血液のがん

血液のがんには@白血病(患者数約25,000人)、A悪性リンパ腫(患者数約37,000人)、B多発性骨髄腫(患者数10,000〜13,000人)及び、C前白血病と言われる骨髄異形成症候群、D原発性骨髄線維症等がある。急性骨髄性白血病は100,000人あたり6人、慢性は5人。最近、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫が増えている。骨髄腫には前骨髄腫段階としてM蛋白がある状態がある。CLLやリンパ腫で遺伝子の異常があるBリンパ球が血中を流れているのは間違いなさそうで、前リンパ腫というべき病態に注意していくことになりそう。すでにM蛋白が増加している人に弱い骨髄腫治療を行い、骨髄腫に進行するのを抑制できるのかを検証する治験などが実施中です。これまで血液のがんは「治らない」「治りにくい」というイメージがあったが、ここ10年で病気の発症や進行する仕組みが遺伝子レベルで分かるようになり病気に即した新薬が数多く開発されたことも有り、これまでの抗がん剤を主体にした治療から新しい治療法が確立されつつある。 特に、分子標的治療薬が登場したことにより、慢性骨髄性白血病は8〜9割の患者が、発症後8年間以上生存できるようになっている。


病気の特徴・症状

  • 白血病には、急性・慢性骨髄性白血病、急性・慢性リンパ性白血病の4種類がある。毎年6,000人が死亡している。治療法も進んでおり明るい展望が開けてきている。白血病の原因には発ガン性を持つ物質、ウイルス、放射線がある。急性白血病の代表的症状は、だるさ、息切れ、動悸、発熱、肺炎、貧血、歯茎から出血やあざ、鼻血、肝臓・脾臓・リンパ節の腫れ、歯茎の腫れ。血液検査では赤血球、白血球、血小板が減ることで気付くことが多い。慢性白血病は目立った症状がなく、微熱、倦怠感等で健康診断の血液検査で発見されることが多い。
  • 悪性リンパ腫は白血球の一種のリンパ球ががん化するもの。
  • 多発性骨髄腫はリンパ球の一種ががん化し骨髄内で増える。
  • 血液の病気の診断には、家族歴、目や口の中の色(貧血や黄疸)や出血の有無、リンパ節・肝臓・脾臓の腫れ、手足の皮下出血の有無、血液検査(赤血球・白血球)などにより異常が疑われるときは骨髄穿刺検査が行われる。
  • 成人の急性骨髄性白血病は、白血球だけでなく、赤血球や血小板も減る。通常、2種類の抗がん剤を組み合わせて治療される。検査でがん化した細胞が見つからず、減少した血液細胞も回復した状態になったら、更にがん細胞を殺すために抗がん剤治療を続ける「地固め療法」が行われる。60歳未満の場合、30〜40%に治癒が期待できる。60歳以上で5年の生存が期待できるのは10%程度だが、40〜50%は、白血病細胞が見つからず安定した状態が得られる。出血や感染の危険性が減って、これまでと同じような生活が送れるようになる。他に、抗ガン剤以外の方法(骨髄移植や臍帯血移植)の採用や治癒しないまでも生存期間を延ばす治療が行われている。高齢者で体力が十分でない場合は、寛解導入療法で使う抗がん剤の量を減らしたり、造血幹細胞の前処置で使う抗がん剤・放射線の量を減らすミニ移植という方法が開発されている。ミニ移植が登場したことにより、肺や心臓などに重篤な病気がなければ、70歳ぐらいまでは移植を受けることが可能になっている。
  • 骨髄異形成症候群:下記項参照
  • 急性前骨髄球性白血病:昔は最も治療が難しい病気だったが、中国の研究者が画期的な活性型のビタミンA療法を発見し今では最も高い治癒率が期待できるようになったと言われる。活性型ビタミンAと抗がん剤の治療により80%の人に治癒効果があることが判明した。現在のところ、急性骨髄性の2年生存率は70%、5年生存率は50%。症状は疲れやすくなる、発熱や関節痛、出血傾向が現れたりする。抗ガン剤が効かない時は、骨髄移植など血液をつくる造血幹細胞を含んだ骨髄液を静脈から注入する移植療法が行われる。急性の場合、数日から数週間で急激に悪化することがあるので早期の血液検査が必要。
  • 慢性骨髄性白血病の患者の95%はフィラデルフィア染色体が異常。検査で白血球や血小板が異常に増えていることで気づく事が多い。症状は多くはないので気付きにくい。長年、発症後6〜7年で手だてがなくなるとされてきたが、分子標的治療薬が登場したことにより、驚異的に生存率が向上している。最新治療法を行っている医療機関を見つけることが益々重要になってきている。埼玉医科大学総合医療センター血液内科木崎昌弘教授が著名。
  • 白血病の診断は、増えている白血病の細胞を確認すること。血液検査、骨髄検査(末梢血に増えないタイプは骨髄検査をしないと分からない)、染色体検査、遺伝子検査などがある。
  • 多発性骨髄腫は、体中の骨髄で発生することから“多発性”という修飾語が冠されている。腰痛など骨の痛みを主訴に整形外科を受診し、血液専門医を紹介されて、骨髄腫が産生するMたんぱく(免疫グロブリン)を血液中、尿中で検査するなどして診断が確定するというケースが多い。発症率は人口10万人あたり男性2.2人、女性1.7人と推計されている(出典:「がんの統計2009」)。次世代のIMiDsやプロテアソーム阻害剤をはじめ、新規分子標的薬の臨床試験も着実に進んでおり、多発性骨髄腫は血液がんの中でも大きく治療が進展している疾患といえる。昔は「3年生存」が目標だったこの難治がんも、サリドマイドやほぼ同じ時期に承認された2つの新薬と共に多発性骨髄腫の治療をがらりと変えてみせ、がんの兆候が全て消える「完全緩解」や「15年生存」を目指すまでになっている。近い将来、多発性骨髄腫は、多くの患者で完全奏効(CR)が維持され、慢性疾患になると言われている。
  • 原発性骨髄線維症は造血幹細胞レベルで生じた遺伝子異常により骨髄で巨核球と顆粒球系細胞が増殖し、骨髄に広範な線維化を来す骨髄増殖性腫瘍で、推定新規発症例は年間40〜50例、患者数は全国で約700人(推定)。高齢者に多く、発症年齢中央値は65歳、男女比は2:1。初発症状では動悸、息切れ、倦怠感などの貧血症状が最も多く40〜60%に認められる。脾腫に伴う腹部膨満感、食欲不振、腹痛などの腹部症状を20〜30%に認める。ほかには紫斑、歯肉出血などの出血傾向や、発熱、盗汗、体重減少が初発症状になりうる。一方、無症状が20〜30%ある。現在5年生存率は38%、平均生存期間は3.4年であるが低リスクと高リスクでは大きく異なる。低リスク群は支持療法のみでも長期の生存が期待できる。中間群および高リスク群では、適切なドナーが存在する場合には、診断後早期の同種造血幹細胞移植が考慮される。

治 療

  • 血液がんの治療は、複数の抗がん剤を組み合わせて使う「薬物治療(化学療法)」が基本であったが、「分子標的治療薬」が主流になりつつある。薬が効かなかったり再発した場合は「造血幹細胞移植」が検討される。成人の場合は、この他、白血球の型(HLA)が一部しか一致しない「HLA半合致移植」や分子標的薬でがん細胞が一定期間検査上みられなくなる状態を維持した後、薬を中断する治療法「分子標的薬投与中止法」等の最新治療法がある。病院を選ぶ場合は、これらの最新治療法に前向きに取り組んでいる病院を選びたい。
  • 急性骨髄性白血病の治療法:
    @抗ガン剤による化学療法
    :注射(内服薬による方法もある)により完全寛解(検査で白血病細胞が見つからないレベル)を目指す。第1段階(10の9乗個以下)、第2段階(10の6乗個以下)により白血病細胞を叩いて減らす。シタラビン(キロサイド)などの複数の薬剤が使用される。再発の場合に、ガン細胞をねらい打ちにする新薬・ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)が期待されている。65才以下で30-40%が治る。
    A放射線療法:脳や脊髄に放射線をかける
    B造血幹細胞移植:@やAにより悪い細胞を一掃した後や、がんが再発した場合に、血液の元になる細胞を血管に注射する。根治が期待できる。
    1.骨髄移植:健康人の骨盤などの骨髄から採取。全身麻酔をするのでドナーの負担がある。
    2.臍帯血移植:赤ちゃんのへその緒や胎盤の血液の中の幹細胞を集めて患者に入れる。
    3.同種末梢血幹細胞移植:ドナーの負担を減らすため腕の血管より採血。麻酔の必要もない。
    4.ミニ移植: 患者の負担を減らす。体力の弱い高齢者向け。ドナーの骨髄液の中のリンパ球で殺す。弱い抗ガン剤を使用。
    5.自家移植(自分の幹細胞を採取し、ガン細胞を殺して体内に戻す)がある。
    Cその他の方法:抗体療法、分化誘導療法(全トランス型レチノイン酸)、三酸化ヒ素製剤
  • 急性リンパ性白血病は、リンパ球ががん化して骨髄で無制限に増えていく病気。複数の抗がん剤を組み合わせる化学療法が基本になる。T細胞を叩く新薬としてアラノンジー(ネララビン)が登場した。造血幹細胞移植は最も強力な治療法で、化学療法だけでは治りにくいと判断される場合に実施される。(他人から移植を受けた人の5年生存率は45%)特に治りにくいと言われる異常な遺伝子を持つタイプには分子標的治療薬のグリペック(イマチニブ)やスプリセル(ダサチニブ水和物)が用いられ効果を上げている。
  • 最近、末梢血幹細胞移植が従来の血縁者間移植だけから非血縁者にも実施出来るようになった。これにより、治療の対象が広がる。提供者も骨髄移植のように全身麻酔が要らない等のメリットもある。
  • 東京都立駒込病院(坂巻壽血液内科部長)では、造血幹細胞移植を白血病や難治性の膵臓ガン、大腸ガンなどに実施して好成績を上げているという。
  • 従来白血病の治療の決め手は骨髄移植といわれてきたが、臍帯血移植が注目されている。胎盤やへその緒の中にある臍帯血には血液の元になる造血幹細胞が豊富に含まれている。最近の発表では子供のみならず体重の軽い大人の白血病、悪性リンパ腫の患者に臍帯血移植を実施した結果、骨髄移植を上回る成績を上げていると言う。注目すべき治療法で今後の成果が期待される。(東大医科研輸血部井関講師) 
  • 骨髄移植は効果は高いが副作用も強く高齢者には体力的に適用出来ない。最近注目を浴びているのが、放射線治療を加減したり、抗がん剤の使用量を減らし、体への負担を減らし、がん細胞がまだ残った状態のまま移植する「ミニ移植法」。従来の骨髄移植に比べて安全性が高く、高齢者や臓器に障害のある患者にも適用出来るメリットがあると言われる。フル移植に比べて再発率は高いが、フル移植は再発以外の原因で死亡する率が高く、総じて生存率はほぼ同じで今後の治療実績が期待される。ミニ移植の解説は東大病院無菌治療部の記事を参照下さい⇒こちら
  • 慢性骨髄性白血病の治療法には、@抗ガン剤による化学療法、Aインターフェロン注射(発熱、鬱、食欲不振や倦怠感などの重い副作用がある)、B骨髄移植(強力な治療法なので体力のある55歳以下の人に限られ、更に、30-40%は1-2年以内に移植後の合併症で死亡)がある。最近注目されているのが、分子標的治療薬による在宅療法。
  • 慢性骨髄性白血病の治療成績もこの10年で飛躍的に向上している。新薬イマチニブや副作用の少ない第2世代の薬ダサチニブで、診断後10年の生存率が9割となるなど治療が進歩してきた。佐賀大医学部は、薬をやめても患者の約半数が1年以上再発しなかったとする研究成果をまとめた。(2015/11)
  • 再発予測検査が2007年11月健康保険の適用になった。最初の治療で寛解になった後は、再発予測検査を受けて、その後の治療方針を立てたい。遺伝子診断でWT1(増殖にかかわる遺伝子)を調べて50未満の場合は再発の可能性が低く、その後の治療は弱目に行われるが、50以上では再発の可能性が高いので、より強力な治療が必要になる。顕微鏡検査でがん化した細胞が見つかるのは、正常な細胞100個中5個程度まで増えた段階だが、WT1検査では、がん細胞が10万個に1個程度でも変化がわかるため、再発の兆しを早めにキャッチできるので対策が早く立てられる。以前なら再発して手の打ちようが無かった白血病も遺伝子検査で早期に再発の兆しをキャッチ出来れば当然治療成績は良い。群馬済生会前橋病院、愛知県がんセンター、大阪府立成人病センター、兵庫医大病院などで実施されている。
  • 急性骨髄性白血病が再発した場合の新薬にマイロターグがある。ガン細胞を狙い撃ちにするする抗体医薬である。
  • 骨髄異形成症候群患者の生存率がMDS治療薬「バイダザ」(一般名アザシチジン)の投与でほぼ2倍に伸びたとの大規模試験の結果が2007年発表された。日本新薬が取り扱いしている。
  • 米ペンシルベニア大の研究チームによれば、慢性リンパ性白血病の患者から血液中の免疫を担うT細胞を採取。遺伝子組み換え技術で、がん細胞を特異的に攻撃する受容体を導入し、T細胞を体内に戻した。患者は数週間後から吐き気や発熱に見舞われたが、同時にがん細胞も減少し始め、1年以内に2人の患者の白血病症状が治ったという。患者の体内には9〜12カ月後もT細胞が残っており、がんを攻撃する能力があることも確認した。チームは、より多くの白血病患者を対象とした研究を実施するほか、膵臓(すいぞう)がんや卵巣がんなどを対象に、この治療法の臨床試験を検討している。米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに2011/8発表した。今後が期待される。
  • 理化学研究所は2013年4月、白血病幹細胞を含めた白血病細胞を根絶することができる低分子化合物「RK-20449」を発見したと報告した。急性骨髄性白血病の中でも予後不良な症例に対する新しい治療法の開発につながると期待を示している。理研免疫・アレルギー科学総合研究センターヒト疾患モデル研究グループの石川文彦氏ら共同研究グループの成果。研究グループは、今回、特定した化合物を使えば、毎年、国内で5000人余りが発症する急性骨髄性白血病のうち、およそ30%を占める再発率の高いタイプの根本的な治療法の開発につながるとしている。理化学研究所の石川文彦主任研究員は、「実験を繰り返して効果や安全性を確かめ、できるだけ早く薬として患者に届けられるよう研究を加速させたい」と話している。(2013.4.19NHK)
  • 急性白血病や悪性リンパ腫など化学療法が効きやすいが、一方、腫瘍も崩れやすいので腫瘍崩壊症候群の予防が重要になる。
  • 京都大などのチームは白血病をiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って治療する研究を2016年度から開始する。患者の体内に免疫細胞を入れ、安全性や有効性を検証する臨床試験(治験)を2019年にも始める計画。(2016/1)

悪性リンパ腫

  • 年間約10,000人がこの病気で亡くなっている。高齢化社会、欧米型食事傾向に伴い発症者が増える傾向にある。悪性リンパ腫は白血病の2倍くらい多い。WHOの分類では、治りやすいものから治りにくいものまで30種類もあるほど多用な腫瘍である。
  • 日本人の悪性リンパ腫の90%以上を占める非ホジキンリンパ腫はここ10年で2倍以上に急増している。ステージI〜II期であれば、化学療法や放射線治療により約50%の患者が治癒できるが、血液のがんの中では最も診断が難しいので、卓越した診断力が頼りになる。間違った診断をすれば治療効果は無いので実績のある医師を選ぶこと。東京女子医大八千代医療センターの増田道彦教授は悪性リンパ腫の診断と治療では第一人者の一人。
  • 症状:主に、首、脇の下、鼠径部のリンパ節がはれたり、腫瘤ができる。腫瘤は固く、大きく、痛みはないのが特徴。全身性では38度以上の発熱が数日以上続く、倦怠感、体重減少、咳、息切れ、寝汗、全身のかゆみ、発疹、脾臓や胸腺の腫れが出るタイプもある。
  • 前リンパ腫状態としては、慢性リンパ球性白血病(CLL)やリンパ腫で遺伝子の異常があるBリンパ球が血中を流れているのは確実と思われ注意していくことになる。また、抗体薬を前リンパ腫状態の時に投与するとリンパ腫への移行が防げるかもしれない。
  • リンパ節の腫れの特徴は、痛みがない、動く、消しゴム程度の堅さで弾力がある。(一方、反応性の炎症では、触ると痛みがあり、熱を持ち、柔らかで動くという特徴がある) 風邪のような症状が長引いたり、リンパ節が1cm以上に大きくなる場合は念のため血液内科を受診したい。(首に出来ている1cm未満のしこりはよく調べれば比較的多く発見出来るもので、経過を観察しよう)
  • 不明熱、不明炎症で膠原病科を訪れる患者が多く悪性リンパ腫の診断が遅れる事が多いと言われる。FDG-PET/CTで生検部位選択、臨床的特長とランダム皮膚生検で迅速診断が有用と言われる。臨床的特長には、血小板減少、LDH高値、可溶性インターロイキン2レセプター上昇、フェリチン高値などがある。
  • 種類:ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫がある。ホジキンリンパ腫は5-10%、非ホジキンリンパ腫が90%である。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫が40%を占めて一番多い。リンパ球にはB細胞、NK細胞、T細胞があり、これががん化するもの。
  • ホジキンリンパ腫は20〜30歳代に多いが、非ホジキンリンパ腫はB細胞性リンパ腫(75%)を占め、最近一番増えている)と、T/NK細胞性リンパ腫(25%)に分類され、50〜60歳代が多い。
  • ホジキンリンパ腫は、ゆっくり進行する「低悪性度」から、月単位で進む「中悪性度」、週単位で急速に悪化する「高悪性度」とある。但し、「高悪性度」の悪性リンパ腫は、進行が速いが、薬がよく効き治りやすい。一方、「低悪性度」の悪性リンパ腫は進行は遅いが、薬の効き目が悪い。ホジキンリンパ腫にはABVD療法がとても良く効くと言われる。ABVD療法とは4種類の抗がん剤(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)を組み合わせた治療法。
  • 皮膚に発疹が出来るタイプの皮膚悪性リンパ腫がある。アトピー性皮膚炎に似ているので、誤診されて治療に免疫抑制剤を使用されるとかえって悪化する。皮膚生検で診断が付く。悪性のリンパ球が皮膚に入り込んで増殖するもの。新規患者は年間400人程度と少ない。患者の50%は発疹が出来るだけで寿命には影響しないタイプと、10%強の患者は数年で死亡するタイプもある。治療は紫外線照射がまず行われ、これで効果がない場合は放射線治療。(国立がんセンターや東大病院皮膚科など治療実績があるところで詳しい検査を受けたい)
  • 橋本病から悪性リンパ腫になるケースがある。高齢者、女性に多い。甲状腺の悪性リンパ腫の場合は数日から数週間で見た目にも分かる大きさのしこりとなることが多い。しこりの一部を採取して悪性度と画像診断で病気の広がりを見極める。抗がん剤が良く効き高い治癒率が期待できる。低悪性度や病気が限局していれば放射線や手術も行われる。
  • 検査は、@血液検査で腫瘍マーカー、炎症の有無等、Aリンパ節生検(通常は局所麻酔で外来で行われる)、BCT、PET、エコーなどの画像診断、C骨髄検査で悪性リンパ腫が骨髄に入っていないか、化学療法や放射線治療に耐えられるかをみる。
  • 病期:
    T期 横隔膜で上下に分けた場合、どちらか一方に一カ所異常があるもの。
    U期 横隔膜を境に、どちらか一方に二箇所以上のリンパ節領域が侵されている場合
    V期 上下どちらにもある場合
    W期 肺や肝臓にも広がった場合
  • 血液がんの専門医でないと初期には診断が付きにくい。年単位でゆっくり進行していくものから、週単位で悪化していくものまで、色々なタイプがあるのでどのようなタイプか、悪性度の診断と広がり具合を知ることが重要。正確な診断とその後の適切な治療が予後を決める。一般にLDHが上昇する。診断は組織を切開したり注射針で吸い出して組織を調べるリンパ節生検。低悪性度のリンパ腫では症状も少なく、経過観察中に消滅するものの少なからずある。その他、血液検査、画像診断(CT、MRI、エコーで腫れているリンパ節を見つける)
  • 治療には、ホジキンリンパ腫は放射線、抗がん剤、骨髄移植(造血幹細胞移植)が行われ、比較的抗がん剤が良く効く。非ホジキンリンパ腫には抗ガン剤、手術、放射線治療が行われる。再発した悪性度の高い症例には、自家骨髄移植や末梢血幹細胞移植を併用した化学療法が行われ、生存率を向上させている。抗体療法(分子標的)も効果を上げている。実際の治療は複数の治療法を組み合わせて治療効果を高める事が行われている。治療期間6ヶ月〜1年。通院が主体で一定期間だけ入院もある。
     
    T期
    U期
    V期
    W期
    B細胞リンパ腫
    CHOP+放射線
    CHOP+放射線
    R-CHOP
    R-CHOP
    T細胞リンパ腫
    CHOP+放射線
    CHOP+放射線
    CHOP
    CHOP
    ホジキンリンパ腫
    ABVD+放射線
    ABVD+放射線
    ABVD
    ABVD
  • 病型や病期により治療法が異なる。びまん性大細胞B細胞性リンパ腫(悪性リンパ腫の中で最も患者数が多い)などの一部のリンパ腫では標準的治療が確立しつつある。ただ、B細胞性リンパ腫は標準的治療が確立しているが、T細胞性リンパ腫は標準治療は確立していない。ただ、T細胞リンパ腫の一部に効果がある新薬の開発がすんでいて登場が待たれる。標準治療が確立していないその他の悪性リンパ腫の治療はまだ手探り状態で、早急な確立が望まれる。
  • 約50%は治り、白血病や多発性骨髄腫より治療成績は良い。希望を持って日常生活では楽しいことに専念し、免疫力を上げることは治療成績をしばしば上げている。治療中は禁煙が原則。
  • 治りにくい悪性リンパ腫の代表と言われる「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫」と、「マントル細胞リンパ腫」(低悪性度と中悪性度の中間)に待望の新薬が登場している。@フルダラ錠(リン酸フルダラビン)(2007年承認の飲み薬)とAゼヴァリン(イブリツモマブチウキセタン)(2008年承認の注射薬)で、従来の抗がん剤で効き目がなくなったり、再発した患者を対象に使われる。副作用は比較的少ないので高齢者にも使われている。尚、ゼヴァリンは放射線の管理が出来る施設で使われる。
  • 分子標的薬「「リツキサン(リツキシマブ)が健康保険で2001年認可され、非ホジキンリンパ腫の80%に効果が出て、生存率が大幅に上がっている。また、B細胞リンパ腫(悪性リンパ腫の60-70%を占める)の治療に使えるようになり、治療成績が従来に比べて15%upして65%になっている。低悪性度B細胞リンパ腫の一種である「濾胞性リンパ腫」の生存期間は従来、7-10年と言われたが、現在では15年以上というデータもある。非ホジキンリンパ腫では、リツキサンと3種類の抗がん剤とホルモン剤を1つ組み合わせたCHOP療法を行うのが標準的。リツキサンは使用し続けると耐性が出来CD20が陰性になると効果が期待できなくなるという治療の限界はある。最近は、CHOP療法にリツキシマブを加えたR-CHOP療法が第一選択の治療になっている。
  • 分子標的薬の登場により、5年生存率が従来30%だったものが、現在は50%を超える様になった。従来の抗がん剤では50%しか反応しなかったのに、分子標的薬には80%反応する。そして一旦は完全緩解になる。もし、再発してもまたクスリが使えるというメリットがあるので希望を捨ててはいけない。
  • 首や脇の下などにしこりが出来るので耳鼻科や外科を受診しがちだが、まず血液内科を受診したい。
  • 外来で治療中は、うがい、手洗い、風呂・シャワー、睡眠に注意する。糖尿病や高血圧などの生活習慣病をコントロールしていないと使えない薬等があるのできっちり治療しておきたい。
  • 治療の1例はこんな具合だ、通常3週間に一度分子標的薬の点滴をする。人によっては、その日のうちに腫れが小さくなっていくのですぐに効果が出るのを実感するほど。 点滴は8回程度、半年続けられる。正常細胞は傷つけないので、多くの患者は吐き気、脱毛、倦怠感、食欲不振を感じない。治療を受けていても外からは見分けが付かない程。20%が再発するのでその場合はクスリを変える。
  • 抗ガン剤の副作用で吐き気と発熱がでた場合は受診したがよい。
  • 治療件数の多い医療機関ほど5年生存率が高い傾向にある。
  • 国立がんセンター血液内科(飛内賢正医長)、東京大学医科学研究所付属病院血液・腫瘍内科、東大病院血液腫瘍内科(黒川峰夫科長)、東京医科大血液内科(大屋敷一馬主任教授)、東京女子医大八千代医療センターの増田道彦教授、癌研有明病院畠清彦部長、愛知県がんセンターなどが著名。血液内科を中心に病理医も含めた医師団の総合力が最も重要な病気の一つ。

多発性骨髄腫

  • 血液のがんでは二番目に多く、発症率は10万人あたり3人程度だが最近増えている。50才以上に多い。男性が60%、60歳から70歳代にもっとも多い。(発症の平均年齢は66歳) 40才以下は稀。患者数11,000人。発病の原因で一番考えられるのは、遺伝的要因と放射線被曝。骨髄腫細胞ががん化して骨髄内で増殖して免疫力低下などの症状を呈する。
  • 血液検査や尿検査で異常が発見されることも多いので定期的な検査が重要。骨折や背部痛・腰痛等の骨の痛みや貧血が出たらこの病気を疑う。骨髄腫の前骨髄腫段階としてM蛋白がある状態があると言われる。M蛋白が増加している人に弱い骨髄腫治療を行い、骨髄腫に進行するのを抑制できるのかを検証する治験などが実施中。
  • 発病は通常緩慢な事が多いので最初は何の病気か分からないことが多い。発病しても症状がでるまでに通常数年以上かかるとされる。無症状の時は定期的な経過観察で積極的な治療を行わない事が普通。(初期は経過観察でも積極的治療でも余命は不変)
  • 全身の骨髄で起き、骨が溶ける結果、多くのケースで腰痛や背部痛、肋骨痛が起きる。痛みは安静時に軽く、体を動かすと強くなる傾向がある。また痛みの場所が移動する特徴がある。(椎間板ヘルニアやぎっくり腰、肋間神経痛との鑑別が必要) 
    その他、進行すると腎機能障害、感染症、貧血、倦怠感、出血、骨折、視力障害、心不全などが起きる。
  • 免疫力が落ちるので感染症に罹りやすくなる。動悸、めまいなどの貧血症状、発熱、全身倦怠感や体重減少、口渇、多飲、悪心などで始まることもある。
  • 診断の確認はガン組織の生検で骨髄腫細胞が確認されること。その他、血液検査(貧血白血球減少、血小板減少高カルシウム血症血清タンパク高値等)、尿検査、レントゲン検査、MRI、PETなど。β2ミクログロブリンM蛋白(M蛋白増加により腎機能低下)、LDH、BUN、クレアチニン、カルシウム、アルブミン等も検査する。骨のレントゲンやCTで骨病変の存在が分かる。特に、骨の一部が丸く抜けて見える骨打ち抜き像が特徴。
  • 概ね65才以下の比較的若い人は自家末梢血肝細胞移植治療が第一選択肢。移植が成功すると平均生存期間約5年と言われる。ただ、自家移植が成功しても90%以上が再発しており、生存率向上のために自家移植を2回続けて実施するタンデム移植や自家移植を実施した後にミニ移植を行う等新しい治療法が試みられている。更に、同種移植でも、ミニ移植と呼ばれ、前処置で骨髄をすべてたたいてしまわない移植が行われるようになり、死亡率が減ってきた。
  • 最近の主流は、自家移植でがん細胞を減らしておいてその後にミニ移植を行う方法で、死亡率が減っている。
  • 分子標的治療薬やサリドマイドなどの免疫調整薬が登場しており、骨髄移植施行に匹敵する成績が上げられるようになってきた。 プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ:商品名はベルケイド)をより早い病期で使用することにより生存期間の改善が期待される。 (新潟県立がんセンター新潟病院内科 張 高明氏)
  • 新規に診断された多発性骨髄腫は通常大量化学療法と幹細胞移植のような強力な治療の適用対象にはならない。未だ、新規診断患者の長期的な管理を助ける、継続可能な治療の選択肢はない現状にある。そこで、今後、レナリドミドの継続投与が可能になれば、新規診断患者の無増悪生存期間の延長に役立つと期待されている。
  • 多発性骨髄腫は1970年代から30年間近くにわたり、治療に明らかな進展が見られなかった。しかし、その後の約10年間で患者の全生存率(OS)は顕著に改善した。日本赤十字社医療センターの鈴木憲史血液内科部長は、1990年代は平均余命は3年くらいだったが、その後大量化学療法と自家末梢血幹細胞移植の組み合わせで5年に延び、最近の新薬の登場で平均7-8年に延びたと話している。米国ではこの約10 年間に、再発・難治性の多発性骨髄腫に4 種の治療薬が承認された。サリドマイド、レナリドミド、ボルテゾミブ、リポソーマルドキソルビシンである。これらに従来からの薬剤であるメルファラン、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾンを併用することで、多くの治療選択肢が得られる。
    日本でも、2006年12 月にボルテゾミブ、2009 年2 月にサリドマイド、そして今年7 月にはレナリドミドが承認された。新規の免疫調節薬(IMiDs)のレナリドミドが加わり、多発性骨髄腫の治療に使われている世界の標準治療薬3種類が日本国内で使用できることになった。癌研有明病院・血液腫瘍科担当部長の照井康仁氏は日経メディカルオンラインの 2010.12.6付け記事の中で、「多発性骨髄腫の治療では、使用している薬剤に抵抗性になっても、6カ月間ほど間隔を取ることによって、感受性が回復し、再投与できることがある。現在の治療の目標はできる限り、完全寛解(CR)に持ち込み、次の治療につなぐというもの。交代できる薬剤が増えれば、薬物療法が有効な期間を延ばすことも可能になる。最初の薬剤が効かなくなっても、まだ2剤あるという安心感は患者、医師ともに大きい」と述べている。
  • 従来用いられたMP(メルファラン、プレドニゾロン)療法に変わって最近はまず、中等量の抗ガン剤を使用するVAD療法(オンコビン、アドリアシン、デカドロン)が標準的に行われる。2006年には新薬ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)が発売された。
  • 高齢者の多発性骨髄腫にボルテゾミブを用いた導入療法、維持療法が有効!
    第51回米国血液学会2009年12月5日〜8日 New Orleans U.S.A.での発表によれば、65歳超の高齢者の多発性骨髄腫(MM)に対して、ボルテゾミブ(V)、メルファラン(M)、プレドニゾン(P)の3剤併用療法分子標的薬+抗がん剤+ステロイド薬によるVMP療法)とボルテゾミブ、サリドマイド(T)、プレドニゾンの3剤併用療法(VTP療法)が導入療法として有効であることが明らかとなった。また、維持療法として、VT療法またはVP療法を行うことも有用であることが示された。現在は、高齢者の多発性骨髄腫にはメルファランとプレドニゾンを併用投与するMP療法が一般的に行われている。今回の成果は、今後の治療方針を変える可能性がある。詳細は2009. 12. 7日経メディカルオンライン参照。
  • 65才以上の高齢者では造血幹細胞の移植ができない事が多いので、従来の飲み薬の抗ガン剤などの治療で効果がなくなると、これまではサリドマイド(商品名:サレドカプセル)を使用したり、ステロイドの使用で完治には至らないものの延命出来る症例が増えていると言われる。これまでサリドマイドは保険未適用だったが2008.10.16承認された。但し、サリドマイド製剤安全管理手順を遵守すること。サリドマイドの副作用を軽減したレビミッドレナリドマイド(レブリミド)や難治例に効果を発揮するベルケイド(承認済み、注射薬)等が使われ始めている。
  • サリドマイドは分子標的薬の一種で、単剤での奏効率(腫瘍が1/2以上縮小した状態が4週間以上続く)は33%程度、ステロイドとの併用で55%と言われる。抗がん剤が効かなくなった人や移植で再発した人などの難治例に使われている。副作用は、眠気、便秘、口の渇き。注意点は、血栓性静脈炎と肺塞栓、長期連用での手足のしびれ感、神経痛。
  • 東京慈恵会医科大学附属第三病院腫瘍・血液内科薄井紀子診療部長は、レナリドミドが、@高齢者MM患者のファーストラインとして有効、A早期段階であるくすぶり型MMのハイリスク患者にも有効で、B自己骨髄移植後の地固め療法としても有用であるとの研究成果を発表した。レナリドミドは、一連のIMids(免疫調整薬)の1つでサリドマイドの新しい世代。これまで主に使われていたボルテゾミブも良い薬だが、注射製剤で神経毒性が強く、中々十分に使えないという問題点があったが、レナリドミドは飲み薬で、臨床的には治療がしやすくなると言う。多発性骨髄腫の薬物療法が大きく変貌してきた。詳細は日経メディカルオンライン2010.1.18付け参照。レナリドミドが2010年6月多発性骨髄腫対象に承認獲得した。デキサメタゾンとの併用で使用される。
  • セルジーンは2010年7月20日、再発または難治性の多発性骨髄腫(MM;Multiple Myeloma)の治療薬である「レブラミドカプセル5mg」(一般名:レナリドミド水和物)を発売した。「ボルテゾミブ」「サリドマイド」に次ぐ新規薬剤となる。一連の新規薬剤の登場で、平均2、3年の余命と考えられていたMMは、平均5〜7年あるいは10〜15年までの余命も見据えられるようになると期待されている。薬価基準は「レブラミドカプセル5mg」の1カプセルが8861.00円。
  • 埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授木崎 昌弘氏は第15回欧州血液学会 2010年6月10日〜13日で大要下記報告している。
    1)2000 年以降はボルテゾミブやレナリドミドなど新規治療薬が出てきて治るようになってきた。まずは、分子標的薬を中心に骨髄腫細胞を叩き寛解に持ち込む。条件が合えば、その後、自家末梢血幹細胞移植を実施。条件が合わないときでも、薬物療法でM蛋白の量が減った深い寛解状態が得られたら、低用量の薬で寛解を維持させる。
    2)高齢患者にはレナリドミド+低用量デキサメタゾンの併用も有用
    3)MP 療法+レナリドミドの初期治療とレナリドミド維持療法でPFS 改善
    4)MP 療法単独によるシンプルな治療も選択肢の1 つ
    5)自己幹細胞移植後にレナリドミドによる維持治療を行った結果、PFSが延長したと米国で報告されている
    6)初期治療においてボルテゾミブ+ MP療法(メルファラン、プレドニゾン)の併用が非常に優れているという成績が出ている。
  • 第一三共とアストラゼネカは、2012年1月、抗RANKリガンド抗体であるデノスマブ(商品名ランマーク皮下注120mg)について、「多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変」の適応で国内製造販売承認を取得したと発表した。
  • 平均的な生存期間はスタンダードリスクの患者で約7-10 年。しかし、ハイリスクの患者では各種の治療を行っても約2 年となる。あきらめるのは早い、とにかく、使用できる薬剤を順に使用していく。選択肢を全て使用する必要がある。新しい分子標的薬「カーフィルゾミブ」「ポマリドマイド」などの開発も進んでいる。
  • 多発性骨髄腫(MM)の治療に、免疫調節薬(IMiDs)やプロテアソーム阻害剤、さらにそれらを用いた併用療法が使われるようになり、多発性骨髄腫は完全奏効(CR)が維持された状態が続く「慢性疾患」になりつつある。次世代のIMiDsやプロテアソーム阻害剤をはじめ、新規分子標的薬の臨床試験も着実に進んでおり、多発性骨髄腫は血液がんの中でも大きく治療が進展している疾患といえる。
    数多くの臨床試験を牽引しているDana-Farber Cancer Institute, Jerome LipperMultiple Myeloma CenterディレクターのKenneth C. Anderson 氏が、第74 回日本血液学会学術集会コーポレートセミナー「Novel Targeted Therapies of Multiple Myeloma」(座長:慶應義塾大学血液内科教授・診療科部長 岡本真一郎氏、共催:セルジーン)で講演し、多発性骨髄腫に対する新規の分子標的治療を中心に研究の最新情報と将来の方向性について話した。
    Anderson 氏は、将来的な方向性として、ワクチンや抗体製剤といった免疫療法の開発、骨髄微小環境にある骨髄腫細胞をターゲットとした新規薬剤の開発、理論的根拠のある併用療法の開発、そして予後予測や個別化治療のためのゲノミクスの活用を挙げた。そして「多発性骨髄腫は、多くの患者で完全奏効(CR)が維持され、慢性疾患になると思う」と述べた。詳細はこちらを参照下さい。(2012.11.21日経メディカルオンラインより)
  • 薬物療法での問題点は副作用。手足のしびれなどが出て休薬・減薬に追い込まれるケースも出ている。静脈注射を皮下注射に切り替えるケースもある。
  • 埼玉医科大学総合医療センター木崎昌弘血液内科教授、日本赤十字社医療センター鈴木憲史血液内科部長、がん研有明病院畠清彦血液腫瘍科部長、国立国際医療センター三輪哲義医長、慶応病院血液内科服部豊医師、群馬大学病院村上血液内科教授、京都府立医大血液内科島崎千尋講師、東京大学医科学研究所病院小澤敬也病院長、国立がん研究センター中央病院飛内賢正副院長、名古屋市立大学血液腫瘍内科飯田真介部長等が著名。
  • 日本骨髄腫患者の会 fax:042-381-0279

骨髄異形成症候群(MDS)

  • 発病者数は年間に10万人あたり3〜10人とされ、患者数は平成10年の厚生労働省の報告では7,100人で、年齢の中央値は欧米と比較して若干若年層に多く64歳である。男女比は1.9:1。高齢者の難治性貧血ではこの病気が増えている。
  • 骨髄不全と前白血病状態という2つの側面を持つ疾患。白血球、赤血球、血小板のいずれか、又は全てが減る病気で、50歳以上で化学療法・放射線療法を受けた人に多い。最初は自覚症状はない。ゆっくり発症し慢性に経過するのが特徴。経過観察するだけで良いものから放置すれば白血病に移行するものまであり、経過は個人差が大きい。とにかく白血病に移行する前に治療を開始する必要がある。赤血球、白血球、血小板が減少して貧血が進行したりする場合は血液の専門医を受診する必要がある。白血病への移行のリスクが高いか低いかで治療法が違う。患者の約半数が5年以内に急性骨髄性白血病に移行するといわれている。尚、骨髄異形成症候群には遺伝性はない。新薬レナリドマイド(商品名:レブリミッド)やVidaza(一般名アザシチジン)が臨床試験中である。
  • 一般的に患者は高齢者が多い。徐々に骨髄非破壊的造血幹細胞移植術を用いた移植が比較的高齢者にも試みられているが、感染症を含む移植合併症や再発を克服する試みもある。MDS全体での移植後長期生存率は約40%と比較的良好といえる。移植が出来ない患者への治療は貧血や血小板減少に対する赤血球や血小板の輸血などの対症療法になる。貧血が進行するとたびたび赤血球の輸血を繰り返す。骨髄中の白血病細胞である芽球(異常細胞)の割合が20%のものはMDS、30%以上になると白血病と分類される。
  • 血球減少による症状が中心であり、貧血は必ず起き、赤血球・白血球・血小板の全てが減少する汎血球減少が48%、貧血+血小板減少が18%、貧血+白血球減少が17%、貧血のみは13%である。
  • 症状は、顔色が青白い、疲れやすい、階段昇降で動悸や息切れがする、風邪を引きやすい、熱が出る、出血傾向などが出現する。
  • 検査は、血液検査で、貧血・白血球減少・血小板減少の内、1つ〜3つすべての該当やLDHの上昇、間接ビリルビンの軽度上昇などを確認する。
  • MDS骨髄異形成症候群が疑われたならば、骨髄穿刺にて血球の異形成像および芽球比率を検討し病型診断を行うとともに、染色体異常を調べ、予後を検討する。2012年に提唱されたIPSS-Rでは、個々の患者における予後がより詳細に検討できるようになった。
  • 治療方針は、MDSの病型、リスク分類に加え、症状、年齢、全身状態、患者の意向を考慮し決定される。リスク分類については、国際予後判定システム(IPSS)では「骨髄中の芽球の割合」「血球減少が何種類か」「染色体異常の種類」の3項目により判定するが、各リスク群における生存期間中央値と急性骨髄性白血病(AML)移行率は、低リスク:5.7年/19%、中間リスク-1:3.5年/30%、中間リスク-2:1.2年/33%、高リスク:0.4年/45%となっているが、これらはあくまでも従来の治療を行った場合のものであり、治療法は時々刻々進歩しており成績は改善しているのであくまで参考程度にとどめた方が良い。
  • 低リスクと考えられる場合は、特に治療せず外来で経過を見ることもある。また、低リスクMDSで5q−染色体異常がみられたならば免疫調整薬レナリドミド(商品名:レブラミド)が第1選択とされ、単独の5q−MDSの貧血の改善は90%以上が期待され、さらに一部の患者で染色体異常の消失を含む寛解が望めるとの報告がある。貧血や血小板減少が進んできたときは免疫抑制療法(シクロスポリンの内服)等が試される。高リスクの場合は無治療ではいずれ急性白血病に移行する可能性が高いので必要な治療が行われるが、治癒が期待出来る治療法は造血幹細胞移植しかない。ただ、これは体の負担が大きく、治療のリスクもあるので患者の健康状態、意思、年齢などを考慮して決められる。
  • 首都圏では虎の門病院、都立駒込病院、埼玉医大総合医療センター、自治医大埼玉医療センター、東邦大学医療センター大森病院、東京都健康長寿医療センター、順天堂大学(小松則夫主任教授)が実績が多い。
  • 2010年レナリドミド(商品名:レブリミド)、2011年アザシチジン(商品名:ビダーザ)が発売された。
  • 新薬で期待されるものに「メチル化酵素阻害剤」がある。高リスクのMDS治療で生存期間を延ばす効果が認められている。(通常の支持療法における平均生存期間15ヶ月を24ヶ月に延ばした。また、白血病への移行期間も延ばす効果がある)
  • 治療中に輸血依存による鉄過剰症がしばしば問題となり、生存率(OS)を低下させる原因となり得るが、過剰となった鉄分を除去する鉄キレート剤デフェラシロクス(商品名:エクジェイド)が2008年に発売されている。
  • 埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授木崎昌弘氏は、米国NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン2011年v.2を基にしたリスク別治療方針に従い、低リスク群では輸血頻度の軽減やAMLへの移行をできるだけ少なくするために、造血因子やレナリドミド、アザシチジンを投与する。高リスク群では生存期間の延長をゴールとして、アザシチジンの投与やAMLに準じた化学療法、同種造血幹細胞移植を行うとしている(2011年5月現在)。
  • 東京大医学部付属病院の小川誠司特任准教授らの国際共同研究チームは骨髄異形成症候群の原因となる遺伝子を発見した。治療薬開発につながる可能性がある。論文は2011年9月11日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。今後の進展に期待したい。

参考資料


この頁は、書籍・文献・新聞・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。情報を参考にされることは構いませんが、最新情報は各自で医療機関にご確認下さい。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。


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更新履歴:2003.1.22/2003.3.4/2004.7.10/2006.2.17/2008.11.18/2009.12.28/2010.12.6/2012.5.6/2015.11.14/2016.1.11

 

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