その8 ウィーン交響楽団「ロ短調ミサ曲」

2001.4.7 19:00〜
 場所:コンツェルトハウス大ホール(Freie Platzwohl 全席自由)
 楽団:ウィーナー・シンフォニカ
 合唱:ウィーナー・カンマーコール
 指揮・解説:マルティン・ハセルボェック(Martin Haselboeck)
 ソリスト:リサ・ラッソン(Lisa Larsson); Sopran
      カイ・ヴェッセル(Kai Wessel); Alt
      マルクス・シェファー(Markus Schaefer); Tenor
      クラウス・メーテンス(Klaus Mertens); Bass
 曲目:ヨハン・セバスチャン・バッハ
    (Johann Sebastian Back 1685-1750)
    ロ短調ミサ曲 Messe h-moll BWV 232 《Hohe Messe》


 今日の演奏会はパンフレットの値段の横に●印が付いていたので、演奏会の30分前に行って学生証を提示すれば150シリングでチケットが買えるはず・・・ということで、6時前に家を出て、ンツェルトハウスには6時10分頃に到着した。チケットカウンターの扉は閉まっていて、その前に人だかりができている。10番目くらいに並んで待っていると、15分に開扉。まだ早いかなと思いつつ一応学生証を提示して「今日のシンフォニカのチケットは・・・?」と聞くと「150シリングです。」やった。どこの席だろう、とチケットを見ると、Freie Platzwahlの文字が。全席自由。急いで中央階段の前に行くと、すでに人が並んでいる。待つこと十数分。券を切ってもらうと、みな我先にとホールの中へ(さすがに立ち見席を取る人々のように走ったりはしないが)。あっという間に前の方の中央よりと、通路に面した席は埋まってしまった。パールテール(平戸間)に傾斜がないことがわかったのでバルコン(2階)に行こうかと考える。が、見上げてみるとすでに正面1列目は全席埋まっている。仕方がないのでパールテールの真ん中より少し後ろ、通路側に席を取った。少々見にくいが、普段は高くて買えないパールテールで聞いてみるのもいいだろう。

 オーケストラ、続いてコーラスとソリスト、そして指揮者の登場。オーケストラの配置は、向かって左が高・中弦、右が管と低弦、中央にオルガンとその後にティンパニ。コーラスは、女性は首に掛けた布、男性は胸ポケのハンカチーフの色でパートを示している。赤、ワインレッド、オレンジの3色で、黒服に映える。前列にソプラノ、アルト、メゾ、後列にテノール、バリトン、バスの順。ソリストは、アルトがなんと男性だ。

 演奏が始まった。まずはキリエ・エレイソン。合唱の歌い出し、高音の響きの美しさに思わずうっとりと聞き入った。そのまま曲が続くことを期待したのだが、そこで中断。指揮者が客席を向き、話し始めた。挨拶から始まり、そのまま原稿なしですらすらと解説を続ける。音楽学が専門の人なのかもしれない。(指揮はいまひとつだったし。)その後も曲ごとに、テーマやソロをそれぞれの楽器に演奏してもらいながらの解説が入る。残念ながら私のドイツ語力ではあまり詳しいことはわからなかったが、グローリアの3にまつわる話など、結構しっかりした解説をしてくれていたようだ。

 ソリストのうちソプラノ、アルト、テノールの3人は若手だったが、みな透き通るような綺麗な声だった。ひとり年上のバスは、どっしりとした張りのある声。ホルンのソロとも良くあっていた。ソリスト全員きちんと宗教曲の歌い手という感じだった。ぶつぶつ切れの演奏だったので、曲を聴くという面ではいまひとつ物足りなさを感じる。それでも最後のサンクトゥスとボサンナは、合唱とオーケストラの息があい、盛り上がった。

 今日の着目点、コンツェルトハウスの低弦の響きについて。低弦はチェロ3本とコントラバス2本しかなかったが、それでもしっかりと音楽を支えるに足りていた。やはり、このホールが低音が響きにくいということはない様子である。高音が綺麗に響くという印象はあったが。次は大編成のシンフォニカを聴いてみたい。興味は尽きない。