COPD慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)

最終更新:2013.10.29

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の死亡者が年々増加しているという。肺が骨粗鬆症のようにぼろぼろになる病気だが、現在の患者数は、約530万人と言われるが、治療を受けている人はわずか5%ほどと極めて少ないと言われる。最近の研究で、COPDが原因で、肺炎、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、骨粗鬆症、激やせ、糖尿病等の病気を起こりやすくするとのことなので要注意。人間呼吸が出来なければ生きていられない。かっては一旦悪くなった機能の回復は困難だったが、新薬の登場により症状の改善が期待出来るようになった。咳や痰、息切れ(息苦しさ)の3大症状の一つでもあったら、早い時期に診断と治療を開始することが望まれる。たばこはこの病気に特に悪い。50才以上で喫煙歴が長い人は特に注意が必要。今からでも禁煙することだ。

COPD慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)

  • 慢性気管支炎肺気腫をまとめて慢性閉塞性肺疾患と呼ぶ。 気管支拡張症などは含まれない。
  • 症状咳、タン、息切れ(息苦しさ)が典型的な症状。階段を上ったり、早足で歩くと息が切れ途中で休むようになったり、ちょっと身体を動かすと息が切れる、動悸がする、風邪でもないのに咳や痰が出る等はCOPDが疑われる。重症になると、平地にも拘わらず少し長く歩くだけでも息苦しくなったり、更にひどくなると日常動作でも息が切れるようになる。放置すれば体力が低下し、寝たきりの原因となる。
  • 息切れの判断:65才の人で、坂道を普通の早さで上る程度なら息切れはしないが、急いで上れば息切れがして少し休まないとつらいと言うのが普通。坂道をゆっくり上るだけでも息切れがして休むようでは要注意の息切れ。(肺と心臓の病気をまずチェックする)
  • 1秒量が数ヶ月以上の長期にわたり低下する
  • 男性と女性とでは圧倒的に女性の方が重症化しやすい。女性に深刻な病気と言える。
  • 肺気腫は肺胞が壊れて風船がふくらんでしまったような状態になるもので、呼吸運動をする隙間が無くなるため息苦しさが出る。咳や痰は少ない反面、布団の上げ下ろしや歩く時など息切れが強い。
  • 慢性気管支炎は 太い気管支に起き、咳や痰がいつも出て、冬に風邪をひいたら治るのに何ヶ月もかかる事がある。
    ☆参考:COPDと気管支拡張症とは別物。気管支拡張症は肺炎や結核、異物などにより起き、気管支の浄化作用が低下するので慢性の咳や汚い痰が出て、時に血痰も見られる。マクロライド系抗生物質等で治療)
  • 一旦壊れた肺胞は元に戻らないが、痰や苦しさの元になる気管支の浮腫は薬である程度軽快出来る。絶対的な根治療法がないので、早期診断、早期治療が重要。 たばこ、大気汚染が主因。
  • 検査:@喫煙指数が400(例:1日40本×20年等)以上の人、A40歳以上、B労作時に息切れがある、C咳や痰が出る人は、自覚症状がなくてもCOPDになっている可能性があるので、一度検査を受けた方が良い。
    電子スパイロメーター もっとも重要な検査で、一秒率が70%を下回ったらCOPDと診断される。最重傷者では、一秒率が20とか30と言う人もいる。
    酸素分圧検査 パルスオキシメーターで血中の酸素濃度を測る。普通は95以上ある。安静時の他、歩きながらでも測れる。⇒6分間平地歩行テスト
    6分間平地歩行テスト 歩いていて酸素が足りなくなる事がないか、どの程度歩けるかを調べる。重症になれば100M程度しか歩けなくなる。パルスオキシメーターを付けて歩く。治療中の人は治療の効果なども分かる。
    胸部X線検査や胸部CT検査、血液検査、心電図 肺全体の様子や横隔膜の状態、肺胞の様子などを調べる。尚、X線検査、血液検査値、心電図等はCOPDが高度に進展しなければ異常は現れないので注意。高解像度のCTで肺に開いた穴の具合や肺機能の低下具合を見て貰うと良い。
    呼吸気道抵抗測定器(IOS)  東京医科大病院呼吸器内科(瀬戸口靖弘教授2013=58才)が開発した方法で2012年保険適用。混合剤治療を後押し。IOSのデータを詳しく解析することで薬剤の効き方が分析出来るようになった。 
  • COPDの患者はそうでない人より肺ガンが多いと言われる。ある意味では前がん状態にあるのでCT等の検査が欠かせない。
  • 空咳、息切れが特徴の肺繊維症と言う病気がある。痰はそれほどでない。簡単に判断出来る方法に爪のばち状指がある。親指の腹を合わせて、菱形の隙間が見えれば正常。肺繊維症、肺ガン、気管支拡張症等の場合にばち状指になる。
  • 歩行は普通に出来るのに、横になると息苦しくなるのは慢性心不全の可能性がある。
  • たばこ:本数X年数で400は黄信号、800は赤信号。たばこを吸う人の20%がCOPDになっている。喫煙経験のない人でCOPDになる人はほとんどいない。

治療・進行防止

  1. 「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」では、喫煙などによって肺に異物が入り込み、活性化したマクロファージから「TNF-α(悪魔の物質)」が全身に広がる。喫煙歴が長い場合、禁煙しても炎症が止まらず、肺が壊れ続けることもあるが、痛みなどの症状がないので、患者も医師もしばしば気づかず見逃してしまう。COPDは喫煙以外でも受動喫煙、粉じん、大気汚染でも発症、悪化する可能性がある。
    COPDを放置すれば、激やせ、心筋梗塞、糖尿病、脳梗塞、肺炎、高血圧になるリスクが非常に高くなるので早期の治療が必要
  2. たばこは症状を悪化させるので禁煙が原則。COPD患者の95%が喫煙者。喫煙者の15-20%程度がCOPDになる。COPD=たばこ病とも言える。受動喫煙も危ない。喫煙者とは同じ部屋にいない方がよい。
  3. 肺機能改善のため薬が処方される気管支拡張スプレー。気道を広げて呼吸が楽になるように通常は
    @抗コリン薬(1日1回で良い薬が登場した)や、
    Aβ2刺激薬(気道の筋肉に作用し息苦しさを緩和する即効性があるが肺気腫への効果は個人差がある)、
    Bメチルキサンチンテオフィリン等)が使われる。
    感染増悪時には抗生物質。エリスロマイシンの少量長期投与等も。何度も悪化する人は吸入ステロイド薬を使用。
    世界中で広く使われている治療剤「スピリーバ」(成分名:チオトロピウム)が2004/12認可された。この吸入薬は1日1回吸入するだけで24時間効果が持続し、呼吸を和らげることができると言う。(緑内障や前立腺肥大の人は医師と相談)
    薬は、貼るタイプやミスト状の吸引タイプ更に2013年秋には薬剤をミックスした混合剤の吸引薬も登場する予定で飛躍的に患者のQOLを向上させる事が期待される。
  4. 2013年9月、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤が薬事承認された。両剤の配合剤は日本初となる。4月にはCOPDの診療ガイドラインが改訂され、安定期の薬物治療ではLAMAと並びLABAが第1選択薬に位置付けられた。さらに複数の薬剤の開発も進んでおり、今後、新薬が続々登場することも見込まれる。
    日本初のLAMAとLABAの配合剤として薬事承認を取得したのは、ノバルティス ファーマの「ウルティブロ」。LAMAのグリコピロニウム(商品名シーブリ)とLABAのインダカテロール(オンブレス)の配合剤で、専用の吸入器を用いて1日1回吸入する。
  5. COPDで体力低下(体重減少・貧血・運動や免疫機能の異常など)を感じたら漢方薬を併用すると良い。体重減少や気力の低下等の気を補うために補中益気湯、貧血や皮膚のかさつき等の血を補う為に十全大補湯、冷えや夜間頻尿の改善に八味地黄丸、冷えや食欲、気力の低下を改善する為に茯苓四逆湯等が用いられる。その他、咳や痰を減らすために清肺湯、痰の切れを良くする竹じょ温胆湯が用いられる。(日本呼吸器学会のガイドライン)
  6. 口をすぼめる呼吸法(口を閉じて、2秒くらい鼻から吸って、吐くときに口をすぼめて4秒くらいでゆっくりはき出す事により一度に沢山の空気をはき出せる。更に腹式呼吸を併用すれば尚良い。口すぼめ呼吸と腹式呼吸(横隔膜呼吸)の両方を無意識にできるようにすれば呼吸が楽になる。但し、COPDの患者で腹式呼吸を行うとかえって苦しくなるという人は、この方法を中止し、必ず主治医と相談すること。) 5分〜10分程度、毎日続けると良い。
    ☆腹式呼吸:息を吸うときにお腹を膨らませて鼻から吸い込む(鼻からへそを通って腹に入っていくよくにイメージする)、数秒間そのまま保って、次に吐くときは、口をすぼめてゆっくり腹を凹ませるようにして充分吐ききる。慣れるまでは、手を腹に当てて息を吸ったときに腹が膨らみ、吐いた時に腹が縮むのを確認すると良い。
  7. ウオーキング(2回息を吸って4回吐く)や筋トレが良い。
  8. 室内の湿度を保ち、乾燥を防止する。
  9. 急に寒い場所へ出たりしないようにする。
  10. 重症の肺気腫患者に対しては肺容量減少術により劇的に症状が改善する。主として内視鏡で肺の一部を切り取る。これにより呼吸が楽になる。手術後1年は呼吸が楽になるが、徐々に元に戻り5年程度経過すると以前の状態に戻る人もおり、手術の効果延長が今後の課題。虎の門病院・東海大病院・福岡大学病院などで実施中。
  11. 息切れの強い人には、携帯用酸素濃縮装置を使った在宅酸素療法が行われる。統計データによれば、酸素は息苦しい時だけでなく、連続して24時間吸った方が長生きできる。
  • 呼吸器専門の病院にリハビリ目的で入院して、@腹式呼吸の練習、A呼吸筋を鍛える体操法、B踏み台昇降、Cウオーキング法などの指導を受けると理想的。
  • クレソン、ニンニク、ワサビ、大根は気管支の免疫力を高める。
  • コーヒーは喉や気管支の筋肉を柔軟にして呼吸器を活性化する。1日3杯以上飲む人は喘息にかかる率が減る。
  • 風呂場で声を出してを唄えば、酸素の取り入れが増え、呼吸器が活性化される。
  • 順天堂大学呼吸器内科福地教授、日本医科大学木田厚瑞教授、北海道大学第一内科西村正治科長、順天堂大学大学院植木純臨床呼吸病態学分野教授、慶応大学病院呼吸器内科別役智子診療部長、東京医科大呼吸器内科瀬戸口靖弘教授などが著名。
  • 市立秋田総合病院 理学療法士 高橋仁美さんが教える呼吸法がNHKためしてガッテンの2012.4.11付け放送で紹介されたので参考になります。→ホームページはこちら
  • 参考になるホームページ:COPD情報ネット 日本呼吸器学会 日本呼吸器障害者情報センター
  • COPDの予防と治療関連図書

肺機能の各種計算値


標準肺活量 下記の公式で計算して、実際の測定値と比較して80%以上あれば正常範囲。肺活量は身長、性別、年齢、姿勢などによって違ってくる。
男性: (27.63-0.112×年齢)×身長(cm)
女性: (21.78-0.101×年齢)×身長(cm)
1秒率の正常値 最大吸気後、1秒間に呼出できる空気の全呼出量に対する割合。この1秒率が70%を下回る時は、肺気腫、気管支喘息、肺繊維症、慢性気管支炎などが疑われる
男性:91.9-0.26X年齢(%)
女性:89.6-0.192X年齢(%)
1秒量の予測 男性:34.4X身長(CM)-33X年齢-1000
女性:26.7X身長(CM)-27X年齢-540
%肺活量 実測した肺活量が上記標準肺活量の何%に当たるかを求めた数字を%肺活量と言う。肺繊維症という拘束性の肺疾患では%肺活量が如実に低下する。肺活量の平均に対するその人の肺活量が70%以下のときは拘束性の障害を疑う。

肺疾患の診断の目安


%肺活量80↑,1秒率70↑ 正常
%肺活量80↑,1秒率70↓ 閉塞性肺疾患(COPD) 
肺活量は十分にあっても、一気にはき出すことができない場合、つまり、%肺活量の低下が軽度でも、1秒率の低下が著しいときは、気管支喘息、肺気腫など慢性閉塞性肺疾患等の疑いがある。
%肺活量80↓,1秒率70↑ 拘束性肺疾患
%肺活量の低下が高度で1秒率の低下が軽度のときは、肺線維症、肺ガン、胸郭の変形、肺結核後遺症等の疑いがある。
%肺活量80↓,1秒率70↓ 混合性(重症COPD)


この頁は書籍・文献・新聞・雑誌・テレビ報道などより得た情報や先生方から直接お聞きしたことを整理したものです。医学の進歩は日進月歩であり、新しい治療法が見つかることも、また、従来の治療法が否定されることもしばしばあります。本欄を常に最新の情報に更新することには個人のHPでは限界がありますので記載内容の最新性、確実性が常に保証されるものではありません。また、対処法は個人の症状や体質などにより違ってきますから、この情報による効果や影響に関しては個人の責任と判断で行ってください。情報の利用の結果、万一、利用者に不都合、不利益が起きても一切の責任は負えないことをご了承下さい。記述は正確を期していますが、間違いにお気づきの場合は、「okiちゃんの趣味のアルバム」Top Pageよりメールをお寄せ下さい。

 
更新履歴:2002.11.12/2003.12.24/2005.2.23/2012.4.14/2013.10.2

 

 

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