バイキーな街、ホーチミン   2001年5月31日〜6月5日

☆バイク、バイク、バイク
☆雨季とバイク
☆床屋の話
☆ホーチミン版ディズニーランド!?
☆ホーチミンのゴルフ事情
☆バイクの街に思うこと

以前から何とはなしにベトナムに行きたいと思っていた。
でもVISAが必要だとか、成田からの直行便がないとかの理由で最後のふんぎりがつかなかった。
気がつけば最近は若い女性の間でベトナムブームとかで、女性誌ではベトナム特集が珍しくなくなった。へそ曲がりの私としては、こんなブームのときに行くのはどうかとも思ったが、結局は妻の意向も考慮し、ベトナムに行くことにしたわけだ。

なぜベトナムが若い女性に人気があるかというと、3大要因は「食事」「エステ」「雑貨」。そうしたことは雑誌にまかせておいて、私なりにホーチミンの街の様子、そして例のごとくホーチミンのゴルフ事情をレポートしよう。

☆バイク、バイク、バイク

今ホーチミンの空港でこの文章を書いているのだが、正直言ってこの旅行は疲れた。ホーチミンですっかり元気を吸い取られてしまったような気がする。
とにかくすごい街なのだ。何がすごいって、バイクと自転ヤと自動車が渾然一体となっていて、もう大変!まだ、人力車(シクロ)だって走っている。上海を混沌の街と呼んだが、上海を遥かに超えている!
交通の主役はバイク。ホーチミンの人口は700万人だが、バイクの数は100万台とか。
公共の輸送機関が発達していないため、s民はバイクに頼らざるをえないのだろう。老いも若きもバイクに乗っている。3人乗りなんて珍しくない!4人乗りだって結構見かける。
通勤もデートも食魔熏s楽もみんなバイク。
街全体が暴走族に支配されているかのような地響きが鳴り響いている。私の住んでいる東京の亀戸というところも結構賑やかで騒々しいところだと思っていたが、ホーチミンに比べれば静かな街に思えてくる。
歩行メはたいへん。歩行メ優先なんていうヤワなルールはないようで、決して止まってはくれない。信号が青だって、猛然と突っ込んでくるバイクも珍しくない。
だから、慣れないうちはかなり神経を使う。それで、慣れてきた分かったのだけれど、あまり注意しすぎて立ち止まったり、走ったりするのは逆に危険のようだ。悠然と歩いていれば、バイクの方が避けてくれる。
ゥ動車でゴルフ場に行ったのだけれど、行けども行けどもバイクの群れは無くならない。彼らはかなり遠くから街の中心に通っているらしい。おそらく1條ヤくらいはざらのようだ。
日本人だって通勤に1條ヤかけるのはざら。(東京では近い方?)単に交通手段が違うだけなのかもしれない。

☆雨季とバイク
今ホーチミンは雨季に入ったばかりで、日に一度はスコールがある。いわゆるバケツをひっくり返したような雨が降る。でも1條ヤくらいであがってしまう。
こんなとき、ホーチミンのバイク野郎はどうするかというと、合羽をかぶるのだ。みんな合羽を用意しているようで、雨が降り始めると色とりどりの合羽の花が開く。かなりの雨でも気合で合羽で走ってしまう。たいしたもんです。



☆床屋
の話

話は全く変わって床屋の話。
私は旅先でなるべく散髪をするようにしている。たまにヘンテコな髪型にされてしまうこともあるが、髪は再び生えてくるから大丈夫。それよりもいろいろな発見があって面白いのだ。ホーチミンの床屋事情はいかに?
まずは青空床屋。つまり路上の床屋さん。街を歩いているとよく見かける。一番庶民的で料金も安そうだ。次はバーバー・ショップ。こちらはちゃんと店を構えているが、店の中はあまりきれいとはいえない。そして最後がビューティ・サロン。お洒落な人はきっとこのタイプの店に行くのだろう。清潔度もなかなかだが、料金は高そうだ。
どの店に行こうかと迷ったが、さすがに路上の床屋は不安を感じ、2番目のバーバー・ショップに行ってみた。ホテルのすぐそばの店だ。

料金を聞くと、カットは2万ドン(約180円)、髭剃りは1万ドン(約90円)とのこと。私は肌が弱く、剃刀で髭を剃るとすぐに血まみれになってしまうので、少々不安ではあったが、カットと髭剃りをお願いした。
タイの床屋はだいたい電動バリカンで一気にカットしてしまうのだが、ここホーチミンは手動のバリカン。とても懐かしい。結構丁寧にカットしてくれるし、技術もなかなかのもの(のように見えた)。髭剃りもかなり時間をかけてくれて念入りだ。剃刀があまり切れないのだが、根気よくすべすべになるまで剃ってくれた。出血もなし!この点は私の地元の床屋を遥かに凌いでいる。カットと髭剃りで約一時間、後半は気持ち良く寝てしまった。
カットしてくれたのは、25歳のCONG君。なかなかの好青年でいろいろと英語で話しかけてくる。日本で仕事をしたいとかで、日本で良い仕事が見つけられるかと聞いてきた。日本に出稼ぎに行って一財産築くのが夢のようだ。なかなか難しいことなのだろうが。
どこの国でも床屋の中にはいろいろな髪型のモデルの写真が飾ってある。タイでは外人モデルが多いのだが、ここホーチミンはまだベトナム人モデル。何とはなしにほっとする。
面白かったのは、店の中の雰囲気。CONG君以外に店員が何人かいた。何をするでもなく、おしゃべりをしながらテレビを見ている。私がカットしてもらっていると、隣の散髪用椅子に若い女性がやってきて、椅子を180度に倒して静かに寝入ってしまった。どうやらCONG君の奥さんのようだ。(推測)
どこでもすぐに横になって寝てしまうというのが、ホーチミンスタイルのようで、市場では店先にハンモックをかけて寝ているおばさんがいたりする。路上の物売りの兄さんたちもぐっする昼寝をしている。こういう光景を見て、だらしがないと思う日本人もいるだろうが、私などは、おおらかで好ましく思ってしまう。
ああ本当に羨ましい!

 

☆ホーチミン版ディズニーランド!?

街の中心からタクシーで30分くらいのところにダムセン公園という大遊園地がある。
あまり観光客は行かないようだが、街中の喧騒を逃れようと行ってみたところ、これがなかなか立派な遊園地だった。入園料(乗物代等は別料金)は1万ドン(約90円)で、これは現地物価からするとそんなに安くはない。だから心なしか園内の人々の服装もこざっぱりしていて、おめかしをしているようにも見える。
ありがたいのは物売りがいないという点。ホーチミンの街はとにかく物売り攻勢がすごい。街を歩いていたって、食堂で食事をしていたって、いろんな物売りがやってくる。お菓子、フルーツ、タバコ、ライター、宝くじ、新聞、花、靴磨き、ギターの弾き語り等々。最初のうちは面白いのだが、いつもいつもとなると少々かったるい。このダムセン公園は入場料を取るものだから、そういう物売りが一切いないのだ。
園内のアトラクションは、いろいろ。
まずは、歌謡ショーや寸劇。学芸会みたいで微笑ましい。
湖(ダムセン湖)で釣りをしている人も多い。たまたま大きな魚が釣れたのを見たが、ナマズのような魚だった。
そしてお決まりの観覧車やコースター。観覧車からのホーチミンの眺めはなかなかのものだった。
食べ物も結構充実している。屋台系では、ポップコーン、焼鳥、揚げパン、フランスパン、チキンライス、ゆでハマグリ、ゆでタニシ等々。このゆでハマグリ(3000ドン、約27円)は注文するとその場でゆでてくれてビールのつまみにぴったりだ。お金のある人のためには、ちょいと豪華な中華レストランだってある。
ダムセン公園はべトナム版ディズニーランドというよりも、豊島園(わかります?)といった感じだろうか。何やら懐かしい遊園地で結構気に入った。



☆ホーチミンのゴルフ事情

ベトナムは初めてだったので、ゴルフをするか(つまりゴルフバッグを持っていくか)どうか迷った。初めての国というのは勝手がわからないので、結構気をつかうのだ。最近はHPでいろいろと情報収集できるが、ベトナムに関してはあまり治安がよくないような書かれ方をしている。こうした情報は得てして大袈裟だ。たまたま運悪く被害に遭った人たちが声高に「ここは危ない」などと言っているが、旅行者が注意さえしていればそうそう被害に遭うものではない。(偉そうなことを言っているが何度か被害には遭っている(笑))
慣れない国で大きなゴルフバッグをかかえてうろうろしたくはない。
迷った末、「俺の旅の特徴はゴルフなのだ。」と思い直し、重いゴルフバッグをふうふう言いながらかついで行ったのだ。
ガイドブックを見るとホーチミン近郊には2つのゴルフ場がある。(ソンベ・ゴルフリゾートとベトナム・カントリークラブ)料金はタイに比べるとかなり高め(2倍〜3倍)。私が日本でよく行く安いパブリック・ゴルフ場より高いくらいだ。そうまでしてベトナムでゴルフをする必要があるのかと自問したが、忙しいサラリーマンは日本では休暇を取ってゴルフに行く余裕はないから仕方がないと自答した。(旅行に行く余裕はある?(笑))
ではどうしたらゴルフができるのか。一応メンバーシップのゴルフ場のようだ。直接行っても恐らく大丈夫と思いつつも、少々不安なので、街の旅行会社に行くことにした。サイゴンツーリストという大きな旅行会社に行ったが、ゴルフパッケージは扱っていないという。それで近くの小さな旅行会社に行くと、社長(らしき人)がゴルフ好きだそうで、ソンべ・ゴルフリゾートの予約を取ってくれた。送迎料込みで95USドル。直接行くよりプレー代は15%引きになっているとのことだった。(あとでわかったが、メンバーの紹介でプレー代が安くなるという仕組みだった。)

<ソンベ・ゴルフリゾート>
土曜日でかなり混んでいるようで、他の日本人2人と組まされ3人でプレーした。2人ともホーチミン駐在の商社マンらしく、ベトナム事情に詳しい。いろいろと話を聞かせてもらった。
工場労働者の平均月収は70USドルであるとか、最近は麻薬中毒者が公園にたむろしているとか、なかなか興味深い話もあった。
さて、ゴルフに話を戻そう。ソンベ・ゴルフリゾートはオープンから2〜3年の新しいゴルフ場だ。豪華なクラブハウスと手入れのゆきとどいた芝生はなかなかのもので、私など日本ではこうした高級ゴルフコースに行くことは滅多にないので、逆に居心地が悪かったりする。
プレーをしているのはほとんどが外国人駐在員だ。日本人、韓国人、中国人(台湾人)等。欧米人もいることはいるが、アジア人の方がずっと多い。ベトナム人にとっては目茶苦茶高価な遊び(工場労働者の1ケ月の給料!に匹敵)なわけで、会社社長のごく一部がプレーしているくらいだ。
そういうわけで、キャディさんは片言の英語をしゃべる。私も片言なのでちょうどいい。ここのキャディさんはほとんどが女性でおそろいのユニフォームを着ていてなかなか可愛い。すごく蒸し暑いのだが、彼女らは長袖、長ズボン、手袋、帽子という格好で、さらにタオルで目から下を覆ってしまう。なぜかと聞くと、日焼けをしたくないということ。ベトナム女性の白い肌に対する憧れはタイの女性よりも強いような気がした。そういう格好をされてしまうと、どの子も同じように見えてしまって、自分のキャディがわからなくなってしまう。キャディにそう言うと、背中のゼッケンを指差し、番号を覚えろと言われてしまった。
私が風景写真を撮っていると、まだカメラが珍しいらしく撮ってくれという。とういことで記念撮影となった。結構みんな人なつっこい。
肝心のプレーの方だが、何と3連続パーのスタート。こんな好スタートは滅多にない、というか史上初!見ず知らずの人とプレーすると緊張するが、その緊張感が良い結果を生むことが多いようだ。キャディにシングルプレーヤーかと聞かれ、鼻高々であった。しかし、緊張感はあまり長く続かず、結局いつもどおりの90台半ばのスコア。いつになったらシングルプレーヤーになれるのだろうか。ゴルフの道は長く険しいのだ。

<ベトナム・カントリークラブ>
ソンベでプレーした翌日の日曜日、ベトナムカントリーの月曜日のプレーを予約してもらおう(ソンベは月曜日休場)と例の旅行会社に行ったが、あいにく休業だった。しかたないので、別の旅行会社で車の手配だけしておいた。早朝5時にホテルに迎えにきてもらい、6時前から涼しいうちに一気にラウンドしてしまおうというわけだ。
しかし、当日の朝、待てど暮らせど車は来ない。1時間待ったところであきらめて、タクシーを拾ってゴルフ場に向かった。こういうことは旅先ではよくあることなのだ。しかし、せっかく朝4時半に起きたのに・・・。
6時半過ぎにベトナムカントリーに着いた。ソンベ以上の高級コースで、従業員もきりっとしている。メンバーコースだがビジターもOKということで、プレー代は平日で82USドル。ソンベよりもやや高目である。
ベトナムカントリーはソンベよりも古く、オープンから10年弱くらい。東と西のコースがあって、合計36ホールである。ソンベと違う点は、まず距離表示がヤード(ソンベはメートル)。そして、キャディはほどんどが男性。まあ、距離表示はどうでもいいが、キャディは女性の方が何とはなしに場がなごむような気もする。
私がプレーしたのは東コース。西コースに比べ木々が少なく、フェアウェイが広い。しかし、バンカーが多く、グリーンがうねっていてかなり難しい。
月曜日で空いていたため1人でまわれた。8時を過ぎると陽が高くなってきて猛烈な暑さ。東南アジアのゴルフは暑さとの戦いでもある。1人でまわるとほとんど休みもなく、汗だくになり、やはりゴルフはスポーツだと実感する。アメリカなどではカートでまわることが多いので、暑い季節であってもほとんど汗もかかず楽チンだ。しかし、スポーツとはいえないような気もする。
だから、私は東南アジアのゴルフの方が好きなのだ。
しかし、好きだからといって良いスコアが出るわけではない。この日はリズムが悪く調子が出ないままに18ホールが終わってしまった。時刻は10時15分、所要3時間半である。こういうふうに短時間でプレーできると、日本のゴルフがいやになってしまう。朝5時に家を出て、帰ってきたら夜8時などということもよくある。スコアはともかく、やはり旅先でのゴルフはやめられないのだ。

☆バイクの街に思うこと
ホーチミンのバイクの多さは既にお話ししたとおりだが、そのために非常に空気が悪く、マスクをして運転をしている人が珍しくない。中には花柄の可愛いマスクもあったりして見ている分には面白いが、生活している人たちはたいへんだ。
バイクの便利さを知ってしまうと、誰もその魅力からは逃れられないのだろう。しかし、その反面、騒音・排気ガスといった多くのデメリットがある。こうした両刃の剣を売りまくっているのが、我が日本の企業たち。ホンダ、スズキ、ヤマハ等々。国際優良企業として胸を張っている企業ばかりだ。しかし、何かすっきりしない。便利なものを売ればそれでいいってもんでもないだろう。その副作用については売った企業は我関せずだ。
これって何かに似ている。そうだ、ゲーム機だ。子供たちにゲーム機を売りまくって子供たちの視力を悪化させ、屋外で遊ぶ機会を減少させ、ある意味異常な人間の発生に手を貸しているともいえる。子供たちはゲーム機の魅力にかなうべくもなく、バーチャルな世界に浸っていく。
ゲーム機を売りまくっている会社もこうした副作用には我関せずである。
ベトナム人と子供たちを同じに扱ってしまって申し訳ないが、ふとそう感じたのだ。
飛躍しすぎてしまったかもしれないが、
バイクの街で感じたことである。


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