帯状疱疹(たいじょうほうしん)

日本人で80才まで生きたら半数がかかると言われる帯状疱疹。高齢者に多く、70-80%は50才以上に発症する。皇后様も雅子様も帯状疱疹になられたように誰でもがなる可能性のある病気。皮膚の異常に気付いたら放置せず、早めにきっちり治療すれば多くの場合完治するが、放置したり、無理をしたりしてこじらすと激しい神経痛などの後遺症が残って、長年苦しむことにもなるので、早期発見・早期治療が必要である。帯状疱疹を疑ったら、一刻も早く皮膚科を受診したが良い。

症状
  • 皮膚がぴりぴりした感じや鈍痛で始まる。かゆみを伴う事もある。痛みは増強する。
  • その後4〜10日後に身体の左右どちらかに1本の神経に沿って赤いぶつぶつ(発疹)や小さい水ぶくれが帯状に出現する。最初は虫刺されかと思うほどである。身体の片側に出る。約80%の人は発疹より先に痛みが出るので、最初は心筋梗塞や盲腸に間違えることもあるほど。また、皮膚科より先に整形外科を受診する事が多い。
  • 皮膚症状は、発赤→水疱→膿胞→ただれ→かさぶたの経過をたどる。

発疹は痛みを持ち4〜5日続き、その後徐々に赤みが薄くなり、通常は3〜4週間で治る。痛みのピークは通常は発症後2週間前後で、痛みのため夜も眠れないこともある。

  • 好発部位は、@肋間神経の走行に沿って痛みが起こる。(肋間神経痛)、A三叉神経第1枝(顔面のまゆ毛の上)領域、その他全身どこでも。顔面に起きた場合は特に注意。顔面神経麻痺により顔がまがる人もいる程。
  • 高齢者(50才以上)ほど後遺症を残す率が高く、治療が遅れたり、充分でないと、皮膚の症状が綺麗に治っても痛みが残ることがある。これが「帯状疱疹後神経痛」と言われているもので、“電気がはしるようだ”、“焼けるような痛み”、とか、“ピリピリする痛み”とか色々な表現がされる。不思議と寝ている間は感じない特徴がある。ウイルス感染による炎症性疼痛である「帯状疱疹痛」に対して、「帯状疱疹後神経痛」は神経変性による疼痛だろうと言われている。この帯状疱疹後神経痛は、数か月から数年以上にわたって痛みが続くことがある。帯状疱疹後神経痛への移行は約10%程度だが、70歳代では程度の差はあっても50%以上の人が神経痛に悩むことになると言われている。また、希に、脳炎、髄膜炎、直腸障害が起きて死亡する事があるので注意。
  • 帯状疱疹の痛みに関して、
    @帯状疱疹痛   :発病〜3週間位(ほとんどの人が経験する)
    A帯状疱疹神経痛 :その後3ヶ月位迄(多くに人はこの時期に痛みは治っていく)
    B帯状疱疹後神経痛:6ヶ月以降という分け方をする事もある。(高齢者などに起きることがある)
帯状疱疹
単純疱疹
ヘルペスウイルスによるものだが、細かい分類では異なったウイルスで親戚関係にあたる。症状など色々似たところはあるが、別の病気と考えて治療すべき。
  • 最初はピリピリした痛みが先行する事が多く、その後、2-3日後、体の右または左の片側の神経に沿って、広い範囲に帯状に発赤と小水疱が出来る。
  • 専門医を受診する事が望ましい。抗ウイルス剤の内服、重症は入院して点滴。
  • 病院で適切に治療すれば10日以内に治ることが多いが、痛みが残ることも多い。
  • 皮膚症状は治っても、痛みがいつまでも続く事がある。
  • 昔は帯状疱疹は1回かかると生涯かからないと言われたものだが、現実には、「ほとんどの人は1回だが、免疫力が落ちていると複数回再発する人もある」と言える。
  • 老人、20歳代、50-60歳代に多い。
  • 高齢者(50-60歳)で過去帯状疱疹をやったことのない人は水痘ワクチン接種を医師と相談したがよい。
  • 伝染しない
  • 1型(唇・顔・角膜主体)と2型(性器に発症)がある。
  • 最初、皮膚が赤くなり、ぴりぴりしたり、むずむずしたり、チクチクした痛みやかゆみを感じ、その後小水疱が出現する。水疱は数個出来、次第に大きくなる。
  • 自然治癒も多いが、抗ウイルス剤を使用すると治りが早い。
  • 通常痛みは残らない。
  • 初感染の時は稀に、水疱の多発、高熱、リンパ節の腫れなど重症化することもある。
  • ごくまれだが、角膜炎や脳炎を起こすことがあるので注意。
  • 発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣、失語症、異常行動、人格変化等ヘルペス脳炎の症状が現れた時は一刻も早く病院(神経内科等)を受診。抗ウイルス剤(アシクロビルやビダラビン)などの点滴を行う。
  • 体調が悪くなると、しばしば再発する。

帯状疱疹とは
  • 子供の時かかる水疱瘡が治った後、ウイルスが身体の神経節に何十年も潜み続け、身体の免疫力が落ちたときに再び増殖して活動を開始して、神経を伝わって皮膚表面に現れ水疱をつくり症状が出る。
  • 少子高齢化の影響で帯状疱疹が増加している。子どもが減って年寄りが水ぼうそうの患者と接触する機会が減ったためにウイルスに対する免疫力が弱まった結果、帯状疱疹を発症しやすくなったと考えられる。
  • 水ぼうそうが冬に流行るのと反対に、帯状疱疹は夏に増える。水ぼうそうは約90%が10才までに感染するといわれる。
  • 50才から増え始め60-70才代でピークになる。子どもの患者も稀ではない。
  • 大人にうつすことはまずない。但し、水疱瘡にかかったことのない子供にはうつることがあるので注意。
  • 帯状疱疹を発症した人は、数週間以内に脳卒中になるリスクが有意に高くなり、特に、眼の周囲に発疹がみられる場合リスクは3倍になるという。これは、ウイルスが血管壁に侵入し、細胞に感染して血管の閉塞または破裂の確率を高めることによると考えられている。ただし、抗ウイルス治療を受けた患者は比較的リスクが低いとロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)が2014年4月発表した。
検査
  • 皮膚の症状をよく見ることでほぼ診断がつくが、確定診断のためには、血液検査(ウイルス抗体価を皮疹出現時と回復時の2回検査して比較する)や患部の一部を採取して顕微鏡での病理組織検査やウイルス抗原検査を行う。
    抗体検査:通常、初診の時と1週間後に帯状疱疹に対する抗体を調べる。帯状疱疹のウイルスに対して体が、防御のために作るのが抗体だが、初診の時と1週間後を比較すると、4〜8倍に抗体が増えることが必要です。(ペア血清) 
  • 帯状疱疹を発病すると言うことは、免疫機能が弱っていることを意味しているので、特に格別の理由もなく、この病気が出現したときは、他の病気(稀だが、がん等)も考えられるので念のため病院で検査を受ける必要がある。
  • まれに髄膜炎を併発することがある。この場合は髄液の検査が行われる。
治療
  • 皮膚科では抗ウイルス薬(ウイルスの増殖を防ぐ)を使用する。@注射(点滴)、A内服薬、B軟膏がある。注射が一番確実だが、1日3回点滴するため入院が必要になる。内服薬のゾビラックス錠は通常1日5回、7日間内服する。但し、発症後早期に服用しなければ効果が薄くなる。急性期の痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの一般的な痛み止めが有効。眠れないほどの痛みには注射による神経ブロック(硬膜外麻酔)も行われる。半年後15-25%の人に残るといわれる帯状疱疹後の神経痛には抗けいれん薬(プレガバリン等)や三環系抗うつ薬(アミトリプチリン等)が処方される。それでも痛みが取れない場合は、麻酔科でがんの緩和にも使われるオピオイド系鎮痛薬が使われる事がある。尚、抗ウイルス薬やNSAIDsは腎臓の機能が悪い人は注意が必要。尚、2010年痛みを伝える神経伝達物質の過剰放出を抑える新薬プレガバリン(一般名)が登場した。「これまで対処できなかった痛みにも有効」で、欧米では第1選択薬となっている。一方、ふらつきや眠気などの副作用が出やすく、安易に高齢者や車の運転をする人に処方すると転倒や事故の危険があり慎重に使う必要がある。
    アシクロビル(商品名:ゾビラックス[軟膏・錠剤等] アシクロビルの内服は1日5回で面倒)やアラセナA軟膏(商品名:ビダラビン[軟膏])やステロイド剤が使われる。ゾビラックスを改良した第二世代抗ウィルス薬として、バルトレックスがある。これは単純疱疹なら、1回500mg(1錠)を1日2回経口服用するが、帯状疱疹なら1回1000mg(2錠)を1日3回服用する。5日間服用しても少しも良くならないようなときは医師と相談。ファムビル錠250mg等も用いられる。( 成人はファムシクロビルとして1回500mgを1日3回1週間服用する)
  • 症状がひどい場合は入院治療が行われる。高熱、激しい頭痛・吐き気、皮疹が更に広がった時、激しい神経痛、顔面の麻痺、目にウイルスが感染した、排尿困難な場合など。
  • 痛みが強い場合はペインクリニックで神経ブロック療法を行う事もある。出来るだけ早期(出来れば2週間以内、遅くとも1ヶ月以内)に行うのが良い。局所麻酔剤や抗炎症薬を痛みにかかわる神経周辺に注入する神経ブロック等が行われる。薬の効果は2〜3時間だが、繰り返しブロックする事で痛みは和らぐ。治療開始が遅れるほど効果が出なくなる。点滴と塗り薬で落ち着いても神経痛が残った場合は、発症後、遅くとも6ヶ月以内に神経ブロックを行うことで神経痛を回避出来る事も多い。通常の痛み止めが効果の無い人で抗鬱剤が効く人がいる。
  • 神経ブロックには、星状神経節ブロック、三叉神経ブロック、肋間神経ブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロック等があるが、神経ブロック療法には効果も大きい反面、リスクもあるので治療経験の豊富な専門医にかかる事が必要。塩谷ペインクリニックNTT東日本関東病院ペインクリニック(大瀬戸部長)、順天堂大学麻酔科ペインクリニック科(宮崎教授)等が著名。
  • 皮膚科とペインクリニック科の両方があって連携の良い病院が一番理想的。普通はまず皮膚科を受診し、痛みで眠れないような場合にペインクリニック科を受診することがほとんどだが、ぐずぐずしていると遅いことも多く、皮膚の症状が残っている内(発症後2週間以内)に薬を併用しながら、ペインクリニックの治療を開始すると帯状疱疹後神経痛を回避出来る事が多い。
  • 一旦、帯状疱疹後神経痛になると痛みを完治させるのは難しく、痛みを和らげる治療が行われる。低出力レーザー治療やイオントフォレーシス等。
  • 色々な治療を試みても痛みの改善がなされない場合、試してみる価値のある方法に「脊髄電気刺激療法」(順天堂麻酔科宮崎東洋教授などが実施中)がある。これは、脊髄の外側をとり囲む硬膜に細い電極を入れ微弱な電流を流すことで刺激を与え痛みを軽減させるもの。痛みを30%〜50%軽減出来るとのこと。試しにやってみて効くようなら本格的な手術が行われる。2〜3週間程度の入院が必要。
  • 自己管理としては、安静にして十分な栄養と睡眠を取ること。出来れば一週間程度会社を休んだ方が結局は治りが早い事が多い。
  • 痛みが強い場合は、患部を冷やさないようにして、風呂に入った時など温めて軽くマッサージすると痛みが和らぐ。
  • 水疱は破らないように注意する。(細菌感染を防止する) 水疱が破れているときは入浴は避けたが良い。
  • 慈恵医大本院、慈恵医大青戸病院、慈恵医大第三病院、NTT東日本関東病院、順天堂、昭和大学の皮膚科とペインクリニック科が著名。
予防
  • 疲労、睡眠不足、ストレス、風邪、強いX線や老化等で体の免疫力、体力が落ちたときに発症しやすいので、規則正しい生活を心がけ無理をしない。
  • 昔は一度罹患すると一生涯かからないと言われたりしたが、免疫力が落ちると繰り返して発症する可能性がある。(再発する人は100人に数人程度)
  • 帯状疱疹は50才以上に多く、80才までに3人に1人が発症する。高齢者が水痘ワクチンを接種すると、帯状疱疹の罹患率が50%以下に減り、また帯状疱疹後神経痛が1/3に減るとの報告があるので、50才を過ぎたらワクチン接種を主治医と相談すると良い。特に、重症化しやすい糖尿病の人には勧められる。ただし、免疫系が低下している患者や帯状疱疹の罹患歴がある患者はワクチン接種をしない方がよい。ワクチンは保険がきかないので1万円程度の自己負担になる。効果は10年程度持続するといわれるので、50〜60才の時点で接種したが良い。
参考情報

帯状疱疹の治療関連図書 

私の場合

私自身も20年ほど前に帯状疱疹になった事がある。最初は虫さされかと思ったのだが、痛みが強いので、すぐに西新橋の慈恵医大皮膚科を受診した。胸から腹部にかけて水泡が出来て痛く、ベルトが出来ず、その時は初めて吊りズボンにした。その後順調に回復したが、疲れたときなど体力が落ちたと思われるとき、再びウイルスが暴れ出して水泡を伴う発疹が出来ることがある。帯状疱疹はそれほど稀な病気ではなく結構多い。たかが帯状疱疹と侮っていると大火事になる事がある。私の友人で、帯状疱疹が顔面に出たのに、仕事が忙しく出張続きで充分な治療と休養が取れなかったために、痛みがひどくなり、ステロイド治療やペインクリニックでの神経ブロックでも完治せず、長い間痛みに苦しみ、遂に出勤もままならず会社を辞めてしまった人もいる。帯状疱疹と思われる症状が出たら、一日でも早く皮膚科(及びペインクリニック科)を受診し、適切な治療を受けると共に充分な休養を取って回復に努めるのが良い。放置して治療の機会を逸すると、後で仕事もやめなければならないほどのつらい神経痛が残ってしまうことにもなりかねないからだ。

この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。

 
更新履歴:2005.9.22/2005.12.29 /2012.4.1

 

 

 

 

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