肺 炎

最終更新:2016.12.1

厚生労働省が2012年6月5日に発表した2011年の人口動態統計で日本人の死因は、多い順に@がん、A心疾患、B肺炎となった。肺炎が死因の3位となるのは1951年以来。長年、三大疾患の一つとされてきた脳血管疾患は4位となった。2011年に肺炎で死亡したのは124,652人(前年比5,764人増)、10人の1人は肺炎で死んでいることになる。一方、前年3位だった脳血管疾患は123,784人(前年比323人増)だった。

抗生物質が効きにくくなったこと、高齢者が増えたことが肺炎患者が増えている理由。若い人はかかっても命の危険はまずないが、65才以上の高齢者は命に関わるので注意。(肺炎の死亡者の95%は65才以上の高齢者、65才以上の人がインフルエンザにかかると、4人に1人が肺炎になる) もともと肺炎の原因となる細菌は健康な時から口の中に住み着いている事が多いが、風邪やインフルエンザを長引かせこじらせると細菌やウイルスが気管支や肺胞で繁殖して肺炎になりかねないので注意が肝心。歯磨きが肺炎の予防に効果があることも分かってきた。冬は夏に比べて3〜4倍発生が多い。風邪は安静にしていたら治ることが多いが、肺炎は放っておいたら治らず死に至る。肺炎がもとで心筋梗塞、脳梗塞、心不全などの合併症を併発することもあるので侮れない。高齢者では肺炎になっていても症状が乏しく、自分では肺炎になっていると感じないので、治療が遅れることが多いので、普段と違うようなことが3-4日続くときは早急に受診しよう。

新制度スタート:2014年10月1日から、高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンが定期接種となった。定期接種とは、「予防接種法」という法律に基づき自治体(市町村及び特別区)が実施する予防接種です。詳細は下記。

肺炎の症状

@激しい咳が1週間以上続く、膿のようなタンが止まらない、タンに色(緑色や黄色)がついてきた、A38度以上の高熱が続く、B少し動くと息が切れるとか呼吸が苦しくて夜寝られないC呼吸がハアハアと増える(1分間に20回以上)、脈拍が増える(1分間に100回前後)、冷や汗が出る、D顔色が悪い、E食欲不振、F咳をすると胸が痛い、G全身倦怠感がある等の症状が段々強まる時は肺炎の可能性があるので急いで医者の診察を受ける必要がある。

診断:熱・咳・痰・呼吸困難などの全身症状、聴診での異常音、血液検査(白血球増多、CRP上昇等)、赤沈亢進、胸部X線や細菌培養検査(少し時間がかかる)などで診断。

高齢者では熱、咳や胸痛等の症状があまりなく、聴診器による音も異常ないのに、X線で肺炎と診断される事もあるので注意が必要。呼吸がハアハアと増える(1分間に20回以上)、脈拍が増える(1分間に100回前後)、食欲がなくなる、意識の低下等普段と違うことがあれば早期に受診。 高齢者は免疫力が低下しているから、インフルエンザが治った後で、細菌性肺炎になっていたようなことがあるので油断できない。肺炎で亡くなる人の97%が65才以上の高齢者と言われる。

風邪と肺炎の違い

風邪をこじらせたものが肺炎ではない。別物。風邪は鼻や喉、気管支が侵される上気道の炎症だが、肺炎は肺が冒される、いわゆる、肺胞に炎症が起こっている状態。風邪はほとんどウイルスで起きるが、肺炎は肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマなどの細菌で起きる。
肺炎は風邪が長引いて細菌が侵入する場合ウイルス性肺炎の他、 誤嚥性肺炎レジオネラ菌による肺炎真菌等のカビによる肺炎等がありそれぞれ症状、治療法が異なるので注意が肝心。

肺炎の原因
肺炎球菌
46%
その他の細菌による
38%
その他
16%
 
風邪
肺炎
喉から出る咳 肺の奥から出る咳
喉や肋骨が痛い 片方の胸の奥が痛い
咳で息苦しい 咳をしたあと息苦しい
たん
無色〜白〜黄色 緑〜茶
期間
数日で治まる 1週間以上続く

肺炎球菌は健常者の口の中に常在していることが多く、高齢者よりもむしろ0〜5才の幼児に多い。(保育園児の84%から肺炎球菌が検出されたとのデータもある)

風邪の原因となるウイルスの寿命は通常3日程度、インフルエンザウイルスでも寿命は5日程度。従って3〜5日以上咳や痰、発熱が続く場合は肺炎を疑って医療機関を受診する事が望ましい。

肺炎の種類


市中肺炎

普通に生活している健常者が肺炎を急に発症するもの。
肺炎球菌肺炎、インフルエンザ菌、マイコプラズマ等による肺炎が一番多く、抵抗力が正常でも、弱っていても起こる。 肺炎球菌による肺炎の潜伏期間は1〜3日で突然、発熱、悪寒、震え、咳や痰、息切れ、速い呼吸、胸痛、低酸素などが起きる。死亡率は10% 。

1.細菌性肺炎(肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌など)、
2.非定型肺炎レジオネラ菌、マイコプラズマ、クラミジアなど)、
3.その他結核性などがある。

非定型肺炎は有効な抗生物質の種類が通常の肺炎と異なるため、一般の細菌性肺炎とは区別されている。

院内肺炎

病院に入院している人が罹患する肺炎。入院中の患者は、自分の病気のため、病気に対する免疫力が低下しており、通常の健康な人ならかからないような弱毒菌により肺炎を発症する。MRSAや緑膿菌。

1.細菌性肺炎(緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌、ブドウ球菌等)
2.真菌性肺炎(アスペルギルス、カンジダ、ムーコルなど)
3.その他、サイトメガロウィルス、カリニ原虫など
死亡率は20-50%。


細菌性肺炎

高熱・咳・痰・呼吸困難などを主症状とする。黄色い痰が出る。
X線で診断が付きやすい。
ペニシリン系、セフェム系抗生物質が治療の主体。最近は耐性菌が増えてきて抗生物質の切れ味が悪くなった。効果のある抗生物質を如何に早く探すかが問題。
緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、A群溶血性連鎖球菌、レジオネラ菌など細菌が気管支から肺胞に至る空気の通り道に感染する。熱と咳に加えて痰が出る。炎症が起きている部分が限定的なので息切れは通常ない。肺炎の60-70%を占める。インフルエンザにかかった高齢者の25%が細菌性肺炎になるとも言われている。
予防には肺炎ワクチンが著効

非定型肺炎

往々にして症状が乏しい。
X線でも淡いすりガラス様の陰影。
マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、Q熱、インフルエンザウイルス等が原因。
細菌性肺炎とは使う抗生剤が違い、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系抗生物質が使用される。


肺炎球菌性肺炎

患者の半数近く肺炎球菌によるもので一番患者数が多い。重症になりやすく死亡例も多い。肺炎球菌は肺炎の他、髄膜炎・中耳炎・副鼻腔炎・敗血症(菌血症)・心内膜炎の原因になる。ペニシリン、ニューキノロン、カルバペネム等で治療。但し、ペニシリンに無効の肺炎球菌が増えてきている。肺炎球菌は健常者の鼻や喉に定着していることが多く、痰を検査すれば健康人の喉に50〜60%の頻度で見つかるほどの細菌。ただ、免疫力があれば悪さをしない細菌で、喉や鼻に定着した肺炎球菌は通常は1ヶ月〜1年半程度定着し、何も起こさず消滅する事も多いが、免疫力や体力が低下したような場合に増殖して肺炎球菌感染症を発症する事があるので注意。

感染力はそれほど強くないので隔離するなどの必要はない。痰は最初は少なくても、徐々に増えて鉄さび色の痰が出るようになるのが特徴。症状が乏しいことがあり肺炎になっていることに気づかないことが多いので注意。治療には通常、ペニシリン系又はセフェム系の抗菌剤が用いられる。効果が弱い場合は、マクロライド系か又はニューキノロン系抗菌剤が用いられる。ただ最近は耐性菌が増えてきて抗生物質の60%が肺炎球菌に効果がないとの報告がなされている。従って効果のある薬剤を求めて薬を替えて治療することになる。

高齢になると、「せき反射」が少なくなる。 その為、自分ではなかなか気付かず、一緒にいる方が気付くというケースも多い。冬に増加し、免疫力が弱い幼児と60代以上が特に危険とされる。

予防や重症化を予防するために肺炎球菌ワクチンの接種が有効。2014年から65才以上の人には格安で受けられる制度が始まった。

1〜2週間服用。
マイコプラズマ

2011年は過去10年で最多で12000人以上が発症、感染者の大半は14歳以下で81%。天皇陛下や愛子様の感染が報じられる等史上最悪の流行となった。2012年冬は更に大流行しており平年の3倍。「これまで第1選択薬だったマクロライド系抗菌薬が効かない耐性株が8-9割をしめているのが患者が増えている要因の一つ」と指摘。(33%と言う説もある) 2016年は5年ぶりの流行となっていて、過去10年で2番目の多さなので注意を要する。高齢者は重症化、合併症がまれにある(重症肺炎、脳炎、肝炎).。38度以上の熱が出る事が多い。症状は、発熱・倦怠感・頭痛、その後3-5日後に咳が出るようになる。一番の特徴は咳が強いことで、1ヶ月も咳が続いたりする。

問題点は多くは軽症で風邪と区別が付かないこと。初期症状は発熱と全身倦怠感や頭痛。空咳は3-4日後から出始め次第に強まり、3-4週間続く。肺炎となるのは感染者の3-5%5才-35才の若い人が罹る率が多い。肺炎は幼児〜小学生が肺炎を起こしやすい。免疫は弱いので何度でも感染する可能性がある。これまでマクロライド系抗生物質が有効で治療の中心だったが、薬が効かない耐性菌の増加が患者数拡大の要因になっている可能性がある。

マイコプラズマ・ニューモニアという細菌より小さく、ウイルスより大きい病原体が気管支と肺胞に感染する。肺炎の30-40%を占め肺炎の原因の第二位。大半は咳、痰からの飛沫感染による。最初は熱(高熱ではない)と頭痛と全身倦怠で始まるが2-3日で治まることが多く、その後3-5日後に、咳が出てひどくなってくる。痰は最初は少ないが徐々に増える。咳は長引き1ヶ月続くこともある。ゴッホゴッホという頑固な激しい乾いた咳(空咳)が続く割には痰は少ないという特徴がある。咳は特に夜間に多い。熱が下がってもしつこい咳が続く。咳は2週目が一番激しい。ほとんどの人は38度以上の高熱が出る。時々強膜炎を起こし、肺に水がたまったり、中耳炎を起こしたり、髄膜炎を起こしたりする。感染力が強く、家族内、幼稚園や学校内、職場で感染し、時に大流行する。(特に症状の軽い人が動き回って他人に病気をうつしてしまうので「歩き回る肺炎」(Walking Pneumonia)と呼ばれる)

経過中に発熱が続き、嘔吐、頭痛等がみられる場合は髄膜炎になっている可能性が高いので、急いで医療機関を受診すること。

病院を受診する際は、1.痰が少ない乾いた咳が出るかどうか、2.周りに長期間咳が止まらない人がいるかどうかをはっきり伝えよう。

以前は、4年ごとの大流行にオリンピック病と言われた。患者の咳を吸い込むと感染する。大人は子供からうつることが多いのでマスク・手洗い・うがいは入念に。潜伏期間は6日〜1ヶ月と幅があるが2−3週間が一般的。症状は比較的軽い事が多いので必ずしも入院の必要はない。主として10-30歳代の子供や若年者に多い傾向がある。大人が感染して重症化するケースが増えているとの報告もある。一般的には60才以上の人には少ない。レントゲンで白い影・すりガラス状の影が見られる。(乾いた激しい咳や高熱の割に痰があまりでない時はレントゲンを撮って貰うとよい

乳幼児に感染した場合は、肺炎になることは少なく、風邪や上気道炎で終わることが多いが、5歳〜10歳になると肺炎症状がでたり、重症化しやすい。嘔吐、頭痛等がみられる場合は髄膜炎を疑う。1歳までに40%、5歳までに65%、成人するまでには約97%が感染すると言われている。何度も罹患し終生免疫は出来ない。インフルエンザほどの強力な感染力はない。

予防はマスク、手洗い、アルコール消毒。冬に多いが年間を通じて発生する。ワクチンはまだ研究段階。

検査は、@胸部X線又はCT検査(肺炎の有無を調べる。数か所に網状顆粒状などの陰影が見える)、A血液検査(マイコプラズマ抗体価・白血球数・CRP・肝機能など)、B核酸同定検査(LAMP法)の実施が望ましい。LAMP法は新しい遺伝子増幅法で咽頭拭い液か喀痰を用いて、マイコプラズマ感染の有無を短時間で診断出来る。2011年10月に保険適用になった。
重症例ではステロイド剤で治療する。血液検査では感染後1週間以上経たないと正確な検査が出来ない。マイコプラズマの診断には10分程度で判定できる「イムノカード」があるが、発病初期には陰性となる場合がある。検査で一番確実なのは、間隔を置いて2回採血をして抗体の数値を比較する血液検査。

治療:
マクロライド系の抗生物質の薬剤耐性が問題になっているが、それにも関わらず、第一選択肢がマクロライド系薬であることには変わりがないと言われる。確かに耐性率は年々向上しているが、耐性化することで症状のある期間は延びても、重症化しやすいわけではないと言われる。感受性株ではマクロライド投与後48時間以内に80%以上が解熱するが、耐性株では70%が解熱しない事も報告されている。マイコプラズマ肺炎は通常は自然治癒する疾患であり、マクロライド系薬の効果は投与後2-3日以内の解熱で概ね評価できると言う事。

小児のマイコプラズマ肺炎治療薬に関して日本小児科学会は2013年2月、第一選択としてマクロライド系を推奨した。ニューキノロン系のトスフロキサシンやテトラサイクリン系は、マクロライドで効果が無く必要と判断された場合にのみ使う事とした。従って、通常はエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ミノサイクリンで、マクロライド耐性が疑われる場合は、トスフロキサシン、テトラサイクリン系に限定される。

大人の場合で、マクロライド耐性マイコプラズマに使われる抗菌薬はケトライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系とあるが、今は耐性株に効くキノロン系でも試験管内で耐性が生じたとの報告も有り乱用を避けるべきと言われる。

ある専門家は
マイコプラズマ肺炎の治療として、
1)マクロライド系薬剤を投与、
2)48時間で解熱しなければ、次はミノサイクリン又はトスフロキサシンを考慮(8才以下ならトスフロキサシン)、
3)総発熱日数が7日を超えても解熱しなければステロイドの併用も考慮すると述べている。

普通よく使われる抗生物質のペニシリンやセフェム系は効かない。尚、8才くらいまでの子どもにテトラサイクリン系(ミノサイクリン)を使うと歯が変色する事がある。

最後に、専門家が危惧しているのが、耐性株のない今は切れ味が比較的よい薬(ミノサイクリンやトスフロキサシン)やステロイド薬を最初から安易に投与する先生がいること。これらは、感受性株に対する効果がマクロライド系薬剤ほど強くない上に、副作用のリスクもあることだ。
ステロイド薬は発熱が7日以上続くなど患者の免疫応答が治まっていない時などに考慮すべきと述べている。米国小児科学会では、「発熱が7日以上持続し、LDHが480IU/Lを超えている重症例に対してステロイドの全身投与の効果が期待出来る」とする報告がある。

インフルエンザウイルス

細菌ではないので直接効く薬はまだない。対症療法で対応。インフルエンザにかかったら48時間以内にタミフルやリレンザなどの処方で重症化を抑える。

ウイルスの中で唯一肺炎を引き起こすのがインフルエンザウイルス。しかも症状は細菌によるものより重症です。重症化するのは妊娠中の女性や子供、65歳以上の高齢者です。他に糖尿病、肺や心臓に疾患のある人、ステロイド薬や抗がん剤などを使用している人も恐れがあります。わずか1日で重症化することもあるので恐ろしい。これを防ぐために、インフルエンザワクチンは毎年接種するようにしましょう。接種しておけば、肺炎になる可能性は低くなります。

 

マイコプラズマ肺炎 上述の通り。健康な人にもおこる。  
クラミジア肺炎

健康な人にもおこる。ペットから感染する。クラミジア・トラコマチス肺炎、オウム病、クラミジア・ニューモニエ肺炎がある。(このクラミジアは性感染症の原因菌となるクラミジアとは種類が異なる)

クラミジア・ニューモニエ肺炎野鳥等が生息する公園の周辺で、散歩などを通じて、鳥の糞や羽を吸い込んで、熱のほとんど出ない肺炎(無熱性肺炎)を起こす。症状としては、乾いた咳だけがいつまでも続くもので最近増えていると言われる。小児(年長児)と60才以上の高齢者に多い傾向がある。(4才以下は稀) 軽症で自然治癒することも多いが、この病気の怖いところは、きっちり治療しないと、喘息が悪化したり、炎症部分から毒素が出て内皮細胞を傷め、動脈硬化が元になり将来心筋梗塞や脳梗塞の遠因になること。
喘息の人は要注意:この肺炎は熱が出ないことがあるので、喘息の人がこの肺炎になった場合、肺炎の診断が遅れることがある。咳が増えたのを喘息が悪化したと診断されてステロイド剤を増量されても肺炎は良くならない。症状が改善しない場合は肺炎を疑って血液検査やCT検査などを受けたがよい。

診断:血液検査やCTで診断が付く。軽いとX線でははっきりせず、CTでようやく診断が付くこともある。血液検査ではIgMが増加、赤沈値は上昇、CRP(++は25%)や白血球球数(10,000以上は25%)は多少増加する程度のこともあるほど。陽性になった抗体は通常は数年で陰性になる。この病気が疑われたら必ず血沈を測って貰うとよい。

感染形態:患者の咳による飛沫感染で人→人に感染する。感染していることを示すクラミジアニューモニエIgG抗体保有率は小児期に急増し、大人では50-60%と高い。但し、この抗体には感染を防ぐ機能はなく抗体を持っている人でも何度でも感染し発症することがある。感染から発症までの潜伏期間は通常2-4週間。親と子供、年寄りと孫のような接触が密接なものほど感染が広がりやすい。

症状:症状は乾いた咳が主体で2週間以上続き、症状も軽いことが多く、肺炎クラミジアと言っても肺炎まで移行するのは10%程度。(ウイルス感染による咳なら2週間程度で改善するのが一般的) 熱は低いことが多く、38度以上の高熱が出るのは半数以下。咽頭痛やしわがれ声がが長引くのも特徴の一つ。小児は軽症が多く肺炎は稀。発症が緩慢なことが多いので肺炎になっていても最初は気づかないことがある。自然治癒もある。

検査:抗肺炎クラミジアIgM抗体をELISA法で測定する方法が保険適用されており結果は数日で分かる(ヒタザイムC.ニューモニエ:日立化成工業)。他に、分離培養法や遺伝子検査法がある。

治療:発熱のない乾いた咳が2週間以上続くようなら、感染を疑って抗菌剤を投与するのも一法。ニューキノロン系(他にマクロライド系、ケトライド系、テトラサイクリン系)の抗生物質が効果がある。除菌率80-90%。10-14日間の長めの投与が望ましい。小児はマクロライド系が良い。ペニシリン系、セフェム系の抗生物質は効かない。水分は多めに摂取。風呂は熱が下がり咳が出なくなってから体調の良いときに。

野鳥などが生息する場所を歩くときは、必ずマスクを着用しよう。肺炎にかかる例が増えている。

オウム病:クラミジアシッタシイによる肺炎。オウム、インコ、カナリアなどの糞便から空気感染。クラミジアシッタシイに感染した小鳥は必ずしも死亡しないので小鳥が元気でも感染の可能性がある。潜伏期間は4-10日。高熱、頭痛、筋肉痛、肺炎を起こす。テトラサイクリン抗生物質が第一選択肢。マクロライド系、ニューキノロン系薬がこれに次ぐ。ペニシリンやセフェム系抗生剤は効かない。

クリプトコッカス肺炎の場合ハトの糞便が空気感染源となる事が多いが、免疫の働きが正常な人に高熱を出させることは稀。肺炎、髄膜炎、皮膚疾患を呈する。肺型は自然治癒もある。免疫が極端に落ちている人が感染すると生命予後が悪いので注意。

鳥関連過敏性肺炎 最近増えているのが、羽毛や鳥の糞に付着している鳥タンパクという微細な物質による鳥関連過敏性肺炎。昔は「鳥飼病」と言われていたが、近年は鳥を飼育していなくてもかかる危険がある。文鳥、インコ、鳩やカラスの窒笊ウが原因となる。羽毛布団やダウンジャケットも原因となるので咳などの症状があれば綿の布団やブランケットに変えて症状が変わるか経過を見るのが良い。予防は空気清浄機とマスク。鳥関連過敏性肺炎はトリコスポロンよりも重症になることが多い。又肺がんとの関連も指摘されている。鳥関連過敏性肺炎→慢性間質性肺炎→肺がんのコースが考えられている。診断は血液検査で鳥タンパクへの抗体反応を調べる。早期であれば原因物質の鳥タンパクから身を遠ざければ軽快していく。自宅の周囲2km以内に鳥小屋や鶏糞肥料を使った畑などがあれば発症する可能性がある。鳩がよく集まる公園なども注意が必要。東京医科歯科大学宮崎泰成教授が著名。  自宅では空気清浄機、戸外ではマスクの着用を励行したい。
誤嚥性肺炎

食事の際の呑み込み不良により食物や唾液の雑菌などが気道から肺に入ることにより起きる。また、寝ている時など気づかない内に細菌を含む唾液などが気管に流れ込んで肺炎が起きることも多い。最大の特徴は反復性で治療が難しい事。

65歳以上の高齢者に多い。痴呆、脳梗塞、寝たきりの人は特に注意が必要。米国における60才以上の高齢者の死亡原因第一位はこの誤嚥性肺炎と言われている。健常者はむせる事で異物を排出するので起こりにくい。寝ている間に気づかないまま逆流胃液や唾液や雑菌などを誤嚥していることが多い。健常者なら寝ている間に唾液などを誤嚥しても、量的にはわずかなものなので朝になってから痰として吐き出すことで肺炎にはならないで済む。
予防は、
 @食後と寝る前のうがいと歯磨き(口内を綺麗にして細菌を除去)。総入れ歯の人も歯ブラシで歯茎を磨くこと。歯磨きにより肺炎の発生率は半分に減る。仮に誤嚥しても肺炎にならないようにしっかり栄養を取って体力を付けることが大切。
 A姿勢を起こして食べる、
 B食後90分は横にならない、
 C舌の汚れを取る
 D手指を清潔に保つ等々
 E定期的に歯科にかかって口内の歯石などを除去して貰う
 F栄養の良いものを食べて免疫力をつける(卵や豆腐、肉類)
 Gのど周辺を鍛える運動:大きく息を吸い込んで息を止め、つばをのみ込んでから「ハーッ」と息を一気に吐き出す。3度繰り返して休み、それを3回続け、計9度行う。
 H食事中は食べることに専念する。
 I咳は異物を肺から出そうする正常な反応。咳止めを飲んではならない。
診断:発熱、喀痰、咳嗽、頻呼吸、頻脈等をチェック。高齢者は食欲不振、日常活動が低下、意識障害、失禁などもあるので見逃さない。
検査:血液(CRP高値)、胸部レントゲン、CT等
治療:入院して点滴で抗生物質投与。酸素吸入や必要に応じて人工呼吸器使用。誤嚥を繰り返すと抗生剤に対する耐性菌ができて治療が難しくなる。

細菌性肺炎に特徴の高熱・セキ・タンなどの症状が現れにくい。
元気がない・食欲がない・ボーッとしている呼吸が速くなる(1分に20回以上)・脈拍が増える(1分100回以上)等一見肺炎と思えないような症状になることが多い由で注意が肝心。
胃液逆流性肺炎

最近急速に患者が増えているもの。胃から逆流した胃液が肺に侵入することで起こり、喉痛、咳の後、急に高熱が出るなど劇症化する。@寝る前の暴飲暴食、A寝たきりの人、B胃や食道の手術をした人、Cドライマウスの人、D睡眠時無呼吸症候群の人、E高齢者でつばが少ない人、F脳梗塞の人は胃液が肺に逆流しやすい。対策は@ベッドの背を15度ほど起こす、Aアイスマッサージ法:医療用の綿棒を水で湿らせて凍らせておき、食事前に、綿棒を唇から徐々に口の奥に向かって当てて刺激をすると脳が活性化する、Bおでこ体操:おでこに片方の手を当て、頭でその手を強く押しながら、手も頭に強く押しつける。このとき、自分のおへそを見るようにして、あごの下の筋肉がかたくなっていればOK。1秒に1回、頭を押す動作を5回繰り返し、そのあと、5秒間、頭を強く押し続けます。休みをとりながら3回行います。食事前に行うとより効果的。

 
レジオネラ菌による肺炎

春先から多くなる。ガーデニングで使われる落ち葉を集めて作る腐葉土の中にレジオネラ菌が発生していることがあるので注意が必要。(腐葉土は袋に入れたまま日向には置かないことが大事。水温36度前後で増殖しやすい) →園芸の際には、マスク・手袋、作業終了後の手洗いは必須。
その他、超音波式加湿器循環風呂等不衛生な入浴施設、ビルの屋上にある冷却塔等から出る微粒子を吸い込む事が原因で起きる事が多い。源泉のかけ流しの温泉ではレジオネラ菌の繁殖はまず起きないが循環式温泉は要注意。かからないようにすることは困難だが、温泉に行って、その後、高熱や呼吸困難が起きたらレジオネラによる肺炎を疑って呼吸器科を受診すること。

2-10日の潜伏期間を経て高熱、咳、頭痛、筋肉痛、悪感等の症状が起こる。進行すると呼吸困難を発し胸の痛み、下痢、意識障害等を併発する。死亡率は15%-30%と高い。

健常者が感染・発症することは稀。高齢者、幼児や糖尿病など免疫力が弱っていると重症化しやすい。レジオネラ肺炎は進行が早いので疑わしいときは直ちに医療機関を受診。レジオネラを思いつかず、他の肺炎としてレジオネラに効果のない抗生物質で治療していると最悪の場合生命が危険になるので、発症前の1週間の行動を医師によく伝えることが大事。

※レジオネラ菌は土中や川など湿った場所で棲息し、風呂などにも自然に住みつく。清掃状態の良くないジャグジーや打たせ湯は危険度が高い。菌の力はそれほど強くないが、高齢者など体力の弱った人が感染すると肺炎になる。潜伏期間は2〜12日で、人から人への感染はしない。

急速に悪寒・高熱・ふるえ・息切れ・呼吸困難が出て重症化したり下痢や吐き気を伴う、意識障害が出る等が起きる。痰は少ない。脈拍は遅くなる事もある。痰を検査してレジオネラ菌の存在を確認する。尿中抗原検出キットも活用できる。ニューキノロン系(クラビット、スパラ等)の点滴が第一推奨薬。他に、マクロライド系抗生物質(ジスロマック・クラリス・クラリシッド)が効く。通常のペニシリン系、セフェム系抗生物質は効かない。

間質性肺炎
三大症状は、
@乾いた空咳(痰がでない)
  最初は軽い小さな咳で始まる、
 非常にしつこく2週間以上続く
A動くと咳や呼吸困難
B息切れ

・レントゲンで見つからない
 事がある
・カビや粉塵、タバコ、薬の
 アレルギー反応で発症する
 事がある。

間質性肺炎は、肺の奥にある肺胞と呼ばれる部屋の壁が傷つき、その壁が厚く硬くなる病気で、呼吸しづらくなり、空ぜきに悩まされることもある。「肺胞の中ではなく、肺胞を取り囲んでいる壁(間質)に炎症を起こす。治るときに繊維化して肺が固くなる。じん肺、アスベスト、ウイルス、アレルギー、総合感冒薬、リウマチ、抗ガン剤、カビ、羽毛ふとん(鳥)、放射線、強皮症などの膠原病などの他、原因不明の特発性(20%程度)も多い。喫煙者に多い傾向。年齢は50歳〜70歳の人に多い。風邪をひかないようにすること。風邪などの後、急に悪くなることがある。鼻呼吸は予防法にもなる。両方の肺に同時に炎症が起きるので息切れが激しい。経過は急性(38度以上の発熱)・亜急性・慢性型に分類される。慢性型で急性悪化することがある。息切れを感 じてから、5年前後で症状が進行する例が多い。最終的には酸素マスクを必要とする事が多い。聴診器で一呼吸ごとに、左右対称に肺の音を聴いていくと、特徴的なパチパチといった音がする。レントゲンでは肺の容積減少や瀰満性陰影で両肺が曇って見える。高解像度のCTでハチの巣状の様子を確認する。その他、肺機能検査・血液検査・6分間歩行試験・気管支肺胞洗浄・胸腔鏡下肺生検等で診断と原因を確定する。昔は間質性肺炎は原因の分からないことが多かったが、診断技術の進歩で専門医にかかれば80%程度は原因が特定出来るようになり、対処法、治療法も改善した。疑わしい時は即刻薬の服用を中止し専門医を受診。軽症者はステロイド剤の大量点滴で治る。免疫抑制剤のシクロスポリン等も使われる。静脈から血液を抜き、フィルターで炎症細胞などを吸着・除去した後、再び体内に戻す治療も有効性の研究が進められている。ステロイドが効かない場合は肺移植。湿気の多い部屋や加湿器のカビは危険。加湿器は必ず頻繁に洗浄して使う。

特発性間質性肺炎:特発性間質性肺炎は、国の難病に指定されている。7種類に分類されるが、うち4つは極めてまれ。重要なものは特発性肺線維症(IPF)」、「非特異性間質性肺炎(NSIP)」、「特発性器質化肺炎(COP)」の3つ。特発性肺線維症(IPF)は最も多く70-80%を占めている。推定患者数は1万5,000人。IPFは高齢者に多く、肺が硬くなって酸素が取り込めなくなり、肺活量が減る病気で間質性肺炎の5-6割を占めている。40%の患者に急性増悪が起き、わずか1年で呼吸不全に至る。肺がんになる確率も30%と高く、これまで長い間有効な治療法が無く5年生存率も30%程度と高かったが、進行を抑えることが出来る様になった。IPFの症状は、からせき、息切れ、ばち指。通常ステロイドの効果がなく、NSIPとCOPは、多くの場合ステロイドが有効です。患者の半数は肺繊維症(肺が硬くなる)。ステロイドや免疫抑制剤を使用するのが標準的治療法だが、進行を確実に抑制する薬はまだ無い。N−アセチルシステインを含む薬が進行を抑える力がつよいとの報告がある。また、世界に先駆けて2008年登場のピルフェニドン(ビレスパ錠)、更に2015年登場の分子標的薬ニンテダニブ(オフェブオフェブカプセル)は健康保険適用となり、繊維化を抑える力が強く無増悪生存期間延長に貢献した。オフェブは肺活量の低下スピードを半減する効果があり今後が期待される。但し、副作用もあるので注意が必要。
特発性間質性肺炎(IIPs)の生命予後は悪く、わが国では50%生存期間が約3〜5年と報告されていたが、副作用を念頭に経過観察すれば、小柴胡湯等の漢方治療が特発性間質性肺炎に奏効と北海道漢方医学センター・北大前クリニック院長の本間行彦氏は話していると、2011.5.27日経メディカルオンラインにある。
薬物治療で効果が無い人の最後の砦が、65歳までの人なら「移植」という選択肢もある。健康な人から肺の一部を移植する生体肺移植と脳死肺移植とがある。

特発性器質化肺炎:50-60代に多い。肺胞と細気管支の中に器質化物といわれるものが充満し、肺胞の壁には炎症を伴う変化が起こったもの。症状は咳や息切れ。他にだるさや発熱。CTで分かる。ステロイド薬が効果がある。予後は良好。

☆間質性肺炎を起こしやすい薬:括弧内は発症率
抗ガン剤(ブレオ(10.2%)、ペプレオ(6.9%)、イレッサ(5.8%)、カルセド(2.2%)、ジェムザール(1.5%)、カンプト(1.3%)、トボテシン(1.3%)、インターフェロン(0.1%))や、抗リウマチ薬アラバ(1.8%)、抗不整脈薬アンカロン(1.9%)、漢方の小柴胡湯(0.1%)などで間質性肺炎が起きると報告されている。

慢性肝炎における肝機能障害の改善の目的で「小柴胡湯」を投与された患者で間質性肺炎が起こり、重篤な転帰に至ることがある。 小柴胡湯による間質性肺炎の発生は60歳以上の高齢者や慢性肺疾患やアレルギー疾患の既往・合併を有する患者に多いので注意を要する。

☆市販の総合感冒薬で間質性肺炎:パブロン、エスタック、ルル、コンタック、ベンザなどの総合感冒薬で200万人に一人程度だが間質性肺炎が起きる事が報告されている。安易に総合感冒薬に頼らないと共に、市販の風邪薬を5〜6回程度飲んで、かえって症状が悪くなったり、空咳、呼吸困難、発熱などの症状が出た場合は、即刻服用をやめて医師を受診。初期の兆候に気付いて薬の服用を中止すれば重大な結果になる事は防げる。

診断と治療:東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科本間栄教授、岡山大学病院呼吸器外科大藤剛宏准教授、東京医科大呼吸器内科瀬戸口靖弘教授、自治医科大学付属病院呼吸器内科杉山幸比呂教授、帝京大学病院呼吸器内科大田健教授、東京医科歯科大学病院呼吸器内科吉沢靖之教授、東京医科歯科大学宮崎泰成教授、日本医科大学第4内科工藤翔二教授、吾妻安良太講師、虎の門病院呼吸器科吉村邦彦部長、結核予防会複十字病院工藤翔二院長等が著名。

空咳(初期は痰が出ない)や労作時(布団の上げ下げ、階段や坂道)の息切れ(肩で早い息をする)がしばしば出現する。痰は少なく熱はあまり高くない事が多い。体重減少が起きる。進行するとちょっとした日常動作でも苦しくなり、唇などが青紫色になるチアノーゼやバチ状指など呼吸不全に特徴的な身体的特徴があらわれる。
真菌等のカビによる肺炎

免疫力が低下した時に起こりやすい。強力な抗生物質の治療を長い間続けた時などにも細菌はなくなっても逆に真菌が繁殖して発病することがある。(菌交代現象)
アスペルギルス、カンジダ、ムーコルなど。

カビと称される真菌による肺の感染症に「肺真菌症」がある。症状は咳、痰、発熱。原因となる菌には、こうじカビの仲間である「アスペルギルス」や、酵母の仲間の「クリプトコッカス」(真菌の一種)などがある。真菌は、我々の生活環境の中にあり、毎日吸い込んでいるが、真菌自体はほかのばい菌に比べて病原性が弱く、健常者は吸い込んだだけで病気を発症することはない。肺結核やエイズ、抗がん剤治療中の人がなりやすい。レントゲンでも見つからない事もあり、診断と治療は専門医でないと難しい。治療は、抗真菌薬。症状が重い場合は、肺の感染した部分を切り取る手術を行うこともある。

最近注目されているものにトリコスポロン」というカビの一種によってアレルギーを起こす夏型過敏性肺炎」がある。高温多湿(温度20-30度、湿度80%以上)の夏に家の中で増殖するトリコスポロンというカビが引き起こす。湿度が高い台所の流しの下、浴室、押入、カーペットの下側などが特に繁殖する。主婦は特に注意。吸い込んでアレルギー反応を起こす。最初は咳や痰・発熱、倦怠感などの軽い風邪のような症状で始まり、放置すると息切れ、呼吸困難等が起きる。カビから離れると自然と軽快する事が多いが、環境が変わらない限り、毎年5月〜10月にかけて同じ症状がぶり返す特徴がある。家に長時間いると症状が出て、外出すると軽くなるような場合はこの病気の可能性が高い。このアレルギー性肺炎にかかっているの気づかず何年も放置しておくと肺が繊維化するので怖い。診断は抗体検査、CRP、白血球等の炎症反応検査、胸のX線、肺活量などによる。この病気が疑われたら抗体検査をして貰おう。治療は対症療法としてステロイド剤が主に使われる。風邪薬や抗生物質では治らない。入院して家から離れて治療することも多い。家からカビを除去するために、徹底した大掃除と場所に応じた消毒、さらに日当たり、通気を良くするリフォームをします。日常の注意として、エアコンや加湿器の使い始めには必ず掃除をする、部屋の換気に努める、枕を干す、カビの多いところでの作業は必ずマスクをする等がある。 押入などは短時間でもふすまを開けて風を通すようにする。
カビ対策:部屋の換気と掃除をこまめにするのが効果的。カビが出たらカビ取り剤を使用(使用上の注意を厳守)。詳細こちら。東京池袋・池袋大谷クリニック・大谷義夫院長が著名。

アスペルギルス症

カビの中でも命にかかわる怖いカビがアスペルギルス。このカビは生活常在菌の一つなので、その胞子はいたるところに存在する。免疫に問題のある人が大量に吸い込むとアレルギー症状が出る。免疫に問題の無い健康な人は吸い込んでも何も起きない。アスペルギルスにより起きる病気にはアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肺アスペルギルス腫、侵襲性アスペルギルス症がある。

アスペルギルス症は最初はゆっくり進行し風邪に似ている。咳や微熱が出るが、ひどくなると呼吸不全。多くは息切れで受診する。患者は20万人位いて、内20%は重症。最初、咳などで内科を受診しても喘息等と診断されてカビが見逃されやすい。このため、数年間治らない人もいる。呼吸器の専門医にかかって初めてアスペルギルスによるものとの診断がつくことも多い。もともと喘息などアレルギー体質の人は発症しやすいので要注意。

※アスペルギルスはどこにいるか?
  ・押入
  ・ベッドの下
  ・箪笥の裏
  ・エアコンの中
  ・掃除機のダストボックス

※対策
  ・湿気を逃がす。小雨でも窓を開けると湿気は逃げていく
  ・押入は少し開けておく
  ・タンスは壁から少し離す
  ・1週間に1回ゴミを捨て、掃除機のダストボックスは空にする
  ・エアコンのフィルターは1週間で掃除する
  ・マスクの着用
  ・HEPAフィルター搭載空気清浄機の使用

※検査
  呼吸器の専門医を受診する。血液検査で分かる。血中のIgE濃度のチェック、好酸球増加症の診断。
  全血中の好酸球が常時10%以上あり、血漿中のIgEが1000ng/mlを超えた場合、ABPAである可能性が高い。 
  その他、レントゲン、CT、喀痰培養等で診断。進行すると手術になるので早めに受診するのが良い。
  

カビを吸い込んで数時間で咳・痰・熱などのアレルギー症状が出る。更に進むと息切れ、呼吸困難などの肺炎の症状が出る。
急性好酸球性肺炎

好酸球とは白血球の一つ。ある要因が重なったときに、好酸球がその刺激に反応して間違って
自分自身を攻撃してアレルギー反応を起こし、突然呼吸困難などに陥る。
この肺炎は、健康な人がストレスや睡眠不足などで免疫力が低下しところへ、何かの要因が
重なって起こる。例えば喫煙の場合は、喫煙開始から1〜3週間で起こるケースが多いことが分かっている。
他にも粉じん、カビ、薬剤、防虫スプレー、花火の煙、寄生虫などさまざまなものが引き金になる。この肺炎に一度かかると再発症の可能性もある。 日ごろから免疫力アップを心がけること。 疲れると再発症しやすい。

診断には気管支肺胞洗浄という気管支鏡を用いた検査が必要になるので治り難い肺炎や繰り返す肺炎の場合には呼吸器専門医を受診すること。

若い人や働き盛りは要注意。呼吸が突然出来なくなり命にかかわることもある病気。手当が遅れると一生酸素ボンベの生活になる。

アレルギーによる肺炎なので抗菌薬(抗生物質)は効かない。ステロイドで治るが再発も多い。

 

検査

@脈拍、呼吸や酸素濃度などの全身状態の観察、A胸部のX線撮影、B採血してCRP、白血球や赤沈の検査、C胸の音を聴診器で聞く、D血液ガス分析(呼吸不全の程度と呼吸性アシドーシス或いはアルカローシスを評価)、E血液培養検査・細菌培養検査等が行われる。

治療

抗菌薬(細菌を死滅させる)、解熱薬、せき止め、去痰薬などが用いられる。通常は数日から一週間で治る。細菌性肺炎は抗生物質を用いて治療するが、ウイルス性肺炎には無効である。軽症なら自宅で服薬、安静、保温で治療。症状が重く脱水がある場合は入院して抗生物質の点滴、酸素吸入治療を行う。(通常入院期間2-3週間)
肺炎の原因を見極めてそれにあった抗菌薬を使うことが必要だが、原因菌を特定するまでに時間がかかり、間に合わないので、通常、病院では、2種類以上の抗菌薬を使用して、全ての菌に対応するのが一般的。
胸水がたまった場合は肺穿刺や利尿剤等で治療する。
酸素濃度が下がっていれば酸素投与の必要がある。その他、喘息の発作などがあれば、気道閉塞の除去、痙攣を取る気管支拡張剤、痰を除去する去痰剤やネブライザー、炎症を取るステロイド剤等が実施される。

治療効果の判定は、熱の経過、白血球数・CRP値、酸素濃度、チアノーゼ、胸部X線などで総合的に判断する。

回復期には水分を多く摂るよう心がける。
熱が高いときは、アセトアミノフェンやアスピリンなどを服用して熱を下げる。ただし、小児にはアスピリンを使用してはならない。

最近、耐性菌の増加により薬の効かない肺炎が増えてきている。これは風邪の治療などに抗菌剤などが多用された結果でもある。肺炎と診断がついたら強い薬を十分な量だけ最初から使うことが耐性菌対策にも有効

肺炎の予防

  1. インフルエンザワクチンを接種し、風邪やインフルエンザに罹らないこと。特に、高齢者はインフルエンザの後肺炎に移行しやすい。
  2. 肺炎球菌ワクチンを接種すること
  3. 歯と歯茎をよく磨くこと。やわらかい歯ブラシで歯と歯の間や歯茎を磨く。舌を磨くと尚良い。歯磨きを1日5回すると肺炎のリスクは1/3に減ると言われる。
  4. 体力、免疫力をつける
  5. 肺炎予防呼吸法:(CBC放送「カラダのきもち」より)
    原因菌が棲みつかないように、肺の状態をきれいに保つことが大切です。肺を全部使って肺の空気を入れ替えましょう。
    (1)口をすぼめ、肺の中の空気を全て出し切ります。
    (2)ゆっくりと鼻から息を吸い、吸えなくなったところで3つ数えます。(3秒止め)
    (3)もう一度口をすぼめ、息を静かに出し切ります。
    これを3セットずつ、朝晩行います。
    この運動をやって咳き込む人は呼吸器の病気がなにか隠れているかも知れないので医師に相談。
  6. 就寝時は入れ歯を取り外すべき。入れ歯を装着したまま寝る高齢者では肺炎リスクが2倍に上昇することが日本大学歯学部の飯沼利光氏らの研究でわかったと言う。(2014/10)

大人用肺炎ワクチン(肺炎球菌ワクチン)

医学が発達した現代でも、肺炎で死亡する人が後を絶たない。(がん、心筋梗塞、脳梗塞に次いで第4位) 
最近、抗生物質が効かない耐性菌が増えていると言う。だから、肺炎になった時、医師が抗生物質の選択を間違えると、治療していないのと同じになって患者はどんどん重篤になり命を落とす事になる。肺炎球菌ワクチンをしておけば耐性菌には関係なく免疫が出来、5年間持続するので、肺炎になっても重症化を防いでくれる

肺炎の原因で40-50%と最も多い肺炎球菌に80%効果のあるワクチンが登場してきた。(死亡予防効果60%) 米国では65才以上の60%の人が接種(日本はまだ知名度が低く、65才以上の摂取率は2008年4.26%)しているという予防注射万有製薬のニューモバックス(卵を使っていないから卵アレルギーの人も使える)。

肺炎球菌には80種類以上の型があるが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、そのうちで感染する機会の多い23種類(これだけで肺炎球菌による感染症の80%を占める)の型に対して免疫をつけることができる。 1回の接種で、耐性菌かどうかには関係なく、23種類のほとんどに対し必要な免疫ができる。肺炎球菌は、体力が落ちている時や高齢者で免疫力が弱くなってくると、肺炎、気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などを引き起こす事があるので予防が重要。

1回の接種で5年程度効果がある。(8年程度一定の効果が持続するとも言われる) 昔は一生に1回とされていたが、2009年10月、5年以上経過していれば再接種を認められるようになった。健康保険が効かず自費扱いで\8,000程度。一年中いつでも接種出来るが、冬場の場合、インフルエンザの予防接種と時期をずらせて両方やることで肺炎による入院も死亡も減らせる効果がある。インフルエンザのワクチン接種から最低6日はあけること。

2013年12月、政府は肺炎球菌用のワクチンを、予防接種法に基づいて自治体が行う定期予防接種に加える方針を固めた。総務省が地方交付税を通じて財政支援し、厚生労働省が予防接種法の施行令を改正する。定期接種は2014年秋から実施される見通し。65歳以上が1回接種すればよく、最初の5年間は対象年齢を65歳、70歳、75歳などと5歳刻みとすることで幅広い高齢者世代が受けやすくする予定。

一般には65歳以上の高齢者、呼吸器・心臓の慢性病の人、糖尿病の人、腎機能不全の人、脾臓摘出した人、肝臓障害のある人などが予防接種が薦められるが、再接種が可能になったことで、肺炎球菌による肺炎が心配な人は何歳でも接種したが良い。接種する年齢によって副作用の違いはない。接種後抗体(免疫)が出来るまでに一ヶ月ほどかかるので冬の時期を避けたが良い。接種後は「接種済みのシール」を保険証などに貼って忘れないようにしたい。

接種が不適当な人は、@一度接種した人、A2才以下の子供、B免疫抑制治療中の人、C発熱者、D急性の病気や重い病気で治療中の人、E当日体調の悪い人は個別に相談

肺炎球菌ワクチン接種後の副反応(副作用)としては、@注射部位が多少赤みを持ち少し腫れたり触ると痛む程度(インフルエンザの予防接種と似ている)、A微熱が出る等が起きる事があるが、通常は問題なく、1〜2日でおさまる。腫れが大きかったりひどく痛みがあり強まる傾向がある場合は念のため受診。既に100万人以上の人が接種を済ませているがこれまでのところ重大な副作用の報告はない。

自費で「プレベナー13」を併せて接種するとより予防効果が高まる。ニューモバックスとプレベナーは体内での免疫に対する働きが異なる。費用は約1万円程度かかる。プレベナー13は、主に乳幼児の肺炎球菌性髄膜炎をターゲットに開発されたワクチンであり、利用する莢膜型は13種類。65才以上の高齢者は通常はニューモバックスを接種し、本人の必要性を考慮して医師と相談の上、プレベナーを追加すると良い。 プレベナー13が有効な型の肺炎球菌は、鼻や咽喉の粘膜に、定着することが出来ない。つまり、ニューモバックスとは異なり、感染自体を予防する効果があると考えられている。

肺炎球菌感染症コールセンター:0120-66-8910 (ニューモバックス)

新制度がスタート:2014.10.1から、高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンが定期接種となった。2014.10.1から2015.3.31までは次の人が対象となる。65/70/75/80/85/90/95/100才となる人及び101才以上の人。65才となる人とは今年度の場合は、昭和24年4月2日生 〜 昭和25年4月1日生である。60歳から65歳未満の人で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある人も対象となる。この制度では、今までこのワクチンを接種したことがない人を対象に、平成30年度までの間に1人1回、定期接種の機会が設けられている。既に「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を接種したことがある人は、定期接種の対象とはならない。 尚、期間内に接種しなかった場合は、定期接種の対象とはならない。詳細は各自治体に問い合わせください。厚生労働省のホームページはこちら

子ども用肺炎球菌ワクチン

  • 子供の肺炎球菌ワクチンをワイスが2010年2月24日に発売! 生後2ヶ月〜9才が対象:(細菌性髄膜炎、肺炎、中耳炎などを予防)

    米系製薬会社のワイスは2010年2月23日、細菌性髄膜炎など子どもの重い感染症を予防する肺炎球菌ワクチン「プレベナー」(PCV-7)を2月24日発売した。接種対象は生後2カ月から6歳以下の子ども。このワクチンは約90種類(血清型)ある肺炎球菌のうち、特に小児で重い症状を引き起こす7種類の肺炎球菌による感染症を予防するもの。菌が通常入り込まない体の部分に肺炎球菌が入って引き起こす重い感染症の約80%に対応できるという。 尚、肺炎球菌ワクチン・ニューモバックスはこれとは別物だが、2才以上すべての年齢で接種出来る。

    肺炎球菌は小児の細菌感染症の原因として最も多いといわれ、肺炎球菌感染症は肺炎(重症化する)の他、髄膜炎、菌血症、敗血症、中耳炎をおこす毒力が強く、急激な経過をたどる怖い病気。中でも髄膜炎が特に怖い病気と言われるが、これは点滴による抗生剤が病気の進行に追いつかないことがある程進行が早いから。細菌性髄膜炎は早期診断が難しく、意識障害や痙攣が起きて診断がついて、抗生物質を投与しても耐性菌も多く、5%は死亡し、15-25%に後遺症が残ると言われる。年間1000人近くが発症していると言われる。原因は60%がヒブ(インフルエンザ菌b型)、30%が肺炎球菌。副作用は、「注射部位の腫れ・かゆみ、発熱、蕁麻疹などがあるが、販売元のワイス社によると、国内の治験で重い副作用が出た例はなかったという。」

    ワクチンの接種回数は年齢により異なる。接種対象年齢は生後2ヶ月〜9才まで。標準接種方法は、生後2か月から6か月までに接種開始して合計4回接種する。7か月から11か月までに開始の場合は3回、1歳は2回、2歳から9歳以下は1回でよい。三種混合DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチン、ヒブワクチンとの同時接種も可能。任意接種。接種の時期はできるだけ早い方がよいといわれる。また、PCV-7は難治性中耳炎にも有効と言われるので医師と相談。接種費用は医療機関により異なるが1回\9,000-\10,000。

    日本外来小児科学会はだれもが無料で受けられる定期接種に肺炎球菌ワクチンを加えるよう国に要望している。また、自治体によって補助が受けられる制度があるので問い合わせてみよう。(2010/5現在)
    ワイス社のニュースリリースはこちら

参考情報

肺炎の予防と治療関連図書
肺炎予防サイト

ある日私の父親が肺炎になった。38度の発熱があったので内科を受診した。呼吸も正常で咳も出ない、胸の音も異常がなかった。白血球は8,800 CRPが1.7だったので、風邪と思われたが、医師が念のためにと撮ったX線では典型的な肺炎の所見が見られ即刻入院となった。発見が早く処置が早かったので治った。ところが肺炎が直接の原因かどうか、因果関係は分からないが、その後、血液が固まらないようにするワーファリンとバッファリンを飲んでいたにも拘わらず、軽い脳梗塞を発症した。水分の取り方が少なかったためと思われる。高齢者の場合は、肺炎に気づきにくい事、普段から水分摂取の重要性を感じる。

この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。

最終更新:2003.1.22/2003.7.9/2005.12.11/2007.3.25/2010.5.22/2011.11.30/2016.12.1

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