L 松山の休日 2014.10.14

今日はのんびりと参拝(51番・石手寺)。
タイムスリップしたような坊ちゃん列車。

 遍路に発つ時、もしも途中でアクシデントが起きたら、直ちに帰宅と思って出掛けた。先ずは目標を道後温泉までとした。幸い、順調に松山まで来られた。宿で、今までの日程の反省を含め計画を再検討してみる。見直すと、宿泊場所を変更することにより一日休暇が取れそうだ。坊ちゃんが、正岡子規が、秋山兄弟が生活をした松山で私も深呼吸できる。

 宿に宿泊をお願いし、今治の宿をキャンセル。西条の宿の2泊のうち1泊を遍路推奨の仙遊寺(58番)の宿坊に変更すれば目的完了。宿は全て私のわがままを聞いてくれ、松山の休日が実現した。

 遍路日程とは異なり、ヤラネバならぬ課題のない日。のんびりした朝食。徒歩で遍路中一番にぎやかな石手寺(51番)を参拝する。厳格な構えではなく、私の休日にあわせた親しみを覚える寺だった。参拝者が行きかう中、寺の世話役の方々が集まり杭を打ち、イベントの準備をしていた。

 道を返し、子規会館を見学。道後温泉の本館を見、商店街を歩く。温泉場の商店は観光客であふれている。路面軌道には小さな坊ちゃん列車が煙を吐いている。観光都市の手本のように町全体で客をもてなし、来訪者を明治の時代にタイムスリップさせる場面設定のされた景色だった。

 路面電車で大街道停留所へ。秋山兄弟の生家の傍を通り、ロープウェイで松山城に上がる。城は町の真ん中の勝山(城山)にあり、その周りを路面電車が一周している。名城・姫路城にも劣らない構造を持つ松山城は、明治維新以後何度も災害に遭い、戦後、多くの櫓や門が復元されている。石垣や大木を使った門と天守の組み合わせは調和もよく見事だった。天守からは北に三津浜、南に石鎚の山並みを望み、見晴らしは良く、一時殿様気分に浸れた。

 何を見ても四国の土産になるのに、旅の目的違いは心に不安を抱かせ、不案内の町をのぞき見ることもなく早々に宿に戻る。めずらしく午睡を決め込んで半日を過ごし、300q余り歩いた足を労わった一日になった。(Y.I)