“薫風緑樹をわたる” 〜鹿田山で見つけた花々 2021.5.18

せせらぎ水路に咲くクリンソウ(九輪草)

 薫風緑樹をわたる5月、“新緑”が“深緑”に変わりつつある鹿田山でいろいろな植物が花をつけ、里山探訪に味わいを添えています。

 鹿田山北面の清水新沼周辺では、クリンソウシャクヤクが見ごろを迎え、大勢の見物人で賑わっています。先日、上毛新聞で紹介されたことから駐車場は連日満車状態で、5月11日には山の林道に駐車場をあふれた20台ほどの路上駐車が見られていました。夜明けとともに人々は集まり始め、薄暮のころまで終日にわたって賑わいを見せています。新聞による集客効果の絶大さが分かります。

 シャクヤクは駐車場の脇に植えられていて、何年かのちには生薬用として掘り出し売却されるとの話もあるようですが、今は赤や白の大形の花をつけ、みごとに咲きそろっています。優雅に咲く花を眺めていると“花の宰相「花相(かしょう)」”と呼ばれるゆえんが分かるような気がしてきます。また、その近くでは薬用植物としても知られるカモミールが甘い芳香を漂わせて咲いています。

 クリンソウは鹿田山フットパスの中心部を流れるせせらぎ水路脇にまとまって植えられています。仏閣屋根にある「九輪」に似て咲くことを名前の由来にするサクラソウ科の植物で、フットパスでは紅紫やピンク、白などの花々がせせらぎに沿って木漏れ日の中で咲いています。

 フットパスでは、エゴノキヤマボウシが木々で咲き乱れ、よく見ればコゴメウツギガマズミなども咲いています。低木ではコデマリが多数の花をつけ枝を垂らしています。果実ではが大きな実をつけ、サクラの木は小さなサクランボを付けています。

 足元に目を移すと、アヤメユウゲショウが花を咲かせ、マムシグサヤブレガサはもう少しで咲きそうです。ちょっと珍しいものではキンランイチヤクソウが咲き、ユウレイタケなどと呼ばれるギンリョウソウも見つけることができます。

 鹿田山は花の山と呼べるほどではありませんが、ひと際目を引く有名な花々から珍しい花まで、色々な植物がこの時期には花をつけています。スマートフォンで検索しながら花々を見つけ歩くのも、この時期の里山探訪の味わい方としてはお勧めです。コロナ禍で家籠りしがちだと思いますが、皆さんも少人数で散策に出かけ、里山を楽しんでみてはいかがでしょうか。

シャクヤク(芍薬) エゴノキ
コゴメウツギ(小米空木) ガマズミ(莢蒾)
ユウゲショウ(夕化粧) マムシグサ(蝮草)
ヤブレガサ(破れ傘) キンラン(金蘭)
イチヤクソウ(一薬草) ギンリョウソウ(銀竜草)