手打ちそばで年越しを 〜8区でそば打ち会 2020.1.7

楽しい会話がはずむそば打ち会場。

 大晦日の夜は紅白歌合戦を見たり、除夜の鐘を聞いたりしながらこたつで年越しそばを食べる、そんな昔ながらの年越しスタイルがみどり市笠懸町8区では今でも各家庭で連綿と続いているようです。この状況を背景に、同区では“手打ちそばで年越しを迎える”とする人たちが12月31日(火)に同区公民館に集まり、そば打ち会を開きました。「みんなで打って、打ちたてのそばを家庭に持ち帰り、年越しそばにする」という趣向です。

 公民館に集まったのは、同区蕎麦打ち愛好会(会長=小林則之さん)の人たちで、子どもも含め男女40人ほど。打つのは信州産の新そば粉で、いわゆる「二八そば」。愛好会が1人前(100g)150円で注文を取り付け、蕎麦粉や天然水、それに麺棒、こね鉢などのそば打ちセットは5セット、すべてを会場に準備し、参加者は集合して順番に打つだけ、という身軽に参加できる段取りです。

 そば打ちは午後1時30分から4時30分ころまで、暗くなる前に解散する計画です。参加者は時間に合わせて、単独で、あるいは夫婦で、または子どもづれでとそれぞれの都合とタイミングで三々五々集り、交互に注文した量を受け取って打ち始めました。皆さん蕎麦打ちの経験者でスムーズに打ち上げていきます。参加者同士が顔なじみのせいもあり、会場の公民館は楽しそうに会話を弾ませ和やかな雰囲気に包まれていました。参加者には「これでよい正月が迎えられる」と笑顔がはじけていました。

 同区で、このそば打ちは数年連続して取り組まれて来た事業でしたが、変わりゆく家庭の事情は色濃く、今年は例年より参加者が若干減っているようです。粉の注文量も昨年より3割ほど減少したそうです。このように人気の事業ですら参加者が減る傾向にあり、地域が年を追うごとに寂しくなっているようにも感じられます。

 日本で年越しそばを食べるようになったのは、「蕎麦のように細く長く過ごせるように」「蕎麦は切れやすいことから、今年の苦労や不運を綺麗に切り捨て、新しい年を迎えるために」「蕎麦は風雨にさらされても、日光を浴びると再び元気になる。そばのように何度も元気に蘇るように」と、風習の謂われには諸説あるようですが、諸説があっても地域が変わり家族構成も変わる中でも、家族でいっしょに今年も無事に過ごせたことに感謝しながら食べる年越しそばは、なんとも幸せな感じがします。八区そば打ち愛好会にはさらに活動の輪を広げて、この幸せなイメージが地域にもっともっと広がり、地域全体で幸せを感じられるようになってほしいものです。蕎麦は切れやすくても、こうした人々のつながりはきっと強固なものとなっていくことでしょう。