網膜剥離・網膜裂孔の症状と治療

最終更新:2005.9.17

年間13,000人が発症するという網膜剥離。放置すれば失明に至るが、早期に適切な治療をすればほとんどが視力を回復出来る。飛蚊症が起きたら放置せず、眼科を早期に受診することが失明予防につながる。

網膜剥離の症状
  • 網膜剥離には3つがある。
    @裂孔原性網膜剥離:網膜に穴が開いて硝子体にある水が中に入り込み網膜が浮き上がって剥がれてくるもので一番多い。
    A牽引性網膜剥離:糖尿病が元になって剥離が起きる
    B滲出性網膜剥離:炎症などが原因で起きる網膜剥離
  • 初期は飛蚊症(ゴミや虫の様なものが眼前を浮遊する。泡が見える事もある)や光視症(暗いところでチカチカ目の中に光が見える。多くは眼の外側・耳の方を光が走る)。大きな虫のようなもの、墨を流したような真っ黒い物が急に飛んだら要注意。糸くず、小さな虫、おたまじゃくし等の色の薄い物は単なる飛蚊症の事が多い。飛蚊症の5-10%が網膜裂孔に進むと言われる。
  • 進行すると視野が欠けたり、視力が急に低下する。大事なことは視力に最も影響する、「黄班部」や黄班の中心の「中心窩」に剥離が及んできている時には手術は急を要する。
原 因
  • 多くの場合は網膜裂孔(網膜に裂け目ができたり、穴があいたりする)が原因となる。裂孔の主な原因は加齢などによる後部硝子体剥離。後部硝子体剥離とは、眼球の中に詰まっている硝子体というどろどろしたゲル状の物質が加齢と共に硝子体が縮んできて網膜から離れて、眼底から浮き上がってしまうことがあり、これを後部硝子体剥離という。この後部硝子体剥離そのものは加齢による正常な所見だが、この結果、飛蚊症や光視症が起きることがある。硝子体と網膜に癒着があると、網膜が引っ張られ刺激を受けて光視症が起きる。硝子体と網膜との癒着が取れてしまうと光が見えなくなる。問題は硝子体と網膜が異常に癒着していると硝子体の収縮により網膜が引っ張られて穴があくことがあり、その穴から眼球内の水分が網膜の裏側に入り込んで網膜剥離を引き起こすこと。
  • 網膜剥離のハイリスク者は、@高齢者(老化)、A強い近視、B白内障の手術を受けた人、C眼の打撲などの外傷、Dアトピー性皮膚炎、E家族歴のある人に多い傾向がある。
  • ラグビーやボクシングによる目の打撲や花粉症やアトピー性皮膚炎で目を叩く癖のある人は注意が必要。
検 査
  • 眼底検査(事前に目薬で瞳孔を開いて内部を見る)で簡単に分かる 
治 療
  • レーザー光凝固:網膜剥離に移行する前の綱膜に穴があいているだけの状態や綱膜変性だけの状態ならば、レーザー光線をその部分に照射して焼き瘢痕を作るだけで治療は完結させる事が可能。施術時、通常目の痛みはない。術後軽い痛みが出ることはあるが軽度。人によっては軽い頭痛。やけどが固まりしっかり接着するまでの一ヶ月程度はゴルフやランニング等激しい運動は駄目だが仕事や風呂・テレビ等普通の生活は即日出来る。費用は30%負担で\30,000-\55,000。手術時間は準備を含めて15分程度。通常は術後 3週間〜1ヶ月後に経過を観察する。
  • 網膜剥離に進んだ場合は入院して手術をする事になる。この手術は結構辛い手術になる。強膜内陥術は眼球の外側から強膜越しに冷凍凝固や、その後シリコンスポンジ等で眼球の壁を内側に圧迫するなどの強膜バックル治療を行う。入院1-2週間。回復までに2-3ヶ月はかかる。但し剥離の程度がひどい場合は硝子体手術になる。従って、剥離に進まない段階で処置したいものだ。重篤な合併症が無い限り、適切な手術を受けられれば、95%の人は失明を免れる事が出来る。
  • 重症の網膜剥離は硝子体手術になる。2本の針を眼内に入れ、硝子体吸引、網膜の復位、特殊ガスの注入、網膜を浮力で壁に押しつける治療が行われる。硝子体手術では高頻度で白内障が起きるので、50才以上では硝子体手術と同時に白内障手術を行う事が多い。硝子体手術は硝子体を切除・吸引し眼球内に透明の液体を注入し硝子体を透明にするために行われる。患者はガスが入っている間はうつぶせ姿勢を取る。通常手術時間1〜3時間、入院2週間程度。局所又は全身麻酔で実施。
  • 最近開発された「新硝子体手術」を取り入れる病院が増えてきている。従来は、一方で照明器具を眼内に差し込み、もう一方で手術器具を操作していたが、新システムでは眼球の外から当てた光で硝子体全体を照らせるので、両手で手術器具を扱えるようになり安全で確実な手術が出来るようになった。国立病院機構東京医療センター、慶応病院、東邦大大橋病院等で実施中。
  • 杏林大学眼科アイセンター 樋田哲夫教授、藤田保健衛生大堀口教授、東京女子医大堀眼科教授、三井記念病院田中住美科長(元帝京大学眼科主任教授、2005.8から三井記念病院)が著名。硝子体手術は藤田保健衛生大、駿河台日大病院(島田宏之科長)等が治療実績が多い。
予 防
  • 網膜剥離には効果的な予防法はない。従って、「異変」を早く見つける事が重要になる。
  • 網膜剥離の前段階である「網膜変性症」は、自覚症状がほとんどなく、目薬で瞳孔を開いた状態での眼底検査によってのみその存在がわかるので、一年に一回程度眼底検査をすることが予防につながる。(人間ドックの検査では通常分からない)
  • 飛蚊症そのものは老化現象であり、ほとんどは「良性」であり、心配いらないものだが、時として、網膜剥離の前兆の事もあるので突然飛蚊症が起こったら、出来るだけ早い時期に眼科を受診して確認する事が望ましい。
    統計的には飛蚊症だけで網膜裂孔、網膜剥離に進む人は5%-10%程度、飛蚊症の他に光視症がある人は15-20%程度と言われる。 網膜剥離が起きた場合は、黄班部に剥離が達する前に治療することが良い視力を確保するために重要。
  • 身内に網膜剥離の人がある場合、飛蚊症のある人、近視、高齢者、激しい運動をする人はハイリスクグループなので、6ヶ月に1回程度の定期的な眼底検査が薦められる。
  • 眼底検査で、“網膜に薄いところがある”と言われた場合の予防的治療の善悪は議論があるところだが、毎日心配しながら生活するより、レーザー経験豊富な眼科医に十分相談し意見を聞いた上で、レーザーを実施することが薦められる。頻度は少ないが、網膜は剥がれる時は一日で剥がれる事もあるので後悔しないためにも。
参考情報

 網膜剥離の予防と治療関連図書

私自身網膜剥離になりかけた事がある。1994.10.14 突如、飛蚊症を発症したのだ。昼間会社で書類を見ていたら、紙面に黒いゴミが多数浮遊しているのに気づいた。ゴミは目の動きにあわせてゆらゆら揺れる。ゴミは、糸くず、髪の毛、黒いすす様でもあった。 また、ごく小さな気泡のゼリー上の溶液が視野に見える。 視力は変化なく、痛みもない。早速近所の眼科を受診、 「網膜裂孔、硝子体混濁」で放置すれば、網膜剥離に移行する恐れが強いと言われた。紹介状を書いて貰い、東京女子医大病院眼科(堀教授)で網膜の光凝固(レーザー)の治療を受けて事なきを得た。目の中をレーザーで焼くと言えば怖い気がするが、案ずるより産むが易しで、熟練した網膜の専門医にやって貰えばほとんど苦痛はない。その後も東京女子医大病院眼科で4ヶ月毎に定期検診を受けていたが、10年後の2004年冬、右目の別の場所の網膜に小さな穴が開いているのを指摘された。直ちに堀教授から光凝固を受けて網膜剥離は回避された。4ヶ月毎に定期検査を受けているお陰で、白内障、緑内障や黄班変成症、糖尿病や動脈硬化性変化などもあわせてチェックできるので、定期検査は今後も続けるつもりである。

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更新履歴:2004.1.29/2004.11.23/2005.9.17

 

 

 

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