高血圧の害、予防と治療

最終更新:2016.1.25

日本高血圧学会は2014年4月、「高血圧治療ガイドライン」を2009年以来5年ぶりに改訂した。

新基準では、高血圧の診断基準(降圧薬治療開始基準)は従来通り、「収縮期140以上、拡張期90以上」。

一方、血圧を下げる努力目標である降圧目標は、
・「若年・中年者高血圧」の場合、「上の血圧130未満、下の血圧85未満」→「140未満、90未満」に改訂。
・75歳以上は「140未満、90未満」→「150未満、90未満」に変更。
・但し、糖尿病患者、慢性腎臓病患者(蛋白尿陽性の場合)などは「130未満、80未満」は変更なし。

血圧の基準は医療機関で測る「診察室血圧」より、原則として家庭で朝晩各2回ずつ測定し平均値を取った「家庭血圧値」を優先することになった。

日本人の4人に1人、4,000万人が高血圧という。70歳以上で70%、50歳以上では40-50%、30-40歳台でも20%が高血圧と呼ばれるほど多い病気。親が高血圧なら、その子供は60歳時点で高血圧になる確率は100%と言われる。初期は目立った症状が出ないため放置する人が多いが、静かに病気は進行し、心臓肥大、タンパク尿、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全を起こすもとになるサイレントキラーだから怖い。血管をぼろぼろにして死に至らしめる点で「諸悪の根源」とも言える。日本高血圧学会のガイドライン2009によれば、140-90mmHg以上を高血圧としている。正常値は130-85以下。理想値は120-80。血圧が高いと言われた人は、まず塩分摂取を減らす、内臓脂肪を減らす、酒を控える、散歩などの運動などにより130-85を目標に改善する努力が必要。4カ国のINTERMAP研究の結果によれば、平均食塩摂取量は、日本の男性で12.3g、女性で10.9g、中国の男性:14.3g、女性:12.3g、英国の男性:9.4g、女性:7.5g、米国の男性:10.7g、女性:8.3gとなっており、日本の塩分摂取量が欧米に比べて多いことが分かった。減塩が必要である。

血圧に関する間違った理解

  • 昔から、@下の血圧が高いから注意した方が良いとか、A下の血圧が低いから大丈夫とよく言われてきたが、最近の研究で、これらが必ずしも正しく無いことが明らかになってきた。
  • 下の血圧が高いのは良くないが、一番の問題はやはり上の血圧。上の血圧が高いのは危険。上の血圧は正常範囲にまで下げる事が大事。一般に太り気味の人は下の血圧が高めになる。
  • 下の血圧が低いからといって安心してはいけない。低すぎるのも良くない。動脈硬化などが進んでいれば下の血圧は下がる。上下の差が大きいのは良くない。最高血圧−最低血圧が65以上ある場合は血管が硬い可能性がある(但し50才以上の場合)
  • 血圧の薬は一度飲み始めると一生飲み続けなければならないと思っている人が多いがこれは重大な誤り。血圧が薬やその後の生活習慣(運動と食事)の改善などで充分適正なレベルに下がっているなら、医師と相談の上休薬や減量して経過を見るのが良い。血圧の下がりすぎは脳梗塞などを引き起こすこともあるので血圧がコントロールすべきレベル以下にあるときは、漫然と薬を飲み続けるのはむしろ危険。

高血圧とは

  • 50才以上の二人に一人が高血圧と言われる程多い病気。
  • 約90%は原因がはっきりしない本態性高血圧で、最大の要因(60%)が遺伝で40%は環境因子。残り10%は2次性高血圧で、腎臓、副腎や下垂体などに病気があって、それが原因で高血圧になる場合。副腎や下垂体の良性腫瘍が原因の場合は、腫瘍を外科手術で摘出する事も必要。
  • @環境因子(肥満、食塩、酒、運動不足、寒冷、喫煙、ストレスなど)、A遺伝因子(両親・兄弟に高血圧の人がいる)、B生理的因子(老化、更年期、妊娠、腎臓病)などが複雑に関与して高血圧となる事が多い。
  • @血管性高血圧と、A血液性高血圧とがある。
    血管性高血圧=血管が狭くなり血圧が高い人で塩分摂取量の影響は薄い。
    血液性高血圧=塩分を控えるか、又は、塩分を尿中に多く排泄すると血圧が下がる。
  • 日本高血圧学会が2014年4月に公開を予定している「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」では、高血圧に対する第一選択薬は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4種類となることが固まった。β遮断薬は、主として心疾患合併高血圧に対して選択すべき薬剤とされ、第一選択薬からは除外される。
    高血圧治療は、合併症のない高血圧には、
    (A)ARBまたはACE阻害薬、(C)Ca拮抗薬、(D)サイアザイド系利尿薬またはサイアザイド類似薬──のいずれかで治療を開始し、次のステップではA+C、A+D、C+Dのいずれかに進み、それでも目標血圧に達しない場合にA+C+Dとする薬剤の使い方が呈示される。さらに、A+C+Dでも血圧コントロール不良の治療抵抗性高血圧に対しては、A+C+D+β遮断薬またはα遮断薬、抗アルドステロン薬、さらに他の種類の降圧薬を併用することになる。(2013.10.29)
  • 日本高血圧学会は2004/10 高血圧治療の新指針を発表した。
    1. 若年・中年者の降圧目標は130/85mmHg 未満とする。
    2. 65歳以上75歳未満の人の血圧は、「上が140、下が90未満」を目標とする。
    3. 75才以上で血圧が上が160、下が100以上の高血圧患者の場合、暫定的な目標値として「上が150、下が90」を設定し、慎重に血圧を下げるよう推奨する。
    4. 家庭で測る血圧が135/85mmHg 以上であれば高血圧とする。(家庭で測る血圧は病院で測る血圧より低いのが普通なので、家庭血圧計で135/85以上あれば高血圧としている)
    5. BMI値は25未満を「適正体重」とする。 BMI=体重(KG)を身長(M)の2乗で割ったもの。
    6. 食塩の制限摂取量を従来の1日7g以下から6g未満と引き下げる。現在平均的には日本人は11.2g摂取していると言われるのでかなりの努力が必要。
  • 朝と夜の血圧の差が大きい人は心筋梗塞や突然死の危険がある。
  • 最高血圧と最低血圧の差が少ない人は動脈壁の弾力性が少なくなっている人。肥満の人にも多い。
  • 加齢に伴い動脈硬化が進めば、上の血圧はあがり、また、血管の弾力が弱くなるので、下の血圧は下がる傾向にある。つまり、上下の血圧の差が広がるのは動脈硬化が進んでいる証拠であり良くない事になる。上下の差が大きくなるほど危険とも言える。上下の差は40-60が適切。
  • 高血圧には3つのタイプがある。自分の血圧がどのタイプかを知ることが治療上重要。
    日中型 日中活動する時間帯(昼から夕方にかけて)に血圧が上がる。全体のほぼ半数で最も多い。
    早朝型 起床後血圧が急にあがるタイプでもっとも危険。全体の30%。心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいので注意。夜の血圧に比べて朝が20以上高い時は早朝高血圧の可能性が大。早朝高血圧の人は夜間も高いのか、睡眠中は下がっているのかの鑑別が必要。(夜間上昇型と夜間低下型) 24時間血圧計で確認する。寝る前にコップ一杯の水を飲むとよい。塩分を減らす(6g)。
    夜間型 寝ている時は昼間に比べて15程度は下がるのが普通。昼間低いのに夜間高くなるタイプ。夜になっても血圧が下がらない夜間非降圧型の人は血管が傷み危険。寝ている時の血圧が120を超えるのを夜間高血圧と呼ぶ。脳梗塞などを起こしやすい。→肥満解消、塩分制限、dash食で塩分を体外に出す食事が効果的。dash食はカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維を多く含む食事のこと。生活習慣を正しくすることも重要。
  • 時々血圧が急に上がる人は別の病気を併発している事もあるから調べて貰う。
  • 3剤以上の薬を飲んでいるのも関わらず血圧が思うように下がらない治療抵抗性の高血圧は、もしかしたら原発性アルドステロン症(PA)かもしれない。原発性アルドステロン症(PA)は、副腎皮質に腺腫や過形成が生じ、アルドステロンの過剰分泌を来す疾患で、ナトリウムの貯留による高血圧やカリウムの排泄増加による低カリウム血症をもたらす。これまで患者はごく少数と考えられていたが、検査法の普及により、現在では高血圧患者の10%、3種類の薬を飲んでも血圧が下がらない患者の20%を占めると考えられている。(推定患者が200万〜400万人 ) 今や、PAは2次性高血圧の中で、最も頻度の高い疾患なので、もし薬を飲んでもなかなか血圧がさがらないような場合は、医師に、“ひょっとして原発性アルドステロン症ではないか?”と聞いて検査して貰うのがよい。→まずは、 アルドステロン/レニン比(PAC/PRA、ARR)を測定し200以上ならPAの可能性が出てくる。この場合は専門医療機関にて精密検査。原発性アルドステロン症の治療は薬物療法と手術療法(局所麻酔下電極針を副腎に刺して腫瘍を焼き切る方法や腹腔鏡下副腎摘出術で片方の副腎を摘出)がある。薬を飲んでも血圧がなかなか下がらないケースや夜間の排尿回数が多い場合には疑ってみたがよい。2014/5現在、電極針による治療は東北大病院の高瀬圭准教授(放射線診断)らのグループが開発し、臨床試験中。
  • 治療抵抗性高血圧に対して、最近、カテーテルを用いて腎動脈の内腔より血管周囲を並走する交感神経を焼灼する技術が開発された。海外では2012年現在5000人以上に実施されているが、日本はまだ治験段階にある。自治医大循環器センターなどで実施中。
血圧の目標値
75歳以上の高齢者
150-90未満
65〜75歳未満の高齢者
140-90未満
若年・中年者
130-85未満
脳血管障害
140-90未満
糖尿病患者・腎障害患者
130-80未満

  診察室血圧
最大
条件
最小
正常
至適血圧 120未満 and 80未満
正常血圧 130未満 and 85未満
正常高値血圧 130-139 or 85-89
高血圧
(T度)軽症高血圧 140-159 or 90-99
(U度)中等症高血圧 160-179 or 100-109
(V度)重症高血圧 180以上 or 110以上
収縮期高血圧 140以上 and 90未満

2009年策定の高血圧治療ガイドラインより
最大血圧と最小血圧が異なる分類に属する場合は高い方の分類に組み入れる。
家庭で計る血圧は上記の診察室血圧より上下それぞれ5マイナスする。

血圧のはかり方

  • 一般に病院で測った時、血圧が高くなる白衣高血圧の人が多いが、病院では正常値なのに、自宅で色々な場面で測ると血圧が高いという「仮面高血圧(逆白衣高血圧)の人がいる。仮面高血圧の人は医師が気付きにくく適切な治療がなされない事があるので最もきけんな高血圧と言われ、事実、心筋梗塞や脳梗塞が2倍起こりやすいと言われる。自分で朝と夜測ってノートなどに記帳し経過を医師に正しく申告する事が重要である。
    正常 家庭血圧135以下、病院血圧140以下の場合
    高血圧 家庭血圧135以上、病院血圧140以上の場合
    白衣高血圧 病院血圧は140-200だが、家庭血圧は135以下の場合
    仮面高血圧 病院血圧は140以下だが、家庭血圧は135-200の場合(先生が危険に気づかないので適切な治療が行われず高血圧が進行する危険がある)
  • 家庭でこまめに血圧を測る事が大事。(血圧が高い人は1日何度も測ってどういう時に高くなるか自分のパターンを知る) 血圧は一日の内で変動しており、急に血圧が上がった時などに、他にも色々な条件が重なると心筋梗塞や脳梗塞を起こすことがある。普通安静にしている時の血圧は低く、走ったとき、冷たい風に当たった時、イライラしたとき、たばこを吸ったとき、辛い物を食べたとき、トイレを我慢したとき、会社で忙しく仕事をしている時等には20〜30も血圧が上がる。従って、安静時に低いからと言って安心は出来ない。
  • 出来るだけ、上腕で測る血圧計を使用すること。次に手首型は簡便で使いやすいが、で測るタイプは正確さに欠けるので避けたい。
    私は2つの血圧計を使い分けている。起床時はより正確な上腕式できっちり測り、日中は簡便な手首式でチェック、普段と違う値が出た時など計り直す必要があるときは上腕式で確認している。
  • 測る前に5分程度安静にする。測る位置は心臓の高さにすることが重要。日本高血圧学会の高血圧治療指針改訂版2014では、家庭で血圧を測る場合は、原則2回測定し、平均値をとる事とした。3回測定の平均値を取っても良いが、4回以上の測定は勧めていない。1回目の血圧は構えて緊張するから往々にして高めにでる。安静時に測る血圧を採用して良い。
  • 血圧は通常1日3回計測するのが望ましいが、それが難しい場合は@起床後朝食前とA入浴や晩酌前の2回測定する。安定してきたら一日一回でも良い。起床直後は高めに出ることが多いので避けたい。
  • 血圧は微妙に変化しており、測るときの姿勢や測る位置でも変わるので、1)3回測って平均値を出すか、2)2分程度の間隔で2回測って2回目の血圧をその時の血圧として採用すると良い。(2回計測して低い方を採用しても良いとする医師もいる)
  • 昼間は薬で血圧が良くコントロールされているが、一般には朝、血圧は高い傾向がある
  • 朝は起床後1時間以内(排尿後、朝食前、血圧薬服用前)に座った状態で計測する。
  • 昼は昼食前に計測する。(又は食後30分後)
  • 早朝高血圧の見分け方は、寝る前と起床直後(30分以内)に血圧を測り、上の血圧を比べてみて、寝る前と起床時の差が20mmHg以上ある場合、又、寝る前と起床時の上の血圧を平均してみて、135mmHg以上あれば早朝高血圧が疑われる。
  • 夜は寝る30分位前に測るのが良い。入浴直後は避ける。同じ時間に測ること。夜間の血圧が高い人は心臓疾患に注意。
  • 家庭で測った血圧が、135/80以下になることを目標にする。特に起床時の血圧をこの135/80以下にする事を目標にしたい。
  • 一日の血圧を30分毎に測る24時間血圧計があり、これで一日の変動を測る事により血圧の変動の様子を知り、より適切な血圧治療が出来る。

高血圧の害

  • 悪玉コレステロールが血管の内膜に入り血管を狭くしてしまう。血管が弾力性をなくし動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞、狭心症の原因となる。特に、脳卒中は寒い冬に集中。 昼間は血圧値が正常だが、夜間〜早朝に高い人は特に注意。高血圧の適切な治療が行われないと脳梗塞を発症する危険性が高まる。(脳梗塞や心筋梗塞の最大の危険因子が高血圧
  • 高血圧とメタボリックシンドローム、糖尿病、慢性腎臓病、脂質異常症等と合併してしまうと、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが何倍にも高まり事態悪化が特急列車で進んでしまうので、一層厳密な降圧管理(130/80未満)が必要になる。
  • 高血圧の人は血圧の変動だけでなく、動脈硬化の進行具合を知る意味でも、@頸部エコー検査とAPWV検査を受けることが望ましい。
  • 高血圧の状態が長く続くと、脳・心臓・腎臓・動脈・眼などの重要臓器にダメージを与える。この五大合併症が怖い。高血圧の合併症として年間30,000人が人工透析に移行する事実を重視する必要がある。
    高血圧の人に薦められる検査
    @頸部エコー検査
    APWV検査
    B眼底写真
    C心臓エコー検査
    D血液検査:クレアチニン、微量アルブミン、血糖値、コレステロール、中性脂肪等
  • 腎症の進展は血圧が低いほど遅いとの調査結果から、最近では、糖尿病性腎症の早期腎症期の患者についても、血圧が、例え正常血圧(130/85mmHg未満)であっても、降圧薬(アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が中心)による治療を行っている医師が多くなっていると言う。
  • 高血圧の人が一番注意することは脳梗塞心筋梗塞の引き金になるアテローム血栓性動脈硬化。血中のコレステロールが血管内に入り込み粥状の硬化巣になるのを防ぐ必要がある。アテローム(粥状硬化)のある人は心筋梗塞を起こしやすいが、粥状硬化は30歳代で出来はじめ、60歳代ではほとんど全員に見られると言われる。血小板が固まり血管を塞ぐことにより心筋梗塞が起きる。
  • 高血圧の中でも早朝高血圧の人は特に注意が必要である。なぜなら、心筋梗塞は起床後1時間以内、脳梗塞は2時間以内に集中しているというデータがある。起き抜けの血圧が135を超える人は特に注意したい。目覚めて30分以内の血圧が高い人は、医師と相談して血圧の薬の量や飲むタイミングを見直す。朝1回の服用では翌朝には薬の効果が薄らいで血圧が上がりやすい人もいるので、朝夕の血圧を測って医師と相談の上、夜に(も)服用するのも良い。 
  • 血圧の高い人は、正常値の人に比べて認知症(脳血管性、アルツハイマー共)になりやすい。
  • 塩分過剰摂取の害:塩分を恒常的に多く取りすぎる人は、例え血圧がそれほど高くなくてもアルドステロンの作用が高まって、血管の壁が傷つき血栓が出来たりして、脳梗塞・心筋梗塞・心不全・腎不全が起きやすくなるので注意。(塩分を多く摂取すると一般に血圧は上がるが、塩分に対する感受性が低い人が50-70%もいると言われるので例え血圧が低くても安心できない。高血圧でない人でも塩分は出来るだけ控えるのが良い)
  • 一般的に血圧が高いほど色々な障害が起きやすくなるが、高齢者の血圧を130以下に下げるとかえって心筋梗塞や脳梗塞などが起きやすくなるとの報告や、80才以上の人に降圧治療を行うとかえって元気がなくなったり、寿命が短くなるとの研究報告もあり、降圧治療に対する信頼すべきデータの集積が急がれる。
  • 血圧の害が心配な人は眼科を受診して眼底検査をして貰うと、血管が見られるので血圧による血管の障害の貴重な情報を知ることが出来る。
  • 高血圧で且つCKDを合併していると、心房細動を発症するリスクが2倍(8%)高くなるので注意。

高血圧の自覚症状

  • 初期は自覚症状に乏しいのが特徴。このためサイレントキラーと呼ばれる。⇒血圧を定期的に測るのが良い。
  • 頭痛(後頭部に心臓の拍動に一致した鈍痛を感じる)が代表的症状。その他、眼の奥の痛み、めまい、耳鳴り、肩こり、動悸、便秘、夜眠れない、手足のしびれ、吐き気等。
  • 血圧が200を超えると、多少の苦痛を感じる事が多いが、260を超えるような極端な高血圧でも自覚症状の無い人もいるので、自覚症状だけで判断することは危険。

急に血圧が上がったときの対処法:

  1. 血圧が急に上がったときは慌てるものだが、血圧は天気と同じで変化しやすい。落ち着いて対処する。
  2. 血圧が急に180〜200に上がったときは、2〜3度計ってみる。やはり高い時は時間をおいて計る。
  3. 30分〜1時間後に計ってみる。それでも高い時は降圧剤を1錠飲む。安静にする。
  4. それでも下がらないようなら受診する。

高血圧の予防


血圧を上げること
血圧を下げること
  • 食べ過ぎ、偏食
  • 甘い物の食べ過ぎ
  • 運動不足
  • 塩分の濃い食べ物を好む(梅干し、みそ汁、漬物)
  • 車の運転でスピードを出すと血圧が上がる
  • 通勤もあたふたと急ぐと血圧が上がる
  • 会議・残業の連続
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • トイレを我慢する
  • 便秘で息む
  • 夜中のトイレ
  • 脱衣場と風呂場が寒い
  • コーヒーの飲み過ぎ(一日4、5杯)
  • 酒の飲み過ぎ(日本酒1.2合、ビール中瓶1本強、ワイン200ml以上は血圧を上げる)
  • 糖尿病、脂質異常症
  • 散歩や適度の運動。散歩が時間の無駄と思わずひたすら歩くことが血圧の低下につながる。特に、週に合計1時間の早歩きが有効。下肢の血液循環が良くなると血圧は下がる。
  • 減塩:食事は薄味にする。ラーメンやみそ汁は具だけ食べ、スープは残す。ラーメンのスープには8gの塩分が入っている。漬物は水で洗って食べる。醤油は控え、酢・レモン・生姜・紫蘇等で食べる
  • 全粒穀類、果物および野菜の多い食生活にする。脂肪、コレステロールの多い食品を避ける。
  • カリウムカルシウムビタミンの豊富な食事
    カルシウムの摂取量が多い人は高血圧が少ない。
  • 風呂はぬるま湯に入る
  • 十分な睡眠(睡眠不足は大敵)
  • 深呼吸、腹式呼吸
  • ストレスの解消
  • 何事もゆっくり行動する。急がない。
  • 少量のアルコール
  • 体重を減らす:BMI(体重/身長X身長) 25以下。特に内臓脂肪を減らすのが効果的このため腹囲を85cm以下にする。
血圧を下げるための模範的生活
@食塩は1日6グラム以下(血圧が正常な人でも10g以下)(効果大)
A肥満防止。食べ過ぎない。
標準体重まで落とす。 BMI(体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)])が25未満
おへその回りの長さを85cm以下にする(減量は血圧を下げる効果大) 
B酒は飲み過ぎない(一日の飲酒量は日本酒なら1合、ビールなら1本、ワインなら200ML以下にする)
Cたばこはやめる
D野菜、果物や魚をよく食べる。
野菜、果物、海藻に含まれるカリウムはナトリウムを排出する作用がある。果物は1日200gを目標(リンゴ1/2個+みかん1-2個程度)
E毎日運動をする(有酸素運動を20-30分)
  • 個々人により違うが、減塩で5,減量で10、軽い運動で10程度血圧を下げる効果があると言われる。
  • 毎日のウオーキングを続ける。歩き方は一日20-60分の有酸素運動を週に3-4回。途中で休憩せずに連続して歩く。心拍数は100程度、最大120迄を目安にする。持続して歩かないと細切れな歩き方ではエネルギーが消費されず減量にならない。歩くことで減量、体脂肪が減り血圧も下がる。国立健康・栄養研究所と国立療養所中部病院の研究では1週間に合計1時間以上の早歩き、脈拍110-120回/分が血圧を下げることに有効との研究報告を発表した。週一回纏めて60分歩いても、1回20分を週3回でも良い。ひたすら歩くことで下肢の血液循環が良くなり、毛細血管が発達して血圧が下がってくる。(手足の毛細血管の血液循環が滞ると血圧が上がる) 
    歩き方のコツは、@かかとから着地、A前傾姿勢ではなく、軽く腹を突き出して歩く、B手を振る。呼吸は2歩吸って、4歩で吐く。息を吸うときに無理に吸い込むとかえって血圧が上がる。吐くことを意識すれば、自然に吸える。
  • 散歩出来ない時は、自宅で「その場足踏み」。出来れば足を高く上げる(太股を水平に)隊長さん歩き。急に増やさず徐々に回数を増やす。1日200回(片足で数える)。呼吸は2回鼻から息を吸って、6回で口から息を吐き出す腹式呼吸。手も大きく水平になるように振る。
  • 冬は、手袋、首をマフラーで保護、マスク、帽子(出来れば耳まで覆える防寒用)を着用。イヤホーンで音楽を聴きながらリズムに身体を合わせて歩くと尚良い。
  • 平素から食事に気を配る
    ⇒カルシウム、マグネシウムを多く含む牛乳、乳製品、魚介類、豆類やカリウム、ビタミンCを多く含む緑黄色野菜を多めに食べる。
    その他、血圧を下げる食品ソバ、イカ、ウニ、アスパラガス、アシタバ、、海苔、イワシ、かつお節、黒豆にんにく玉ねぎ 
  • カリウムは塩分(ナトリウム)を尿に排泄するので血圧を下げる効果がある。但し、腎機能の悪い人は摂りすぎない。
    カリウムの多い食品野菜や果物⇒柿、リンゴ、ミカン、キーウイー、梨、アボガド、バナナ、トマト、キャベツ、人参、タマネギ、ほうれん草、長芋、サツマイモ、ヒジキ、ワカメ、車エビ、大豆、イワシ、牛乳、酢、ソバ・・・・。
    目標摂取量:一日6g。 腎臓の悪い人以外は過剰摂取も特に問題ない。錠剤ではうまく摂れない。
    リンゴはNaを含んでいないので理想的。⇒コレステロールや中性脂肪を下げ、又便秘を改善。
    ほうれん草はNaを含んでいないが醤油を使うとNaを摂取することになるので調理に注意。
  • は血圧が上がるのを防ぐ効果がある。一日大さじ一杯(15cc)程度飲むと良い。やめると元に戻るので毎日継続することが大事。酢を飲むときは必ず5倍以上に薄めて飲む。
  • ココア(ココア含有量60%以上のココア)やビターチョコレートは血圧を下げる。但し、カロリーが高いので飲み過ぎ食べすぎは禁物。ミルクチョコレートは不適。1日20粒のアーモンドは悪玉コレステロールを減らし、血圧や血糖値を改善する。チョコやココアは1度にたくさん食べるのでは無く少しずつチョコチョコ食べるのが効果的。(ミルクチョコ30G=167Kcal)
  • 血圧が正常な人でも食塩は1日10g以下に押さえるのが望ましい。藻塩が良い。食事は薄味にする。
  • 少量の酒は血圧を下げる(飲酒後1-8時間は下がる)
  • 「ノニ」は免疫力を強化し、高血圧・糖尿病を改善させる効果があると言われる。ノニのジュースを空腹時(食前30分前)に30ML程度、毎食前に飲むと良い。
  • 熱い風呂に長い時間はいるのは危険。夏なら湯船に入るのは、38〜40度に2-3分程度にする。冬でも40度で5分程度にする。風呂の中で手指のぐっぱ運動を10回程度すると効果的。首まで浸からない。
  • 普段飲むお茶は玄米茶がよい。玄米に含まれるギャバの効果で血管の収縮が抑えられ血圧の上昇を防いでくれる。
  • 麦茶起き抜け、風呂上がり、寝る前には麦茶がよい。(麦茶のピラジンは緑茶やウーロン茶より血液サラサラ効果が高く血圧上昇を防ぐ。又、血小板の凝集を防ぎ血栓を出来にくくする効果がある。同時にカフェインを含まないメリットもある)
  • ノンシュガーのガムを噛む。
  • 塩分摂取を減らすために、こしょう、酢、わさび、とうがらしを適宜活用する。これらの食品は血圧を上げない。
  • 冬寝ているときに布団から手を出して寝ていると血圧が上がって、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすいので、必ず手は布団の中に入れる習慣をつける。
  • 夜間のトイレは我慢しない。尿意があるのに我慢すれば血圧が50近くも高くなる。
  • 起床時、@急に起きあがらない、A手足をぶらぶらさせて血液が全身に回るようにする、B2分間腹式呼吸(4秒吸って4秒吐いて)をしてから起きあがる。(注意:深呼吸や腹式呼吸のやりすぎはたちくらみや手足のしびれを起こすことがあるので注意)
  • 午後3時頃20分程度昼寝する。横になるだけでも良い。(1日の内で一番血圧が高くなる時間帯にリラックスする)
  • 血圧が高いときは「深呼吸」をするだけでも血圧は下がる。
  • 手指反らし」 手の指にもう一方の手を当てて痛いと感じる程度まで反らすもの。10秒反らしたら、7-8秒休んでまた反らすを繰り返す。3分程度行う。肘は伸ばした方が効果的。血行が良くなり血圧が下がる。
  • 曲地というつぼを押す:肘を60度に曲げた時に出るシワの先端あたりにある曲地というつぼを1時間に1回程度両腕の曲池をそれぞれ5秒ずつ、6回程度押すと血流が良くなり血圧が安定すると言われる。
  • 特定保健用食品の活用:
    4週間程度以上飲むと効果が出てくると言われる。個人差があるが10程度血圧が下がると言われる。但し、これは正常高値くらいのやや高めになってきた人が飲んでみるもので、薬と違って効き目は鈍いので、1-2ヶ月飲んでも効果が出ないようなら、漫然と長期間飲んで結果的に血圧の高い状態を続けないで、高血圧の人は医師を受診して、正規の血圧の薬を服用した方が効果が確かで、且つ費用が安い。
    ヤクルト「プレティオ」 やくるとおばさんの配達。\120/本
    カルピス「アミール」 飲みやすい。\130/本程度。出先でも飲めるように錠剤もある。
    常磐薬品「ラピスサポート」 \100/本 飲みやすい。
    ミツカン「マインズ」 \150/本は高め。空腹時を避ける、他の薬を服用中の時は同時飲用は避ける等制約が多い。酢なのでそのままでは飲みにくい。薄めて飲むと良い。
  • みそ汁は必ずしも血圧を上げない。むしろ、1日3杯でがん抑制効果:
    一般にみそ汁は血圧を上げそうだが、みそ業界の広報組織「みそ健康づくり委員会」の高梨修委員長は「みその塩分は、がんや高血圧を増やすことはないとの研究結果が報告されています」と説明する。 それでも塩分が気になる向きは、具を工夫するといい。ホウレン草やシュンギク、イモ類といったカリウムを多く含む食材をはじめ、食物繊維の多いワカメ、ゴボウ、コンニャクなどは、塩分の吸収を抑えてくれる。これらを取り合わせた具だくさんのみそ汁なら栄養面でも理想的。 (2009年5月27日読売新聞)

高血圧の治療

  • 毎日30分程度のウオーキングを続ける。腎機能の悪い人は激しい運動は不可。軽く歩く。軽い運動でも血液の循環が良くなり、血管の抵抗が下がる。
  • 一日の血圧の変動を測り、自分の血圧が何型かを知っておく。朝血圧が高い人は、目が覚めても急に起きあがらず、10分〜20分間は布団の中で安静にして、ウオーミングアップして、それから起きる。又、起床後もなるべくゆっくり行動すると良い。
  • おへその高さの腹囲を85cm以下にする(内臓脂肪面積を100cm3以下にする) 内臓脂肪があると血圧が下がりにくい。
  • 普通の人で総摂取カロリーは標準体重の25倍が目安。
    標準体重=22X身長X身長  例:身長が1.64mの人は22X1.64MX1.64M=標準体重59KG
    標準体重が59KGの人は59X25=1,475KCALが総摂取カロリーとなる。
    肥満度指数(BMI)=体重/身長X身長で計算され、標準体重は22で、25以上が肥満、18.5以下は痩せすぎと言われる。BMIが25以上ある人はきっちり検針を受けて、食事と運動で減量に努める事が生活習慣病の改善につながる。肥満は高血圧や糖尿病を誘発し易いので注意。体重は毎日はかり記録することで体重に対する認識が向上する。まずは3〜4kg減量する事からはじめる。これでもかなり血圧は下がる。20才頃の体重に戻し、当時着ていたズボンがはけることを目指す。
  • 禁煙、禁酒(飲む場合は一日0.5合程度に止める)
  • 食事療法(@バランスの良い食事、A低脂肪食で肥満・脂質異常症の予防、B塩分を制限し、一日6g以下にする)
    特に、夜の血圧が高い人、腎機能障害等で食塩を制限しなければならない人は、@野菜(ほうれん草等)・果物(バナナ・プルーン等)を積極的に食べる、A低脂肪の乳製品を摂る、B肉を減らす、C砂糖の多いコーラーやジュースなどの飲料や菓子を減らす食事を考えると良い。
    ※食塩相当量(G)=ナトリウム量(G)X2.54なので注意。ナトリウム量=食塩量ではない。ナトリウム量で書いてある紛らわしい表示食品に注意。まずは1日200kcal程度減らす事からはじめる。
  • 薬物療法
    生活習慣の改善で血圧を下げられるのは150程度まで。血圧の薬には6種類ある。140-90以上の人は降圧剤の服用を医師と相談する。
    ace阻害薬(タナトリルやノバロック等)、AU受容体拮抗薬ARB(ニューロタン、ブロプレス、ミカルディス、ディオバン、オルメテック等)、カルシウム拮抗薬(ノルバスク、アムロジン、カルブロック等)が最初に用いられるが、β遮断薬(テノーミン、アーチスト等)、α遮断薬(カルデナリン等)、利尿薬(ナトリックス、テナキシル等)などを専門医が患者の状態にあわせて上手に使用すれば血圧はコントロール出来る。カルシウム拮抗薬は効き目がよく、安全性も高いので高血圧の治療の第一選択にされている。ただ、降圧作用は最強だが、一方、心肥大や動脈硬化を防ぐ力は弱い。又、ACE阻害薬は降圧作用も比較的強く、臓器保護作用もあるが、咳などの副作用が20-30%の人に出るので、新しいタイプの降圧薬ARBを選択する医師が加速してきた。2007年の調査では、医師の第一選択肢はCa拮抗薬が47.8%、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が39.9%となっており、この二つで90%近くを占めている。
    薬は続けるのが基本だが、血圧が下がり安定した後の休薬、減量は主治医と相談する。最初は必ず少量から始める。最近良い薬が登場し一日一回服用が基本。鎮痛薬との併用は注意。⇒薬剤師に確かめる。
    高齢者が血圧を薬で急激に下げるのは危険。脳梗塞が起きたり元気がなくなる可能性がある。特に、最初は薬の量も少なくしてゆっくり下げていく。副作用の少ないカルシウム拮抗薬・ARB(アンジオテンシンU受容体拮抗薬)やace阻害薬などが高齢者に向く。 最適の薬を見つけるまでに6ヶ月程度の余裕はみたい。但し、カルシウム拮抗薬はグレープフルーツとの飲みあわせに注意。
    薬は酒、牛乳、ジュース等と一緒に飲まず、水(出来れば湯冷まし)で飲む習慣をつける。
    血圧の高い人はコーヒーは一日一杯まで。飲み過ぎは悪い。
  • 2剤併用で最も多い組み合わせは、カルシウム拮抗薬CCB)とアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)でおよそ70%を占めている。次が、CCBとアンジオテンシン変換酵素阻害薬ACE阻害薬)の組み合わせ。ARBとACE阻害剤の併用は効果がないとの見方もある。
  • ARB単剤で目標値に達しないなら増量するより、ARBと少量利尿薬の合剤の方が降圧効果が高い:
    2009年の調査によれば、高血圧患者の70%近くが降圧目標値に達していないという。最近、ARBと少量利尿薬の合剤が続々登場してきており、ARB単剤で目標値に下がらないコントロール不良の患者は医師と相談の上、ARBを最大量まで増量するよりも、合剤に切り替えた方が良いと言われる。1日1回服用するタイプで十分な降圧効果があるという。但し、適宜採血して電解質異常が起きていないか、低ナトリウム血症になっていないかチェックする。特に、75才以上の高齢者に使用するのは避けたがよい。
    合剤は、例えば、  
    プレミネント錠はニューロタンと少量利尿薬の合剤
    エカード配合錠LD、エカード配合錠HDはブロプレスと少量利尿薬の合剤。
    配合薬は、古くからあるチアジド系降圧利尿薬のヒドロクロロチアジド。記号により成分量が違うので注意。
  • 実際の降圧治療の現場では目標達成には2〜3剤の併用を必要とすることが多い。第1選択薬はアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)で、それに利尿剤、カルシウム拮抗剤(CCB)を併用することが多いのが実情だが、合剤では単剤での処方が最も多いARBとCCBが治療実態を反映する組み合わせと考えられ、日本ベーリンガーインゲルハイムとアステラス製薬は2010/10、ARBのミカルディスと、持続性カルシウム拮抗薬(CCB)アムロジピンの配合剤ミカムロ配合錠APを新発売すると発表した。
  • 2009年のガイドラインで、糖尿病合併高血圧治療の第一選択薬がACE阻害剤とARBのみになり、カルシウム拮抗薬が第一選択からはずれ、二次選択薬に格下げとなった。
  • 高血圧治療はARB+CCB配合剤が主流になってきた:現在、下記の4剤が発売されている。2010年12月10日から長期処方も解禁された。尚、高血圧症治療の第一選択薬としての使用は禁止されている。
    1)第一三共レザルタス配合錠(オルメテック+カルブロック)
    2)ノバルティスファーマエックスフォージ配合錠(ディオバン+アムロジピン)
    3)武田薬品工業ユニシア配合錠(ブロプレス+アムロジピン)
    4)日本ベーリンガーインゲルハイムとアステラス製薬ミカムロ配合錠(ミカルディス+アムロジピン)
  • 早朝高血圧の治療:朝だけ血圧が高い人は寝る前に降圧薬をのむと良い。また、48時間という長時間作用型の降圧薬もあり、これを24時間毎に服用することで朝の血圧を下げる事も出来る。従来はCa拮抗薬やACE阻害薬などが多用されてきたが、最近の傾向として、血圧を下げると共に臓器保護作用があると言われるA-II受容体拮抗薬(ARB)が使われることが多くなってきている。ARBは空咳が出ない等副作用が少ない(頭痛やめまいが出る程度)ことや長時間効果が持続する、臓器保護作用がある(糖尿病・腎障害・心肥大・脳動脈効果などがある人に適する)等のメリットがあるが、その反面、降圧作用は弱く、薬価が高い、効果が出るまでに時間がかかるという問題点がある。
  • 製薬会社はARBを勧めるのでこれまでは医療機関の第一選択薬はARBが多かったが、高齢者にはARBは効きにくいので、利尿薬やカルシウム拮抗薬などに切り替える医師も多くなった。NHKためしてガッテンで放送されたが、ARBは若い人に多い血管が縮む「ギュウギュウ型高血圧」には効果があるが、血管内に水分量が増えて血管壁に圧力がかかる「パンパン型高血圧」にはARBは効果が弱く、むしろ利尿効果のあるカルシウム拮抗薬や利尿薬の方が、血圧をコントロールしやすいと言われる。
  • 65才以上の高齢者の治療でARB+Ca拮抗剤併用群と、ARB/利尿剤合剤は共に有用だが、血圧を早期に下げる効果はARB+Ca拮抗剤併用群が迅速との結果が出ている。また、腎保護効果はARB/利尿剤合剤の方が優れているとの結果が出たと報告されている。(2012/3 旭川医科大高齢者血圧研究会)
  • 糖尿病や腎障害のある人は、正常値と高血圧値との間に位置する「高血圧前症」の段階で薬剤治療をすることも医師と相談したい。
  • カルシウム拮抗薬とともにエリスロマイシンを服用すると、低血圧により入院するリスクが6倍、クラリスロマイシンではほぼ4倍となるというから注意。
薬の種類
作用
主たる服用対象者
副作用の例
カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬

細胞内にカルシウムの入るのを防ぎ血管の収縮を防ぎ、平滑筋に作用して血管を拡張させる。血圧を下げる効果は高いので短期間の使用には適する。

高齢者、生活習慣病(糖尿病・脂質異常症)、狭心症、脳血管障害のある人。現在日本で一番多く使われている薬。動脈硬化の進行を抑える効果がある。高血圧を合併した狭心症によく効く。 動悸、顔がほてる、下肢の浮腫、頭痛、便秘、口が渇く、歯茎が腫れる等
アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB

血圧を上げるホルモンを押さえる薬(アンジオテンシンの血管収縮作用を遮断する薬(血管拡張))

薬の作用時間の長い順にミカルディス⇒アバプロ⇒オルメテック⇒ブロプレス⇒ニューロタン(夜間や早朝の血圧が高い人は作用時間の長い薬が良い)

高齢者、糖尿病・心臓血管病・腎臓病罹患者。
心不全、妊婦の患者には不適。
現在Ca拮抗薬と共によく使われている。長期使用による糖尿病リスクが最も低いと言われる。(次は、ACE阻害薬)
高齢者には効果が弱いという評価も有り、効き目が悪いと感じたら、漫然と同じ薬を飲まず医師と相談。
新しく登場した降圧薬。副作用は比較的少ない。但し、血管性浮腫(服用初期にしゃべりづらさや口の腫れがあればすぐに受診のこと)には注意。ARBとACE阻害剤を妊娠中の女性が服用すると、おなかの羊水が減ってしまう副作用とみられる症状が出て、この10年間に6人の赤ちゃんが死亡、2人が腎臓に重い障害を負うという事例が起きているので要注意。
効くまでに時間がかかる。ACE阻害薬に近い降圧薬だが、咳の副作用がほとんどないので、最近他の薬から乗り換え、よく使われている。血圧の他、糖尿病の発症抑制効果、動脈硬化を抑制する作用もある。
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
血圧を上げるアンジオテンシンの産生を抑えることで血圧上昇を抑える
糖尿病・心不全等心臓血管病・腎臓病罹患者。高血圧症の他に、心不全や糖尿病性腎症の治療にも広く使用されている。誤嚥性肺炎の予防効果がある。海外では最もよく使われている。現状は薬価に差があるので、本剤を第一選択として咳が問題になる場合にはARBに替える医師も多い。高齢者には効き目が弱い。

空咳(空咳は飲み始めから数ヶ月以内に発症し、2-3ヶ月で消失する。女性に多く、夕方から夜間に多い。喉に違和感があれば中止)
咳嗽(5〜20%)、血管性浮腫(0.1〜0.2%程度。服用初期にしゃべりづらさや口の腫れがあればすぐに受診のこと)が出現する。→ARBにはない。ARBとACE阻害剤を妊娠中の女性が服用すると、おなかの羊水が減ってしまう副作用とみられる症状が出て、この10年間に6人の赤ちゃんが死亡、2人が腎臓に重い障害を負うという事例が起きているので要注意。

α遮断薬
末梢血管の収縮を抑え血管を拡張する
早朝高血圧、前立腺肥大の人。特別な場合に使用される。 立ちくらみ、めまい感等
β遮断薬
心拍数と心拍出量を抑える(血流減少)

若年・中年、狭心症や動悸など心臓血管病のある人、緊張ストレス型に向く。
但し、徐脈、心不全、気管支喘息等肺疾患、老人や末梢動脈硬化の人には不適。

咳、喘息発作、心不全の悪化、徐脈、喘息、低血糖が起きたときわかりにくい等
利尿剤
血流減少。腎臓に作用して尿の量を増やしてNaを水分と一緒に排泄する薬。塩分濃度を薄めるために増加した血管内の水分を減らす作用がある。高齢者などパンパン型高血圧には利尿剤が最も良く効くと再評価されている。
高齢者、塩分摂取の多い人、腎臓の働きが弱っている人、動脈硬化が進んだ人、他の薬が効かない人に向く。 低カリウム血症、尿酸が高くなる、糖尿病促進、脱水等。少量から始める。


高血圧のタイプ    高血圧のタイプによって効く薬が違う。

ギュウギュウ型高血圧  アイジオテンシンが体の中で増えて、血管がギュウギュウに狭まり血圧が高くなるタイプで、日本人の30%、レニン活性が高い、若い人に多い。 
パンパン型高血圧  塩分と水分で血管がパンパンになって血圧が高くなるタイプで日本人の70%、塩分摂取量が多い、レニン活性が低い、夜間の血圧が高い、高齢である傾向がある。 

 
Ca拮抗薬
ARB
ACE阻害薬
利尿薬
β遮断薬
左室肥大
 
 
心不全
 
●少量から
●少量から
心房細動(予防)
 
 
 
頻脈

非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
 
 
狭心症
 
 

冠攣縮性狭心症には注意
心筋梗塞後
 
 
蛋白尿
 
 
 
腎不全
 

ループ利尿薬
 
脳血管障害慢性期
 

糖尿病/メタボリックシンドローム

 
 
 
高齢者

ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
 
禁忌 徐脈(非DHP系) ARBは 妊娠、高カリウム血症
ACEは 妊娠、血管神経性浮腫、 高カリウム血症
サイアザイド系は痛風、低K血症 喘息
高度徐脈
慎重に使用するもの 心不全 腎動脈狭窄症 妊娠、耐糖能異常 耐糖能異常
閉塞性肺疾患
末梢動脈疾患
  • 降圧薬のACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)とアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)は血圧を下げるだけでなく、蛋白尿を減らして腎臓を守ったり、腎機能を改善する働きがある。
  • 夜間と昼間の血圧の差が大きい人は心臓や脳、腎臓などの臓器障害リスクが高くなるので、適切な降圧薬の服用で1日の中での血圧の変動幅を少なくすることが、脳卒中等のリスク低下につながる。
  • 日本高血圧学会が2014年4月に公開を予定している「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」では、高血圧に対する第一選択薬は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4種類となることが固まった。β遮断薬は、主として心疾患合併高血圧に対して選択すべき薬剤とされ、第一選択薬からは除外される。
    高血圧治療は、合併症のない高血圧には、
    (A)ARBまたはACE阻害薬、(C)Ca拮抗薬、(D)サイアザイド系利尿薬またはサイアザイド類似薬──のいずれかで治療を開始し、次のステップではA+C、A+D、C+Dのいずれかに進み、それでも目標血圧に達しない場合にA+C+Dとする薬剤の使い方が呈示される。さらに、A+C+Dでも血圧コントロール不良の治療抵抗性高血圧に対しては、A+C+D+β遮断薬またはα遮断薬、抗アルドステロン薬、さらに他の種類の降圧薬を併用することになる。(2013.10.29)
  • 腎動脈は腎臓に血液を送る血管で、ここに動脈硬化が起きると腎臓に流れる血液量が低下し血圧が上昇する。高血圧の薬を飲んでも血圧が下がらない人は腹部エコー検査等をしたが良い。検査で腎臓の付近から「特別な音」がする場合は腎動脈の動脈硬化が疑われる。→1.薬物療法、2.ステント留置術等。
  • 兵庫医科大薬を3種類飲んでも効果が薄い難治性高血圧の患者に対して手術療法で治療することに2012/2成功した。患者は薬を飲んでも250を超える時があったが、腎臓の動脈の周りにある交感神経の一部をカテーテルを使って焼き切る手術で画期的に血圧が下がったと言う。詳細はこちらを参照。
  • 運動を始める前には心電図で運動が問題ないことを確認してから行うこと。運動を始めると一時的には血圧は上がるが、運動を続けると徐々に下がってくる。
  • 血液検査:コレステロール・ナトリウム・カリウム・尿素・窒素・尿蛋白等を調べる。
  • 心電図検査
  • 眼底写真を撮影する:高血圧に由来する血管の症状が出ているかを見る。合併症の発見に役立つ。
  • エコー検査:頸動脈の状態、心臓の状態などを調べる。
  • 肺高血圧症という肺動脈の血圧が上昇し右心不全に移行する病気がある。動作時の息切れや呼吸困難が起こり、胸の痛み、疲労感、動悸やめまい感、失神を伴うことがある。進行すると右心不全を起こす病気で、原因が特定できる場合(動脈硬化や血栓のつまり等)と特定できない場合がある。通常、治療は薬剤(血管拡張薬、強心剤、利尿薬など)によるが、効果が無い場合は肺移植も検討される。慢性血栓塞栓性肺高血圧症では一般には血栓再発予防と二次血栓形成予防のための抗凝固療法や酸素療法が選択される。全身の血液の流れを止めて肺動脈に詰まった血栓を取り除くと言う難手術を総合大雄会病院心臓血管センター安藤太三医師(前藤田保健衛生大学心臓血管外科教授)が行い良い成績を上げていてこの病気にも完治する見込みが出てきた。

高血圧緊急症

  • 歌手・森進一さん(65)が2013.10.13、高血圧緊急症による体調不良のため、大阪・新歌舞伎座で予定していた握手会とコンサートの夜の部を中止したことで知られる。
  • 血圧が非常に高くなりすぐに降圧治療を必要とする病態。 治療をしなければ脳、心臓、腎臓、大動脈などに重篤な障害が残り致命的となり得る。
  • 高齢者では心不全を起こす人もいる。家族歴のある人は要注意。
  • 緊急症では入院治療が原則である。集中治療室かそれに類する環境下で原則として経静脈的に降圧を図る。観血的に血圧をモニターすることが望ましい。
  • きっかけ:何らかの興奮、季節の変わり目、寒暖差
  • 対策は適度な運動、減塩、睡眠、たばこ
  • 急性の臓器障害の進行を伴わない持続性の著明な高血圧(通常,180/120mmHg以上)は切迫症として内服薬により降圧を図るが,臓器障害を有する例や治療抵抗性を示す例が多く、高血圧専門医への紹介が望ましい。

参考になるホームページ

この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。

更新履歴:2005.2.21/2005.10.10/2006.6.24/2007.1.10/2009.12.9/2013.10.16/2016.1.25

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