第2回 マイ・三線(さんしん)
 大工哲弘さんの歌は圧倒的だった。

 歌詞の意味が全く理解できないにも関わらず,魂が揺さぶられるような「とぅばらーま」にノックアウトされてしまった。

 ロック大好き少年が長じてロック大好きヘンタイおやじとなって、「俺は生涯ロックしか聴かん!」と豪語していたのに、ナンテコッタイ。

 思い当たるふしはある。数年前にはじめて沖縄石垣島に行って、所謂ひとつの「沖縄病」に罹ってしまって、そうたびたびは沖縄に行けないので、せめてごーやーちゃんぷるーでも食してみんと、沖縄料理店『ちゃんぷる』に行って、そこでなんと泡盛飲みながら三線弾いて島唄歌っているヤマトンチュを発見し、「イイナ、ウマイナ」と思ったことがあった。

「俺もあんなに上手に弾けたらイイナ」とも思い、ネーネーズの「ノーウーマン・ノークライ」の歌詞のなかの「三線弾ちゅる姿ぬ秀らさー」なんてフレーズが頭の中を巡ったことも。

 で、『ちゃんぷる』の女将さんの暖かい取り計らいで、幸運にも・ラッキーにも『大工先生を囲んでの大宴会』に潜り込ませてもらえて、「沖縄の心」にジカに触れさせてもらえた。

 これはもう「沖縄病」を癒すためには自分で弾くしかないと。八重山に近づくためには弾くしかないと。で、買ってしまった、久米島産の『マイ・三線』。これも立派な「千葉のうちなー」ってわけだ。

 「しゅらーさー」を目指して、しばらくは『ちゃんぷる』通いになりそうだ。

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