P 結願・大窪寺 2014.11.11

風格ある構えの結願寺・大窪寺(88番)。
大窪寺でいただいた結願証明書(中央)。

 志度寺(86番)の前の宿に泊めてもらう。親切が評判の宿で、残り少ない四国を楽しもうと思い計画に入れた。期待を込めて玄関で声を掛けるが反応が良くない。出てきた人も愛想が悪い。聞くと主人は外出中で夜遅く帰ると言う。夕食も期待に反し心がこもっていなかった。遍路は宿も修行と思い、不平不満を申してはならないのだが、遍路慣れしてくるとわがままが出る。翌朝になり女主人が帰られると応対が全く変わり、人気の宿に変わっていた。何事も人そのものだと思った。

 結願のため、早朝のバスに乗る。長尾寺(87番)から大窪寺(88番)へ行く予定だったが、運転手から「大窪寺を先にした方が早いよ」と言われ直行をする。結願寺は山門から境内へ風格ある構えだった。本堂の後ろに山を配し写真写りも良い。参拝する遍路もこの門を出れば一般の社会に戻れる。安堵感と達成感が私の心を豊かにし、寺への思いも良くしていると感じた。

 折り返しのバスで「道の駅ながお」前のおへんろ交流サロンへ立ち寄る。ここで歩き遍路証明書をいただいた。私の証明書は昨年7月からの発行番号で2348号。1200kmを完歩していないが400kmを歩けた証だ。サロンでお会いした方と同行の彼女の会話が弾み、長尾へ戻る車に便乗させていただく。

 バスの時間よりだいぶ早く長尾に戻り、最後に残った長尾寺に参拝し、今朝宿からお接待でいただいたおにぎりを寺のベンチでいただく。私は今夜、寺前の宿に宿泊、彼女は今夜のバスで東京に戻ると言う。宿で汗を流したいと、女将にお願いしに伺ったら、女将から、「大窪寺で結願証明を貰って来ましたか」「どこでいただけるのですか」「お寺」「もらってない」「まだ昼のバスに間に合うから行って来なさい」と言われ、再度大窪寺に行く。結果、当初計画の時間に宿に戻って来た。

 宿の好意で、彼女は風呂に入れてもらい東京への夜行バスに乗るため高松に向かう。私は荷物を整理。余分なものは宅配に頼み、ザック一つで高野山に向かう準備をする。計画はあくまで計画。細心の注意を払ったつもりが最後まで偶然の続きのような準備不足の遍路旅になってしまった。完全なんて理想に過ぎないと未完成な自分の計画を反省させられ、達成感にはほど遠い不完全燃焼の姿をいやと言うほど見せられていた。(Y.I)