白内障の予防と治療

最終更新:2013.12.25

白内障の症状
  • 白内障は水晶体が加齢(老化)により濁る病気で視力低下でものがぼけて見えるようになる。個人差はあるが、一般には40代から水晶体の混濁が始まり、50才以上で2-3人に1人、60才以上になると100%の人に何らかの白内障が認められる。
  • 白内障には、加齢性(老人性)白内障、アトピー性白内障(目を擦ったり叩いたりしてなる)、糖尿病性白内障、併発性白内障(ぶどう膜炎・緑内障・網膜色素変性症に併発)、ステロイド性白内障、外傷性白内障(ボールが目に当たる)等がある。
  • 稀なケースだが、20代で発症し、数週間で水晶体が真っ白に濁ってしまい急いで手術をしなければならないケースもある。
  • 水晶体の濁り方には、@外側周辺から濁り出す皮質混濁(これが最も多い。通常進行はゆるやか)、A中心から濁る核混濁(水晶体の中央の核が石のように硬くなるので手術は急いだ方がよい)、B水晶体の後ろ側から濁る後嚢下混濁(症状が早くから出て進行も早い)がある。糖尿病性白内障は水晶体の網膜に近い後方から濁り始めるのが特徴で症状の進行が早く、2〜3ヶ月で手術適応になるケースもある。典型的な症状は、物が二重・三重に見えたり、近視がどんどん進み、最後はぼやけてよく見えなくなる。
  • 電灯や太陽がまぶしい、かすむ、暗いところで見にくい、近視が進む、コンロの青い火がついているのが分かりにくいものが二重・三重に見える、黄白色のフィルターがかかったように見える、遠くの風景の濃淡がはっきりしない等の症状が起きる。白内障の初期の事もあるので眼科受診。軽い白内障が起きると、水晶体での散乱が増えてまぶしく感じるようになる。車などを運転中、対向車のライトがそれまでよりまぶしく感じたり、太陽の光が余計にまぶしく感じるようになる。どんなに調整しても眼鏡があわないようになる。
    目がかすむ場合:白内障、乱視、老視、緑内障、ぶどう膜炎などで起きるので眼科で鑑別が必要。
  • 白内障になれば、メガネを替えても視力は回復しない。
白内障の原因
  • 加齢による目の老化が一番多い。患者は10万人以上。40歳頃から始まり、50歳代で50%、60歳代で約70%、70歳代では90%、80歳以上になるとほぼ100%の人に白内障が原因の視力低下が起きる。70才以上の白内障の90%は加齢性白内障。一般には白内障の進行は年5〜7%程度。
  • 糖尿病、目の外傷、アトピー性皮膚炎、栄養不良、遺伝、放射線や赤外線照射、ステロイド剤・抗精神病薬などの副作用、ブドウ膜炎、網膜剥離や硝子体手術、緑内障手術などでも発症する。
  • 糖尿病の人は血糖コントロールをよくして白内障が進まないようにすることが重要。一般に血糖コントロールが悪いと進行が早くなるが、血糖値がわずかに高い程度でも進行が早い人がいる。
白内障で注意すること
  • 通常視力の低下は緩慢だが、急に視力が低下するときは別の病気がないか確認して貰うこと。
  • 早期の手術が必要なケース:@角膜内皮細胞が減少している場合(長期のコンタクト使用等で)、A遠視眼で角膜と水晶体の隙間が狭い人、B水晶体を作っているチン小帯が弱い人、C進行した核白内障(褐色白内障)、D進行した緑内障(視神経萎縮)
  • 水晶体を支える繊維組織であるチン小帯が老化で弱っていると少し難しい手術になり日帰りでは無理となる。この場合は角膜を切開して水晶体をそのまま摘出する手術になる。→昭和大学藤が丘リハビリテーション病院眼科教授矢口繁雄先生が専門。
  • 白内障が進んで水晶体が完全に濁り、視力が0.1以下の成熟白内障の段階になると、水晶体が膨らんで眼圧が亢進し、急性緑内障を起こすことがあるので眼科を受診すること
  • 糖尿病性網膜症の人では白内障の手術後に網膜症が悪化する事があるので定期検診を怠ってはならない。また左右同時手術は出来るだけ避け、片方の目が落ち着くのを待って(数ヶ月)、もう一方を手術するのがよい。
  • 白内障の検査に使われる散瞳薬の副作用で眼圧が上がり緑内障を発症することがあるので眼圧が上がりやすい目の構造かどうかをよく見て貰う。
  • 角膜の内皮細胞が減っているかどうかを検査して、減っている人は、手術を見合わせるか、手術を遅らせるか、手術法を考慮するか、角膜移植と同時に手術するか等を眼科と相談する。
  • レンズの種類:単焦点レンズと多焦点レンズ、乱視矯正用眼内レンズがある。遠くにピントを合わせた単焦点レンズの場合は近場は眼鏡が必要。多焦点の場合は眼鏡が要らなくなる反面、中間の視力が落ちたり、光がにじんで見えたり、夜間まぶしく見える事があるので、職業などによっては選びにくい。理想的な多焦点レンズではあるが、眼の性質で多焦点を入れられなかったり、所期の効果を得られる人は少なく、現実には多焦点を選ぶ人は全体の数%程度らしい。車を運転する人は単焦点眼内レンズを使用するのが主流(多焦点レンズではピントが甘いので危険) 乱視矯正用レンズも効果を実感出来る人は少数と言われるので事前によく確認しよう。
  • 手術を先送りしすぎると、超音波吸引の時間が長くなって、角膜内皮細胞や虹彩の術後の炎症が強くなる。また、水晶体が固くなって手術が難しくなるので、タイミングについては眼科医とよく相談しよう。
  • 手術後はUVカットの眼内レンズやイエローレンズを挿入し紫外線の害を軽減するようにしたい。
白内障の治療
  • 日常生活に支障が出れば手術。まぶしい、運転免許証を取得する0.7の視力がない等。 一般的には矯正視力が0.5〜0.6以下になった時が手術のタイミング。片目だけの白内障の人は手術をあまり急ぐ必要はないが、左右の視力が著しく異なる「不同視」の場合で、日常生活に苦痛がある場合は早めても良い。
  • 眼内レンズの選択のために、@角膜のカーブを調べる、A目の長さを測る事などが行われ、どの程度の度数のレンズを入れるかが決められる。
  • 近年、白内障の手術の主流は「超音波水晶体摘出術」という方式で人工レンズを眼内に挿入する。年間100万人以上の手術が行われている。最近は日帰り手術が主流になってきた。但し、病院によって若干変わるが、概ね、手術後、翌日、3日目、1週間後、以降は2週間毎に3ヶ月程度まで経過観察で通院する必要があるので、一時間以上かかる遠方の病院での手術は不便なので避けた方が良い。特に、冬場は体調を崩しやすいので電車などを使っての通院は避けた方が無難。一般には70才以上の人は入院手術が安心。
  • 手術すれば見違えるように明るく見えるようになる。但し、単焦点の人工水晶体はピントを合わせることが出来ないので、どの部分を一番良く見るかでレンズを決め、それ以外は眼鏡で調整する。車を運転する場合、視力が0.7以下になると免許更新が出来ないので、その時点が手術の時期になる。視力が良い場合の手術時期の決定には「コントラスト感度」を測定する。
  • 眼内レンズには従来の単焦点眼内レンズ(どこにピントを合わせるかが重要になるので、その人の行動により決められる)の他に遠くと近くの両方にピントが合う「多焦点眼内レンズや乱視を減らすことが出来る「トーリック眼内レンズ」も使われるようになってきた。近場がよく見える、遠くがよく見える、その中間等ライフスタイルにより眼内レンズを選択する。それ以外は眼鏡で調整する。遠近共に見える多焦点レンズの場合、手術後にメガネをかける頻度を減らす事が可能になる。(遠近2重焦点のレンズのため、全ての距離を連続的にメガネなしで見えるようになる訳ではない)また、単焦点に比べてピントは多少甘くなる。一方、単焦点レンズではピントを合わせた距離以外ではメガネが必要になる。つまり、単焦点レンズでは、遠くは見えるが、近くはぼけるが、多焦点眼内レンズでは遠くのみならず、中間や近くも見えるようになる。 →自分の生活習慣に合わせてピントが合う距離を決めることになる。多焦点眼内レンズは自費診療(片目で約30万円)又は先進医療になる。先進医療の場合は手術費のみが自費となり両眼で80-100万円かかる。(保険はきかない)ただ、乱視の人、眼内レンズの度数が予想式と大きく異なった場合などは、遠方視、中間視、近方視のいずれか、もしくは、いずれも眼鏡が必要になる可能性がある。
     
    単焦点レンズ
    多焦点レンズ
    眼内レンズ
    乱視なし、乱視ありの2タイプ
    遠くにピントを合わせれば近場はメガネが必要
    遠近両用型で遠くと近場の両方にピントが合う
    メリット

    明るくクリアに見えるようになる(片目だけ先に手術すると左右の明るさの違いに驚く)

    メガネをかける頻度が減る
    デメリット
    老眼用(又は近眼用)のメガネが必ず必要、
    遠く又は近くのどちらかにピントを合わせるが、ピントの合う範囲が狭いので、そこではメガネで見る事になる。
    やや暗く見える
    夜間に光がにじんだり、乱反射して見える
    費用
    健康保険が使えるので30%負担の場合は片目36,000円程度 健康保険が適用されないが、先進医療施設認定機関で受診したら手術費の還付がある
  • 手術は「超音波水晶体乳化吸引術」と「眼内レンズ挿入術」が推奨されている。小切開し折り畳み式の眼内レンズを使用。
  • 手術前の検査:白内障以外の病気がないかを調べるため色々な検査が行われる。
    @視野検査:緑内障など他の眼の病気の合併を調べる
    A角膜内皮細胞検査:角膜内皮細胞の数が少ない場合(800個以下)は手術を見合わせる事もある
    B超音波眼軸検査やレーザー眼軸検査:眼内レンズの正確な度数を決める
    C光干渉断層計:他の疾患の有無を調べる
  • 手術をするときには医師がどの術式を行うか確認する事である。概して新しい術式ほど良い成果が得られる。技術改良は絶えず行われるから、余程生活に支障が無い限り手術を急ぐ事はない。
  • 手術当日には、眼帯保護で歩行可能、通常3日間は眼帯を着用し4日目に眼帯を取る、視力が回復する、1〜4週間:傷口が治り視力が安定する、1ヶ月後:眼鏡を作り、点眼も中止する。手術後3日間が一番大事。手術後数日は入浴・洗顔・洗髪は控え、力仕事、車の運転、セックス、飲酒などは避ける方が無難。(全て患者の目の状態と医師の指示による。翌日から入浴・洗髪・洗顔・飲酒を許可する医師もいる)また、手術後1-2ヶ月は目を擦らない、目を圧迫しない、目にゴミが入らないようにする、激しい運動をしない等の注意が必要。
  • 手術後は、細菌感染や炎症、眼圧の上昇の有無、眼内レンズのずれがないかを診察して貰う。特に、手術直後は目の充血、異物感、まぶしさ、涙が出る等が起こりやすいが、ずきずきするような目の痛みなど異常を感じたら放置せず眼科を受診するのが良い。このためにもすぐに通院できる程度の近くの病院が良い。手術後は決められた内服薬を服用し、点眼薬も決められた回数を守って点眼する。点眼する前には、手を石鹸で良く洗うこと。
  • 手術後特に注意することは、目を擦らない事、指示された目薬をきちんと点眼すること、眼帯を指示された期間着用すること、目に水が入らないようにすること、力が加わるような動作を避けること等がある。
  • 手術後の副作用として、「後発白内障」が出れば外来でヤグレーザーで簡単に濁りを除去出来る。後発白内障は昔は30%程度起こっていたが、最近は眼内レンズの改良で頻度は術後5年間で5%〜10%程度に減った。
  • 眼内レンズのずれや落下があればレンズを取り出す難しい硝子体手術が必要になる。発生頻度は1000人に1人程度。東北大学眼科國方彦志準教授はこの手術で定評がある。
  • 細菌感染で眼内炎が起きれば早期に抗生物質で適切な処置をしないと失明する恐れがある。発生頻度は2000人に1人。
  • 三井記念病院の白内障総手術件数9,000件は日本一で、世界でも最多クラス。三井記念病院では独自の「核分割手術」(特殊な小型ピンセット状の装置で核を細分割するプレチョップ法を超音波で砕く前に実施する)により超音波乳化吸引時間は、従来の方法の1%程度にまで短縮され縫合も不要で手術時間は4分程度と言われる。現在70%の人が日帰り手術を受けているとのこと。点眼麻酔は眼球に注射しないので視神経の麻痺もなく手術後すぐに物が見え眼帯も不要。角膜切開なら出血もなく抗凝固剤(血液さらさら薬)服用中の人も治療を中断することなく手術を受けられる。傷口の2MM以下なので手術による乱視の発生はない。特に赤星隆幸眼科部長(1957年生まれ53歳)の手術は約3-5分。1日の手術人数は40人にも達する。手術の傷口は1.8〜2MM程度。通常、出血のない黒目(角膜)を切開する。麻酔は点眼薬のみ。三井記念病院では日帰り手術の他、3泊4日の入院で両眼(初日に片目、翌日に片目)の手術もある。
  • 超音波乳化吸引法:手術は局所麻酔下で、角膜を2-3MM切開し、超音波振動子(細いストロー状の装置)で水晶体の混濁した水晶体の実質(核)を細かく砕いて乳化して洗い取りながら全体の水晶体核を取り出し、水晶体皮質を洗い取ってしまう。その後に眼内レンズを残っている水晶体カプセルの中に入れることで終了する。通常、白内障の手術は約10-20分。
  • 手術費用は水晶体摘出と眼内レンズ挿入などを含めて、30%負担の人で、日帰りの場合自己負担額は約45,000円、入院の場合は70,000-80,000円程度。(個室料は別)
  • 白内障の手術の安全性は確立しているとはいえ、どの眼科でも100%うまくいくとは限らない。やはり医師の技術によるところが大きいので手術件数や評判を確認して手術する病院を選択したい。白内障の手術後、視力が安定する時期にメガネを作ることになるので、眼科の近くの眼鏡屋に評判を聞けば医師の技術レベルがある程度分かるので参考にしたい。
  • 遠近両用の多焦点眼内レンズを使えば老眼も同時に治せる。最近では、乱視矯正用の眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)も登場してきた。
  • 眼鏡については、手術部位や眼の状態が安定してから医師の指示により作る事になるが、通常約1ヶ月近く待つ事になる。目の状態が安定しない内にあまり早く作ると度数が変わってしまい、作り直さなければならない事もあるので慌てないのが良い。
  • 従来から軽度の白内障の進行防止に目薬(カリーユニ等)が使われたが、最近の研究では効果が認められないとして、厚生労働省は使用を控えるよう発表している。
  • レーザーを用いた高精度な白内障手術に注目 : 近赤外線レーザーをフェムト秒単位で照射し、熱を発生させずに微細な切断面を形成するフェムトセカンドレーザー。このフェムトセカンドレーザーを部分的に使う白内障手術が、眼科医の熱い注目を集めています。フェムトセカンドレーザーを前嚢切開に用いると、眼内レンズの挿入後に位置
    がずれにくくなり、術後の視力低下を防ぐことができます。その精度は、「これまでの医師の手の感覚による切開と比べ、1000倍高い」と表現する医師もいるほどです。今後が期待されます。
白内障の予防
  • 紫外線(UV)に注意。紫外線は角膜と水晶体に吸収される。
  • スキーなどの際には紫外線防止策を講じる。(雪目等で突然痛みが出たら応急処置として目を閉じ圧迫して冷やす)
  • 外ではサングラスを着用する。
  • ビタミンE、ビタミンC、βカロチンが良いと言われている。特にビタミンCは1日200mg以上摂取していると発症のリスクが40%減るとの研究報告が厚生労働省研究班から2007年発表されている。(日本人の平均的ビタミンC摂取量は1日110mgと言われる)。
  • たばこ、酒の飲み過ぎ、ステロイド剤の使用、野菜不足などは白内障を促進させるので注意する。
参考情報

 白内障の予防と治療関連グッズと図書

この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。


更新履歴:2001.8.14/2002.6.23/2003.7.21/2004.12.24/2006.12.9/2007.7.11/2012.11.6

 

 

趣味のアルバム > 健康生活 > Top of Page


BACK