最近読んだ本

手元に筑波大学名誉教授の村上和雄氏と、九段クリニック院長阿部博幸氏の対談をまとめた「生きている。それだけで素晴らしい」(PHP)という本があります。

何気なく手にとって、ぱらぱら拾い読みしていたら、このような文章が目に入ってきました。村上氏は、ご存知のように酵素「レニン」の遺伝子解読に成功し世界的な業績をあげられたかたです。



彼は、こんな面白いことをいっています。「大腸菌のおかげでどれだけノーベル賞学者が出たかわかりません」と。それでいて「大腸菌一つ、最初から人間はつくることはできない」のだそうです。

阿部氏は、臨床医として「NK細胞療法」をとりいれ治療に当たられていることで知られているそうです。



その阿部氏は「人間の体は、60兆個と言われる数の細胞でできていますが、その一個一個が生命をもっている…すごいことですね」といい、それを受けて、村上氏は「60兆と言うと、地球の人口の一万倍ですよ。それだけの数の細胞が、人間の体の中でけんかもせずに生きている」これは奇跡的なことだと言うのです。

彼は、そして「細胞は、自分自身を生かしながら、臓器のために働き、臓器は固体のために働いています。…このようなことがデタラメや偶然にできるはずがありません」と続けて言っていました。



私たち、人間の遺伝子は約30億。これは、38億年前から連綿と受け継がれ続けているのだそうです。そして、2000億分の1という極微の場所に、30億の塩基暗号が書き込まれていると言います。

塩基は4種類ですから、これを30億回かけた数の組み合わせが、私たちが持っている全遺伝情報ということになります。村上氏は「人間になる確率を計算したら、ほとんどゼロです。あり得ないことが起こっている」といっています。

そして、著名な遺伝学者、故木村資生氏の次のような驚きの言葉を紹介していました。「生き物として生まれてくる確立は、一億円の宝くじに100万回連続して当たったのと同じ」なのだそうです。



私は、ときどき宝くじを買い、いつもはずればかりで、「本当に当たりってでているのか?」と怒ってばかりいましたが、なんと、すでに一億円100万回、しかも連続当てていたのには気づいていなかったのです。

(2006.11.10 )