心筋梗塞・狭心症の予防と治療

最終更新:2014.8.13

発症すれば病院到着前に1/3は死亡すると言われる心筋梗塞。年間で約45,000人が死亡している。冬の朝、起床後1時間以内に多い。もともとは男性は50才以上、女子は60才以上に多い病気だったが、最近では30-40歳代 にも増えているので注意が必要。心筋梗塞を発症した人の30%は何らかの予兆を感じているが、70%の人はある日突然発症していると言われる。従って、狭心症の症状がないから、自分は心筋梗塞は起きないと考えるのは間違っている。動脈硬化が基礎になるが、統計的には25%程度しか詰まっていない血管が一番心筋梗塞を起こしやすいので動脈硬化がひどくないから安全とは言えない。普段から食事、運動、ストレス、酒、たばこに注意すると共に、普段から心臓の専門医のいる病院を調べておいて、いつもとは違った症状があればためらわず救急車で医療機関に駆けつける事が生還につながる。

心筋梗塞の症状

心筋梗塞は心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈に血栓が詰まる病気。血流が途絶えるため、そのまま放置すれば心臓の筋肉が死んでしまう。平均死亡率は20-40%と恐ろしい病気。心筋梗塞には胸痛が起きるのが普通だが、意識がなくなるタイプもある。また胸痛が起きてその後意識を失うケースもある。

@胸痛が起きる 吐気、息切れ、鳩尾の痛み、胸部の痛み、動悸、歯、左肩や腕等に痛みが出たり、冷や汗や生あくび、吐き気、腹痛、足のむくみ、寒気が出る事もある。死ぬのではないかという不安感に襲われることもある⇒胸に激痛が無くても、強い疲労感とか、なんとなくいつもと違うと感じたらためらわず救急車を呼ぶ。数分続く胸の痛みが数日続いている場合は発症の前触れかもしれないので循環器科を受診するのが良い。女性の場合は胸痛を訴えない心筋梗塞が多い。 典型的な胸痛が無くて強い疲労感が起きて調べたら心筋梗塞だったというようなこともあるので油断できない。心臓の血管が詰まっても毛細血管が発達していると心臓が止まらないで済むこともある。
※痛む箇所が狭い場所に限局し、“ここが痛い”と指し示す事が出来るような場合は心筋梗塞でない事が多い。
A意識がなくなる場合 激痛もないまま、立ちくらみがして急に意識不明になる。心室細動が起きているので放置すれば数分で死亡する)⇒直ちに人工呼吸・心臓マッサージを施している間に、近くの人に頼んで、救急車を読んだり、AEDを探す。救急車到着前にAEDが手に入れば、直ちに自動対外式除細動器(AED)を使用する。個人でAEDを所有している人は家族が人工呼吸や心臓マッサージより先にAEDを使用する。AEDは自動的に電気ショックの必要性を判断して実施を要求する。

心筋梗塞と狭心症の主な違い:

心筋梗塞
狭心症
突然強い胸痛が起きる。但し高齢者や糖尿病患者では胸痛を感じない事も多い。冷や汗が出る
立ちくらみから突然意識不明になる例もある。
前胸部に痛みや圧迫感が主として労作時に起きる。但し、深夜から早朝の安静時に起きるタイプもある。
胸が痛い時間が長い(30分以上続く) 胸痛は安静にしていれば短時間で回復する(通常5-6分、長くて30分)
朝発生しやすい(起床後2-3時間又は9-10時頃)
運動中に起こりやすいU(早朝ゴルフは危険)
動作時に起きやすい(安静時もある)
脱力感や意識の低下、冷や汗が出たり、手足が冷たく感じる 左肩、上腕やあごに痛みが放散する
胸だけでなく、肩・首・歯・腕に痛みが広がる事がある  
ニトログリセンリンは無効 ニトログリセンリンが効く

無痛性心筋梗塞
無痛なのに心臓が突然停止する心筋梗塞が年間10000-20000人発生していると言われる。糖尿病患者や高齢者は無痛の心筋梗塞が多い傾向がある。重大なサインは「冷や汗」。理由もなくどっと出る「冷や汗」に加えて、めまいやだるさ、顔面そう白といった症状が出たら迷わず救急車で循環器の病院へ行くべき。

胸痛が起きたときに考えられる病気:心筋梗塞との鑑別が重要

  1. 心筋梗塞・狭心症
  2. 胸部大動脈解離・動脈瘤破裂 (左の肩甲骨の内側の痛みがあったら、大動脈の解離を疑うこと)
  3. 肺塞栓、肺血栓塞栓症
  4. 自然気胸
  5. 急性心筋炎・心膜炎
  6. 食道破裂
  7. 逆流性食道炎

心筋梗塞の危険因子

  • 狭心症
    階段を上ると胸が締め付けられるような感じが起こり、数分休むと楽になるような人は心筋梗塞の前触れかもしれないので、そのような症状を体験したら循環器内科の先生に相談する。ただ、狭心症は心筋梗塞を発症する下地にはなるが、狭心症の症状を自覚しない人でも突然心筋梗塞を発症する例が50%程度あるので、狭心症でないからと言って安心は出来ない。
  • 動脈硬化(高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、高尿酸血症
    ウエストが男性で85CM、女性で90CM以上、最高血圧が130以上(又は最低血圧が85以上)、空腹時の血糖値が110以上、中性脂肪が150以上か善玉コレステロールが40未満の人は、そうでない人に比べて心筋梗塞の発症比率が2倍高いと言われるので注意が必要。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、血液を固まらせて血管を詰まらせたり、血圧を上昇させる成分が多くできると言われる。特に、早朝高血圧の人は、脳卒中、心筋梗塞、狭心症のリスクが5倍以上になる。
    動脈硬化は、血管は硬くなってもほとんど症状がない。90%詰まった血管は狭心症を起こしやすいが、心筋梗塞が一番起きやすいのは統計的には、25%詰まった血管が心筋梗塞が起こりやすい。心筋梗塞の50%は25%程度の軽度の動脈硬化の人に起きている事実には注意を要する。普段何ともない血管が心筋梗塞を起こすことを知っておく必要がある。高血圧が一番の危険因子なので140/90以下に保つように努力する。
  • 血液がドロドロの人(流れが良くない人)
  • 喫煙(若い人の心筋梗塞に特に関係が深い)
  • 家族歴(親が心筋梗塞を発症した人、高血圧や糖尿病の人は特に注意)
  • ハイリスクグループ:高齢者、糖尿病、男性、閉経後の女性
  • 歯周病菌(心筋梗塞を発症する確率が3倍高いので歯石を年二回程度歯科で取って貰う等治療が必要)
  • ストレス、過労、睡眠不足、早朝の運動が重なると心筋梗塞の危険が高まる。
  • 長崎市立市民病院の中島寛循環器内科部長によれば、睡眠時無呼吸があると、目覚めた後の交感神経や血小板の活性を更に高まるために、無呼吸の無い人に比べて午前中の心筋梗塞が起こりやすいとの調査結果を発表した。(2013/9)

心筋梗塞の検査

  • 冠状動脈は太いところで4-5MM。
  • 心筋梗塞マーカー検査:少量の血液を採血して診断キットに垂らすだけで15分程度で判定可能となる。これで陽性と出たら、専門医による精密検査と適切な治療が必要。心電図に現れないような初期の心筋梗塞も見つける事が出来る程高精度。心筋梗塞になりかかっているかどうかを判別出来る。現在2種類が保険適用される。それぞれ一長一短あるので、出来るだけ2種類の検査をやって総合判断するのが良い。定期的な検査には使えない。心臓がおかしいと思ったら、循環器内科を受診して検査をして貰うこと。但し、腎臓機能に異常のある人は計測出来ない事がある。
    @トロポニンT:発症4時間〜1週間程度まで測定可能。発症直後は反応しない。
    AH−FABP:発症2時間〜1日程度。(狭心症や心不全でも陽性になる事がある)
  • 高感度CRP検査が最近可能になった。高感度CRP測定装置では0.01mgまで正確に測れるようになった。このため心筋梗塞の超早期の診断が可能になった。CRPは従来法で基準値(正常値)は陰性、または1dl当たり0.3mg以下と言われているが、高感度CRP検査での健康な人の基準値は0.04mg以下。0.3mgを超える人は、将来、心筋梗塞などを起こしやすいことが明らかになってきたと言われる。
  • 心電図  但し、右脚ブロックの人は心電図の電気の流れが複雑で心電図から心筋梗塞を読み解くことが難しい。従って、普段の心電図を持っておいて必要な時に医師に見せることが出来るように準備しておくのが良い。 
  • 心臓エコーで左冠状動脈の血流が分かるようになった。時々エコーを実施し経過観察するのは良い。
  • マルチスライス3D-CT検査(MDCT):従来のCTやMRIでは動いている心臓の検査は不可能だったが、16列マルチスライスらせんCTでは10秒〜20秒程度で心臓冠動脈の狭窄や石灰化がよく分かるようになって、従来の冠動脈造影検査に代わって心筋梗塞などの早期発見のためのスクリーニング検査として有用と言われる。最近の3D-CTでは、0.5mm間隔でCT撮影して立体で見るので、不安定狭心症など危ない狭心症も見分けが付くようになった。

    ☆ この分野の技術革新はめざましく、16列から32列、さらに現在は64列のCTが各病院で次々に導入されており、心臓の検査はCTでという時代になってきた。 (16列の例:八王子クリニックマルチスライスドック
    千葉西総合病院では2005/8 最新のPhilips社製64列マルチスライスCTを導入し、従来のリスクや苦痛を伴う心臓カテーテル検査に代わって侵襲の少ない方法で冠動脈の狭窄の発見等に威力を発揮している。(撮影中の息止め時間も僅か5秒を2回、カテーテルによる血管造影検査は不要で、点滴だけで撮影が可能、結果は15分で出ると言う。予約も不要。費用は保険で\6000〜8,000程度と安い) 診察で狭心症が疑われると、まずこのCT検査を実施すると70%は正常で経過観察、30%が精密検査として心臓カテーテルの対象になるという。
    千葉西総合病院が2008年10月、256列マルチスライスCTを導入:従来の64列に加えて、2008年11月、日本で最初にPhilips社製の最新型256列心臓CTを導入した。最短1.7秒程度での冠動脈の撮影が可能とのこと、また、脈を遅くするベータ遮断薬という薬を事前に服用する必要が全くなく、どんな不整脈があっても関係なく撮影できるという。これで診断のためのカテーテル検査はほとんど不要になり、“CTがカテーテルを超えた”と言われている。(カテーテルは侵襲が多い、CTは狭窄やプラークの検出に威力を発揮している)
  • MCG解析 
    何か心臓に病気があるか無いか、重症度合いが出てくる検査。これは、心臓が出す電気信号をデジタル処理、ホストコンピュータへ伝送し、約4万件のデータベースと照合&解析し、心臓の状態や心疾患のリスクを判定するもの。胸と手足に電極を付け、5分間安静にするだけ。東京ハートセンターでは心臓ドックのオプションでのみ受診可能。プレミアムドック21万円。心臓の血管は綺麗だとか、小さな心筋梗塞が過去起きた形跡があるとかが分かる。現在まだ導入施設は少ない。
  • 心筋シンチグラフィ(下記項参照)
  • 心臓カテーテルにより冠状動脈の狭窄の程度を調べる。心筋梗塞や狭心症の確定診断。検査は1-2時間。使用されるカテーテルは最新式はナイロンやシリコンなど血管を傷つけにくい素材で出来ており、患者の血管に合わせて3oから0.014oまで様々な太さのものが使い分けられる。入院1-2日。費用は約30万円だが保険が効くし、高額療養費の対象になり還付が受けられる事もある。検査に絶対安全という事はなく、死亡事故(1%未満?)もあるので、実績豊富な医療機関で熟練した医師にして貰うことが大事。カテーテルの前にマルチスライスヘリカルCT検査を受けるとよい。(万一の場合を考え、循環器内科医と心臓外科医のいる病院)
    冠動脈造影法 足の付け根(又は手首や腕)から細い管「カテーテル」を挿入し、冠動脈に造影剤を注入してレントゲンで見るもの。日帰りでも出来るが普通は一泊。結果次第で、病院によっては、更に情報を得るため次の検査を連続して行う事がある。
    血管内超音波検査 血管の内腔からエコーをあてて血管の詰まり具合を見るもので、詰まっているプラークが、石灰(カルシウム)、コレステロール、繊維いずれなのかを知り、更に、プラークの性状まで分かる。つまり血管に詰まっているものが柔らかのか固いのか、血栓の出来やすさを知ることが出来る。
    血管内視鏡検査 光ファーバーを通して身体の外から肉眼で見るもので、血管の色からコレステロールの詰まり具合、動脈硬化の進展具合を見られる。

マルチスライスCT

  • 従来のヘリカルCTの欠点(立体画像は取れるが精密度が落ちる)を改良したもので、最新型は64列の検出器を組み合わせて使う。各病院で相次いで64列の導入が進んでいる。一度に64枚の画像を撮影し、コンピュータ画面で立体的な画像にすることが出来る。血管の内外を撮影して血管壁の厚さや石灰化の状態なども観察できる。16列のCTに比べて撮影速度は4倍、X線被爆量は1/2に減った。石灰化が強い人は不適。
  • 脳、肺、心臓、消化器、骨などに使えるが特に、動きのある心臓の撮影に威力を発揮する。血管内部まで撮せる。立体的に見ることが出来る。冠状動脈の狭窄などもかなりの程度まで知ることが出来る。
  • 従来カテーテル検査が主流だった大動脈瘤の検査などもマルチスライスCTで瘤の大きさや破裂するかどうかなども判断出来る。
  • カテーテル検査では出血や血栓の可能性があるが、CTではそのような心配はない。
  • マルチスライスCT検査の前にカテーテルを薦める病院の場合はその理由をよく確認したい。(カテーテルは病院に取って儲かる、学会発表や病院ランキングの際の実施件数稼ぎに使われる事が多い)
  • 検査自体は簡単だが、問題は読影。CT画像の解析に経験のあるところで実施したい。
  • 肺ガン検診用にはこれまで主として4列のマルチスライスCTが用いられているが、心臓用には16列、64列などが望ましい。
  • 前項のように、千葉西総合病院が2008年11月、256列マルチスライスCTを導入した。
  • 現在導入済みの病院:千葉西総合病院、慈恵医大、慶応病院、東京警察病院、都立荏原病院、北里大学病院、獨協大学越谷病院、東部循環器病院など
  • 技術の進歩は早く、既に、心臓の撮影を目的に、320列CTや、64列の検出器とX線管球を2セット装備した次世代機などが続々登場して来ている。これらは、従来の64列CTより撮影時間が短いため、きれいな画像を簡単に撮影でき、被曝、造影剤量も少ないと言われる。最新鋭の機械を買えるか買えないか、病院の体力勝負になってきた。
  • 心臓CT検査は狭心症などを調べるのに効果を発揮する。一方で、X線を使うため、患者の放射線被曝が避けられない。被曝線量は1回10ミリシーベルトを超える場合が多く、病院で受ける検査の中では低くはない値だ。冠動脈カテーテル検査では、5ミリシーベルト程度だ。そこで各病院では被曝量を減らす試みが行われている。気になる人は事前に被曝量を聞いておくと良い。
  • 最新の320列マルチスライスCT(MDCT)を用いた冠動脈造影では、64列MDCTで実施する場合に比べ、被曝量が30%程度減り、スキャン時間も3分の1以下で済むので患者の負担は益々軽るくなることになる。

心筋シンチグラフィ(心臓核医学検査)

  • 運動負荷心筋シンチと薬物負荷心筋シンチがある。
  • 運動負荷直後に1回、3-4時間安静後に1回撮影する。延べ時間は6時間程度かかる。
  • 運動負荷は自転車こぎ(自転車エルゴメーター)。ペダルが1分ごとに重くなる。脈拍と血圧をモニターして先生が判断して終わりを決める。
  • 放射性同位元素(アイソトープ)を注射する
  • 運動負荷が出来ない人は薬物負荷で行う。心臓の冠動脈の血流量を最大にする薬剤を投与する。
  • 撮影中は20-30分静かにしているだけで良い。
  • 冠動脈の血流量、途絶えていないか等を確認するもの。
  • 薬の副作用の発生率は10万人に1-2人。
  • 3-8mSV程度の放射線被曝がある(胸部X線=0.05mSV、CT=3-10mSV、歯のX線検査=5mSV)
  • 狭心症、心筋梗塞などが診断出来る。

心筋梗塞の予兆

  • 約半数の人は心筋梗塞の予兆を感じている。心臓からのサインの事もあるから要注意。
  • 鈍い痛みで圧迫感や喉が詰まった感じがする
  • 放散痛で、肩、腕、喉、背中、時には歯が痛い事もある
  • 軽い息切れ、嘔気・嘔吐、全身倦怠。85歳以上の高齢者の場合は胸の痛みではなく、むしろ「息切れ」を訴えることが最も多い。
  • いつもより疲れる。風邪を引いた様な感じ。
  • 左肩だけが凝る。右肩や右腕に出ることも多い。
  • 気分は良くない
  • 冷や汗が出る→冷や汗は体が戦闘態勢に入っている証拠で危険な徴候
  • 首やあごの違和感
  • 女性の心筋梗塞の43%は胸痛を訴えない
  • 喫煙者は特に注意
  • 最初の心電図で異常が出るのは、心筋梗塞全体の13〜69%しかない。昔の心電図と比較するのは有効
  • 症状が出て1時間以内の血液検査でひっかかる確率は10〜45%。発症から8時間以上経過すると90%以上が引っかかる。
  • 3〜4時間後にもう一度採血と心電図を再度検査すると心筋梗塞の約96%を見つけることができる。
  • 心エコーは医者の腕に左右される。CTは放射線被曝が問題。心臓カテーテル検査は合併症が起きるリスクがある。

心筋梗塞の治療

心臓発作が起きたときに自分でやってみると良いこと

胸痛・圧迫感・腕が動かない等が起きたときは心臓発作の可能性が高い。そのまま放置すると10秒ほどで気を失うことになることもあるので、その前にやってみる価値のあること。
  • 強く深い「深呼吸」をしながら、2秒に1回程度の割合で「咳」を5回程度する(咳払いは心臓に刺激を与えポンプ運動を促進しリズムを回復する効果がある)
  • その間に救急車を呼ぶ。

急性心筋梗塞の死亡率は20%と高いので、理想的には発症後1時間以内、出来れば3時間以内、遅くとも6時間以内に治療する事が重要。救急車の到着まで、心臓マッサージなどの手当てをすれば生存率は飛躍的に高まると言われるので是非応急処置法をマスターしておこう。(首の両側の太い血管が脈を打っていなければ心臓が止まっているので速やかに救急車が来るまで心臓マッサージを100回位行えば死亡を免れる可能性が高くなる)

患者が意識がないとき(心臓発作)の応急手当
  1. 患者に意識があるかどうかを確認する
  2. 119番をして救急車を呼ぶ(携帯電話からの場合も局番なしで119すれば良い)
  3. 回りの人に頼んで、心臓に電気ショックを与える「自動対外式除細動器(AED)」を探して貰う
  4. 患者の気道を確保して呼吸の有無を確認、首の血管が脈を打っていなければ心臓が止まっているので直ちに人工呼吸や心臓マッサージを開始する(心筋梗塞の始めに危険な不整脈である心室細動が起きる事があり、その場合1-2分以内に心肺蘇生を行わないと死亡する可能性が高い) 手首では脈は測れない。首を両側からつまんで脈を打っているかを調べる。
  5. 人工呼吸を行う(患者の口に5秒間に2回空気を吹きこむ。胸が膨らむほど)
  6. 心臓マッサージを30回続ける(脈拍より早い程度の速度で15回) 4と5を救急車が来るまで繰り返す。
  7. 自動対外式除細動器(AED)が手に入れば、心臓マッサージをやめて至急AEDを装着して使用する
  • 最近では静脈からの血栓溶解薬注射⇒カテーテルによる血栓吸引⇒ステント留置法が好成績と言われる。従来は自分の体の血管を使って詰まった血管を置き換えていたバイパス手術が多かったが、全身麻酔で開胸手術となり、入院期間も1-4週間と患者の負担は大きいので現在ではPCIカテーテル法が主流になり、近い将来には、バイパス法は10人中1人程度しか行われなくなるのではないかと言われている。ただ、PCIに比べて効果が長続きするメリットがある。又、糖尿病のある人はバイパス手術の方が良いと言われているので主治医とよく相談したい。
  • 血栓溶解薬注射詰まった血栓を注射薬で溶かす方法は昔から行われた。その後PCIが行われるようになってから、段々廃れてきていた。1998年新しい血栓溶解剤「ミュータントtPA」が登場してから見直されて一般病院でも短時間で比較的安全に治療出来るので緊急治療として今でも行なっている病院は多い。これで血流が再開しない場合、PCIに移行する病院も増えてきた。最初から第一選択肢としてPCIを行うところが増えている。PCIは死亡率が10%程度あるのに血栓溶解法は1%以下と安全度が高い。但し、血栓溶解剤は出血傾向が高まるため脳梗塞や脳出血の既往患者には使用出来ない。
  • 心カテーテル治療:PTCA経皮的冠動脈形成術(PCI経皮的冠動脈インターベンション)冠動脈に細い管カテーテルを通し、バルーンでまず狭くなった血管を広げ、その後ステント(網状の筒)を血管内に置くことで血液の通り道を確保する方法。2004/8承認された、薬剤溶出ステントサイファーステント:DESを使用すれば、再狭窄は5%以下に減少し好成績を収めている。但し、1年以上経ってから血栓が出来る場合があるので、3ヶ月以上血小板凝集抑制剤を使用することになるので、この薬剤の副作用には充分留意が必要。小倉記念病院の延吉院長のように、薬剤溶出ステントは血栓が出来やすいとDESに慎重な医師もいる。昔はカテーテルの挿入は足の付け根から挿入されたが、最近はほとんど手首の血管から挿入される。カテーテルの直径は2mm程度。足の付け根から挿入すると術後7時間寝たまま安静が必要だが、手首から挿入すると術後すぐに歩けるメリットがある。手首式は局所麻酔だけでよく、手術時間も40分〜1時間前後。止血も簡単で1-2泊程度の入院で帰宅出来る程。最近では循環器専門病院の第一選択肢として行われている。成功率95%。済生会横浜市東部病院心臓血管センター長塚原玲子医師(2013年現在、54歳、カテーテル治療2500件、検査7500件)、小倉記念病院延吉正清院長、松戸市新東京病院松戸市千葉西総合病院(三角和雄院長)が著名。小倉記念病院延吉正清院長(67)は年間3000人を治療し、これまで、40,000人を救った(1日25人治療する事もあると言う)
  • 日本では2005年度で年間14万例以上のカテーテル治療が行われているが、カテーテル治療でステント単独(薬剤を塗っていないもの)や薬剤溶出ステント治療の問題点は、共に再狭窄が起こる可能性があること。薬剤の塗っていない通常のステント治療では治療後一ヶ月以内に血栓が出来ることが多い(この間は抗血小板薬を服用)、一方、薬剤溶出ステントの場合は再狭窄が起きる率は少ないが、血栓の発生率が従来のステントに比べて高く、しかもステント血栓症を起こした場合、致死率は50%と高いことが問題で、血栓を予防するため、長期間、場合によっては一生、抗血小板薬(チクロピジン等)を服用することになりかねないので、薬による副作用が懸念される。(チクロピジンには重症の肝障害、血液障害、出血傾向などの副作用が報告されており、使用期間は出来るだけ短期間が望ましい。従来型ステントの場合は、通常3週間程度の服用で済む)
  • 2010/2 薬剤溶出ステントの新しいタイプを国が承認した。ボストン・サイエンティフィックジャパン とアボットジャパン2社の製品。新タイプはコバルトとクロムの合金製で従来の製品より薄く、留置しやすいという。これまでとは異なるエベロリムスという抗がん剤を塗布、薬剤溶出ステントで問題となる血栓症を抑えられるとしている。
  • ローターブレダー法血管内部が石灰化し硬くなって、バルーンやバイパス手術が出来ない患者には、カテーテルにダイヤモンドドリルが付いたロータブレーターを装着して高速回転で石灰化部分を削った後、バルーンで広げ、ステントを挿入する手術法を取り入れている病院もある。千葉県松戸市にある千葉西総合病院(三角和雄院長・心臓センター長)は世界一の実績を誇る。熟練した技術が必要であり、どこでも行われている手法ではない。使えるのは三角院長、延吉院長など限られている。千葉西総合病院の三角院長は、“石灰化で血管ががちがちになっている場合は、ローターブレーダーで削り、血栓が付いた血管はレーザーで溶かして血流を流し、ステントを入れて治療を完了する”と説明している。湘南鎌倉総合病院 心臓センター循環器科副院長 齋藤 滋部長も実績が多い。技術の進歩はめざましく、この手術は通常30分程度、局所麻酔で終わり、患者と話をしながら進める事が出来、2日後には歩いて退院する程である。
  • 生体吸収性の薬剤溶出スキャフォールドが臨床試験中で2016年に保険適用となる見込み。
  • 冠動脈レーザー治療:レーザーを使用して病変部や血栓を細かく分解して蒸散させ血液を通るようにするもので、レーザー冠動脈形成術と言われる。治療時間は約1時間。全身麻酔は不要。レーザーで詰まった部分を除去した後にステントを挿入する。レーザーで血栓を細かく分解出来るのがメリット。費用は約30万円。現在は先進医療に指定。現在まだ実績が数百人と少ないので今後の蓄積が必要。千葉西総合病院、神戸大、北海道社会保険病院、仙台厚生病院、関西労災病院、倉敷中央病院などで実施中。
  • DCA法:左の冠動脈の入口のところの太い血管の狭窄を解消するために用いられている。
  • 血栓吸引カテーテル法:、冠動脈に細い管を通し血栓を吸引する新しい治療法。従来のステント法では剥がれた血栓が、より細い末梢血管へ流れて行き再度詰まってしまう可能性があり、この欠点を無くした方法で2001年頃から実施されている。
  • 冠動脈バイパス手術:冠動脈バイパス手術は、心筋梗塞や狭心症などに対する手術で、動脈硬化で狭くなった血管の迂回路を作る。従来は人工心肺を使う方法が多かったが合併症の発生率が10%以上あり、最近では、心臓を動かしたまま手術を行う心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプ手術)が行われるようになり、回復も早く、合併症の発生率も5%以下になっている。人工心肺を使うと血栓が飛んで脳梗塞を起こす危険も高まる。2013年の実績では、冠動脈バイパス手術を昨年受けた8人に1人が80歳以上の高齢者だった。
  • 心室細動が起きたら心臓がポンプの機能を失っているので、血液が送り出されず、数分で死亡するから、ためらわず、自動対外式除細動器(AED)を使用する。2004年7月から街に設置され始めた。(空港、駅、スポーツ施設などに設置が始まっている他、個人も医師と相談の上、所有出来る)
  • 形状記憶合金による人工心筋の研究が進められている。
  • 心臓移植
  • 血栓の生成を予防するために血液を固まりにくくする薬(アスピリン、バッファリン、ワーファリン等)を服用する。
  • 九州大学や岐阜大病院第二内科(藤原久義教授)ではG−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)という骨髄幹細胞を増やす働きのあるを心筋梗塞患者に注射して壊死した心筋を再生させることに成功し、現在臨床試験中で今後の成果が期待される。
  • 東北大病院(下川宏明循環器内科教授)では2005年11月から「体外衝撃波治療」という新しい治療法の臨床試験を始めると発表した。これは尿路結石の粉砕に使われる出力の1/10程度の弱い衝撃波を当てて、マッサージ効果により冠動脈の血管新生や血流改善を促進させるもので手術や麻酔の必要が無く成果に期待が持たれている。
  • 血管内視鏡とエキシマレーザによる治療:
    1.5MM径の冠動脈血管内視鏡カテーテルを手首より血管内に入れて血流を遮断しながら光を当てて、短時間で冠動脈内部のコレステロールの状態を観察する。 また、カテーテルから造影剤を流すと詰まっている箇所が分かる。
    エキシマレーザーを30秒照射するとコレステロールが粉々に分解されて流れる。ここにステントを入れて血管を広げる。この手術は保険が適用される。 東海大ではこれまで80例の実績を持つ。東海大学付属病院循環器内科のHP はこちら
  • OCT(光干渉断層法)による心筋梗塞の治療:

    日本医科大病院循環器内科高野仁司准教授等のグループはOCTという最新の検査装置を使って動脈硬化の状態を正確に分析して治療に活用している。 手首より入れて近赤外線を照射するとプラークの膜の厚みが分かる。膜が薄いとプラークが破けやすく、破けると血小板が付着して血管内を塞ぎ心筋梗塞を起こしやすくなる。
    OCTの画像を見ながらプラークの性状を確かめ治療方針を決める。つまり、OCTで膜の厚みが0.065MM以下の場合、破れる可能性が高い不安定プラークと判断し 適切な治療を行ない心筋梗塞が発症するのを予防している。
    プラークがあっても破れる可能性が低いと判断されれば様子を見ることもある。内腔が非常に狭いときはステントを入れて広げる。 プラークが安定か不安定かを正確に知る事は非常に重要な事であり、OCTが果たす役割は大きい。OCTは侵襲的な検査でもあるので実績の多い医療機関で受けるようにしたい。 日本医科大付属病院循環器内科のHPはこちら
  • 心臓手術を受けるときの注意:心臓手術には限らないが、手術は執刀医やチームの経験・腕が成績を左右する。可能な限り実績豊富な先生の手術を受けたい。年間手術件数100例以上は最低の実績。最近は手術の様子をビデオ撮影し患者にビデオ渡す病院もどんどん増えてきている。是非最初にビデオをくれるか聞いてみよう。手術を公開出来ないような病院や医師の手術は避けたが良い。順天堂医院心臓血管外科天野篤教授(49)はバイパス手術で著名。年間200例手術。京都大学病院心臓血管外科米田正始教授は他の病院で断られた心臓手術でも引き受けている。  
    手術を薦められた時どうするか?こちらを参照 参考になる本:最強ドクター 治せる!108人 (最強ドクター心臓病編 治せる108人 伊藤隻也著 \1575 扶桑社)
  • 日本心血管カテーテル治療学会の認定医・指導医リスト
  • 大和成和病院心臓病センター長・心臓外科部長南淵明宏医師は冠状動脈バイパス手術(CABG)の名医で、心臓を停止させないでバイパス吻合を行う、低侵襲冠状動脈バイパス手術を多数手がけている。著書『受ける?受けない?冠状動脈バイパス手術』は参考になる。年間手術数200。
  • ニューハート・ワタナベ国際病院の心臓外科手術成功率は世界トップの 99.5%以上を誇っている由。手術支援ロボット「ダヴィンチ」を 用いることによって、手術後3日間で退院も出来るそうだ。心臓血管外科医・渡辺剛総長。
  • 心筋再生医療:骨格筋芽細胞シートによる心機能の改善
    大阪大学 澤芳樹教授のチームは心筋梗塞後に重症の心不全になった患者の心臓の回復のために画期的な方法を研究している。患者の大腿部から取った筋肉から筋芽細胞を取りだし培養してシートを作り心臓の周りに貼り付ける臨床研究を行っている。貼り付けたシートはその後心臓に貼り付き剥がれない。細胞シートから栄養を貰って心臓の筋肉が元気になると言う。(研究代表者:東京女子医科大学 岡野光夫教授、シートはテルモが作成)(2012/3)
  • 心筋梗塞の治療後、発症が懸念される慢性心不全が、造血作用のあるたんぱく質「インターロイキン(IL)11」で予防できることが、大阪大薬学研究科(大阪府吹田市)の藤尾慈教授らのグループによる動物実験でわかった。IL11は米国では別の病気の治療薬として承認されており、グループは2012年秋にも、研究と保険診療が併用できる高度医療の認定を国に申請する。心筋梗塞後の約2割の患者が心不全となって体力が大幅に低下、死に至るケースもありこの解決が問題となっていた。

心筋梗塞の予防

  • 心筋梗塞にならないためには:@狭心症を治療する、A基礎疾患を治療してメタボにならないようにすることが大事。
    狭心症の治療
    基礎疾患の治療(メタボ予防)
    薬物療法 生活習慣を改善する
    カテーテル治療 薬物療法
    バイパス治療  
    スタチン薬は動脈のプラークを減らすことが明らかになっている。
  • 生活習慣病のある人(肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、脂質異常症など)は心臓ドックを受けて普段から心臓のチェックをしておくのが良い。
    心臓ドックのメニューの一例 (検査内容は病院によって異なるので確認必要)
    身長・体重・肥満度・標準体重・BMI測定
    診察(聴診・視診)、血圧測定
    血液検査、尿検査
    心電図検査(安静時)
    トレッドミルなど負荷心電図検査
    ホルター心電図
    心臓超音波検査
    動脈硬化検査(ABI、PWV)
    胸部レントゲン検査
    64列マルチスライス胸部CT検査又はMRI冠動脈検査(放射線被曝がなく、最新式のMRIではCTと変わらない画像が得られるメリットがある)
    負荷心筋シンチグラフィー(心臓の血流や動き、心筋の残存状況を解析できる)
  • 心筋梗塞は夏より冬に多いが、夏に起こらない訳ではない。心臓突然死は意外にも4月、11月に多い。
  • 冬の月曜日の午前中は心筋梗塞に注意!月曜日は仕事があり緊張状態に戻る最初の日であり、午前中急に活動するので交感神経が興奮して血圧が上昇し脈拍は早くなり血管は収縮するので詰まりやすくなる。
  • 死の四重奏と言われる、肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症を治療する。4因子を減らすことで心筋梗塞の起きる確率は急激に低下する。特に、男性でウエスト85CM、女性で90CMM以上は危険。内臓脂肪を減らす事が特に重要。
  • 禁煙(1本のたばこで血圧が約10あがる程。ヘビースモーカーは一日中高血圧状態となり最悪。動脈硬化を促進させる)
  • LOXインデックスの検査:最新の検査法で、血清を分析してLOX-1と言う蛋白質を作って脳梗塞や心筋梗塞のリスクを判断するもので費用は12000円程度。高脂血症、高血圧、糖尿病、、喫煙習慣などのあるハイリスクの人は脳梗塞(及び心筋梗塞)のリスクが高いかどうか測って貰うと良い。LOX-indexの詳細はこちらを参照。
  • 抗血小板薬は動脈硬化巣で血栓が出来るのを予防する。ただし、血栓を防ぐが、血が止まりにくくなる。血小板や白血球の数に注意する。
    抗血小板薬
    アスピリン 標準薬、価格が安い
    チクロピジン 肝機能障害に注意
    クロピドクレル 副作用は少ないが、価格が高い
    シロスタゾール 頭痛や動悸がすることがある。価格は高い
  • 抗凝固剤 ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト(新薬、下記注釈参照) ...血液凝固因子の働きを抑えて、血液をかたまりにくくし、血栓ができるのを予防します。
  • L/H比を下げる最近の研究の結果、心筋梗塞や脳梗塞を防止するためにはL/H比を1.5以下にする事が必要言われている。LDL(悪玉コレステロール)が100以下でもL/H比1.5超の場合は動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいと言われる。理想は1.5以下にすること。HDL(善玉)を増やし、LDL(悪玉)を減らす努力が必要。L/H比が下がればプラークも小さくなるとのこと。

    LDL悪玉コレステロールは140以下が正常はウソだった!→これまでは、健康診断での「悪玉」LDLコレステロールの正常値は、一般的に 「140r/dl未満(中リスク群)」とされている。ところが、これが正常値でありながら急性心筋梗塞などで倒れるケースが少なくないことが、次々と事実を持って指摘されるようになった。 動脈硬化学会で長い間提唱されてきた「LDL140未満(中リスク群)」「HDL40以上」という基準値だけでは適切ではなく、「LH比」を診断基準に加えなければならない事が強く主張されだしてきた。そして、LH比が2以上、糖尿病や高血圧症では1・5以上ある場合には、LDLを下げる治療とHDLを上げる治療を並行して行う必要がある。昔はHDLを上げるのが大変だったが、今は両方に効く良い薬もあると言う。L/H比を早速計算して問題のある人は心筋梗塞や脳梗塞になる前に急いで医師と相談して対策を実行しよう。
  • 脂質異常症の改善:従来総コレステロールは低いほど良いとされてきたが、最近の研究ではあまり低すぎると癌や脳卒中の発症率があがるため、心筋梗塞を過去に発症した人以外は適度のコレステロールが必要。上限値は、30-40歳代では220程度、50才以上の中高年は男性は260程度迄、女性は280程度迄を目標にするのが妥当との意見がある。特に中高年の女性はコレステロールが高くなる傾向にあるので魚介類、特に背の青い魚を食べるなど配慮が必要。2005年の厚生労働省の調査では魚を一週間に8食食べる人は、1食しか食べない人に比べて心筋梗塞の発症リスクが60%も減る事が分かっている。
  • LDL悪玉コレステロールの高い人は注意。LDLが活性酸素と一緒になると動脈硬化を促進させる。
  • 運動...散歩など週4回以上30-40分継続的に行う。早足20分は良。十分酸素を吸う有酸素運動で脂肪を燃焼させる。但し、心拍数は100を超えない範囲で行う。歩くのが少ない人は善玉コレステロール(HDL)が増えない。
  • 発症率が高い時間帯は朝の5時から11時頃までで、特に、起床後1時間は心筋梗塞が一番起きやすい魔の時間帯で激しい運動は控える。7:00-11:00は身体のリズムが変わり、副交感神経から交感神経主体に切り替わるときで、不整脈心筋梗塞が起こりやすいので注意する。
  • 1日の平均気温が6℃未満、平均気圧が1013ヘクトパスカル未満の日は心筋梗塞が増えるので注意。広島市では心筋梗塞予報を発表している。
  • せかせか仕事をする真面目なA型人間は危ない。何事も程ほどに生活するのが良い。
  • 朝の足踏みは心筋梗塞の予防に良い。
  • ふくらはぎを動かし普段から血流を良くしておく。足首を曲げて踵と腕を上に持ち上げる。10回程度行う。ふくらはぎは第二の心臓と言われる。
  • 急に走り出すのは危ない(電車に慌てて乗る、犬が走ったから一緒に走る等は危ない)
  • 肥満防止(肉やバターなどの動物性脂肪・塩分を控える)
  • 抗酸化ビタミン(ビタミンC、ビタミンE)を摂取する。緑黄色野菜・果物等。緑黄色野菜は動脈硬化を予防する効果が高い。(特に、ブロッコリー、ニンジン、サヤインゲン等)
  • 高血圧・糖尿病を予防したり治療する。高血圧の人は冬の朝は血圧の急上昇でプラークが破れやすくなる。冬は起床時布団を出る前に防寒服を着る、洗面にはお湯を使う、トイレは事前に温めておく等により血圧の急上昇を防ぐことが重要。粥状硬化のある人は心筋梗塞を起こしやすいが、粥状硬化は30歳代で出来はじめ、60歳代ではほとんど全員に見られると言われる。血小板が固まり血管を塞ぐことにより心筋梗塞が起きる。
  • 血糖値が高い状態が長く続くと起きるのが「糖化」。糖化は万病の元。糖化によって生まれる物質がAGEs(終末糖化合物)で、AGEsが体の中にたくさん出来ると心筋梗塞の原因にもなると言われる。糖化を予防する食事のコツは、 「先に葉物野菜を食べること」、 「グレープフルーツ、みかん等の柑橘類を先に食べる」、 「サラダ・海藻・キノコを先に食べて最後に炭水化物を食べる」 のが有効。他に、カモミールティーが良いと言われる。→詳細はこちらを参照。リプトン カモミールハーブ アルミ 50袋
  • 心筋梗塞が冬の朝、起床から1時間に集中する最大の原因は早朝高血圧による。(起き抜けの血圧が135を超える人は要注意) 目覚めて30分以内の血圧が高い人は、医師と相談して血圧の薬の量や飲むタイミングを見直す。(夜飲むのも良い。朝1回では翌朝には薬の効果が薄らいで血圧が上がりやすい) 早朝高血圧の見分け方は、寝る前と起床直後(30分以内)に血圧を測り、上の血圧を比べてみて、寝る前と起床時の差が20mmHg以上ある場合、又、寝る前と起床時の上の血圧を平均してみて、135mmHg以上あれば早朝高血圧が疑われる。
  • 入浴の仕方に注意:冬等寒いからと言って、冷えた身体を温めるために熱めの風呂に入り、入浴後、今度は暑いからと身体を冷やし過ぎると血圧が上がったり、体温の変動で血栓が出来やすくなり心筋梗塞を起こしやすくなるので注意。温泉などに朝一番に入るのは最も危険。入るときは必ずコップ一杯の水を飲んでから入る。(起床時は血液がドロドロになっていて血栓が出来やすい)
  • ストレスを避ける。中高年女性でストレスの多い人は少ない人の2倍も心筋梗塞で死亡する率が高いと言われるので御用心。
  • 少量の飲酒の功罪:「米国医師会雑誌」2001年9月12日号によれば、一日一合未満の少量飲酒で虚血性心疾患の死亡率は酒を飲まない人より30%低い一方で、がんの死亡率は逆に30%高くなるという調査が掲載されている。又、世界保健機関と米国保健省はアルコール飲料を、明確に「発がん物質」として分類しており、飲酒はあくまで楽しみのためであり、健康のためとは考えない方が賢明。
  • 適量の酒(ビールはコップに1-2杯、日本酒なら1合、ワインはグラス1杯)と葉酸を飲めば心臓発作を75%減らす効果がある。
  • 酒を飲んで酔っぱらったまますぐに寝ることはやめたい。
  • 納豆は血液さらさら食材の代表食材。納豆の酵素の一つ「ナットキナーゼ」は血栓を溶かす作用があるが、別の酵素「バチロペプチダーゼ」は血液を固まりにくくする作用があるので、脳梗塞、心筋梗塞、肺血栓塞栓症の予防になる。特に、脱水になりやすい夏場は積極的に納豆を食べたい。(但し、ワーファリンの服用者は不可)
  • 睡眠を取る。米国での調査によれば、平均睡眠5時間の人は睡眠8時間の人より1.5倍心筋梗塞の発症率が高いという。睡眠不足が続くと、血圧や血糖値が高くなり、交感神経の緊張も高まると言う。睡眠は少なくとも6時間以上取りたい。7-8時間眠る人が一番心筋梗塞の発症が少ない。10時間以上眠る人は心筋梗塞の発症率が上がるので注意。
  • 歯周病菌(心筋梗塞を発症する確率が3倍高いので歯石を年二回程度歯科で取って貰う等治療が必要)
  • 日常の生活で笑う機会が減ると心臓機能の低下につながる。せめて1日10回以上はわはっはと笑うと良い。
  • バイエル薬品はイグザレルト錠服用者にまれに間質性肺炎が起き、死亡することもあると2014年1月注意を喚起した。服用後、せき、息切れ、発熱、呼吸の音の異常などがあればすみやかに主治医に相談して欲しいと呼びかけている。

狭心症

  • 心臓の冠動脈が狭くなったり、詰まったりして十分な量の血液が流れなくなって、心筋が必要とするだけの量の酸素が供給されなくなった状態を狭心症という。発作的に狭心痛が起きる。動脈硬化が原因の狭心症は、運動したときなど脈拍や血圧が上昇した時に症状が出現し、しばらく休むと改善する。
  • 胸骨の中央(上〜中部)や胸骨裏面が痛くなり通常数分〜15分で消失する。数秒や瞬間的な痛みは通常狭心症ではない。痛みは圧迫されるような、締め付けられるような、重苦しい、息が苦しい、ぐーっと押される等々の表現がされる。喉が痛い、腕がだるい、背中が痛い、胃がむかむか、胃が痛い、左肩の痛み、奥歯が痛くなることもある。刺されるような鋭い痛みやチクチクするような痛みではない。胸痛部分がこの場所と明確に示せる場合や圧痛の範囲が狭い場合も狭心症でない事が多い。動脈硬化で血管が24%程度詰まると労作時の狭心症が起きやすくなる。
  • 労作狭心症は動脈硬化により3本の冠動脈のどれかが狭窄して血液の流れが悪くなり起きる。平地走行、階段を上がる、坂道を上る、重いものを持った時などに誘発されさすい。特に、朝、行動を始める時に起きることが多い。例えば、寒い朝、朝食後に通勤や散歩などで風に向かって歩く時等は起こりやすい状況と言える。通常3分以内に治まる、長い場合でも15分前後で治まる。1時間以上続く場合も狭心症でない事が多い(この場合、むしろ心筋梗塞の可能性がある)
  • 安静狭心症は自律神経の乱れで冠動脈が痙攣しておきるもので、睡眠中等に起こりやすい。一般的には時間も労作狭心症よりも長い。引き金は夢、ストレス、たばこ。正常な血管が突然縮むもので検査では見抜けない。
  • 安静狭心症の一つに異型狭心症がある。睡眠中に起こりやすい。ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬が効果が高い。(β遮断薬を単独で使うと良くない) 予防は禁煙、肥満防止、運動する。発作が起きたらニトログリセンリン舌下錠やスプレーが使用される。
  • 男性は胸部に症状が出るのが多いが、女性では胸部だけでなく、首、あごにも痛みが放散することがあるので見逃さないこと。
  • 寒暖の差は狭心症の大敵。風呂場・脱衣場は温めておく、寒いトイレは暖房を入れる、寒い戸外に飛び出さない等の注意が必要。寒いところに出る場合は、マスクやマフラーをしよう。
  • 安定狭心症はプラークが硬く破裂しにくいため心筋梗塞になるリスクが低い。
    不安定狭心症は徐々に症状が悪化し安静時でも発作が起きる狭心症で、こちらはプラークが柔らかく成長しているため破裂する可能性が高い。 →胸痛、胸の圧迫感、肩甲骨の内部の痛み、肩こり、起床時の背中が重苦しい、胃痛、吐き気、あごや歯の痛み
  • 更年期の女性の10人に1人程度に特徴的な狭心症がある。「微小血管狭心症と言われるもので、男性に多い冠動脈由来の狭心症とは治療も異なる。女性ホルモン・エストロゲンの分泌低下と考えられている。心臓の筋肉の中を張り巡らされた無数の細い血管が狭くなって起こる。安静時に発症、広範囲な胸の痛み、痛みが5分〜半日続く等に加え、「冷え」や「頭痛」「疲労感」などの更年期障害の症状がある場合は微小血管狭心症が疑われる。血管を広げ血圧を下げる作用のあるカルシウム拮抗薬、そして更年期障害の症状を併発している場合はホルモン補充療法などで効果が出る。足が冷える、夏でも靴下をはくような人は注意が必要。
  • 無痛性狭心症(無症候性心筋虚血):胸の痛みを感じることなく、冠動脈が狭まってしまう「狭心症」を発症するもの。気づかないまま放置していると、冠動脈が完全に詰まって心筋梗塞になってしまい、最悪の場合、突然死を招く危険もある。痛みを感じないのは、糖尿病や加齢などで、心臓の痛みを感じる知覚神経の感度が鈍くなることが原因。「胸痛」のほかにも、「止まらないせき」や「息苦しさ」が起きる事がある。高齢者、糖尿病の人は定期的な心臓のチェックが必要。
  • 検査には、安静心電図、負荷心電図(トレッドミル検査)、ホルター心電図(安静狭心症の検査)、心臓超音波検査、心筋シンチグラフィー(血液の流れが悪い場所を調べる)、MDCT(8秒程度息止めすれば冠動脈の造影検査が出来る)、64列〜256列マルチスライスCTMRI冠動脈造影(被曝がなく造影剤も使用しない)、カテーテルによる冠動脈造影法、血管内超音波検査、血管内視鏡検査等がある。特に、64列のマルチスライスCTは、心臓カテーテル検査に比べて、10秒以内の短時間で検査でき、検査による危険性もなくなった。心臓カテーテル検査を必要とするかどうかの判断にもなる。統計的には、100人検査すれば、20人程度は心臓カテーテル検査による精密検査が必要になると言われている。⇒最新型は256列が導入されている。高崎市の黒沢病院付属ヘルスパーククリニックでは心臓・体幹部用32チャンネルコイル」を搭載した最新のMRIを使用して、造影剤を使わず、放射線被曝なしに心臓の冠動脈MRA検査を実施している。
  • 発作が起きたときにニトログリセリンを飲んだり、口にスプレーしたり、身体に貼ったりすると血管を拡げる効果がある。発作予防のβ遮断薬(インデラル、ミケランなど)、硝酸薬(ニトロール、フランドル等)、カルシウム拮抗薬(ヘルペッサー、アダラート等)、ACE阻害薬抗血小板薬もある。抗血小板薬は血小板の凝集を阻害することで、血栓を作らないようにする。ニトログリセリンを服用すると血圧が下がるので、歩行中の服用は避けたい。椅子などに座って服用する。ニトログリセリン(硝酸薬)は繰り返し使用しても効果は減弱しないので、軽い症状でも発作時にはその都度使用した方が良い。尚、硝酸薬とバイアグラの併用は危険でタブー。
  • 治療:初期の段階では薬物治療が行われ、薬で良くならない場合は下肢か腕の血管からの@冠動脈カテーテル治療(バルーン、ステント)やA冠動脈のバイパス手術が行われる。
    治療の選択の目安:狭窄が1ー2個所→カテーテル手術(入院2-3日)、狭窄が3個所以上とか、左の冠動脈の根元が狭窄しているような場合はバイパス手術(入院約2週間)が選ばれる。
  • 日本では年間14万例以上のカテーテル治療が行われているが、カテーテル治療でステント単独(薬剤を塗っていないもの)や薬剤溶出ステント治療の問題点は、共に再狭窄が起こる可能性があることと、抗血小板薬の副作用。その点、薬物療法は再狭窄のトラブルも少なく効果はカテーテル治療に匹敵すると言われており、特に軽度の狭窄の場合は薬物療法が見直される傾向にある。病院では手術件数を増やすためにカテーテル治療を薦める傾向にあるので、カテーテル治療はトラブルもないとは言えないので、本当に必要か慎重に考えたい。(日本のカテーテル治療の半分は薬物治療で対応可能という医師もいるほどなので、セカンドオピニオンを求めるのも良いかもしれない)
  • カテーテル治療は、従来は足の付け根から挿入する事が多かったが、最近は手首から挿入する事が多い。足からの挿入は止血が難しく、出血性合併症を引き起こすこともある上に、術後半日程も安静にしないといけないのが苦痛だが、手首からの挿入法は出血も少なく、術後もすぐに歩くことができるメリットがある。ただこの方法は高度なテクニックが必要だが、より細いカテーテルを使用することで、患者の負担が少なくなるよう配慮されている。
  • 金沢大学心肺総合外科の渡邊剛教授(1958年生)は冠動脈バイパス手術(CABG)の全例を心拍動下冠動脈バイパス術(Off Pump CABG:OPCAB)で行っていて、2000年9月の教授就任以来、1500例以上の症例を手掛け、死亡率は0.2%以下と非常に良好な成績をおさめているという。血管がぼろぼろで到底他院では断られるような症例の最後の砦として患者の絶大な信頼を獲得している。3D内視鏡システムを使用した完全内視鏡下冠動脈バイパス術(Beating Totally Endoscopic CABG:BeTEC)や硬膜外麻酔を使用した覚醒下アウェーク冠動脈バイパス術(Awake OPCAB:AOCAB)を実施、2007年からは手術用ロボットDaVinciを導入し、小さな切開創での冠動脈バイパス術にも取組んでいる。2009年ロボット支援下冠動脈バイパス手術が厚生労働省の先進医療に認定された。
  • カテーテル治療やバイパス治療が出来ない重症の狭心症に対して、東北大病院(下川宏明循環器内科教授、伊藤健太准教授)では「低出力体外衝撃波治療」を行って良績という。新しい治療法で治療費用265,500円。現在は保険未適用だが、今後の実績の集積が期待される。(腎臓結石に使う衝撃波の1/10程度の弱い出力の衝撃波を胸に当てる。週3回程度行う。血のめぐりが悪い心臓に弱い衝撃波を当てると心臓の中にある血管の細胞から一酸化窒素などのような血管を広げる物質が出てきたりバイパス血管を増やす物質が出てくる。それにより毛細血管の発達が促進されて血のめぐりが良くなる。現在は保険未適用。薬を飲んでも発作が起きる人、冠動脈を広げる外科手術が困難な人を対象に行う。但し、がん患者、ペースメーカー装着者、人工弁装着者、妊娠中等は出来ない)
  • G−CSFを注射してCD34+細胞で血管を再生する研究が進められている。
  • 今後期待される機器の一つに「心磁計」(心臓磁気計測システム)という新しいタイプの検査機器がある。この心磁計を使えば、放射線を浴びることなく短時間で従来の心電図に比べればはるかにクリアな心臓の情報を得ることが出来るという。これまでは狭心症でも発作が治まった時に心電図をとっても所見が出ないことが多かったが、心磁計ではほぼ確実に狭心症の所見を捕らえられるという。心筋梗塞でもどの部分に障害があるかが分かる。今後医療現場に導入されればより正確な心臓の状態が分かることになると期待されている。但し、微弱な電波を捉えるため外部の余計な電波から遮蔽した空間が必要なこと、設備機器費が高いことから2006年現在まだ導入が進んでいない状況にある。(日立ハイテクが開発)

参考ホームページ

私の父親が昔、心筋梗塞を発症した。農地を借りてやっていた趣味の園芸作業で汗をかいたのに、“夜のビールがまずい”からと水分を補給せずにいて血液が濃くなり、血栓が出来たためと思われる。幸い、大学病院でカテーテルで血栓溶解剤を注入し、詰まっていた冠動脈の血流が再開し一命を取り留めた。脱水は怖い。水分補給は重要である。以来、私はどこに行くにも350-500mlの緑茶やウーロン茶のペットボトルを持って外出し、ところ構わず飲んで水分を補給するようにしている。

間違いにお気づきの場合は、「趣味のアルバム」topよりメールをお寄せ下さい

この頁は、書籍・文献・新聞・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、対処法が変わることもしばしばあります。情報を参考にされることは構いませんが、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、一切個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。

更新履歴:2005.2.11/2005.11.6/2006.12.23/2007.12.9/2009.9.6/2012.3.23/2013.10.16/2014.1.7

 

 

趣味のアルバムTOPへ > 健康生活 > Top of Page


BACK