ホリスティック医学って何ですか?
自然治癒力を高める“生命場”
帯津良一(帯津三敬病院院長)
「身体を寛放(かんほ)せよ」という言葉がありますが、これは天台大師が言った言葉で「天台小止観」に出てきます。もちろん私もこれをくまなく読んだわけではありませんが、寛放するというのはすなわち解き放つこということです。
呼吸法をするときに大切なのは、1・・・・、2・・・・というように箇条書きになっているのですが、その2番目に「身体を寛放(かんほ)せよ」と書かれています。これは身体を宇宙に向けて解き放つことが呼吸法の極意だということです。このことは自分の“場”と交流するのと同じです。
私たちの身体の中の“場”は皮膚や呼吸を通じて外とつながっていますが、それをもっと先に進めて中に残っているものを全部解き放ってしまうことが身体を寛放する医学だと考えるのです。
ひとりひとりの身体の中にある“場”を見るのがホリスティック医学でしょう。さらに環境の“場”も見なければなりませんし、地球の“場”も見なければなりません。宇宙も見なければなりませんし、虚空も見なければなりません。あの世まで見なければならないのです。
さて、“場”という概念は非常に大きいものですが、例えば私たちが肉体を持って生まれる以前にも私たちの“場”は存在していたと思います。もちろんその頃の記憶はありませんから、どこにいたという確証はないのですが、私はモンゴルの大草原に非常にやすらぎを感じます。モンゴルの果てしなく続く草原にたたずみ、ただそこに座っているだけで私の“場”が癒されていくのを感じます。そこに自分の“場”の記憶があったように感じ、肉体を持った今の私の“場”=“生命場”が引き上げられていくような気がするのです。
そういう場所を求めていくと、その場所が持つ自然治癒力にも出会えることになります。自然治癒力は人間だけが持っているものではありません。一見すると生命の無いように見えるものにも実は自然治癒力はあると思います。
自然治癒力を高めるというのはホリスティック医学の一つの方向です。医学はまさに臓器から空間の方向に進んでいます。
場所の持つ力は私たちの自然治癒力を高めてくれるはずです。みなさんに遠いモンゴルの大草原をすすめるわけにはいきませんが、どこかにきっと自分の“生命場”が癒される場所が存在すると思うのです。
長い人生の中で、肉体を持つ以前に自分のいた場所を探し当ててみるのも人生の一つの楽しみかもしれません。
(地球人通信1997.4)
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