公共施設の更新費用削減目指す 〜市が施設計画説明会 2020.2.4

笠懸庁舎で行われた説明会。

 公共施設の老朽化が進み、将来的に多額の改修費や建て替え費用が見込まれることから、次世代に負担を残さない効率的・効果的な公共施設等の配置を実現することを目的に、みどり市では、保有する公共施設等の状況や更新費用の見込みなどの基本的考え方「みどり市公共施設等総合管理計画」を平成30年3月に作成し、これに基づき総務部財政課では公共施設等の整理統合、あるいは新たな施設建設の基本的指針「個別実施計画」を策定し、「明日のみどり市を作るための建設的意見を頂ければありがたい」と、その説明会を1月20日(月)から始めました。

 笠懸地域では20日の昼と夜の2回、笠懸庁舎で開催され、それぞれに市民ら15人ほどが参加しました。

 みどり市の公共施設は昭和40年代後半から昭和60年代前半にかけて建設されたものが多く、同時期に改修が必要になってくることになります。町村合併によりみどり市が誕生した際、住民サービスを優先した結果、利用目的が同じような施設が重複するなど、施設の統廃合が進んでいないという背景もあるということです。一方、将来人口(2060年で約4万人予想)や生産年齢人口の減少により市税は減少が見込まれ、財政状況は厳しくなることが予想されています。このため全ての施設の維持・改修または建て替えはできない現実があり、施設の統廃合などをして将来を見据えた施設の配置を考える必要があると市では説明しています。

 現在、市の公共施設(建物)は617施設で合わせて232,486.9uあり、内訳は、市民文化系施設4.2%、公民館や図書館などの社会教育系施設8.0%、キャンプ場や運動場などのスポーツレクリエーション系施設9.3%、小中学校などの学校教育施設系施設が最大の42.7%となっています。このほか、子育て支援系4.0%、保健福祉施設4.7%、行政系6.2%、市営住宅16.8%、医療施設0.1%、公園0.2%、産業系0.6%、その他3.1%となっています。公共施設の一人あたりの床面積は全国平均の3.2uを上回る4.5uとなっています。

 これらの建物の更新投資費用では、大規模改修が集中する10年間(2016年から2025年)で年平均37億円が試算されていますが、、これを今後40年間の更新投資費用である年平均27.4億円まで縮減する必要があると説明しています。その上で、縮減目標を達成するために施設の更新・統廃合等を計画的に行うとして、令和9年度までの施設の方向性を示しました。個別施設計画では、施設の3分の2はそのまま継続利用としていますが、3分の1は「用途変更」(8施設)や「廃止」(65施設)などの見直し施設としています。

 施設計画の主だったものを見ると、笠懸野文化ホールは指定管理者制度への移行を検討、地区公民館・住民センター・集会所は行政区へ移譲か移譲できない場合は廃止、勤労者会館は勤労者協議会に譲渡となっています。また、みどり市第1親老児童館は新設西小学校敷地内への施設整備により廃止、国保診療所は「国保診療所在り方検討」後に方向性を決定するとしています。

 学校教育系では福岡中央小学校は大間々北小学校へ統合、東中学校は小中一貫校に統合し廃止。旧神梅小学校は廃止となっています。行政系施設は大きく様変わりし、大間々庁舎は総合福祉センターに、東支所は東公民館と統合、旧消防団詰め所は廃止または行政区へ譲渡、笠懸庁舎と教育庁舎は取り壊しまたは売却を検討となっています。

 その一方で、「新庁舎」と「かたくりの湯」建設(ともに建設地は今後検討)、笠懸町においては「認定こども園開園」(笠懸第1保育園と笠懸幼稚園)と「西鹿田グリーンパーク」の建設、大間々町では「総合福祉センター」と「多世代交流館」の建設、東町では「東支所の多機能化」、「旧花輪小学校記念館の充実」、「小中一貫校の取り組み」、「サーカス学校への支援」などをあげています。

 今後のスケジュールでは、令和2年2月に個別施設計画のパブリックコメントを実施し、5月に公表を行うとしています。説明会は最後に、「みどり市に見合った公共施設のあり方をこれからも考えていきたい」と市からの意向が告げられ、説明会は40分ほどで終了しました。これに住民からはいくつか質問や意見が投げかけられました。

 午前の部では、「人口の推移で国立社会保障・人口問題研究所では2060年人口は34,018人とみているが、今回の前提では40,615人としている。なぜか」との質問があり、市からは、「人減少に歯止めがかかるという前提で計画したが、この数値は非常に厳しいと現実を認識しており、今後計画の見直しの中で修正していきたい」と応えていました。また、このほかの意見として、「現在人口が2,000人を割り、さらに年70人〜80人が減り続けている東町地域で、施設の大改修や建て替えを考えることがベストなのか。交通手段を確保し、近隣の施設を利用できるようにする方が効率的ではないか」「老年人口が増加し、スポーツ人口である年少人口・生産人口が減少する見通しの中で、西鹿田グリーパークを建設することは非効率・不経済である」「笠小が満杯状態で早急の善処が必要なのは理解できるが、将来的に年少人口が2割も減るとの見通しが出ており、笠懸地域ですら少人数学級を実施している小学校では、将来的には統廃合が論じられる可能性がある。ここにきて小学校建設以外に現状の問題は解決方法がないのか。学区を変えるなど、大金を使わないで済む方法を再度模索すべきなのでは。ツケを少人数の若い世代に残すことこそ問題だ」といった意見が出ていました。

 午後7時から行われた説明会では、「新庁舎建設がないと成立しない計画ではないのか」「岩宿博物館については触れていないが、笠懸野文化ホールを指定管理者にする理由との違いは何か」などの質問が出されました。市側は、「指定管理者にすることで、民間のノウハウや活力でさらに充実した運営が期待できる」などと回答しました。地区公民館などの行政区への移譲に関しては、行政区に法人格がないことから、「公民館を移譲するためには法人格の取得する必要があり、区長が変わるたびに登記の変更が生じるなど、現実的には移譲は不可能ではないか」といった意見や、「西鹿田グリーンパークもいずれは維持費の負担が多くなるのでは」「工業団地の方が良いのではないか」「現在利用している人たちの声にも耳を傾けてほしい」「市民が納得できる説明が欲しい」などの意見が出されました。

 市側の回答の多くは質問に対してストレートに応えるものではなく、肝心の所はぼやけたものが多く、参加者には、「経費削減は理解できるが、判ったような判らないような説明会」という印象だったようです。