフ最後の日(01/7/30)
今回の旅も今日が最後。今日はオーランドの空港近くのホテルに車で移動し、明日はいよいよ帰国なのだ。
もうゴルフは日課のようなもので、今日で9日連続になる。私にとっても新記録である。これだけ毎日やっていればスコアもよくなりそうなものだが、ゴルフはそう甘いものではない。(実は私に才能がかったりして?)
デイトナでのスクール受講後、ヴァージ先生の教えに従い、自分としてはかなりスウィングを変えたつもりだ。以前に比べればコンパクトでスムーズスウィングになったと思う。しかし、結果が出ない。今日で4日目のサバンナ・ゴルフコースでも随所に良いショットは出るのだが、スコアはいつもながらの90台半ばなのだ。
今日こそ90を出すぞ、との思いを心に秘めティーグラウンドに立った。前半は45。自分でも力みのない良いスウィングをしていると思う。さあ、勝負の後半9ホール。10番から15番までは全てボギー。パー逃しのボギーが多く、調子は悪くない。しかし、16番で痛恨の3パットのダブルボギー。17番ではミスを取り返そうと力んだせいか、ティーショットを大きく左に曲げ、致命的なトリプルボギー。結局後半は48で、私の今回のゴルフ合宿は終わった。
池が多いコースで難しかったというのは言い訳で、やはりまだまだ私は下手くそなのだと思い知ったのであった。

技術的なことはともかく、やはりゴルフは面白いし、アメリカのゴルフは快適だった。いつの日か全米の全州(たしか50州くらい?)のパブリックゴルフ場を2〜3年かけてまわったら面白いだろうな、と壮大な夢を抱きつつ、今回の旅は終わったのであった。じゃんじゃん。


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