犯人は誰だ!?


はじめに

タイトルだけで判断すると凄そうなんですが…単に友人や後輩にちっちゃなイタズラをして犯人を探させるといったお馬鹿ネタです。ま、ほぼ私が犯人なんですけどね。目指せ完全犯罪!!


????/??/??(???)

ある日の午後、研究室の机に向かって、ぼーっとしていた。いわゆる暇なのである。ふと隣の机をみると零戦のソフトグライダーが飾ってある。何の気なしに紙を吹き出しの形に切り抜き、それにある文字を書いた。

“わーい!”

そして引き出しに何故かあるドラフティングテープで零戦のパイロットにくっつけておいた。そして、しばらくして…

「誰だ、こんなことやったのは!」

零戦のオーナーである。ご協力ありがとうございます。予想通りのリアクションです。それに対する私の返事はもちろん、

「知らないよ。」

です。さらにそれに、

「そんなことやるなんて○○君じゃないか?」

と付け加える。後輩に罪を擦り付けようなんて、なんて後輩思いの先輩なんでしょう。そして友人の「零戦吹き出し貼付け」の犯人探しが始まったのです。まぁそう簡単に犯人は見つからないでしょうなぁ…、証拠隠滅は既に終了してますし…やはり捜査は難航している模様…

「○○君は犯人じゃないみたいだ。」

「ふーん、じゃあ誰だろうねぇ…」

捜査官と真犯人との会話である。そして、ふと友人がその吹き出しを零戦から剥がした。すると…

「ん!?このテープお前しか持ってないんじゃないか?」

「げっ!」

「犯人はお前だな!」

普通のセロテープだと粘着力が強すぎて、ソフトグライダーの印刷が剥げると思い、粘着力の弱いドラフティングテープを使ったんです。それがアダになろうとは…ここは潔くしなければ…

「私がやりました。」

(BGM:聖母たちのララバイ)

そして事件は解決したかに見えた。しかしこの一部始終見ていた者が1人…


????/??/??(???)

次の日研究室に入ろうとするといきなり友人が、

「またお前が犯人か!」

と、言ってきた。何が何でも2日連続でそんなことはしませんって!やるんだったらもう少し時間が経ってからやります。そして例のゼロ戦を見てみると、

パイロットから吹流しが出てます。

はっきりいって面白すぎです。なんで吹流しなんか付けたのでしょう。なんか犯人は大体分かったような気がします。しかし友人は私が犯人だとまだ思っている様子…こうなったら真犯人を探し出すしかありません。そこで…

「○○君の傍のゴミ箱に吹流しを切り抜いた後の紙があるかも…」

と、言ってみました。そして探してみると案の定…

証拠の品、発見!

まだまだ甘いな、○○君…犯人は犯人のことを良く知っているのです。

こうして事件は終了したのです。


????/??/??(???)

あれからどのくらい経ったのでしょう…研究室にも新しい学部生が入ってきました。なんか面白いことやってみましょう。別にからかうわけではありません。何かないかと探していると、私の机の上にあった「ちびうさちゃん」の人形が目に入る。数日前に友人達とゲームセンターに行ったときのこと、新しいプライズマシンである「コンビニキャッチャー」無意味にゲットしたものである。私はそんなものいらないので、友人の車にこっそり置いてきたのだが、友人もやっぱりいらなかったらしい…いつの間にか私の机に置いてあったのである。そこで…

紙を吹き出しの形に切り抜き、切り抜いた後の紙は○○君の机の傍のゴミ箱へ捨てる。

蛍光ペンは友人の机に置いてあったものを使う。

筆跡が分らないように吹き出しに丸文字で、“わたしちびうさ、よろしくね(はぁと)”と記入。

何処にでもあるセロテープを使って、吹き出しを人形の口の位置に貼り付ける。

そして後輩のカバンにその人形を付けておく。

まさに完全犯罪への序章です。絶対私が犯人だとは誰も思わないでしょう。では、後輩のリアクションを待ちましょう。

「これくっつけたの、誰?」

見つけたようですね。まずは同級生に聞いているようです。しかし犯人はもっと上の人物です。そしてこちらにも相談しに来ました。

「これくっつけたの誰か知りませんか?」

「ハハハ、面白いことする奴いるんだね。」

笑って、あたかも自分は犯人じゃないかのように話す。まさに演技派です。周りにも数名います。が、そこにいるほとんどが私が犯人であるということを分った様子です。別に犯行の現場を見られたわけではありません。ただこんなことする奴が私しかいないんです。そこでここにいる数名でこの事件について話し合いをすることに…

「研究室を出る前はついていませんでしたから、帰ってくるまでの間にくっつけられたんだと思います。」

なかなか覚えてますね。では被害者に最も協力的な人物を演じてみましょう。

「じゃあ、犯人はこの室内にいる人だと思ってんの?」

「はい!」

「ちょっとその人形見せて…」

被害者に協力的な真犯人、多分、彼の中では私は既に容疑者から外されているかもしれません。

「この文字書いてある蛍光ペンってさぁ、持っている人少ないんじゃないの?」

思いっきり、ミスディレクションするように口火を切ってみました。案の定、そうだ!とばかりに蛍光ペンを探し始める後輩…まさに犯人の思うつぼです。そしてその蛍光ペンを発見!一気に第一容疑者に名乗りを上げる私の友人…

「これやったの□□さんですか?」

「違う、違う…」

「本当のこと言ってくださいよー」

ちょっと泣きが入ってきちゃった様子です。そこで私がもう一声…

「おいおい、もう誰か本当のこと言ってやれよー」

悲壮感漂う後輩を目の前にしてもまだ自首つもり全く無し!

そうすると第一容疑者の友人が…

「お前が犯人だと思う奴を名指ししろ、当たってたら自白するよ。しかし外れてたらどうなっても知らんぞ!」

頷く、一同…

そして、意を決して後輩が名指しした人物は…

やっぱり第一容疑者である私の友人□□君

友人から軽く小突かれる後輩…

「本当に違うんですか〜」

甘い、甘いよ…こういう推理ものの場合、協力的な人間ほど疑ってかからなくちゃね。でも決してこんなことで人間不信には陥らないでください。ちょっとしたレクリエーションとしてとってくださいね。

そしてその後、ちゃんと全ての種明かしはしましたよ。これで後輩もすっきりとしたことでしょう。

しかし後輩の中で、私の評価は確実に変わったと思います。


Back