第36便・・・ウィーンだより最終便 

 4月もまもなく終わろうとしていますが、皆様、いかがおすごしでいらっしゃいましょうか。私は1年半過ごしたウィーンに別れを告げ、3月末に日本に戻りました。今年のウィーンの春の訪れは早く、3月半ばには桜が満開となり、木々も芽吹き始めました。1日ごとに緑の色合いが変化していく中、後ろ髪を引かれつつ帰国の途につきました。

 帰ってみると・・・「仕事」と「日本の日常生活」の波が一度に押し寄せてきて・・・ゆっくりパソコンに向かう時間もとれない状況でした。慌ただしさの中で1ヶ月過ごし、やはりウィーンと日本での時間の流れかたが違っていることを改めて感じました。わずか1年半の間に、商店街の顔ぶれが変わっていました。小売店が新しい店になっていたばかりでなく、スーパーまで別の店になっていたのは驚きでした。駅の切符システムも様変わり。自動販売機はいつのまにかウィーンと同じ「金額を押してからお金を入れる」形に変わっていました。「パスネット」や「スイカ」のような便利なカードも登場していました。
 ただ車内放送は1年半前と変わっていません。駅の案内を何度も繰り返し、さらに「他のお客様のご迷惑になりますので携帯電話はご使用になりませんよう」との注意も以前のままです。そういえばウィーンでは車内での携帯電話の使用に関する注意はありませんでした。「若者ばかりでなく、おじさん、おばさんも車内で携帯電話をかけていたなあ」と思い出しつつ、ふと気づくと、ここ日本では車内で携帯電話をかけている若者はもうほとんどいません。前の座席に並んで掛けていた若者達は携帯を手にしてはいるものの、黙々と親指を動かし続けているのみです。日本の若者文化は「携帯電話」から「携帯メール」に移り変わっていました。大学でも授業中の私語が減ったかわりに携帯相手に黙々と「会話」し続ける学生への対応に困っているという話を耳にしました。

 こうした変化を数え上げればきりがありません。時が静かにゆったりと流れていたウィーンに比べ、日本でははるかに速いスピードでいろいろな物事が変化しているようです。そのため、まだ「浦島花子」状態から完全には抜け出せずにおります。このまま「浦島花子」でいるのもいいなあと心密かに思ってはおりますが、そうもいかないでしょうね。

 皆様に支えられて、この1年半のウィーンでの研修生活を無事終えることができました。お世話になりました皆様、本当にありがとうございました。ウィーン便りはこれで最後になりますが、取り貯めた写真はちゃんぷるー亭の「おもいでのウィーン写真館」に掲載予定です。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

 ではまた。