脳梗塞の症状と治療、予防法

2013年1月、テレビ東京の人気アナウンサーの大橋未歩さんが34才で脳梗塞を発症した。脳梗塞は高齢者の病気という先入観で症状が出たときに様子を見ていたら手遅れになることもある。患者数140万人(がんや心筋梗塞より多く第一位)で、年間8万人が死亡する脳梗塞。脳梗塞で脳の血流が4分間止まるとその部分の脳組織は壊死する。梗塞が発生した場所によって運動麻痺・感覚麻痺・言葉が出ない・片目が見えなくなる等の様々な神経症状が起きる怖い病気である。短時間に血流が回復すれば機能は正常に戻る。前触れと言われる、「一過性の脳虚血発作」を見逃さず、適切な検査と治療により致命的な脳梗塞の発生を防止する事が重要である。これまでは脳梗塞と言えば中年〜高齢者(の男性)に圧倒的に多い病気と思われていたが、実際には30,40代の働き盛りにも起きるから事態は深刻だ。 糖尿病の人は特に注意したい。

脳卒中になって救急車などで勝手に搬送されてしまったら、入院した病院で運命が決まる。従って、万一自分や家族が脳梗塞を発症したら、特に、年末年始や連休時、夜中や早朝に発症したら、どこの病院を受診するか、脳梗塞の治療に実績のある病院を前もって決めておく事である。神経内科ではなく脳神経外科を受診すること。このような危機管理が命を救ったり予後を良くする。昔は脳梗塞を発症したら1/3は死亡し、1/3は寝たきり又は重度の後遺症、1/3が社会復帰できたが、医療技術の進歩と早期受診・治療で、最近は、死亡者は10%程度、40%が何らかの後遺症が残り、50%は社会復帰出来る迄になっている

脳梗塞とは

脳梗塞は脳に血液を送る血管に血栓が詰まったり、流れが極端に悪くなったりして、その先の脳細胞が壊死し意識障害を起こすもので、脳卒中(@脳出血(昔は脳溢血と言っていた)、A脳梗塞(昔は脳軟化症と言っていた)、Bくも膜下出血の総称)の中でも70%以上を占めている。脳卒中(脳血管障害)の内訳は、脳梗塞が61%、脳出血が25%、くも膜下出血11%となっている。脳卒中は心筋梗塞の3倍も多い。最大の危険因子は高血圧血圧の急上昇が脳梗塞発症の引き金になる。脳梗塞には、@脳血栓とA脳塞栓とがある。約20%の脳卒中患者は病院で死亡する。推定患者数は120万人、年間約8万人が死亡している。血液がねばねばなりやすい夏場(6月〜8月)の起床時が最も多いので注意。

厚生労働省が2012年6月5日に発表した2011年の人口動態統計で日本人の死因は、多い順に@がん、A心疾患、B肺炎となった。肺炎が死因の3位となるのは1951年以来。長年、三大疾患の一つとされてきた脳血管疾患は4位となった。2011年に肺炎で死亡したのは124,652人(前年比5,764人増)。一方、前年3位だった脳血管疾患は123,784人(前年比323人増)だった。

@脳血栓 加齢などにより脳動脈硬化が起こり、次第に流れが悪くなり血管壁に血液の塊(血栓)が出来て詰まるもの。ラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞がある。
@ラクナ梗塞:脳の深部の直径1MM以下の毛細血管が詰まるもの。高齢者に多い。日本人では一番多いタイプ。夜間や早朝に手足のしびれや言葉が出にくい等で気づくことが多い。人の名前を覚えられなくなったり、やる気がなくなる事もある。症状が出ないこともある。厚生労働省の調査では2000年度、36%を占める。多発性脳梗塞とも言われる。昔は脳軟化症と言われた。
Aアテローム血栓性梗塞:直径5-8MM程度の脳の太い動脈や頸動脈の動脈硬化が進行して血栓が出来て詰まったり、血栓が血管壁から剥がれて流れて行き、毛細血管を詰まらせるもの。大きな血管が詰まるので重症になる事が多い。約31%を占める。食生活の欧米化で日本でも増えている。
A心原性脳塞栓 心臓(心房細動等)や頸動脈など身体の他の部位から血塊が飛んできて詰まるもの。突然発症する最も危険な脳梗塞で意識不明や死亡する事もある。25-30%を占める。心房細動のある人は正常な人に比べて5倍程度脳梗塞を起こす確率が高い。長嶋元巨人監督がなったのがこれ。心房細動が起きると心臓内で血液がよどんで数mm〜数cmの大きな血栓ができ、これが太い血管を塞ぐので重度の脳梗塞になりやすい。心房細動は50才から増えて70才が一番多い。70才以上の高齢者の内2-3%が心房細動を起こす。心房細動の患者の5%程度が脳梗塞になると言われているのできっちりとした管理が必要。100万人近いとされる心房細動患者の40-50%が全く治療を受けていないのが実情。心原性脳塞栓になると60%の人は介助が必要になったり、寝たきりになる。薬は新薬が登場し55年ぶりに抗凝固療法が大転換を迎えている。

脳梗塞の前触れ

  • 突然、ごく短時間(数秒〜数分)、手指がうごかなくなる。手足の力が抜ける。片方だけ手足がしびれる。 歩けなくなる。 薄い手袋をつけて触っている感じがする。
  • 言葉が一瞬出にくい (ろれつが廻らない)、朦朧とする。
  • 片側の目が一時的に見えなくなる、ものが2つに見える、目がぐるぐる廻る。バランスがとれなくなる。ふらつく。 視野が狭くなる。
  • “いー”と言わせてみて、左右の顔の変形がないかを見る。
  • 両手を前に出して目をつぶる しばらくする間に片手が下がるようなら異常。
  • 階段を踏み外す。
  • 急に身体が重くなったり疲れやすくなる。
  • 急にいびきをかくようになった。
  • 生まれつき血管に問題がある時
  • 当然ドスンと始まる頭痛
  • 簡単なテスト:@目をつぶって両手を伸ばして前に突きだして止める。どちらか片方が下がるようならおかしい。A人差し指で目の前30CM位の一点を押して、次ぎに自分の鼻先を押す、左右の指で交互に行ってずれなく差せれば正常。

    このような症状は一過性脳虚血発作(TIA)や一過性の血圧低下による意識消失の際に起きることがあるが、一過性脳虚血発作の時は、症状は短いもので5分以内、60%は1時間以内、長くても1日以内に消失する。
    しかし上記の症状は脳梗塞の前触れであることがあるので放置せず確かな診断をつけることが肝要である。最近の調査で、このような一過性脳虚血発作(TIA)を放置した場合、発症後3カ月以内に10〜20%が脳梗塞を発症し、しかも、その半数は2日以内に起きることが分かってきた。だから、TIAを疑ったら、早急に急性期の脳梗塞に対応できるような施設に送ることが生還につながるという。TIAの直後1週間は本当の脳梗塞が起こりやすいので特に注意が必要。一過性脳虚血発作(TIA)を経験したら本物の脳梗塞になる前に、急いで神経内科・脳神経外科を受診しよう

    原因は、
    1.頸部の血管の動脈硬化により、小さな血栓が脳動脈又は眼動脈へ飛び一時的に閉塞する。
    2.動脈硬化により脳動脈が一時的に閉塞、狭窄し、流れが悪くなり症状が出る。
    3.心房細動、弁膜症で小さな血栓が心臓より飛び脳血管が一時的に閉塞する等がある。

    医療機関で診察の上、必要に応じて、血圧、血液検査、心電図、胸部レントゲン、頸部エコー、MRI/MRA等を検査して必要な投薬などを行い、その後経過観察する。薬はは動脈硬化性の原因であれば、抗血小板療法、心臓が原因であるものには抗凝固療法が第一選択肢になる。頸動脈が狭窄している病変に対しては頸動脈内膜剥離術又は血管内手術の適応になることもある。
  • 脳梗塞の早期発見法
    下記はNHKためしてガッテンが開発したガッテン流「FAST」です、毎朝起きたら、目をつぶって、手のひらを上に向けた状態で両手を上げ、「今日は、イイ〜天気! ココロも晴れ晴れ」と数回繰り返します。他の人が見て、
    ・顔の片側がゆがむ
    ・片手が下がる
    ・ろれつがまわらない
    ようであれば、すぐに救急車を呼んで脳神経外科を受診する必要があります。

    国立循環器病研究センター:〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5丁目7番1号 電話:06-6833-5012(代)
    循環器病情報サービスの脳卒中の説明はこちら
  • 脳梗塞の発見法の2:両手を伸ばして180度に開き、目をつぶってゆっくり両手を前の方に出して両指を合わせる。5cm以上離れるときは普通ではないので念のため脳神経外科を受診したが良い。

脳梗塞の原因

  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙が四大危険因子。その他に肥満と運動不足と加齢。特に最大の危険因子は高血圧高血圧を放置すると脳梗塞が発症する危険性が高まる。又、ウエスト85CM(女性は90CM)以上の人は特に注意が必要。
  • 血栓(血の塊)が脳に詰まる事により脳梗塞が発生する。(脂質異常症や動脈硬化で狭くなった血管に詰まる場合と心臓から血栓が飛んで詰まる場合がある)
  • 心房細動等の不整脈や弁膜症などの心臓疾患で血栓が作られたり、動脈硬化のある頸や脳動脈に血栓が出来る。心房の筋肉が細かく震え頻脈を起こす心房細動は高齢者に多く、適切な治療が必要。心房内に血液がうっ帯するので血栓が出来る。(心臓で出来た血栓による場合が最も障害の程度が大きい)
    ノックアウト型脳梗塞(心原性脳梗塞)→太い血管が広範囲に詰まっているような場合は血栓も大きくtPAも使えない。→カテーテルによる血管内治療(血栓を吸引)が登場してきている。動脈硬化がある人、心房細動などの不整脈がある人が起こりやすい。→予防はワーファリン(ワルファリン)やダビガトランなどの心原性脳梗塞を予防する(血栓を作らない薬)くすりの服用。
  • 骨粗鬆症(骨の中のカルシウムが血管に溶け出し動脈硬化を促進したり血栓を作る)
  • 歯周病菌
  • 血圧の下げすぎは脳梗塞を招く恐れがある。血圧の薬を服用中は時々自宅で血圧を測って、例えば110以下など充分下がっているときは医師に相談して休薬をする。下がりすぎは危ない。
  • 昼間と夜間の血圧の差が大きいほど、心臓や脳、腎臓などの臓器障害のリスクが高まり、脳梗塞の危険度も増すので、適切な薬を使用して血圧の日内変動を少なく抑える事が重要。
  • 帯状疱疹を発症した人は、数週間以内に脳卒中になるリスクが有意に高くなり、特に、眼の周囲に発疹がみられる場合リスクは3倍になるという。これは、ウイルスが血管壁に侵入し、細胞に感染して血管の閉塞または破裂の確率を高めることによると考えられている。ただし、抗ウイルス治療を受けた患者は比較的リスクが低いとロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)が2014年4月発表した。

脳梗塞の症状

脳梗塞が脳の血管の左右同時に起きることはまれで、通常左右どちらかに梗塞が起きるので、身体の片方側だけに症状が出現するのが特徴である。下記の症状が出たら、一刻も早く救急車を呼ぼう。家族や友人に電話したり、かかりつけ医に行ったりしていると手遅れになり後遺症が残る恐れがある。

  • 顔がゆがむ
  • 片側の手や足の動きが悪くなる
  • 片目が見えなくなる、視野が狭くなる、視野の半分が欠ける、物が二重に見える
  • 突然ふらつき、まっすぐ歩けなくなったり(歩くとなぜか片側へ寄る)、倒れる
  • ろれつが回らない、言葉が出にくくなる
  • 激しいめまいがする
  • ものが呑み込みにくい、口の片側から食べ物やよだれがこぼれるようになる
  • 意識を失う、意識が朦朧とする等

脳梗塞の検査

脳梗塞が疑がわれる症状があると、下記の検査が適宜行われる。問題は夜中や年末年始に倒れた場合である。大学病院でもCT検査くらいしか出来ないところがほとんどだ。倒れた直後ではCTでは脳梗塞の確定診断まではできない。MRI検査が必要。秋田県立脳血管研究センターでは夜中でも脳梗塞の確定診断が出来ると言う。このような24時間体制の病院が増えてくれることを願っている。

  • 高感度CT(コンピュータ断層撮影):発症直後2-3時間以内の検査では病変部位の診断が難しい。3時間以上立てば診断可能となる。特に発症直後は頻回に撮って比較する事が重要。(梗塞部位の正確な診断と広がりの程度、浮腫の進行の程度など) 普通のCTでは脳梗塞発症後12時間程度経過しないと梗塞の事実が判別できない。
  • MRI(磁気共鳴画像装置)やMRA(脳血管撮影):CTより早く病変を見つけられるので早期に治療に移れる。特殊な撮影法を使用すれば、発症後1時間後には梗塞巣を見つける事も可能。
  • 脳血流検査(SPECT):微量の放射性同位元素を注射して脳の血流量を測定し、脳梗塞の診断や梗塞部位の診断に役立つ。
  • 心臓エコー(超音波診断)
  • 頸動脈エコー(血管にコレステロールなどがたまっているかが分かる)⇒頸動脈の流れや動脈硬化の程度が分かる。血管壁の厚みが1mmを超えると動脈硬化性疾患の危険性が高まる。プラークが付いているからといってすぐに脳梗塞が起きるわけではない。プラークが厚くなって狭窄率が50%〜60%を超えると脳梗塞を起こす心配が強まる。血栓を出来にくくする抗血小板薬を服用するかどうかの判断は神経内科と相談するのがよい。脂質異常症の人は定期的に頸動脈エコーを受けて動脈硬化の程度と性状(不安定なプラークが付いているか、内膜中膜の厚み、狭窄率)を調べておくのがよい。
    プラークとは、動脈壁の一部が内腔に向けて局所的に盛り上がったもので、その部位に血栓が出来やすくなったり、剥がれて飛んだりすることがあるので、薬だけでは脳梗塞の発症予防が難しいと判断された場合は、プラークを摘出する手術や、最近ではカテーテルで広げる治療(頸動脈ステント留置術)が行われる。
  • 血小板凝集能:脳梗塞のリスクファクターが多い人は定期的に血液の固まりやすさを調べておくのがよい。ただ、この検査はどこの病院でもやっている検査ではない。
  • LOXインデックスの検査:最新の検査法で、血清を分析してLOX-1と言う蛋白質を作って脳梗塞のリスクを判断するもので費用は12000円程度。高脂血症、高血圧、糖尿病、、喫煙習慣などのあるハイリスクの人は脳梗塞(及び心筋梗塞)のリスクが高いかどうか測って貰うと良い。LOX-indexの詳細はこちらを参照。
  • 胸部X線検査
  • 経食道超音波検査(心臓内に血栓がないかを確認するもの)
  • 脳血管撮影:カテーテルで造影剤を流して脳の血管の様子を知る。
  • 脳梗塞の簡易チェック法:
    @“イー”と言ってみて、顔が左右対称かを見る。
    A両手を前に突き出して(手のひらを上に)、どちらかの腕が下がるようなら怪しい
    B“今日は良い天気です"という短い文章をしゃべってろれつが回らないような事がないか
    上記が出来ないようなら急いで受診。
  • 目をつぶってその場足踏みを50回行ってどれだけ位置がずれるか。
  • 目をつぶって左右から指を目の前で合わせて両指が付くか?

これらの検査の結果、動脈硬化が進んでおり、また不整脈などにより、将来大発作が起きる可能性が高いと判断されれば、血栓を出来にくくする薬(抗凝固薬ワーファリン等)が投与されたり、細くなった血管を除去する手術が行われる。

無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞・プチ脳梗塞・ラクナ梗塞)

明確な自覚症状はないが、脳ドックなどのMRI等の検査で直径2-15MM程度の小さな梗塞が見つかるもの。無症候性脳梗塞を持つ人は将来脳卒中になる率も高いので注意が必要。 島根医科大のグループが行った調査では、働き盛りの年代を含む30才〜80才の男女(平均年齢57.5才)を7年間追跡した結果、かくれ脳梗塞があると脳卒中を起こす頻度が約10.5倍も高くなる事が分かったと言う。朝起床時手がしびれる。記憶力の低下がひどくなった。名前が出てこない、何を食べたか思い出せないことが多い。ろれつが回らない。めまいがする等があれば要注意。頭痛は無いことが多い。MRI検査をやってみると、40代では3人に1人、50代では2人に1人、60代では8割以上に「隠れ脳梗塞」が発見されると言う。最近は30歳、40歳台の隠れ脳梗塞が多くなっているので若いからといって安心は出来ない。無症候性脳梗塞が見つかれば、塩酸チクロビジンやアスピリンなどの抗血小板薬(血栓が出来るのを抑える)の服用や運動療法で本格的発症を予防する。運動療法:40歳台なら45分、60歳台なら60分のウオーキングが有効。

簡単な血液検査で脳梗塞を早期発見  精度85%の脳梗塞マーカーが登場! 脳梗塞マーカー“アクロレイン”

これまで脳梗塞の予備軍である「無症候性脳梗塞」、いわゆる「かくれ脳梗塞」を発見するには脳ドック等でMRIなどの検査を受けなければならなかった。しかも検査費用が通常3-4万円かかっていたが、五十嵐一衛千葉大学名誉教授によれば、「かくれ脳梗塞は脳内の1ミリ前後の毛細血管で起きる。血管の詰まりや傷でアクロレインという有害物質が出る。その濃度を測る事でかくれ脳梗塞が判定できる」という。検査費用は7,000円〜10,000円(保険適用外で自費)。
結果は2週間で判明、高値・境界値・低値の3段階で判定され、高値の場合MRIなどの精密検査を薦められ、境界値の場合1年後に再検査、低値ならとりあえず無罪放免と言うことになる。

株式会社アミンファーマ研究所
住所:千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-15千葉大亥鼻イノベーションプラザ内
電話:043-224-7500

この検査が薦められる人は、50歳以上、高血圧、高血糖、高脂血症の人、家族に脳梗塞になった人がいる家系、頭痛やめまいがある人などとのことですが、この血液検査は首都圏を中心に現在約120か所の医療機関で受けられます。→医療機関リストは上記アミンファーマ研究所のHPで確認出来ます。(NHKあさイチで2011.12.27に放送されました)→関連記事はブログでご覧ください→こちら

MRI画像:白い部分が隠れ脳梗塞 自分で出来る隠れ脳梗塞発見法:

色々なHPで紹介されている有名な方法。用紙に幅5mm間隔で5周の渦巻きを書く。別の色のペンで渦巻きの間に沿って、新らしい渦巻きを書き加えていく。先に書いた線に触れたり、はみ出たりするような箇所が2ヵ所以上あったら隠れ脳梗塞の疑いがあるので、脳神経の専門医を受診して詳しく検査して貰ったが良い。

脳梗塞の予防

脳梗塞になると例え命は助かっても、片麻痺が残ったり、言語障害になったり、痴呆症状がでたり深刻な症状が残る恐れがあるので予防が大事である。前頭葉が障害を受けると、@新しい事が覚えられない、Aすぐに忘れる、B意欲が無くなる、C感情をコントロール出来ない等の精神障害が起きる事が最近報告されている。
脳梗塞の予防には下記のような危険因子を無くする努力が必要である。脳梗塞は朝の起き抜けと、睡眠中に集中して起きると言われているので、就寝前にコップ1-2杯の水を飲むことは予防に役立つ。脳梗塞は比較的再発しやすく、再発のたびに神経障害が加わり障害が重くなる傾向があるので再発防止が重要である。 脳梗塞の直接原因を調べ、原因を取り除かなければ、リハビリの効果で麻痺などの症状が良くなっても、またその内に再発して、前回よりも重症の脳梗塞になる恐れがある。脳梗塞の本当の原因まで調べてくれる病院は極めて少ないので、一旦回復したら、良心的な病院を見つけて経過観察をして貰う事が再発防止につながり寿命を延ばすキーとなる。

  • 脳梗塞が起こりやすい魔の時間帯は起床後二時間以内なので、特に起床時の血圧が135以下になるようにすることと、水をコップ一杯飲むことが薦められる。夏の朝7時〜8時にかけてが一番多いので注意。(春は少ない)
  • 高血圧の人の降圧目標として、高齢者は140/90mmHg未満、若年・中年者は130/85mmHg未満、糖尿病や腎障害合併例には130/80mmHg未満が推奨される。このための、降圧薬の選択としては、Ca拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などが推奨される。特に、糖尿病、慢性腎臓病および発作性心房細動や心不全合併例、左室肥大や左房拡大が明らかな症例など、心房細動リスクが高い症例では、ACE阻害薬、ARBが推奨される。
  • 高血圧(動脈硬化を促進する) 持続的な高血圧の他、急激な血圧の変動も脳梗塞の引き金になる。冬戸外やトイレに起きたときに冷気を鼻から吸い込むと脳を冷やし血圧が上がるので、高血圧の人は寒いところに行く場合、マスクをすると良い。一番危険なのは血圧の薬を飲んでいる人が、起床時に薬の効果が弱くなり血圧が135以上に上がっている時である。起床時の血圧を測定して高いようなら、主治医と相談して血圧の薬を増やすか、夜服用するようにすると良い。(朝1回服用することを指示される事が多いが、この場合翌朝には効果が弱まる恐れがある)
  • 上の血圧−下の血圧>60の人は脳梗塞になりやすいので注意。上下の血圧の差が60以上の人は動脈硬化が起きている可能性が高いので、血圧の専門医を受診して頸部エコーやPWV測定などで確認して貰うと良い。
  • 糖尿病 2型糖尿病患者ではHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の投与による脂質管理が推奨される。
  • L/H比を下げる最近の研究の結果、心筋梗塞や脳梗塞を防止するためにはL/H比を1.5以下にする事が必要言われている。LDL(悪玉コレステロール) 100以下でもL/H比1.5超の場合は動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいと言われる。理想は1.5以下にすること。HDL(善玉)を増やし、LDL(悪玉)を減らす努力が必要。L/H比が下がればプラークも小さくなるとのこと。

    LDL悪玉コレステロールは140以下が正常はウソだった!→これまでは、健康診断での「悪玉」LDLコレステロールの正常値は、一般的に 「140r/dl未満(中リスク群)」とされている。ところが、これが正常値でありながら急性心筋梗塞などで倒れるケースが少なくないことが、次々と事実を持って指摘されるようになった。 動脈硬化学会で長い間提唱されてきた「LDL140未満(中リスク群)」「HDL40以上」という基準値だけでは適切ではなく、「LH比」を診断基準に加えなければならない事が強く主張されだしてきた。そして、LH比が2以上、糖尿病や高血圧症では1・5以上ある場合には、LDLを下げる治療とHDLを上げる治療を並行して行う必要がある。昔はHDLを上げるのが大変だったが、今は両方に効く良い薬もあると言う。L/H比を早速計算して問題のある人は心筋梗塞や脳梗塞になる前に急いで医師と相談して対策を実行しよう。
  • 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が多いと動脈硬化を促進させ、血栓も出来やすくなる)
    総コレステロール値が300mg/dlを超えると「梗塞」が起きる危険性が増す。コレステロールの上限値は30-40歳代の人は220程度を、又50才以上の人は260程度迄(女性は280程度迄)を目標に改善を図る。(コレステロールが低すぎる人はがんや脳卒中にかかりやすいとの調査結果がある)

    食べ過ぎに注意。甘いお菓子、果物、ジュース類の飲み過ぎに注意。
    肉、バター、チーズ、マヨネーズ、クリームなどの動物性脂肪を摂りすぎない。
    青魚を努めて摂取する(サバ、鰯、アジ・・・等背の青い魚)
    シソ油、ゴマ油を使う。
    昔は卵にはコレステロールが多く含まれているので、脂質異常症の人は避けるべき食品と言われたが、最近の研究で、卵にはコレステロールを下げる成分も含まれており、普通に食して良いことが分かった。
  • 動脈硬化の予防⇒ポリフェノールを多く含む食品(チョコレート、赤ワイン、ウーロン茶、バナナ、渋柿(干し柿)、ソバ、コーヒー、玉ねぎ、茄子、小豆等)但し、ポリフェノールは摂取後効果があるのは約3時間と言われるので食べ続ける事が必要。
  • ポリフェノールを多く含むお茶はウーロン茶⇒紅茶⇒緑茶の順でウーロン茶に多く含まれる。
     
    緑茶
    ウーロン茶
    紅茶
    備考
    カテキン ★★★★ ★★ 殺菌(インフルエンザ、O-157)
    ポリフェノール ★★★★ ★★★ 心筋梗塞、脳梗塞の予防効果、老化抑制、抗酸化作用
    テアルビジン ★★ ★★★★ 食中毒の予防(殺菌)
  • 緑茶を飲む人は脳梗塞が減る:東北大学栗山助教授の調査によれば、緑茶を1日5杯以上飲む人は、1杯以下の人に比べて、脳梗塞による死亡率が37%(男35%、女42%)低いと言う。緑茶が血圧やコレステロールの上昇を抑えているせいと分析している。(2006/9発表)
  • 2010年2月国際脳卒中学会での報告によれば、コーヒーを飲む人は飲まない人より脳卒中になるリスクが29%低いと言う。コーヒーの量は1日2杯〜4杯が低く、1杯、5杯以上は少し効果が下がるとのこと。理由はコーヒーに含まれる成分が糖代謝に好ましい影響を与え、神経保護的に働くのではないかと推測されている。(ケンブリッジ大学Yanmei氏等の研究)
  • 心房細動のある人
  • 禁煙 たばこは一番悪い。是非禁煙しよう。
  • 高尿酸血症
  • ヘマトクリット値が上昇した場合も注意
  • 肥満
  • ストレス。 中高年女性でストレスの多い人は少ない人の2倍も脳卒中で死亡する率が高いと言われるので御用心。
  • 赤血球が多すぎる(多血症)
  • 遺伝性がある
  • 血液をサラサラにする
  • 朝食後の一杯のココアが良い。
  • みかんなら2-3個/日程度食べると脳梗塞の予防になる。
  • グレープフルーツ(ジュースでも良い)は米国の大規模調査で脳梗塞の予防に効果がある(毎日1個で30%脳梗塞になる可能性が減る)ことが実証されている。但し、高血圧の薬を服用中の人は医師に相談。薬によっては合わないものがある。
  • 血管の炎症を防ぐ。干しぶどうが良い。(夕食に10粒程度)
  • 脳梗塞は起床時に多い(寝る前、起床時に水分補給
  • 脱水症状に注意。ウーロン茶が特に良い。食事以外に一日一リットルが目安。特に心房細動の持病のある人は脱水状態になると血栓が出来やすくなる。夏場は特に脱水になりやすいのでこまめに水分を補給すること。温泉などに朝一番に入るのは最も危険。入るときは必ずコップ一杯の水を飲んでから入る。(起床時は血液がドロドロになっていて血栓が出来やすい) サウナの後にビール(利尿作用がある)を飲むのは脳梗塞の実験をしているようなもので最悪。
  • 血管が広がりすぎると血流が悪くなり停滞し易くなる。これに脱水が加わると血液がどろどろになり、更に血栓の原因となるホモシステインが血中に増えていると血管が詰まりやすくなる。
    ☆葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12を摂取すればホモシステインの血中濃度が下がり、動脈硬化や冠動脈疾患の予防につながると期待されている。ホモシステインを減らすのに良い食べ物はシイタケ。
  • 深酒をしない。を飲めば、アルコールの利尿作用で飲んだ以上の水分が尿としてでてしまい結果的に脱水状態を作り出す。酒を全く飲まない人や1.5合以上飲む人は脳梗塞の発症度合いが高い。但し、少量の飲酒はむしろ脳梗塞を予防する効果がある。1日当たり0.5合〜1合程度が一番発症が少ないとの統計がある。多くても1.5合迄にとどめる。
  • 月曜日に注意。鳥取大医学部の調査によれば月曜日の発病が一番多く、日曜日の1.5倍とのこと。土日の疲れが原因と思われ、日曜日は早く寝て月曜日はゆっくりウオーミングアップしながら身体を徐々に慣らすのが良い。
  • 温度差に注意(冷房、風呂場)
  • 便通を整える(トイレでいきまない)
  • 散歩など適度の運動をする(1日30分の早歩きは特に薦められる。冬場はマスクをして冷気を鼻に直接吸い込まないようにしたい。マスクは血圧の急上昇を抑える)
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子を持つ人は転ばぬ先の杖で「アスピリン」(抗血小板薬を少量服用すると脳梗塞の予防・再発防止に役立つと言われる。但し、胃・十二指腸潰瘍の人は代わりに、別の抗血小板薬「塩酸チクロピジン」を服用することもある。勝手に増減量するとかえって悪いので医師の指示通り適量を生涯飲み続ける。
  • 脳梗塞の起こしやすさを点数で表す「CHADS2スコア」と言うのがよく使われている。該当するものが多いほど脳梗塞の発症リスクが高まる。今ではCHADS2スコアが1点以上あれば抗凝固療法が推奨されている。
    CHADS2スコア
    点数
    鬱血性心不全
    1
    高血圧
    1
    75才以上
    1
    糖尿病
    1
    脳卒中の既往症
    2
  • 血液検査で脳梗塞の発症を予測する脳梗塞マーカーが登場した。これは、血中の細胞障害物質「アクロレイン」を測定し、脳梗塞の発症リスクを評価するもので、無症候性脳梗塞の可能性が調べられる。1回\7000-\10000。検診で採用する医療機関も増えている。(2011/8)
  • ワーファリンカリウムなどの抗凝固薬も薦められる。(ワーファリンは心原性の場合に使われる。服用前に血液の固まり具合を必ず検査する事。副作用の出現、他の薬との飲み合わせに注意が必要。プロトロンビン時間のINR値など凝固能の定期的な検査が必要で、食物や薬物との相互作用にも注意しなければならないなど、管理が煩雑で、簡便で安全な新しい経口抗凝固薬の登場に期待が集まっているが、抗トロンビン薬のdabigatranが近く登場する予定。)
  • ワーファリン(ワルファリン):

    血液が止まりにくくなる副作用があるので、服用中はその事を念頭におき、他の病院を受診する場合は常に通知する必要がある。ワーファリンは血栓の生成を防止する働きが強く、医師の指示で服用していると、血栓の生成はほぼ確実に阻止出来ると言われる。尚、ワーファリン服用中はビタミンKの豊富な納豆や緑黄色野菜の多量摂取は控える。朝ワーファリンを服用し、夜、納豆を食べるというのは絶対禁止。納豆を1回食べるだけでも、その影響は数日間続くので、ワーファリンの服用と納豆を食べる時間をずらしてもだめ。最悪の場合、薬効不十分により脳塞栓症を発症する恐れがあると言う事を頭に入れておく。ワルファリンは大量のマンゴーやグレープフルーツと一緒に服用すると、相互作用で、更にサラサラ効果が強まり、出血しやすく血腫を作りやすくなります。ワーファリン(バッファリン等も)を服用中は、胃内視鏡検査で生検が出来ない事があるので服用者は必ず事前に検査前に申告すること。尚、ワーファリンは一方、脳出血などを起こしやすくなる作用もあるため、世界標準の精密なINR指標による血液凝固検査を実施し、厳密に処方量を決める必要がある。

    待望の新薬「プラザキサカプセル」が登場: 納豆食べても大丈夫な新抗凝固薬「プラザキサ」が2011年3月発売!

    ワルファリンは食事制限や定期的な血中濃度のモニタリングなどが必要で取扱が厄介。2011年3月発売された新しい経口抗凝固薬ダビガトランエテキシラート「プラザキサカプセル」は独製薬大手べーリンガーインゲルハイムが開発したもので、脳卒中予防は誰でも簡単に出来る時代に。心房細動の予防はワルファリンというこれまでの常識が変わるだろう。

    プラザキサ」(成分名ダビガトラン・エテキシラート)は血液を固めるトロンビンという酵素に直接作用する。心臓病の一種の「心房細動」の患者が1日2回服用すると、従来薬よりも35%、脳卒中や全身性塞栓症の発症が減ると言う。薬は110mgと75mgがある。ワーファリンより薬価が高いが、納豆などの食事制限が無くなったり、出血のリスクが下がったりするメリットがある。
    ワルファリンのように、こまめに血液凝固能を検査したり、用量調節に神経をそそぐ必要がない。食物との相互作用の心配がなく、薬物間相互作用も比較的少ない。今後、心房細動に起因する心原性脳塞栓症の予防薬として広く用いられると思われる。→詳細はこちらを参照。

     
    ワルファリン(ワーファリン)
    ダビガトラン
    月1回の採血と
    使用量の調節
    必要 不要
    服用回数 朝1回 朝夜2回
    食事の注意

    納豆、ブロッコリー、
    青汁は不可。マンゴーやグレープフルーツを食べ過ぎるとワルファリンの効果が増強されて血液がさらさらになって出血しやすくなるので注意が必要。

    制限なし

    副作用 出血すると止まりにくくなる 発売から半年で
    64000人が服用し、
    死亡15人、
    重度出血91人
    重度の腎障害者
    への投与
    検査結果次第で可能な
    場合もある
    不可
    投与実績やノウハウ 50年の投与実績で蓄積
    されている
    まだ不足している
    一か月当たりの実費 1日3mgで260円 1日220mgで4190円

    出典:読売新聞掲載2011.10.20付けより(国立病院機構大阪医療センター臨床研究センター是恒之宏センター長の情報)

    ☆2011.6.22追記:プラザキサの市販後、死亡事例を含む副作用症例が発表され、製薬会社から注意が喚起された。この薬は、出血した時に血が止まりにくくなる副作用がある。薬は腎臓から排出されるため、腎機能に重い障害がある人には使ってはいけないことになっている。ある医師は、この薬の使用に当たって、75歳以上では血液のクレアチニン値が、男性は1.5、女性は1.3を超えたら使用を控えること、ある程度定期的にaPTT を測定すること、ワソランの使用は極力避けること、便の色は変化がないか確認する等に注意を払っているとのこと。

    ※新抗凝固剤「イグザレルト」が近日発売の予定。一般名はリバロキサバン。この薬は日本では初めての、]a因子阻害剤となる。日本独自の用量による臨床試験が行われたのは安心材料。安全性はワーファリンと同等かそれ以下。水虫の薬とは併用出来ない、リファンピシンやエリスロマイシン、クラリスロマイシン等の抗生物質との併用にも注意が必要等の用法上の注意はある。

    リバロキサバンも近日登場! 第Xa(凝固)因子の活性を抑制するもので臨床試験の結果は有用性が確かめられたとのことで近日登場が期待される。

    抗血小板薬:血小板の凝集を防ぎ血栓を作ることを防ぐ。動脈硬化のある血管は傷つきやすく、これに血小板が付着して固まり血栓が出来やすい。動脈の血栓を予防する。アスピリンダイアルミネートのバファリン81mg(胃を守る成分ダイアルミネートが配合されていて、胃で10%、腸で90%溶けるようになっている)やアスピリンのバイアスピリン(従来の薬は胃を荒らす事があったが、現在ではほぼ100%腸で溶ける胃に優しい腸溶錠が使われている)、塩酸チクロピジンパナルジン錠等多種あり)(血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),無顆粒球症,重篤な肝障害等の重大な副作用が主に投与開始後2か月以内に発現し,死亡に至る例も報告されているので服用開始後はそれらの出現に注意)、シロスタゾール(2003/4から認可。プレタール等)等がある。
    抗凝固薬:心臓(心房)内や静脈内で血栓が出来るのを防ぐ薬

  • 頸動脈エコー検査の結果、頸動脈に狭窄のあった人は、血栓が飛びやすくなったり、血流が障害されたりして将来脳硬塞を起こす確率が高くなる。狭窄率が50%を超えた場合は、専門医に診てもらった方がいい。60%以上狭窄していると危険が増し、80%以上狭窄していると年間5%の確率で脳梗塞を起こすと言われる。
  • 脳梗塞予防のため治療法:脳梗塞予防のための治療法には、@血栓予防薬を飲む「薬物療法」、A頸動脈を切開しプラークをかき出す「頸動脈内膜剥離(はくり)術」、B足や腕の血管からカテーテルを挿入し、ステントという金属の筒を置く「頸動脈ステント留置術」の3種類がある。狭窄が軽い場合は、薬物療法が優先される。脳卒中治療ガイドラインでは、脳梗塞の症状がない人は60%以上、既に症状がある人は70%以上詰まっている場合、手術を勧めている。日本では内膜剥離術が中心に行われてきた。手術時間は全身麻酔で3時間程度、2週間程度の入院が必要。ステント留置術は2008年から、公的医療保険が使えるようになった。皮膚を数ミリ切るだけで済むため局所麻酔で、手術時間は2時間程度ですむ。どちらを選ぶかは医師の考えや患者の状態などによる。日本脳卒中協会の推計では2010年は剥離術が約3400件、留置術が約5800件行われた。
  • 但し、頸動脈の手術によって血栓の一部が末梢に飛散したり、頸動脈の血流を一時的に止めることで新たに脳梗塞を生ずる危険があるので手術者の技術・経験によるところが大きいので事前に治療実績をよく調べよう。大木隆生教授(前アルバートアインシュタイン医大血管外科教授、現東京慈恵医大血管外科部長)が著名。大木教授はプラークが剥がれ落ちる危険があるので、傘状のフィルターを予め用意する。プラークの部分にステントを留置する。フィルターは血栓、塞栓は捕まえるが血流は維持する。大木教授は局部麻酔下でステントを留置する。4-5日で退院出来る。
    尚、専門医のリストは日本脳神経血管内治療学会のHPを参照。
  • 脳梗塞の再発予防:一度脳梗塞を起こすと再発することがあり、再発の場合は前より重篤になり易いので予防が重要。
    再発率:1年以内に再発する率は、ラクナ梗塞で4-5%、アテローム梗塞では5-6%、心房細動・心臓弁膜症などの心原性梗塞で7-8%と言われる。
    再発予防には、@血栓を作らないの服用、A生活習慣病の予防(高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などの予防)、B水分補給、C検査(MRI、MRA、頸動脈エコー等を1年1回は受ける)等がある。
    TIAの急性期(発症48時間以内)の再発予防には、アスピリン160〜300mg/日の投与が推奨される。
    非心原性TIAの慢性期再発予防に対する抗血小板療法としては、アスピリン75〜150mg/日が推奨される。シロスタゾール200mg/日、発症6カ月以内のTIAに対するアスピリンとジピリダモール(保険適応外)併用、ハイリスク群に対するクロピドグレル75mg/日は考慮して良い。アスピリンとクロピドグレルの併用療法は勧められない。必要に応じて降圧薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬など)、スタチンの投与も推奨される。
  • 青魚などに多く含まれる「ドコサヘキサエン酸(DHA)」がアルツハイマー病の発症予防に役立つ可能性があることを確認したと、京都大iPS細胞研究所の井上治久准教授らのチームが2013年2月発表した。イワシなどの青魚を食事でとることとの関係はまだ不明だが、新薬の開発などにつながる成果で、米科学誌セル・ステムセルに掲載される。
  • 鉄濃度が低いと、血液の粘度が高まり、脳卒中リスクが上昇する可能性があることが、英インペリアルカレッジ(ロンドン)国立心肺研究所のClaireShovlin氏らの研究でわかった。(2014/2)

脳梗塞の治療

  • 病院には救急車を使う。自分では歩かないこと。もし、手足が麻痺したら、1〜2時間以内に脳梗塞の早期診断が出来る専門病院(脳梗塞の治療が出来る専門医が24時間待機している病院)に駆けつける事が肝要。明日まで待って様子を見ていたら最新治療の時期を逸する恐れがある。最新治療が出来ないと分かったら躊躇無く別の専門病院に運んで貰う。(普段から自分が住んでいる最寄りの専門病院を調べておくこと)
  • 横に寝かせ、衣服を緩める。食べ物は厳禁。気道を確保するために横向きにする。あごを前に突き出す。毛布を掛けて身体を温める。
  • 最初の2、3日間では、患者が良くなるか、または悪くなるかを予測することは困難である。急性期(7-10日)を過ぎると安定してくる。
  • 治療の基本は、@血栓に対する治療、A脳の浮腫をとる治療、B肺炎や胃潰瘍などの合併症、感染症を防ぐ治療が基本。
  • 発症したら3時間以内、遅くとも6時間以内に治療することが肝心。2005年10月脳梗塞の治療薬として保険適用されたt-PA」という血栓溶解剤は非常に優れた薬で、脳塞栓やアテローム血栓性梗塞に有効。但し、発症後4時間半以上経過した場合の血栓溶解法(再開通療法)は血流再開後弱くなった血管が破れる危険度が増すので注意が必要。受けられる患者も厳しく制限される。
  • 多くの病院ではこれまで安静と点滴などによる内科的治療が中心であったが、発症4時間30分以内であればt-PAという血栓溶解剤が使われるようになった。但し、tPAは副作用も強いため、使用にあたっては厳しい条件があり、脳梗塞の専門医だけが、血圧185以下、CTで脳出血の危険性が無いことを確認後、急性発作の患者に使用すべきであり、治療後24時間は生命徴候を綿密にウオッチし、もし出血傾向が認められた場合は積極的に対処する必要がある。以前はtPAの使用は発症3時間以内だったが、2012年9月から4時間半に拡大された。 患者が病院到着後、検査や準備などで1時間程度かかるので、病院には発症後3-4時間程度で着かないと、t-PAは事実上使えない。t-PAで血栓が溶ければ後遺症なく治癒する可能性も高まる。
  • 脳梗塞急性期治療では、t-PA静注療法の詳細が盛り込まれた。
    (1)遺伝子組み換えプラスミノゲンアクチベータ(rt-PA、アルテプラーゼ)の静脈内投与は発症から4時間半以内に治療可能な虚血性脳血管障害で慎重に適応判断された患者に対して強く推奨される。
    (2)現時点においては、アルテプラーゼ以外のt-PAであるdesmoteplase(日本では未承認)などの静脈内投与は科学的根拠が十分でなく、推奨されない。
    (3)低用量(6万単位/日)ウロキナーゼの点滴静脈内投与を、急性期(5日以内の脳虚血患者の治療法として行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠はない。
    が推奨となった。
  • 脳の浮腫を軽減させる治療(脳の浮腫のピークは発症から3-5日後):グリセオールの点滴や酸素の大量投与を行う。
    脳梗塞の急性期には、脳の浮腫がおこってきて脳の容積が増し、脳圧が上昇する。浮腫が強い場合には、脳の嵌頓がおこり、脳幹部が圧迫されて意識障害や呼吸停止をおこして大事に至ることになるので脳浮腫対策は極めて重要。再々CTを撮影して確認する必要がある。
    このほか脳代謝賦活薬も投与される。
  • 血栓溶解療法(ウロキナーゼ、tPA等の血栓溶解薬を点滴で注入)、血小板の血液凝固作用を弱める治療が行われる。最近の研究では、承認薬「ウロキナーゼ」(欧米では使われていない)にはそれほどの効果がないとの指摘もある。
  • 適度な水分・電解質の補給肺炎などの感染症や胃潰瘍の予防も必要となる。
  • 治療法の一つとして、脳血管バイパス手術を行っている病院もある。旭川赤十字病院脳神経外科上山博康部長(週一回外来、5時間以上待ちもざら。年間600件手術)
  • 脳梗塞の新治療「ワイヤ絡め血栓を抜き取る」血栓回収法、発症8時間内で有効:「Merci(メルシー)リトリーバー」
    tPAによる血栓溶解は発症後4.5時間以内に有効とされたが、それ以上時間が経過すると有効な方法はなかった。2010年10月より詰まった血管に細いカテーテルを通し、先端から形状記憶合金で出来たワイヤを出し血栓を絡め取って取り除く新治療法が登場した。脳の損傷の限界である発症後8時間以内とされている。この治療が出来る病院は日本脳神経外科学会などに問い合わせること。血栓をからめとる作業中に、血管が裂けて出血する合併症を生じることもある。発症4.5時間以内ならtPAが優先、tPAが効果がない場合や使えない場合に用いられる。メルシーができる医療機関は全国に266施設。日本脳卒中学会、日本脳神経血管内治療学会など3学会の基準を満たし、輸入・販売元による講習会を受けた脳神経血管内治療の専門医らがいることなどが条件だ。これまで600人近くの医師が受講した。(2011/8) 
  • 岐阜大脳神経外科の吉村紳一教授は脳梗塞発症から8時間以内の場合、ステントを脳梗塞で詰まっている部分に送り込みステントを広げ血流を再開する手術で良績を上げている。HPはこちら
  • 血圧の管理を行う。感染症予防、胃潰瘍予防なども平行して行われる。
  • 脳保護剤:脳細胞の壊死を遅らせることが出来る脳保護剤が使用される。
  • 抗血栓療法:tPAの他に抗凝固薬のアルガトロバンを発症から一週間点滴する。抗血小板薬のオザグレルも使用出来る。
  • 血液希釈療法:点滴で血液の粘度を下げ、血流を良くする。
  • 低体温療法:脳の温度を3-5度下げて脳を保護する治療法だが、低体温にすることで副作用(肺炎など)も起こるので設備、人手のある病院でしか出来ない。
  • 急性期(7-10日)を過ぎてからは、脳血管拡張薬、血栓を予防するための抗血小板薬バファリン、アスピリン、パナルジン)、脳塞栓予防のための抗凝血薬ヘパリン、ワーファリン)が使われる。
  • 脳卒中による意識障害の改善に「脊髄後索(せきずいこうさく)電気刺激療法」: 藤田保健衛生大学病院脳神経外科 神野哲夫教授、大隈功講師等が研究している方法。同病院に直接問い合わせた結果、適応は、@若年者、少なくとも50歳前、A外傷による意識障害、BCTにてあまり広範囲な障害あるいは萎縮がない事、C脳血流が1分間20ml/100gm以上あることが望ましいとのこと。
  • 脳梗塞の後遺症で経口での食事が出来ない患者に対しては、高カロリーの点滴経鼻栄養(鼻から胃へチューブを挿入して栄養を与える)、胃瘻(胃ろう)造設手術(内視鏡で胃に穴を開けて直接食物を胃に注入する)などが行われる。胃ろうだけで5〜10年も生きることも珍しくない。
  • 脳梗塞で寝たきりになると、誤嚥性肺炎床ずれが起きやすいので予防が重要。食後直ぐに横にならない、口中を清潔にするなどが必要。
  • 脳梗塞を発症した人の40%に「脳梗塞後のうつ」が起きるので、家に閉じこもる、消極的になる、不眠、元気がない等の症状があったらメンタルヘルス科を受診し抗うつ剤を服用すれば改善する。

脳梗塞のリハビリ

  • 脳梗塞後のリハビリは最近めざましい発達を遂げ、マヒして動かなかった手指が動くようになった等の症例が出てきており、決してあきらめないことが大事。一般的には、発症後6ヶ月経つと回復力が落ちてくる、効果が出にくくなると言われたが、最近、脳科学の急速な発達により、傷ついた脳が再生するメカニズムが次第に明らかになり、時間を経過した患者でも、マヒを改善する手法が発見されている。4年間リハビリを頑張ってきても動かなかった指が、新しい方法でわずか10分の訓練で動き始めたと言う例もある。動作が出来たときに褒めること、褒めると脳が変わる、回復が早くなると言う事実も分かってきた。具体的に褒めること、と、すかさず褒めることが大事と言う。脳は蘇ると言える。⇒新しいマヒの回復法の実践病院。鹿児島大学川平和美機能再建医学教授兼鹿児島大学霧島リハビリテーションセンター長http://bit.ly/npnaEv)、森之宮病院 (NHKスペシャル2011.9.4放送より)

    2011.9.14NHKあさイチでも川平和美先生のリハビリ法「促通反復療法(川平法)」が紹介された。番組の要旨は私のブログを参照下さい。⇒ http://ocky.blog129.fc2.com/blog-entry-569.html
  • TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療):脳梗塞の後遺症は通常6ヵ月を過ぎると回復が難しくなると言われている。ところが、東京慈恵医大(安保雅博リハビリテーション科教授)の新しい治療法「TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)」が世界的に注目を集めている。テレビ朝日2012.11.18 大正製薬ヒューマンスペシャルで放送された内容から要点を下記する。TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)は磁気刺激を行って脳のバランスを整えた状態にして脳の活性化を促して麻痺を改善させるやり方。本来、良い方の脳の活動が悪い方の脳を助けてあげると言う発想が言われていたが、本来の考え方ではなく良い方の脳の活動を少し抑えてあげるもの。活性化した良い方の脳の力を磁気刺激を使った電流で弱めるもの。これで良い方の脳は悪い方の脳を抑える力を弱める事が出来る。バランスが取れた状態で集中リハビリを行うことで後遺症の回復につなげる。1回の治療は磁気刺激で発生させた電流を約40分間流す。痛くはない、軽く叩かれている感じと患者は言う。TMS治療は磁気刺激治療と集中的なリハビリを組み合わせたプログラムを毎日2週間続けることになっている。治療の後、自分で1日3時間のリハビリをやる事が必要で楽ではない。
    TMS治療の適応条件は、
     ・脳卒中を原因とした上肢麻痺
     ・少なくとも3本の指(薬指、人差し指、中指)を曲げ伸ばしできる。
     ・少なくとも1年間はけいれんの症状がない。
     ・認知症、うつ病ではない
     等々9項目に合致することが前提。
     現在は、治療費はかからず入院費のみ。
    番組では、51歳の女性が5年前の脳梗塞のマヒで右手が動かなくなって、料理も出来なくなっていたが、治療の結果、ご飯も作れるようになり、顔も自分で洗えるようになっていた。
  • 札幌医科大学(本望修教授)は2013年3月から、脳梗塞の患者の骨髄から取り出した幹細胞を培養して増やし、点滴で患者に戻す事により、神経を再生し、麻痺などの症状を改善する新しい治療法の治験を始める。今後2年間で110人の患者を対象に有効性を調査する。

参考資料

私の場合:現在3年毎に脳ドックを三井記念病院で受診しており、MRI、MRA、頸部エコー、採血などの検査で、脳動脈瘤や無症候性脳梗塞、脳腫瘍などを含めて異常は指摘されていない。また、血液をサラサラにする食事にも心がけている。脳ドックの有効性については議論があるところだが、私自身は今後も3〜4年毎に検査を受けるつもりである。
脳ドック脳動脈瘤の存在を知るのが最大の目的。無症候性脳梗塞の存在や脳腫瘍も分かる。脳出血の危険性などは分からない。痴呆症の診断にも限界がある。脳動脈瘤が見つかっても、脳ドックでは破裂するかどうかまでは分からない。欧米の発表では直径1cm未満の年間破裂率は0.05%、日本では0.5%という事になっている。脳動脈瘤の破裂は一般的にはかなり低いので手術による後遺症を考えれば手術すべきかどうかは慎重な判断が必要。

この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。


最終更新:2001.9.16/2003.7.16/2005.10.25/2006.6.24/2009.9.6/2010.10.25/2011.12.28/2013.6.16/2014.5.27

 

 

 

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