★旅のはじめに(00.12.29)

ここはミュンヘン駅から南に5分の所に位置するとあるホテルの一室。時刻は午前4時30分をまわったところ。
前回上海に行ったときに、「旅行が終わってから旅行中のことを思い出しながら書くのは難しい。」と実感し、発作的にノートパソコンを買ってしまったのです。
富士通のLOOXという超小型のノートパソコンで、大きさはちょっと大きめの弁当箱くらい、重さは980グラム。
キーボードが小さめなので、入力は少々しんどいけれど慣れてしまえば恐らく大丈夫。
今、感慨に耽っています。よくぞ異国の地でこのパソコンを使えるようになったものだ、と。
話は旅行からそれるのだけれど、このパソコンでは苦労したのです。
そもそも私はそれほどパソコンが好きなわけではなく、どちらかといえば必要に迫られて使っているにすぎないタイプです。
今回も、よし旅先で気づいたことを書きとめようと思っただけのことなんです。
パソコンを買ったのはいいけれど、このパソコンにはFDドライブもCD-ROMドライブを付いていない。それでもワードやHP作成ソフトくらいはインストールしたい。
もちろんオプションで外付けを買えばいいのだけれど、結構高いのでそれは避けたい。それで同僚に教わったのが、USBリンクケーブルとやらで、他のパソコン(デスクトップは以前から持っています。)のデータをノートパソコンに取り込むという方法。
早速ヨドバシカメラで買ってきました。しかし、説明書を読むと、そのケーブルを使用するためには、両方のパソコンに専用プログラムをインストールする必要があるとのこと。
それでそのプログロムが入ったFDが同封されていました。
よし、インストールしようと思ったが。
そうです、新しく買ったノートパソコンにはFDドライブがないんです!!
うひゃあ、どうしたらよいんだよ、としばし考え、販売元の会社のHPを見たところ、そのプログラムをネット経由でダウンロードできることを発見。
何とかノートパソコンをネット接続する環境にして、ようやくそのプログラムをダウンロードしたわけです。
よし、これでOKと思い、2台のパソコンをケーブルで接続したのですが、データ移管が何度やってもうまくいかず、結局断念。

もうあきらめかけたのですが、違うメーカーのケーブルならうまくいくかもしれないと思い直し、数日後またもやケーブルを購入し、同様の作業を開始。
作業は難航し、ああでもない、こうでもないと深夜まで作業を続け、ようやくデータ移管に成功。うれしかったです。

しかし、私の不幸はここから始まったのです。
翌日、デスクトップパソコンを使用しようとしたところ、起動しないのです。
何度やっても駄目。何やら不吉な予感を抱きつつ、メーカーのサポートセンターに電話したのです。
担当U氏の指示に従い、起動を試みたのですが、結局駄目。
U氏「これはもう駄目ですねぇ。」
私「えっ?!ほかに直す方法はないのですか?」
U氏「こうなってしまってはもうお手上げです。」
私「では、ハードディスクの中のデータはどうなるのでしょう?」
U氏「こうなると、付属のリストアCDで工場出荷状態に戻すしかありませんから、あきらめるしかないですね。」
私「そんなぁ。本当にもう駄目なんですか?」
U氏「もう駄目です。(所詮)パソコンですから。」
U氏の言い方が淡々としていて、いかにもパソコンおたくみたいな感じなわけです。
温厚な私もさすがに腹が立って、
私「あなたねぇ、いくら駄目だと言っても、こちらはお客さんなんだよ。少しは残念そうに言った方がいいんじゃないの!」
U氏「失礼いたしました。以後気を付けさせていただきます。」
この言い方がまた腹が立つんだ。いかにも慣れた感じで、やはり淡々としていて。
悔し紛れにU氏の名前と所属を確認して電話を切ったわけです。

原因はよくわからないのですが、前の晩にいろいろといじったためかもしれません。
原因はともかく、デスクトップパソコンの私の過去のデータは消失してしまったのです。バックアップもしていなかったのです。
その後もデジカメのデータを取り込むための設定やら何やら、本当に苦労しました。
私のパソコンの知識が乏しいゆえの苦労なわけですが、本当に疲れました。パソコンなんて本当は大嫌いだ!

ですから、今こうしてミュンヘンのホテルでキーボードをたたいていられるのが、とてもうれしいわけです。

長い長い前置きでした。
ともかくも旅はスタートしています。
暇を見てパソコンのキーボードをたたくことにします。

今日はこれから目的地であるバードがスタイン(オーストリア)に出発します。

★バードガスタインへ向かう車中にて(00.12.29)

ミュンヘン発9時25分のEC63号の車内です。
EC特急はヨーロッパ内の特急列車で、この63号はミュンヘンから西に向かい、ザルツブルグ・ウィーン・ブダペストを通り、Debrecenまでを約12時間で結んでいます。
車内はあまり混んではいません。座席は半分くらいしか埋まっていません。
話をしている人もあまりいないので、とても静かです。
このへんがアメリカとは大違いのところです。
アメリカ人はものすごく話し好きなので、飛行機の中であろうと、バスの中であろうとしゃべりまくっていてやたらとにぎやかです。
そんな静かな列車で私(と私の妻)はザルツブルグに向かっています。
ザルツブルグまで約1時間半で、乗り換えてバードがスタインまでまた1時間半ほどです。

今回滞在予定のバードがスタインはオーストリアのザルツブルグ州にあって、温泉保養地そしてスキーで有名な所のようです。
どうしてもここに来たかったというわけではなく、たまたまここにくることになったのです。
なんとなく年末はスキーでもしたいとオーストリアの宿を探し始めたのですが、予想以上にこの時期(クリスマス休暇)のスキー場は混んでいました。
目ぼしいスキー場の観光局にメールを出して、宿泊施設の一覧表を送ってもらい、その中でメールアドレスを持っている宿(ペンション)にメールを出したのですが、いくら出しても全部満室。総計で150通くらいは出したでしょうか。
ようやくエクストラベッド利用のシングルルームならある、と答えが来たのがバードガスタインのSt.Leonardさんのペンションだったわけです。
もう選択の余地もなくこの地に決めたという次第。
良い所であればなあ、と思っているうちに、窓外は雪景色になってきました。ミュンヘンの町には全然雪はなかったのですが、1時間も走らないうちにもう銀世界です。
あと30分ほどでザルツブルグ、そこで列車を乗り換えてまた1時間半でいよいよバードガスタインです。


★バードガスタインの町歩き(00.12.31)

大晦日の早朝、5時30分です。
こちらの朝は遅く、8時近くになってようやく明るくなります。
従って、朝食も8時から。
私は時差の関係もあるのか、あるいは早起きが身についているのか、どうしても5時くらいに目がさめてしまいます。
それで寝ている妻を尻目に洗面所でキーボードをたたいています。
バードガスタインの町は思ったよりも大きな町でした。
手元にあるガイドブックでは全くふれられていないので、人口とかわからないのですが、なかなかの町です。
町の中でかなり標高差があります。
私の滞在しているレオナルドさんのペンションは坂を登った方にあります。まわりはこじんまりとした家が多いようで、とても落ち着いた風情です。
町の中心地はものすごい急勾配の坂を下りていった所です。すごい坂です。まるで谷の中に町があるような感じ、があったりもします。
中心地は大きなホテルが何軒もあり、カジノもあります。やはり高級保養地といわれているだけのことはあります。

歩き疲れて喉が渇いたので小さなレストランに入りました。
ヨーロッパのレストランでよく見かけるのが犬をかたわらに侍らせて食事をしている人たち。
日本ではペット同伴の光景はあまり見ないですが、ヨーロッパでは珍しくありません。かなり大きな犬でも連れ込んでいます。
あと感心するのは、飲物の容量をはっきりとメニューに記載していること。
日本のように生ビール大・小ではなく、生ビール0.5g、0.3gといった具合です。
以前本で読んだのですが、イギリスではビールの容量に泡を含めないことを法律で決めたとか。
さすがに契約社会というか、しっかりしているというか。
ですからビールグラスには必ず目盛りが刻まれていて、定量に達しているかチェックできるのですよ!

さて、もう6時半です。朝風呂にでも入って今日のスキーに備えることにしましょう。

★大晦日のバードガスタイン(01.01.01)

新年を迎えました。
21世紀ということですが、そうした感慨はあまりありません。
そもそも亜「世紀」は人間、それもキリスト教徒が勝手に決めた区切りです。
仏教やイスラム教にはまた別の区切りもあるでしょう。
私的には69年ぶりのハレー彗星(不発でしたが・・・)とかの方が何やら心が動かされます。
誰の句だったでしょうか、「門松や、冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」
そんな気持ちで新年を迎えております。

昨日は大晦日でした。ここバードガスタインの大晦日模様をちょっとだけお伝えしましょう。
夕方6時くらいに町歩きを始めましたが、人通りはあまりありません。 
たまたま空が晴れ渡っていたため、満天の星が圧巻です。ちょっと暗い道から空を眺めると、天の川らしき星の密集も確認できます。
運良く大きな流れ星を見ることができました。人工衛星も見ることができました。
そんなとき大きなドカーンという大きな音。花火です。
たまに大きな音とともに花火が打ち上げられています。
そして、サーチライトが山肌を照らし、なかなか神秘的な感じです。これがこちらの1年最後の夜の演出なのでしょう。

家の前を通り過ぎると、カーテン越しに中の様子がわかるのですが、多くの家は家族団らんの最中です。
中にはかなりアルコールが入ってドンちゃん騒ぎの家もあります。
やはり特別な夜ということなのでしょうか。
レストランに入ろうと思って、入り口のメニューを見ると、だいたいは「大晦日特別メニュー」になっています。
店によってピンキリですが、500シリング(約4000円)前後が多いようです。
私と妻はこの町唯一の中華料理屋である中国飯店に入りました。
8時からは予約で満杯なのでそれまでに出てくれるならOKということでした。
日本に比べると食事時間が少し遅いのでしょうか。

店を8時前に出てペンションに戻り、睡魔に襲われて寝付いたのが9時くらいだったでしょうか。
しかし、夜中に大きなドカーン、ドカーンという音で目を覚ましました。
何だこれは、と時計を見ると12時を指しています。
そうです、新年を祝う花火です。窓から外を見ると、満天の星、そして華麗は花火。
20分くらいは打ち上げていたでしょうか。
除夜の鐘ならぬ、除夜の花火でした。


★バードガスタインのスキー事情(01.01.02)

スキーをしたのは5年ぶりのことなので、そもそも今の日本のスキー事情もわからないのですが、こちらの様子を私なりにお伝えしましょう。
このスキー場はオーストリアの中ではまあ大きな部類に入るのではないでしょうか。
いくつかのエリアがリフトやスキーバスなどで有機的に連結しています。もし全てのコースをまわろうということになると、とても1日では無理でしょう。2〜3日は必要です。

私たちはまずスキーをレンタルしました。当然ながら外国製。アトミックやロシニョールが多かったです。
驚いたのは、置いてあるのは全てカービングの板。ひょっとして日本も今はほとんどカービングになっているのでしょうか。
たしかにスキー場でも身長程度の長さのカービングの板を使っているスキーヤーが圧倒的に多いです。
レンタル料は期間が長くなるほど割安になります。私たちは5日間借りたので、板とブーツで1人約800シリング(約6400円)でした。

このレンタルスキーを宿からゴンドラ乗り場までかついでいったのですが、乗り場わきに「Skidepot」の看板があり、板とブーツを有料で預かってくれます。
1日30シリングです。かなり雑然と置いてあるだけで、しっかりとした管理はしていないようです。
盗もうと思えば簡単に盗めてしまうと思うのですが、そのへんはあまり気にしていないようです。

板も借りたし、さあゴンドラに乗ることにします。
元旦の朝の9時半なので、さすがに人影もまばらです。
昨日は10時半、一昨日は11時半だったので、結構混んでいて、乗るまでに10分くらいは待たされました。
やはりこの時期はピークシーズンなので、人も多いし、リフト料金も最高料金です。
リフト料金は時期によって3つの区分に分かれています。
今の時期ですと、5日券で1790シリング(約14000円)です。
ふもとの標高は約1000mですが、ゴンドラで一気に標高2246mのStubnerkogelまで上ってしまいます。
森林限界を超えているので、まわりは真っ白な世界。雪質も最高です。
まだスキーヤーはほとんどいないので、まさしく貸切状態です。

さて、オーストリアのスキー場で日本と違うなぁと思う点をいくつか。
(私のオーストリアでのスキーはまだ3回目なのでかなり個人的な見方だとは思いますが・・・。)
その1:年配の人が結構多い。
 いつも思うのですが、日本のスキー場よりも年齢層が高いのです。60歳を越えているような年配の方が結構いらっしゃいます。
 親子3代で楽しげに滑っている集団も珍しくはありません。さすがスキー大国だと納得していまいます。
 また、スキーをせずにただのんびりしにきている人も目に付きます。そういう人は天気がよい日には景色を眺めながらコーヒーやビールを飲んでいるのです。
その2:ちびっこスキーヤーも多い。
 子供の姿もまた目立ちます。
 自分の子供にスキーを教えながら滑っているスキーヤーが多いです。
 幼稚園児くらいのちびっこ軍団がスキースクールの先生のあとに続いている光景もよく見かけます。このちびっこ達が結構うまいんですよ。
 またもさすがスキー大国と感心してしまいます。
その3:Tバーが多い。
 日本だとチェアリフトが多いのですが、こちらはTバーが多いのです。
 Tバーってわかるでしょうか。チェアリフトのチェアの代わりにTの字を逆さにした形の棒がぶらさがっているのです。
 長い外棒と短い棒が組み合わさって逆Tの字を形作っているわけですが、短い方の棒に腰(尻)を押し付け、長い方の棒を手で握って、
 スキー板は雪面に付けたまま進んでいきます。
 まあ、棒にしがみついてゆっくりと滑っていくという感じです。(わかりますか?)
 日本ではあまり見かけないのですが、こちらではチェアリフトに比べて寒くないとかで、ポピュラーなのです。
 どうも力の入れ具合がよくわからなくて、最初の内は疲れてしまいます。それに不安定で倒れてしまいそうなのです。
 私の妻は今回Tバー初体験でした。
 ひとつのバーで一緒に乗ったのですが、なんと中間地点くらいで「あれぇ・・・」という小さな叫び声を残し、わきの方に滑り落ちてしまったのです。
 日本人はTバーが苦手だとは聞いていましたが・・・。
 残された私も非常に恥ずかしかったです。
 まわりの人の目が日本人(アジア人)はTバーにも乗れないかと言っているようで・・・。
 それで知らんぷりして終点まで悠然と乗っていたのです。
 妻の方はどうしたかというと、根性でスタート地点まで滑っていき、再度Tバーで上ってきました。うれしそうな顔をして。
 アンタはえらい!


★バードガスタインの食について

朝食は宿で食べられます。
いろいろな種類のパン、ハム、チーズ、シリアル、ジャムがテーブルに並べてあります。
驚くのはハムの種類の多さ。10種類くらい置いてあります。
オレンジとアップルのジュースもあります。
席につくと宿の若奥さんが煎れたてのコーヒーと茹でたての卵を持ってきてくれます。
シンプルですが、とても美味しい朝食です。
宿泊客は自分で好きな物をとってきて、だいたいパンにはさんでかぶりついています。

昼食はスキーをするときはスキー場のレストランで簡単にすませます。
町にいるときは近くのスーパーに行きます。
スーパ-で驚くのは、やはりハムとチーズの種類の多さ
私はあまり味の違いもわからないのですが、この国の人はきっとそれぞれにお気に入りがあるのでしょう。皆、真剣な表情でお気に入りにハムとチーズを注文しています。
ハムとチーズを指定してその場でサンドウィッチにしてもらうこともできます。
美味しそうなにおいがするのは、惣菜売場
簡単な惣菜をその場で作っています。ローストチキン・ローストポーク・ハンバーグ・カツレツ等々。
ローストボーク(焼豚)はできたてで、あぶらがしたたっています。
今日の昼食はこれに決まり。
適当に切ってもらって(120gで200円くらい)、パンとビールを買って、宿で食べます。
これがうまい!ポークがまだ熱くて、そしてやわらかくて。
バードガスタインで一番美味しかったのは文句なしにこのローストポークでした。

夕食は近くのレストランで食べます。
でもレストランの数はあまり多くはありません。
毎晩食べに行ったのは駅のレストラン。
ホームのすぐわきにあって、カーテンごしに列車が見えたりして、なかなか趣きがあります。
いつも混んでいてボーイさんたちが忙しそうに歩き回っています。
どこのレストランも日替わりの「今日の定食」があります。スープとメインディっシュとデザートでセットになっていてお得です。
店の入口の看板に「今日の定食」の献立が書かれています。
「今日の定食」は地元でポピュラーな料理が出てくるので、そういう点でもおすすめです。
私も「今日の定食」を注文しました。
まずは、スープ。クリームスープです。少しにんにくがきいています。とても美味しい。
次はサラダ。サラダバーになっていて好きなだけ取ってきます。
そして、メインディッシュは牛肉のグラーシュ。グラーシュはオーストリアの名物料理。元はハンガリーの料理だそうで、パプリカの味がぴりっときいたシチュウです。
牛肉がよく煮込んであってとろけるようです
最後はアイスクリームのデザート。めちゃくちゃ甘いです。
全部食べるともう満腹。正直、つらいです。
これで、140シリング(約1100円)ですから、本当にお得!

オーストリアを旅するといつも感じるのが、オーストリアの人々の食に対する保守性、というかかたくなさ。
私はオーストリアの田舎の方ばかり旅しているからかもしれないのですが、よく感じるのです。
今回のバードガスタインにしても、まあまあ大きな町なのに、今風のファーストフードがありません。
マクドナルドもバーガーキングもウェンディーズもありません。ピザハットもケンタッキーもない。
あるのは、スーパーの入口で店を構える焼ウィンナー屋くらいのもんです。
日本人の感覚からすると、スキー客でこんなに賑わっているのだから、街角に屋台を出せばさぞ儲かるだろうと思うのですが、そうした屋台はありません。
そういう方面の規制が厳しいのかもしれませんが。
レストランも地元料理を中心にしたものが多く、メニューはだいたい似たようなものです。
ですが、イタリアンレストランはたいへんポピュラーです。ピザやパスタは完全に定着しているようで、どの町にも何軒もあります。
さすがなのは、中華レストラン。
ちょっとした町にはあるんですよ。バードガスタインにもちゃんと1軒ありました。
わき道にそれてしまいますが、中国人って本当にすごいです。どんなところにもいるんですよ。以前ドミニカのプエルト・プラータというリゾート地に行ったのですが、ちゃんと1軒ありまし!
わが日本食レストランはよほど大きな町にいかないかぎりは見かけません。てんぷらや焼鳥、鍋物などは結構受け入れられると思います。
ヨーロッパの田舎町で日本食レストランを開業するのも面白いかもしれません。食材の調達が難しいのでしょうが。


★バードガスタインの温泉事情

ドイツ語のBADというのは温泉を意味します。英語のBATHと語源が同じです。
ですから、地名にBADついていると大体温泉です。オーストリアの地図を見ると、バードガスタイン以外にもバードイシュルとかいろいろな地名を見かけます。
温泉大国日本の国民としてオーストリアの温泉はいかなるものか少々気になるところでしょう。
バードガスタインの駅前に大きな温泉場があります。
中には大きなプールがあって、人々は水着を着て入浴しています。というか、日本人の感覚からすると、温水プールで泳いでいるという感じです。
湯温はせいぜい30度くらいでしょうか。日本人の感覚からすると、「ぬるい!温泉ならもっと熱くしてくれ!」というところです。
でもみんな楽しげに泳いでいますし、ここバードガスタインの温泉ではたまにアクアビクスなどで体を動かしています。
露天風呂というか、屋外プールもあって、湯煙の中で、きゃっきゃと騒いでいます。

温泉についてはこのぐらいにして、より興味深い「オーストリアのサウナ事情」についてふれたいと思います。
温泉に限らず、プールにはたいていサウナがつきものです。
プール料金にいくらかを足すとサウナも利用できます。
このサウナがだいたい混浴なのです。
全て混浴、日によって混浴、時間帯によって混浴等々、場所によっていろいろなパターンがあるのですが、バードガスタインは女性専用の
小さなサウナがあって、大きなサウナ(ドライ2、スチーム1)の方は混浴になっています。
今回バードガスタインのあとに訪れたチロル州のゼルデンという村のサウナは、基本的には混浴で週に1日だけ夜間女性専用になります。
混浴というと日本人はえっ!と緊張してしまいますが、やはりヌーディストの伝統があるヨーロッパの人々の感覚は少々違うようです。
サウナには老若男女さまざまで、多くの人は大胆です。タオルで前を隠している人など少ないです。
サウナの入り方ですが、日本では男性の場合、腹の上に小さなタオルをのせて大事なところは隠しているのが一般的かと思いますが、
こちらの人々は大きなタオルを持ち込んで、それを尻の下に敷いて、その上に腰を下ろします。これは男女を問わず一般的な入り方の
ようです。
私の妻はさすがに抵抗があるのか、最初のうちは大きなタオルを体に巻いて武装(?)していましたが、こうした恥じらい(?)を見せる女性
はほとんどいません。空いていると大の字になって寝ている女性も珍しくありません。
へぇっと思うのは、家族連れが珍しくないということ。
家族連れといっても、小さな子供連れではありません。子供は成人した家族連れです。
日本人だと成人した娘と一緒にサウナに入るのは少々勇気がいるかもしれませんが、こちらではごく自然にサウナで談笑しています。
やはり裸に対する感覚が違うのでしょう。
サウナの更衣室などは、もちろん男女共通で、一応更衣用のボックスはありますが、それを使う人はあまりおらず、皆堂々と着替えています。
パンツ一丁で動きまわっているおじさん、おばさんも多いです。
私も郷にいれば郷に従えということで、素っ裸で着替えてしまいます。
ただ、髭面の東洋人というのは、オーストリアの子供には物珍しいようで、着替えていると子供のジーっという視線を感じることがよくあります。
そういうときはこれが東洋人だと私の裸体を惜しげもなく晒してしまいます。(笑)

とにかくオーストリアのサウナは楽しいです。
変な意味ではなく。
ちょっと変わっていて楽しいことが一つ。
何度か行ったことのあるゼーフェルト(インスブルックから40分くらいの小さな町)という町のサウナでの話。
ある時間になるとブザーが鳴ります。そうすると人々がおもむろにサウナ室に向かいます。サウナの中に満員状態で、入口に入室禁止の看板がぶら下げられます。
さあ、何が始まるのでしょう。わかりますか?
しばらくは何も起こりません。5分くらいたってそろそろ汗が吹き出してくる頃、オジサンはやってくるのです。
何故か素っ裸です。何故か桶と大きなタオルを持っています。
オジサンは、赤々と燃えている石に、桶の中の水をひしゃくでかけるのです。そうすると蒸気とともにほのかな甘い匂いが漂ってきます。
どうやら水に匂いがついているようなのです。(サウナオイルとかいうものが入っているようです。)
そしてオジサンはゆっくりとタオルを振り回し始めます。熱風が私達を襲います。これが熱い!しかし気持ちがいい。
彼は何度かこれを繰り返すのですが、いつしか皆手拍子をとって、掛け声をかけています。オゥ、オゥ、オゥ、オゥ・・・。
ふと気が付くとタオルを回しているオジさんのイチモツはタオルと反対方向に回っているではないですか。
その異様な光景に、うーん、と唸ってしまいました。
わざわざ素っ裸でタオルを振り回さなくてもよいのに。パンツくらい穿けばよいのに。
そう感じるのは私が日本人だからかもしれません。
皆はおおいに拍手をおくり盛り上がっています。
桶の中の水もなくなり、タオル回しオジサンが退場するときは皆、盛大な拍手をおくっていました。
私ももう熱さにフラフラでした。こんなに汗をかいたのは生まれて初めてでした。

どうも下ネタになってしまいすみません。
こんな私もぜーフェルトのこのタオルショーはやみつきになり、ぜーフェルトの楽しみの一つになっています。


★ツェル・アム・ゼー(01.01.04)

バードガスタインをあとにして、インスブルック方面に向かう列車の中です。
これからエッツ谷にゼルデンという村に向かいます。
車窓からの眺めは雪に埋もれた小さな村々。風情があります。
湖が見えてきました。もうすぐツェル・アム・ゼーの町です。(ゼーというのは湖のこと)
この前、ケーブルカー事故が起きたのはこのすぐ近くのはずです。
犠牲者の方たち冥福をお祈りします。

中途半端ですが、こんなところで、今回のオーストリア・レポートを終了します。
旅をしながらこうした文章を書くのは、仕事であれば時間も十分あるのでしょうが、素人にとってはなかなしんどいものです。
少しは旅の雰囲気が伝わったでしょうか?

ということで次回の旅も期待してください。
次回は「オーストラリア・釣りとゴルフの旅」を予定しています。
では、また。じゃんじゃん!


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