脂肪肝・脂肪肝炎

腹部のエコー検査を受けたときに、“脂肪肝がありますね”と言われる事がある。太った人や酒飲みだけでなく、無理なダイエットをして体重を落とした人も脂肪肝になる。脂肪肝になっても、自覚症状はほとんどないし、これまでは肝硬変になるのは稀で予後は良好と言われてきたので、脂肪肝と言われても、それほど深刻に考える人も少ないのが実情だが、最近、脂肪肝の治療が不十分で血糖値が上がったり、肝臓が繊維化して脂肪肝炎になる人が増えており、更に将来、肝硬変、肝がんへと移行する人も増えると想定される。従って、脂肪肝と言われたら、甘く見て放置せず、直ちに生活習慣を見直し、できるだけ早く脂肪肝から脱却するよう努力し、もし脂肪肝炎の疑いがあれば早期に適切な治療を受けることが重要である。糖尿病の患者の死亡原因の第一位は肝臓がんであることが最近の調査で分かった。メタボや脂肪肝を防ぐ努力が必要である。

最終更新:2016.10.12



脂肪肝と脂肪肝炎とは

  • 脂肪肝とは肝臓内部に中性脂肪が過剰に入り込んでいる状態を言う。正常は3-4%だが、脂肪肝では中性脂肪が30%以上の過剰な状態になり、肝臓がフランス料理の“フォアグラ”のようになる。男性の3人に1人、女性では5人に1人が脂肪肝と言われる。この脂肪肝の状態が続くと肝臓が繊維化し、肝機能が低下し、脂肪肝炎→肝硬変→肝がんへと移行する事があるので怖い。
  • 脂肪肝にはアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝がある。将来、非アルコール性脂肪肝(NASH)になる予備軍が1500万人と言われる。そして、この内、20%、300万人が将来、炎症や繊維化を伴う脂肪肝炎になると言われる。昔は非アルコール性脂肪肝は繊維化しないと言われていたが、最近、繊維化から肝硬変に進む人が増えているので侮れない。
  • 腹囲を計って、男性85cm、女性90cm以上のメタボリックシンドロームの人は脂肪肝になるリスクが高い。
  • 非アルコール性脂肪肝(NASH)の前段階、つまり脂肪肝では、まず、ALT(GPT)が上昇する。AST(GOT)は正常でも、ALT(GPT)が基準ギリギリから40以上の異常値になったら要注意。また、メタボ健診で引っかかった人はほとんどが脂肪肝になっているので肝硬変に進行する前に手を打とう。
  • 肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病があると脂肪肝になりやすく、更に、これに脂質過酸化(酸化ストレス)、サイトカイン(内蔵脂肪から分泌されて炎症を増幅させるタンパク質)、鉄が肝臓に過剰に蓄積される等の二次的因子が加わって肝臓に炎症が起き脂肪肝炎になると考えられている。
  • アルコール性脂肪肝の人が酒を飲み続けると、肝臓の繊維化が進み、肝炎→肝線維症→肝硬変→肝がんと移行する。個人差はあるが、大旨、日本酒3合を15年飲み続けると繊維化が始まると言われる。
  • 肝硬変の3割を占める「原因不明例」の多くにこのNASHが関係していると考えられている。
  • 最近の調査で、糖尿病の患者の死亡原因の第一位は肝臓がんである事が分かった。糖尿病→脂肪肝→脂肪肝炎→肝硬変→肝がんと移行するらしい。
  • 下記のような生活習慣を続けると脂肪肝になりやすいので注意が必要。
    1. 毎日酒を飲む(特に、3合以上は要注意)
    2. 運動不足
    3. 食べ過ぎ、早食い、まとめ食い
    4. 甘い物や脂っこい食事が好き(甘い物は食べ過ぎると脂肪に変換されて肝臓に蓄積する)
    5. 塩分の取りすぎ
    6. 糖尿病や脂質異常症の人
    7. ダイエットのし過ぎで蛋白質が不足したとき
  • 下記の質問にトライしてみよう。脂肪肝になりやすいかが分かる。
    1. 朝食を抜く日が多い
    2. 階段よりエスカレーターに乗る
    3. 食べるのが早い
    4. 食べ残す事が出来ない
    5. 果物をよく食べる
    6. 間食をする
    7. 睡眠時間が6時間以下
    該当するのが、0-1個は脂肪肝の危険度低はい、2-4は要注意、5個以上は脂肪肝の恐れが高いので調べて貰うとよい。
  • NHK総合テレビで2010年3月6日放送された番組「追跡! AtoZ “肥満は悪くない?”」は今までの常識を覆す衝撃的な内容だった。日本人の肥満者はアメリカ人の1/10なのに、生活習慣病の発病者は日米で変わらないというが、何故か?
    肥満=病気、標準体重=健康というのがこれまでの常識だったが、必ずしもそうではないという。その正体は、第三の脂肪、“異所性脂肪”の存在。確かに、世の中には、太っているのに生活習慣病と無縁の健康な人がいるかと思えば、やせているのに生活習慣病ばかりで病院通いの人がいる。何故か? 最近の研究で、皮下脂肪、内臓脂肪とはまた別の第三の脂肪、「異所性脂肪」に関係があることが分かって来た。 ALT(GPT)が高い人、中性脂肪の多い人、HDL(善玉コレステロール)の低い人は異所性脂肪が多い確率が高いという。異所性脂肪が多いと、心筋梗塞、糖尿病、がんの発生頻度が高くなると言う。詳細はこちらを参照。
  • C型肝炎やNASHなどの患者がウコンを取ると鉄過剰になり炎症を促進させることになるので要注意。市販のウコンは鉄分の表示がないのでどれだけ含まれているか分からないことが多いので問い合わせること。(ウコンの他、マルチビタミンなどにも鉄分が多く含まれていることがある)鉄分の取り過ぎは肝臓に良くない。しじみが肝臓に良いというのは正しくない。
  • 脂肪肝の予防には、一日30分のウオーキング。雨の日など外に出られない時は、椅子に座って片足ずつ1分間上げる運動を左右10回(20分)。筋肉を使う事が大事。

検 査

  • NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の診断には専門医の診察が必要。まず脂肪肝は、
    (1)血液検査(ALT(GPT)/AST(GOT)/血小板)  ALT>40は要注意。
    (2)超音波検査で診断する。脂肪肝があれば肝臓の形が不正になる。
    この結果がよくない場合は、
    (3)フィブロスキャンは超音波と振動波で肝臓の状態を検査する。肝臓の硬さと同時に肝臓の脂の乗り具合も計測できる。肝臓の硬さはキロパスカルの値で分かる。脂肪の量で脂肪肝の程度、肝臓の硬さが分かる。 以前は肝生検(肝臓の組織を直接調べる)でNASHかどうかを診断していたが針を肝臓に刺すと言う欠点がある。
  • 血液検査:中性脂肪、コレステロール、GPTやGOT、ALP(アルカリフォスファターゼ)やγ-GPTが高値となる、肝臓の繊維化が進むと血小板が減る。脂肪肝ではGOT<GPTでGOT・GPT共に100以下の事が多い。アルコール性脂肪肝ではγ-GPTが200を超える場合がある。非アルコール性の脂肪肝炎になるとGOT/GPTが3倍以上にあがる傾向があるが、γ-GPTはアルコール性ほどは上がらない。
  • 腹部超音波(血液検査に数値が現れるより、エコーの方が早めに脂肪肝になっていることが分かる。肝臓が白く輝き、腎臓より白く写る)
  • CT検査(肝臓は黒く写る)
  • 肝炎ウイルスマーカ−を検査して肝炎ウイルスの影響がない事を確認すること
  • 肝生検:脂肪肝なのか脂肪肝炎なのかの確定診断は「肝生検」をしないと分からない。腹部に細い針を刺して肝臓の細胞を一部取り、炎症や繊維化の程度を調べる。脂肪肝の人がGOT/GPTが上昇したり、繊維化マーカーが高値、血小板が低下したら、非アルコール性脂肪肝炎の確定診断のために肝生検をしたがよい。
  • 鉄過剰』になると炎症を引き起こす危険がある。鉄過剰の危険があるかどうかは、『フェリチン値(体内の貯蔵鉄)』を検査することでわかります。肝臓病の人がウコンを勝手に服用するのは避けたがよい。

治 療

  • 酒、肥満、薬物、糖尿病、妊娠、ライ症候群等原因を究明し、原因を除去することが治療につながる。
  • 肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の治療、特に体重を減らす事が有効である。但し、体重を標準体重に保つことは極めて重要だが、減量を急激に進めると脂肪肝炎をむしろ促進するとも言われているので、月単位で徐々に体重を減らす。
  • 酒をやめる、たばこをやめる、運動(できれば1日8000歩以上歩く)をする、ご飯やめん類など糖質は減らす、肝機能の改善のためにタンパク質を多めに取る、果物・脂質は控える等が有効である。
  • 努力すれば数ヶ月で脂肪肝は改善する。
  • 2016.10.12放送のNHKがってんでは脂肪肝の改善法として、下記3点を強調した。1.ご飯を小盛にする(食事は少し減ら程度にする)、2.1日30分のウオーキング(速歩は尚良い)、3.早寝して6時間以上の睡眠を取る。急激なダイエットはかえって脂肪肝や高血糖を招く。体重の減少目標は1か月に2-3kg、6か月で10kg程度にする。
  • 野菜は生野菜なら両手一杯、茹で野菜なら片手一杯を毎食摂ると良い。
  • 京都大の河田照雄教授(食品機能学)らの研究グループはトマトの果汁成分から、脂肪を燃焼させる遺伝子を増やす物質を探し、「13−oxo−ODA」というリノール酸の仲間を発見した。トマトジュースを1日3回、200ミリリットルずつ飲むと、血糖値が約2割、血中の中性脂肪濃度が約3割減ると期待している。(2012/2)
  • 食事と運動で改善しないときは、薬の使用(インスリン抵抗性改善薬)
  • ビタミンE等の抗酸化薬
  • コーヒーにはダイエット効果がある。午前中や、運動する30分前のコーヒーは脂肪燃焼効果が高い。脂肪燃焼効果はアメリカンが一番高く、アメリカン→レギュラー→エスプレッソの順に低くなる。一日3杯程度飲むと良い。胃や心臓の悪い人は医師に相談。
  • 肝臓に過剰に蓄積した鉄分を取り除くための瀉血
  • ウコンなどの健康食品には鉄分が多く含まれていることがあるのでnashやC型肝炎の人は鉄分の取りすぎに注意。ウコンを摂取するに当たっては医師に相談。
  • 肝硬変で、骨髄液400MLを取り出して不要な部分を取り除き点滴で戻す山口大学(坂井田功教授)の臨床研究が2013年5月先進医療に認められた。患者は入院費や検査費の負担で済み、治療費は研究費で賄われる。19人の患者に実施した結果では正常肝細胞が増えたりして15人の肝機能が回復した。肝硬変の患者は40-50万人いるので今後の結果は期待されている。

参考資料

脂肪肝の予防と治療関連図書
日本肝臓学会
肝臓病の専門医検索

この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。


最終更新:2007.4.30/2016.10.12

趣味のアルバム > 健康生活 > Top of Page


BACK

 

>

■■  価格チェックやネットショッピングが出来るサイト  ■■