コロナ禍の中での公民館活動のあり方が課題だが… 2020.8.18

 

令和2・3年度みどり市公運審がスタート

 令和2・3年度のみどり市公民館運営審議会委員委嘱式が、8月7日(金)に大間々町の多世代交流館(旧福岡西小学校)で行われ、各種団体から推薦された市民18人が委員に委嘱されました。委員の任期は2年で、公民館長から諮問があればそれに応え、ない場合は住民の視点で意見を公民館運営に反映させていくことが任務になります。

 いま公民館では、文化祭やバーベキュー大会、子ども祭りなどの多くの事業が新型コロナウィルスの影響で中止になっていて、公民館の“新たな日常”や求められる今後の公民館運営はどうあるべきかなど、新委員たちによる政策的で緻密な審議が待たれます。石井教育長は委嘱式でのあいさつで、「人々の結びや集団活動の場であった公民館が、いまコロナ禍でそれができない。これまでと違った活動を模索し絆をつくるにはどうしたらよいか。コロナに負けない公民館活動に智恵をいただきたい」と話しました。

 この日の協議は初回ということで、正副委員長の選出や専門委員会(部会)の振り分け、慶弔内規の見直しなどの事務的事項が主で、委員の顔合わせ的内容となっていました。

 役員選出では、互選により委員長に山崎君明さん(大間々地区、子育連)、副委員長に上山利夫さん(笠懸地区、笠懸公民館利用者代表)、古美門愛子さん(東地区、東公民館利用者代表)に決まり、各公民館の運営を具体的に協議する専門部会は、委員を出身地別に振り分けて笠懸8人、大間々6人、東4人となりました。慶弔規定については、「職員は運営費をあずかれない」「家族葬が中心で、葬儀のあり方が変わっている」などの理由から規定を廃止し、今後は個人として対応することになりました。

公運審は“協議会”か?

 委員の役割の説明も行なわれました。そこでは「地域住民の意見や要望を収集し公民館運営に反映させ、審議されていることを地域住民に投げかけること」など市民と審議会をつなぐことに重点を置いた説明が話されたため、委員から「法律では、公運審は館長の諮問に応じ、とある(社会教育法29条)。諮問・答申が一番の役割だろうが、なぜここを抜いて役割説明をするのか。みどり市になって一度も諮問がないし、公民館は公運審を諮問機関と思っていないふしがある。WHOでは、コロナは向こう10年影響が残るとしており、『コロナ禍での新たな公民館のあり方』といった事項は諮問に値する内容ではないのか。今年度、諮問の意思はあるのか」と質問が上がりました。これに対して教育長は、「審議会の審議を通して市民の声を公民館運営に反映させている」とだけ話し、諮問の形を取らなくても問題はないとの意向を示しました。なお、公民館からは明確な返答がありませんでした。

 どうやら、公民館運営審議会は今や“公民館運営協議会”に変質してしまったようです。諮問機関という位置づけであったものが、各種事業の企画実施等、公民館の運営について協議し推進する機関と捉えられ、これまでの諮問・答申という関係から、公民館長を中心に関係者がみんなで公民館の運営について協議する“協議機関”へと認識が変ってきているようで、正確には法の趣旨に反しないかとの疑問が残ります。

 この日の協議では、このほか3館合同事業や公民館大会などについても議題に上がりましたが、コロナ禍で世の中の状況が定まらないこともあって,具体的議論には至りませんでした。委員からは「当分、公民館事業も少ないだろうし協議事項も少ないだろうから、何かテーマを決めて公運審として取り組んでは」との意見が出ましたが、これも議論は深まらず、午後9時ころ閉会となりました。

 今後は、9月と10月にそれぞれの公民館で専門部会を開いて各館の運営について協議することとし、全体の公運審は11月を予定しているとしていますが、公運審の形骸化が気になるところです。