C 早く着きたい 2014.8.5

舗装された道もひたすら歩く。
5番・地蔵寺。

 遍路宿の朝は早い。6時半には朝食。出発は7時前後。出発の時はいつも不安。一番札所・霊山寺では、緊張と感動で涙があふれ経が読み切れない。お寺の作法も納経所での手続きもスムーズでない。住職から「5番さんに行く頃は落ち着きますよ」と諭され次へ。

 2番さん(極楽寺)の納経所で草餅を買う。それがこの日の昼食となった。畦道を、家の軒先を、地図と道しるべで示された初めて見る風景の中をただひたすら進む。福岡の二人も前後して歩いていた。途中で二人は床屋に寄り、頭を丸刈りにして身だしなみを整えた。私は、集落の細い道、車の走る県道をひたすら歩いた。

 札所は目的地であり、休憩所でもある。一礼をして山門を入るとベンチを探し、背中の荷を下ろす。水を含み一休み。おもむろに水屋で手と口をすすぐ。鐘をつき、本堂で灯明・線香を灯し、賽銭・納札を納め、経を読んで一連の作業が終わる。大師堂でも灯明、以下同じ。それらを済ませ、納経所で朱印をいただく。20分ぐらいは真剣に歩かなくて済む。山門を出ればまたただ歩く。

 その繰り返しで、午後3時ごろは目的の宿に着く。着くと先ず洗濯。風呂ができていれば入浴。夕食は午後6時頃から。食事時間は遍路の情報交換。食事に1時間ぐらいかかることもあった。遍路宿は原則個室で、簡単な鍵がかかるところもある。歩いた時期が遍路の最繁忙期を過ぎていたので、相部屋は旅中に一度だけだった。翌日の行動予定をチェックし、午後9時前後に休む。しかし、四国へ着いて2、3日は体が興奮していたためか、長い睡眠ができず、夜中に何度も目を覚ました。

 四国に行ったらおいしい物を食べたいと思いながら上州を発ったが、昼は粗末、運よく食堂があれば飲み物も補給できたが、主に、朝、コンビニで購入した行動食を札所で短時間に済ませた。食べられた名物は讃岐うどんのみ。ただ目的に向かって歩くことが私の主な行動になっていた。(Y.I)