薄膜形成技術
半導体LSIで使われる薄膜として、2酸化珪素(SiO2)、
窒化珪素(Si3N4)、ポリシリコン(Si)、アルミニウム(Al)
等があります。2酸化珪素は最も良く使われる膜で熱酸化か
CVDで形成します。窒化珪素はブロッキング効果の高い膜として
使われますが、普通減圧CVDで形成されます。ポリシリコンは
不純物を拡散した後電極・配線として使いますが、これも減圧CVDで
形成するのが普通です。アルミニウムは電極・配線に使います。
Siを添加したアルミニウムが良く使われ、これはスパッターで
形成します。
熱酸化
- 熱酸化と言うのは、シリコンウェーハを酸化性雰囲気中で加熱する
ことでシリコンの表面に2酸化珪素を形成する方法です。
薄い膜を精度良く作るとき、きれいな酸化膜を作るときに使われます。
形成される膜の厚さは
温度と時間と雰囲気によって決まります。シリコンの表面はやがて形成
された2酸化珪素膜に覆われるため直接酸化性雰囲気にさらされなくなり
ます。酸素原子が2酸化珪素膜中を拡散して行きシリコン表面に到達し、
シリコンと反応して2酸化珪素膜ができます。2酸化珪素中の拡散速度は
酸素イオンより水酸イオン(OH)の方が早いため、酸素雰囲気より水蒸気
雰囲気の方が酸化速度が早くなります。通常は電気炉に水素ガスと
酸素ガスを流し、水素を燃焼させて水蒸気を発生します。
これはクリーンな水蒸気を作るためです。
シリコンは2酸化珪素を作るために使われるので、表面から喰われて
薄くなります。シリコンの喰われる量は形成する膜厚の約半分です。
つまりSiがSiO2になると元のシリコンの体積の約2倍になるのです。
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CVD(Chemical Vapor Deposition)
- CVDというのはシランガス(SiH4)と酸素ガス(O2)を反応炉に
流して反応させ、ウェーハ上に2酸化珪素(SiO2)を堆積させる方法です。
比較的低温で形成できる点と、シリコンが露出していてもしていなく
ても同じように形成できる点で良く使われます。
CVD装置にはお釜を伏せたような反応炉を持った密閉型のものと、
ウェーハの上をノズルが移動する開放型とがあります。開放型の方が
生産性が良いため良く使われます。反応温度が高い場合、酸化性雰囲気
ではない場合には密閉型が使われます。
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減圧CVD
- 窒化シリコン・ポリシリコンの形成には減圧CVDが使われます。
反応炉内を真空ポンプで減圧して反応ガスを流します。ポリシリコンの
場合にはシランガス(SiH4)、窒化シリコンの場合にはシランとアンモニ
ア(NH3)を流します。減圧することでミーンフリーパスが長くなり
膜厚の均一性が向上します。その代わり成長速度は遅くなります。
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スパッター
- 配線用の金属としては以前は純粋なアルミニウムが使われていました。
しかし微細化が進むにつれてLSIではアルミニウムに色々なものを
添加したアルミ合金が使われるようになりました。
純アルミはシリコンへの拡散速度が早いため、オーミックコンタクトを
取るための熱処理で浅いPN接合に達してしまいショートさせてしまう
のです。また純アルミはグレインサイズが大きくなりやすく加工寸法と
グレインサイズが同じ程度になると、加工精度が悪くなるため微細加工
には向かないのです。そのためLSIではシリコンを添加したアルミな
どが使われます。
合金膜を精度良く形成するためにスパッターが用いられます。
合金をターゲット電極として、そこに高エネルギーのイオン(Ar等)を
ぶつけるとターゲットの原子が飛び出します。それをウェーハ上に
堆積させます。
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niwa@asa.email.ne.jp