今まで通りには駅構内へ入れない? 〜岩宿駅周辺交差点改良事業で説明会 2020.10.20

5区公民館で行われた説明会。

 10月8日(木)午後7時より、みどり市笠懸町5区公民館において、岩宿駅周辺交差点改良事業の説明会が開催され、周辺住民を含む5区在住者およそ50人が参加しました。主催説明したのは桐生土木事務所の職員で、みどり市の担当として都市計画課や企画課の職員も数名参加していました。

 今回の事業の目的は岩宿駅周辺の3つの交差点(岩宿、阿左美岩宿、岩宿駅前)の慢性的な渋滞の解消とのことで、渋滞の原因については、@岩宿交差点では国道50号の影響で太田方面への青信号が短い、A県道阿左美岩宿交差点では太田方面へは@の関係で先詰まりがありかつ青信号が短い、前橋方面へは右折車待ちと50号方面の先詰まりがある、大間々方面へは右折車待ちがある、B岩宿駅前交差点では先詰まりがある、などの説明を受けました。そして示された交差点改良の整備内容は、@右折車線の設置、A左折車線の設置、B交差点形状の変更(岩宿駅前交差点)、C歩道の整備、D自転車通行空間の整備、であるとして、具体例が図面で示されました。まだ途中段階ということで、図面は入手できませんでしたが、計画通りならおおむね「(図1)阿左美岩宿交差点」「(図2)岩宿駅前交差点」のようになります。

 この計画によれば阿左美岩宿交差点の中心は北におよそ7m移動し、県道阿左美桐生線の道幅はおよそ20m、大間々太田線の道幅はおよそ15mになるそうです。この説明の中で、岩宿駅前の交差点形状の変更は衝撃的でした。これまでの北側から駅構内に入る道路が閉鎖され、岩宿駅に入るには駅前交差点から阿左美沼方面に進み、新設のT字路を右折するルートをたどらなければなりません。

 質疑応答では活発に質問や意見が述べられ、次のような問題点が指摘されました。

 1つは、「渋滞を解消するには、ネックとなっている沼見橋を拡張することが必要で、交差点整備だけでは抜本的な渋滞解消にはつながらない」というもの。説明では、「岩宿交差点では沼見橋の先の道路で左折車線を整備したため、2倍の渋滞解消効果があった」としているものの、「沼見橋には手をつけない」としており、その点が追及されました。「沼見橋は建設されてから相当年月が経っており、その整備と連携して計画を立ててはどうか」との提言も出されました。

 もう1つは、岩宿駅前交差点問題で、「渋滞解消を理由に岩宿駅が使いにくくなるのは納得できない」「岩宿駅前整備はみどり市の大きな課題となっているはずだが、この事業により駅前整備が制約されるのは問題」「交差点から阿左美沼までの道路はたくさんの高校生の自転車通学路であり、危ない道路となっている。自転車通行帯のある道路整備は新設の駅入り口のT字路までというのでは、その先が一層危険になる。先を見越しての整備計画が必要だ」「渋滞解消のために岩宿駅前の十字路をなくすという考え方はおかしい。青信号時間の調整で済むことだ」などでした。

 このような意見に対して土木事務所の担当者は、「貴重な意見をいただいたので、検討してまた説明会を開きたい」としました。また、市当局の姿勢を問われて都市計画課の担当者は、「今日のお話も踏まえ、みどり市として土木事務所と連携して駅前整備を進めていきたい」と話していました。市当局が積極的に関わり、広く住民の意見を吸収して、短期的視野ではなく、将来を見据えた計画をもとにした岩宿駅前整備にしてほしい、これがこの説明会に参加しての率直な感想でした。

岩宿駅周辺交差点改良は5区住民だけの問題か

 今回の説明会で気になったのは、説明会の対象になったのが5区の一部の住民だけというものでした。道路拡張を伴うものですから、それに直接関係する地権者や住民が対象となるのはもちろんのことですが、岩宿駅周辺を利用するのは5区住民だけではありません。少なくとも笠懸町全体の問題です。

 全市に関係する事業をごく狭い近接の地域だけの問題として事業を進める、こういう傾向が笠懸小学校分離・新設の通学区域問題や陸上競技場建設に関する説明会など随所に見られるのが気になります。これらは教育的にも文化的にも、財政的にも、みどり市のこれからに関係する重要な問題であり、みどり市民全体からの英知を集めるべき課題です。未来に禍根を残さないためにも、県や市当局には問題の矮小化を排し広く住民に問う姿勢が求められます。