|
年間100,000人が肺炎で死亡しており死亡原因の第四位。抗生物質が効きにくくなったこと、高齢者が増えたことが肺炎患者が増えている理由。若い人はかかっても命の危険はまずないが、65才以上の高齢者は命に関わるので注意。(肺炎の死亡者の95%は65才以上の高齢者、65才以上の人がインフルエンザにかかると、4人に1人が肺炎になる) もともと肺炎の原因となる細菌は健康な時から口の中に住み着いている事が多いが、風邪やインフルエンザを長引かせこじらせると細菌やウイルスが気管支や肺胞で繁殖して肺炎になりかねないので注意が肝心。歯磨きが肺炎の予防に効果があることも分かってきた。冬は夏に比べて3〜4倍発生が多い。風邪は安静にしていたら治ることが多いが、肺炎は放っておいたら治らず死に至る。肺炎がもとで心筋梗塞、脳梗塞、心不全などの合併症を併発することもあるので侮れない。高齢者では肺炎になっていても症状が乏しく、自分では肺炎になっていると感じないので、治療が遅れることが多いので、普段と違うようなことが3-4日続くときは早急に受診しよう。
@激しい咳が1週間以上続く、膿のようなタンが止まらない、タンに色(緑色や黄色)がついてきた、A38度以上の高熱が続く、B少し動くと息が切れるとか呼吸が苦しくて夜寝られないC呼吸がハアハアと増える(1分間に20回以上)、脈拍が増える(1分間に100回前後)、冷や汗が出る、D顔色が悪い、E食欲不振、F咳をすると胸が痛い、G全身倦怠感がある等の症状が段々強まる時は肺炎の可能性があるので急いで医者の診察を受ける必要がある。
診断:熱・咳・痰・呼吸困難などの全身症状、聴診での異常音、血液検査(白血球増多、CRP上昇等)、赤沈亢進、胸部X線や細菌培養検査(少し時間がかかる)などで診断。
高齢者では熱、咳や胸痛等の症状があまりなく、聴診器による音も異常ないのに、X線で肺炎と診断される事もあるので注意が必要。呼吸がハアハアと増える(1分間に20回以上)、脈拍が増える(1分間に100回前後)、食欲がなくなる、意識の低下等普段と違うことがあれば早期に受診。
風邪は鼻や喉、気管支が侵される病気だが、肺炎は肺が冒される。風邪はほとんどウイルスで起きるが、肺炎は肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマなどの細菌で起きる。
肺炎は風邪が長引いて細菌が侵入する場合、ウイルス性肺炎の他、 誤嚥性肺炎、レジオネラ菌による肺炎、真菌等のカビによる肺炎等がありそれぞれ症状、治療法が異なるので注意が肝心。
|
肺炎の原因
|
| 肺炎球菌 |
46%
|
| その他の細菌による |
38%
|
| その他 |
16%
|
肺炎球菌は健常者の口の中に常在していることが多く、高齢者よりもむしろ0〜5才の幼児に多い。(保育園児の84%から肺炎球菌が検出されたとのデータもある)
風邪の原因となるウイルスの寿命は通常3日程度、インフルエンザウイルスでも寿命は5日程度。従って3〜5日以上咳や痰、発熱が続く場合は肺炎を疑って医療機関を受診する事が望ましい。
| 市中肺炎 |
普通に生活している健常者が肺炎を急に発症するもの。
肺炎球菌肺炎、インフルエンザ菌、ブドウ球菌等による肺炎が一番多く、抵抗力が正常でも、弱っていても起こる。 肺炎球菌による肺炎の潜伏期間は1〜3日で突然、発熱、悪寒、震え、咳や痰、息切れ、速い呼吸、胸痛、低酸素などが起きる。死亡率は10%
。
1.細菌性肺炎(肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌など)、
2.非定型肺炎(レジオネラ菌、マイコプラズマ、クラミジアなど)、
3.その他結核性などがある。
非定型肺炎は有効な抗生物質の種類が通常の肺炎と異なるため、一般の細菌性肺炎とは区別されている。
|
| 院内肺炎 |
病院に入院している人が罹患する肺炎。入院中の患者は、自分の病気のため、病気に対する免疫力が低下しており、通常の健康な人ならかからないような弱毒菌により肺炎を発症する。MRSAや緑膿菌。
1.細菌性肺炎(緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌、ブドウ球菌等)
2.真菌性肺炎(アスペルギルス、カンジダ、ムーコルなど)
3.その他、サイトメガロウィルス、カリニ原虫など
死亡率は20-50%。
|
| 細菌性肺炎 |
高熱・咳・痰・呼吸困難などを主症状とする。黄色い痰が出る。
X線で診断が付きやすい。
ペニシリン系、セフェム系抗生物質が治療の主体。最近は耐性菌が増えてきて抗生物質の切れ味が悪くなった。効果のある抗生物質を如何に早く探すかが問題。
緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、A群溶血性連鎖球菌、レジオネラ菌など細菌が気管支から肺胞に至る空気の通り道に感染する。熱と咳に加えて痰が出る。炎症が起きている部分が限定的なので息切れは通常ない。肺炎の60-70%を占める。インフルエンザにかかった高齢者の25%が細菌性肺炎になるとも言われている。
予防には肺炎ワクチンが著効。
|
| 非定型肺炎 |
往々にして症状が乏しい。
X線でも淡いすりガラス様の陰影。
マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、Q熱、インフルエンザウイルス等が原因。
細菌性肺炎とは使う抗生剤が違い、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系抗生物質が使用される。
|
| 肺炎球菌 |
患者の半数近くは肺炎球菌によるもので一番患者数が多い。重症になりやすく死亡例も多い。肺炎球菌は肺炎の他、髄膜炎・中耳炎・副鼻腔炎・敗血症(菌血症)・心内膜炎の原因になる。ペニシリン、ニューキノロン、カルバペネム等で治療。但し、ペニシリンに無効の肺炎球菌が増えてきている。肺炎球菌は健常者の鼻や喉に定着していることが多く、痰を検査すれば健康人の喉に50〜60%の頻度で見つかるほどの細菌。ただ、免疫力があれば悪さをしない細菌で、喉や鼻に定着した肺炎球菌は通常は1ヶ月〜1年半程度定着し、何も起こさず消滅する事も多いが、免疫力や体力が低下したような場合に増殖して肺炎球菌感染症を発症する事があるので注意。感染力はそれほど強くないので隔離するなどの必要はない。痰は最初は少なくても、徐々に増えて鉄さび色の痰が出るようになるのが特徴。症状が乏しいことがあり肺炎になっていることに気づかないことが多いので注意。治療には通常、ペニシリン系又はセフェム系の抗菌剤が用いられる。効果が弱い場合は、マクロライド系か又はニューキノロン系抗菌剤が用いられる。ただ最近は耐性菌が増えてきて抗生物質の60%が肺炎球菌に効果がないとの報告がなされている。従って効果のある薬剤を求めて薬を替えて治療することになる。
|
1〜2週間服用。 |
| マイコプラズマ |
マクロライド、ニューキノロン、テトラサイクリン系抗生物質で治療。(ジスロマック、クラリス、エリスロマイシン等を2週間程度続ける)(普通よく使われる抗生物質のペニシリンやセフェム系は効かない。又マイコプラズマ全体の15%位耐性菌がいると言われる) マイコプラズマ・ニューモニアという病原体が気管支と肺胞に感染する。肺炎の30-40%を占め肺炎の原因の第二位。大半は咳、痰からの飛沫感染による。最初は熱と頭痛で始まることが多く、その内咳が出てひどくなってくる。痰は最初は少ないが徐々に増える。咳は長引き4週間続くこともある。ゴッホゴッホという頑固な激しい乾いた咳(空咳)が続く割には痰は少ないという特徴がある。咳は特に夜間に多い。ほとんどの人は38度以上の高熱が出る。感染力が強く、家族内、幼稚園や学校内で感染し、時に大流行する。以前は、4年ごとの大流行にオリンピック病と言われた。患者の咳を吸い込むと感染する。大人は子供からうつることが多いのでマスク・手洗い・うがいは入念に。潜伏期間は6日〜1ヶ月。症状は比較的軽い事が多いので必ずしも入院の必要はない。主として10-30歳代の子供や若年者に多い傾向がある。大人が感染して重症化するケースが増えているとの報告もある。一般的には60才以上の人には少ない。レントゲンで白い影が見られる。乳幼児に感染した場合は、肺炎になることは少なく、風邪や上気道炎で終わることが多いが、5歳〜10歳になると肺炎症状がでたり、重症化しやすい。嘔吐、頭痛等がみられる場合は髄膜炎を疑う。1歳までに40%、5歳までに65%、成人するまでには約97%が感染すると言われている。何度も罹患し終生免疫は出来ない。検査は、@胸部X線検査、A血液検査(マイコプラズマ抗体価・白血球数・CRP・肝機能など)、B喀痰の細菌検査が必要。重症例ではステロイド剤で治療する。
|
| インフルエンザウイルス |
細菌ではないので直接効く薬はまだない。対症療法で対応。インフルエンザにかかったら48時間以内にタミフルやリレンザなどの処方で重症化を抑える。 |
|
| マイコプラズマ肺炎 |
上述の通り。健康な人にもおこる。 |
|
| クラミジア肺炎 |
健康な人にもおこる。ペットから感染する。クラミジア・トラコマチス肺炎、オウム病、クラミジア・ニューモニエ肺炎がある。(このクラミジアは性感染症の原因菌となるクラミジアとは種類が異なる)
クラミジア・ニューモニエ肺炎は野鳥等が生息する公園の周辺で、散歩などを通じて、鳥の糞や羽を吸い込んで、熱のほとんど出ない肺炎(無熱性肺炎)を起こす。症状としては、乾いた咳だけがいつまでも続くもので最近増えていると言われる。小児(年長児)と60才以上の高齢者に多い傾向がある。(4才以下は稀) 軽症で自然治癒することも多いが、この病気の怖いところは、きっちり治療しないと、喘息が悪化したり、炎症部分から毒素が出て内皮細胞を傷め、動脈硬化が元になり将来心筋梗塞や脳梗塞の遠因になること。
※喘息の人は要注意:この肺炎は熱が出ないことがあるので、喘息の人がこの肺炎になった場合、肺炎の診断が遅れることがある。咳が増えたのを喘息が悪化したと診断されてステロイド剤を増量されても肺炎は良くならない。症状が改善しない場合は肺炎を疑って血液検査やCT検査などを受けたがよい。
診断:血液検査やCTで診断が付く。軽いとX線でははっきりせず、CTでようやく診断が付くこともある。血液検査ではIgMが増加、赤沈値は上昇、CRP(++は25%)や白血球球数(10,000以上は25%)は多少増加する程度のこともあるほど。陽性になった抗体は通常は数年で陰性になる。この病気が疑われたら必ず血沈を測って貰うとよい。
感染形態:患者の咳による飛沫感染で人→人に感染する。感染していることを示すクラミジアニューモニエIgG抗体保有率は小児期に急増し、大人では50-60%と高い。但し、この抗体には感染を防ぐ機能はなく抗体を持っている人でも何度でも感染し発症することがある。感染から発症までの潜伏期間は通常2-4週間。親と子供、年寄りと孫のような接触が密接なものほど感染が広がりやすい。
症状:症状は乾いた咳が主体で2週間以上続き、症状も軽いことが多く、肺炎クラミジアと言っても肺炎まで移行するのは10%程度。(ウイルス感染による咳なら2週間程度で改善するのが一般的) 熱は低いことが多く、38度以上の高熱が出るのは半数以下。咽頭痛やしわがれ声がが長引くのも特徴の一つ。小児は軽症が多く肺炎は稀。発症が緩慢なことが多いので肺炎になっていても最初は気づかないことがある。自然治癒もある。
検査:抗肺炎クラミジアIgM抗体をELISA法で測定する方法が保険適用されており結果は数日で分かる(ヒタザイムC.ニューモニエ:日立化成工業)。他に、分離培養法や遺伝子検査法がある。
治療:発熱のない乾いた咳が2週間以上続くようなら、感染を疑って抗菌剤を投与するのも一法。ニューキノロン系(他にマクロライド系、ケトライド系、テトラサイクリン系)の抗生物質が効果がある。除菌率80-90%。10-14日間の長めの投与が望ましい。小児はマクロライド系が良い。ペニシリン系、セフェム系の抗生物質は効かない。水分は多めに摂取。風呂は熱が下がり咳が出なくなってから体調の良いときに。 |
野鳥などが生息する場所を歩くときは、必ずマスクを着用しよう。肺炎にかかる例が増えている。 |
| 誤嚥性肺炎 |
食事の際の呑み込み不良により食物や唾液の雑菌などが気道から肺に入ることにより起きる。
65歳以上の高齢者に多い。痴呆、脳梗塞、寝たきりの人は特に注意が必要。米国における60才以上の高齢者の死亡原因第一位はこの誤嚥性肺炎と言われている。健常者はむせる事で異物を排出するので起こりにくい。寝ている間に気づかないまま逆流胃液や唾液や雑菌などを誤嚥していることが多い。
予防は、
@食後と寝る前のうがいと歯磨き(口内を綺麗にして細菌を除去)。総入れ歯の人も歯ブラシで歯茎を磨くこと。歯磨きにより肺炎の発生率は半分に減る。
A姿勢を起こして食べる、
B食後30分以上は横にならない、
C舌の汚れを取る
D手指を清潔に保つ等々
E定期的に歯科にかかって口内の歯石などを除去して貰う
F栄養の良いものを食べて免疫力をつける(卵や豆腐、肉類)
Gのど周辺を鍛える運動:大きく息を吸い込んで息を止め、つばをのみ込んでから「ハーッ」と息を一気に吐き出す。3度繰り返して休み、それを3回続け、計9度行う。
検査:血液、胸部レントゲン等
治療:入院して点滴で抗生物質投与。
|
細菌性肺炎に特徴の高熱・セキ・タンなどの症状が現れにくい。
元気がない・食欲がない・ボーッとしている・呼吸が速くなる(1分に20回以上)・脈拍が増える(1分100回以上)等一見肺炎と思えないような症状になることが多い由で注意が肝心。 |
| レジオネラ菌による肺炎 |
春先から多くなる。ガーデニングで使われる落ち葉を集めて作る腐葉土の中にレジオネラ菌が発生していることがあるので注意が必要。(腐葉土は袋に入れたまま日向には置かないことが大事。水温36度前後で増殖しやすい) →園芸の際には、マスク・手袋、作業終了後の手洗いは必須。
その他、超音波式加湿器、循環風呂等不衛生な入浴施設、ビルの屋上にある冷却塔等から出る微粒子を吸い込む事が原因で起きる事が多い。源泉のかけ流しの温泉ではレジオネラ菌の繁殖はまず起きないが循環式は要注意。かからないようにすることは困難だが、温泉に行って、その後、高熱や呼吸困難が起きたらレジオネラによる肺炎を疑って呼吸器科を受診すること。
健常者が感染・発症することは稀。高齢者、幼児や糖尿病など免疫力が弱っていると重症化しやすい。レジオネラ肺炎は進行が早いので疑わしいときは直ちに医療機関を受診。レジオネラを思いつかず、他の肺炎としてレジオネラに効果のない抗生物質で治療していると最悪の場合生命が危険になるので、発症前の1週間の行動を医師によく伝えることが大事。
※レジオネラ菌は土中や川など湿った場所で棲息し、風呂などにも自然に住みつく。清掃状態の良くないジャグジーや打たせ湯は危険度が高い。菌の力はそれほど強くないが、高齢者など体力の弱った人が感染すると肺炎になる。潜伏期間は2〜12日で、人から人への感染はしない。
|
急速に悪寒・高熱・ふるえ・息切れ・呼吸困難が出て重症化したり下痢や吐き気を伴う、意識障害が出る等が起きる。痰は少ない。脈拍は遅くなる事もある。痰を検査してレジオネラ菌の存在を確認する。尿中抗原検出キットも活用できる。ニューキノロン系(クラビット、スパラ等)の点滴が第一推奨薬。他に、マクロライド系抗生物質(ジスロマック・クラリス・クラリシッド)が効く。通常のペニシリン系、セフェム系抗生物質は効かない。 |
間質性肺炎
三大症状は、
@空咳(痰ガでない)
A呼吸困難
B息切れ |
肺胞の中ではなく、肺胞を取り囲んでいる壁(間質)に炎症を起こす。治るときに繊維化して肺が固くなる。じん肺、アスベスト、ウイルス、アレルギー、総合感冒薬、リウマチ、抗ガン剤、カビ、羽毛ふとん(鳥)、放射線、強皮症などの膠原病などの他、原因不明の特発性(20%程度)も多い。喫煙者に多い傾向。年齢は50歳〜70歳の人に多い。風邪をひかないようにすること。風邪などの後、急に悪くなることがある。鼻呼吸は予防法にもなる。両方の肺に同時に炎症が起きるので息切れが激しい。経過は急性(38度以上の発熱)・亜急性・慢性型に分類される。慢性型で急性悪化することがある。息切れを感
じてから、5年前後で症状が進行する例が多い。最終的には酸素マスクを必要とする事が多い。聴診器で一呼吸ごとに、左右対称に肺の音を聴いていくと、特徴的なパチパチといった音がする。レントゲンでは肺の容積減少や瀰満性陰影で両肺が曇って見える。高解像度のCTでハチの巣状の様子を確認する。その他、肺機能検査・血液検査・6分間歩行試験・気管支肺胞洗浄・胸腔鏡下肺生検等で診断と原因を確定する。昔は間質性肺炎は原因の分からないことが多かったが、診断技術の進歩で専門医にかかれば80%程度は原因が特定出来るようになり、対処法、治療法も改善した。疑わしい時は即刻薬の服用を中止し専門医を受診。軽症者はステロイド剤の大量点滴で治る。免疫抑制剤のシクロスポリン等も使われる。静脈から血液を抜き、フィルターで炎症細胞などを吸着・除去した後、再び体内に戻す治療も有効性の研究が進められている。ステロイドが効かない場合は肺移植。湿気の多い部屋や加湿器のカビは危険。加湿器は必ず頻繁に洗浄して使う。
☆特発性間質性肺炎:患者の半数は肺繊維症(肺が硬くなる)。ステロイドや免疫抑制剤を使用するのが標準的治療法だが、進行を確実に抑制する薬はまだ無い。N−アセチルシステインを含む薬が進行を抑える力がつよいとの報告がある。また、ピルフェニドンは繊維化を抑える力が強いとの報告がある(製造販売承認申請中)
☆間質性肺炎を起こしやすい薬:括弧内は発症率
抗ガン剤(ブレオ(10.2%)、ペプレオ(6.9%)、イレッサ(5.8%)、カルセド(2.2%)、ジェムザール(1.5%)、カンプト(1.3%)、トボテシン(1.3%)、インターフェロン(0.1%))や、抗リウマチ薬アラバ(1.8%)、抗不整脈薬アンカロン(1.9%)、漢方の小柴胡湯(0.1%)などで間質性肺炎が起きると報告されている。
慢性肝炎における肝機能障害の改善の目的で「小柴胡湯」を投与された患者で間質性肺炎が起こり、重篤な転帰に至ることがある。
小柴胡湯による間質性肺炎の発生は60歳以上の高齢者や慢性肺疾患やアレルギー疾患の既往・合併を有する患者に多いので注意を要する。
☆市販の総合感冒薬で間質性肺炎:パブロン、エスタック、ルル、コンタック、ベンザなどの総合感冒薬で200万人に一人程度だが間質性肺炎が起きる事が報告されている。安易に総合感冒薬に頼らないと共に、市販の風邪薬を5〜6回程度飲んで、かえって症状が悪くなったり、空咳、呼吸困難、発熱などの症状が出た場合は、即刻服用をやめて医師を受診。初期の兆候に気付いて薬の服用を中止すれば重大な結果になる事は防げる。
☆診断と治療:自治医科大学付属病院呼吸器内科杉山幸比呂教授、帝京大学病院呼吸器内科大田健教授、東京医科歯科大学病院呼吸器内科吉沢靖之教授、日本医科大学第4内科工藤翔二教授、吾妻安良太講師、虎の門病院呼吸器科吉村邦彦部長等が著名。 |
空咳(初期は痰が出ない)や労作時(布団の上げ下げ、階段や坂道)の息切れ(肩で早い息をする)がしばしば出現する。痰は少なく熱はあまり高くない事が多い。体重減少が起きる。進行するとちょっとした日常動作でも苦しくなり、唇などが青紫色になるチアノーゼやバチ状指など呼吸不全に特徴的な身体的特徴があらわれる。 |
| 真菌等のカビによる肺炎 |
免疫力が低下した時に起こりやすい。強力な抗生物質の治療を長い間続けた時などにも細菌はなくなっても逆に真菌が繁殖して発病することがある。(菌交代現象)
アスペルギルス、カンジダ、ムーコルなど。
カビと称される真菌による肺の感染症に「肺真菌症」がある。症状は咳、痰、発熱。原因となる菌には、こうじカビの仲間である「アスペルギルス」や、酵母の仲間の「クリプトコッカス」などがある。真菌は、我々の生活環境の中にあり、毎日吸い込んでいるが、真菌自体はほかのばい菌に比べて病原性が弱く、健常者は吸い込んだだけで病気を発症することはない。肺結核やエイズ、抗がん剤治療中の人がなりやすい。レントゲンでも見つからない事もあり、診断と治療は専門医でないと難しい。治療は、抗真菌薬。症状が重い場合は、肺の感染した部分を切り取る手術を行うこともある。
最近注目されているものに「トリコスポロン」というカビの一種によってアレルギーを起こす「夏型過敏性肺炎」がある。最初は咳や痰・発熱などの軽い風邪のような症状で始まり、放置すると息切れ等が出る。カビから離れると自然と軽快する事が多いが、環境が変わらない限り、毎年5月〜10月にかけて同じ症状がぶり返す特徴がある。このアレルギー性肺炎にかかっているの気づかず何年も放置しておくと肺が繊維化するので怖い。診断はCRP、白血球等の炎症反応検査、胸のX線、肺活量などによる。治療は対症療法としてステロイド剤が主に使われる。高温多湿の夏に家の中で増殖するトリコスポロンというカビが引き起こす。湿度が高い台所の流しの下などが特に繁殖する。主婦は特に注意。吸い込んでアレルギー反応を起こす。日常の注意として、エアコンや加湿器の使い始めには必ず掃除をする、部屋の換気に努める、枕を干す、カビの多いところでの作業は必ずマスクをする等がある。
☆カビ対策:部屋の換気と掃除をこまめにするのが効果的。カビが出たらカビ取り剤を使用(使用上の注意を厳守)。詳細はこちら。 |
カビを吸い込んで数時間で咳・痰・熱などのアレルギー症状が出る。更に進むと息切れ、呼吸困難などの肺炎の症状が出る。 |
@脈拍、呼吸や酸素濃度などの全身状態の観察、A胸部のX線撮影、B採血してCRP、白血球や赤沈の検査、C胸の音を聴診器で聞く、D血液ガス分析(呼吸不全の程度と呼吸性アシドーシス或いはアルカローシスを評価)、E血液培養検査・細菌培養検査等が行われる。
抗菌薬(細菌を死滅させる)、解熱薬、せき止め、去痰薬などが用いられる。通常は数日から一週間で治る。細菌性肺炎は抗生物質を用いて治療するが、ウイルス性肺炎には無効である。軽症なら自宅で服薬、安静、保温で治療。症状が重く脱水がある場合は入院して抗生物質の点滴、酸素吸入治療を行う。(通常入院期間2-3週間)
肺炎の原因を見極めてそれにあった抗菌薬を使うことが必要だが、原因菌を特定するまでに時間がかかり、間に合わないので、通常、病院では、2種類以上の抗菌薬を使用して、全ての菌に対応するのが一般的。
胸水がたまった場合は肺穿刺や利尿剤等で治療する。
酸素濃度が下がっていれば酸素投与の必要がある。その他、喘息の発作などがあれば、気道閉塞の除去、痙攣を取る気管支拡張剤、痰を除去する去痰剤やネブライザー、炎症を取るステロイド剤等が実施される。
治療効果の判定は、熱の経過、白血球数・CRP値、酸素濃度、チアノーゼ、胸部X線などで総合的に判断する。
回復期には水分を多く摂るよう心がける。
熱が高いときは、アセトアミノフェンやアスピリンなどを服用して熱を下げる。ただし、小児にはアスピリンを使用してはならない。
最近、耐性菌の増加により薬の効かない肺炎が増えてきている。これは風邪の治療などに抗菌剤などが多用された結果でもある。肺炎と診断がついたら強い薬を十分な量だけ最初から使うことが耐性菌対策にも有効。
- インフルエンザワクチンを接種し、風邪やインフルエンザに罹らないこと。特に、高齢者はインフルエンザの後肺炎に移行しやすい。
- 肺炎球菌ワクチンを接種すること
- 歯と歯茎をよく磨くこと。やわらかい歯ブラシで歯と歯の間や歯茎を磨く。舌を磨くと尚良い。歯磨きを1日5回すると肺炎のリスクは1/3に減ると言われる。
- 体力、免疫力をつける
肺炎の原因で40-50%と最も多い肺炎球菌に70-80%効果のあるワクチンが登場してきた。(死亡予防効果60%) 米国では65才以上の65%の人が接種(日本はまだ知名度が低く、65才以上の摂取率は2008年4.26%)しているという予防注射万有製薬のニューモバックス(卵を使っていないから卵アレルギーの人も使える)。
肺炎球菌には80種類以上の型があるが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、そのうちで感染する機会の多い23種類(これだけで肺炎球菌による感染症の80%を占める)の型に対して免疫をつけることができる。
1回の接種で23種類のほとんどに対し必要な免疫ができる。肺炎球菌は、体力が落ちている時や高齢者で免疫力が弱くなってくると、肺炎、気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などを引き起こす事があるので予防が重要。
1回の接種で5年程度効果がある。(8年程度一定の効果が持続するとも言われる) 但し、再接種により副反応(アレルギー)が出るとの理由で、日本では従来一生に一回しか接種出来ないとされていたが、米国ではかなり前から65歳以上の人で、5年以上の間隔をおけば再接種出来るようになっていた。石橋を叩いても渡らないと言われた厚生労働省もようやく2009年10月、5年以上経過していれば再接種を認める決定をした。一般的には65才以上の高齢者に勧められているが基礎疾患がある人は新型インフルの蔓延の問題もあり早めに接種したが良い。現在は健康保険が効かず自費扱いで5,000〜9,000円。(\8,000程度が多い) インフルエンザの予防接種と時期をずらせて両方やることで肺炎による入院も死亡も減らせる効果がある。インフルエンザのワクチン接種から最低6日はあけること。これまで、厚生労働省が再接種による副作用の訴訟を恐れて、長い間再接種承認に踏み切らなかったので、患者側は自己責任で再接種をしていたようだ。(一回目の医師とは別の医師に頼めば事実上分からない等抜け道があった)
一般には65歳以上の高齢者、呼吸器・心臓の慢性病の人、糖尿病の人、腎機能不全の人、脾臓摘出した人、肝臓障害のある人などが予防接種が薦められるが、再接種が可能になったことで、肺炎球菌による肺炎が心配な人は何歳でも接種したが良い。接種する年齢によって副作用の違いはない。又、接種時期は年間いつでも良い。 接種後抗体(免疫)が出来るまでに一ヶ月ほどかかる。インフルエンザのワクチンとは一週間は間隔をあける。接種後は「接種済みのシール」を保険証などに貼って忘れないようにしたい。
接種が不適当な人は、@一度接種した人、A2才以下の子供、B免疫抑制治療中の人、C発熱者、D急性の病気や重い病気で治療中の人、E当日体調の悪い人は個別に相談
肺炎球菌ワクチン接種後の副反応(副作用)としては、@注射部位が多少赤みを持ち少し腫れたり触ると痛む程度(インフルエンザの予防接種と似ている)、A微熱が出る等が起きる事があるが、通常は問題なく、1〜2日でおさまる。腫れが大きかったりひどく痛みがあり強まる傾向がある場合は念のため受診。既に100万人以上の人が接種を済ませているがこれまでのところ重大な副作用の報告はない。
強力な抗生物質が効かない耐性菌も出現しており、今や肺炎の治療を抗生物質に頼るのには限界があり、肺炎も罹患後の治療より、予防が益々重要になってきた。年々接種者が増えているが、日本ではまだ接種者が少ない。
肺炎球菌感染症コールセンター:0120-66-8910 (ニューモバックス)
肺炎の予防と治療関連図書
|
ある日私の父親が肺炎になった。38度の発熱があったので内科を受診した。呼吸も正常で咳も出ない、胸の音も異常がなかった。白血球は8,800
CRPが1.7だったので、風邪と思われたが、医師が念のためにと撮ったX線では典型的な肺炎の所見が見られ即刻入院となった。発見が早く処置が早かったので治った。ところが肺炎が直接の原因かどうか、因果関係は分からないが、その後、血液が固まらないようにするワーファリンとバッファリンを飲んでいたにも拘わらず、軽い脳梗塞を発症した。水分の取り方が少なかったためと思われる。高齢者の場合は、肺炎に気づきにくい事、普段から水分摂取の重要性を感じる。
|
最終更新:2003.1.22/2003.7.9/2005.12.11/2007.3.25
間違いにお気づきの場合は、「趣味のアルバム」topよりメールをお寄せ下さい
|