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ステアリングの要(かなめ)
<車台と前足をつなぐ重要な部品です>
「なんか曲がりにくい」と感じることがありませんか?
転倒などしていないのに、なーんか曲がりにくい。とか。
転倒後であれば別の要因もありえますが、そうでない場合の要因は、
@タイヤの空気圧不足
@ステアリングのベアリング損傷 が殆どです。
これ実は、日常的に使用されているオーナーさんに限って以外と気づいていない場合が多いです。
たぶん、頭髪とか体重みたいに徐々に変化することには気づきにくいからだと思います。
ステアリングのベアリング点検は簡単で、
センタースタンドなどで前輪廻りを地面から浮かしてハンドルを左右にきる動きをすることでわかります。
本来は左右どちらにもフルロックするまでスムーズな動きでハンドルが切れます。
このスムーズさがどんな感じかというと、
例えばセンターから左にハンドルをちょっと動かしただけで、
後は力を入れずとも、左にカックンと切りきれるまで勝手に動くぐらいな感じです。
動きが重かったり途中で止まるようだと、ベアリングの傷みはかなり進行しています。
ベアリングが損傷している場合は、
ハンドルが真っ直ぐ真ん中の位置でベアリングにキズができていることが多く、
ハンドルが真ん中の位置から左右どちらにも動きにくく、ハンドルを切ろうとすると小さなクリック感を感じます。
この状態を「センタークリック」などと呼んでいます。
また、長年放置されていたバイクはグリス切れやグリスの変質などでスムーズさが無くなってしまいます。
ということで早速ベアリングを点検・交換してみましょう。
* * * 今回のクランケ * * *
下準備
ハンドル、ホイール、フォーク、ランプ類など、全て取り外します。
前足が無くなるので、ジャッキアップや懸架が必須です。
ステムが落っこちちゃうので補助者に持ってもらってます。
こんな感じで、ステアリングステムが外れました。
ステムのベアリングにはボール式とローラー式の2種類がありますが、
今回はボールベアリング。
ボールを上下から挟んでコロコロ動く作用をするので、
主部品はボール部と、上下のボール受け(ボールレースと言う)。
車台下に置いてあるのがステアリングステムです。
ここまで時間はかかりますが、全工程のまだ40%くらいかな。
ベアリングはフレームのヘッドパイプ上下に一個ずつあります。
なのでボールセットが2個、ボールレースが4個ですね。
ちな、ステムベアリングのサンプル。別のバイクのですが。
ベアリングの状態
点検その1. ステアリングステムのシャフトに打ち込んであるベアリングレース
ボールが常在する位置にくっきりと打痕ができています。このキズは窪みになっているので、ハンドルを切ってボールが左右にずれようとしても、窪みから動きにくくなってしまいます。
これがステアリングの動きを阻害する原因です。
点検その2. フレームのヘッドパイプ上側のベアリングレース
フレーム側のレース部にもボールが当たっていた部分に打痕が見られます。
取替(打ち替え)後の新しいレース。
比較するば一目瞭然。
点検その3. フレームのヘッドパイプ下側のベアリングレース
下側のレースはさらにクッキリと打痕がわかります。
こちらも新しいレースに交換。
ちなみに正確な作業のためには特殊工具はもちろん、特に組立て時の締め加減(調整)に熟練が必要です。お金を払ってでもお店でやってもらいましょう。
ベアリングが良い状態になったので、せっかくなのでフロントフォークもオイルを替えてみました。
バイクのハンドリングは緩衝装置(フロントクッション)と操舵装置(ステアリング)が一体になって動くものなので、
どちらもベストな状態が良好な走りに繋がります。
などと、普段はなかなか見られない車台整備の一部を紹介しました。わおわお。
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