その2 ウィーンシンフォニカー(ブルックナー7番)

2001.3.17 19:30〜
 場所:ムジークフェライン大ホール(Cercle rechts 1列8番)
 楽団:ウィーナーシンフォニカ
 指揮;レオポルト・ハーガー(Leopold Hager)
 ソリスト:フローリアン・ツヴィアウアー(Florian Zwiauer);Violn
      ヘルベルト・ミュラー(Herbert Mueller);Viola
 曲目:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
    (Wolfgang Amadeus Mozart)
      協奏交響曲 Es-dur KV364 fuer Violine, Viola und Orchester
     アントン・ブルックナー(Anton Bruckner)
      交響曲第7番 Es-dur

 モーツァルトは軽快に始まった。まず、目の前の第2バイオリンのそろい具合に驚いた。第2のトップはちょっと気が早いらしく(もしくはトップの気負いから?)、時たまちょっと前にでるのだが、それを除けば皆の息はぴったり。そして、前奏ののち入ってきたヴァイオリンソロの華やかで美しい響きに、またもや驚いた。受け答えるヴィオラの音は、ヴァイオリンに比べると華やかさにかけるがヴィオラらしい深みのある響き。ヴァイオリンはオケのテンポそのままに乗って入ったのに対し、ヴィオラは少し遅めのテンポが好みの様子。少しテンポを引っ張る傾向は曲の後半まで続いた。ヴァイオリンとヴィオラののソロ奏者は、まるで性格が違う様。この曲はソロ2人が同じ旋律を順番に奏でることが多いが、相手の音楽を受けてはいるが、表現の仕方がまるで違う。対比がとてもおもしろかった。第3楽章はヴィオラ奏者も早めが好きだったらしく、ソロ2人とオケの息もあって曲がまとまった。曲の中盤から、オケで弾きたいという思いが沸々と湧き上がってきた。

 休憩をはさんでブルックナーは、だいぶ人が増えた。第2ヴァイオリンのトップは変わらなかったが、コンマスを含め第1ヴァイオリンの前2プルトは新しく入った様子。そして、チェロ。前半にはいなかった私から1番近い位置のチェロのおじさんの音が、甘くて渋みのある深い響きで思わず聴き惚れてしまった。座席が近いため、弦楽器の音が良く聞こえる。管の音は聴き辛いかと思いきや、第2楽章あたりから盛大に聞こえ始めた。アダージョではシンバルのクラッシュによって音楽は一つ目の頂点を迎える。後半になると第1楽章などに比べチェロの出番は減り、中高音に響きの中心が来る。第4楽章では、ベートーヴェンのような低音のピッチカートの旋律と高音の流れる旋律の対比がおもしろい。ブルックナーでは前半のモーツァルトとは違って、団員は緊張した面もち。しかし、随所の「おいしい」旋律では微笑みも見られる。そして、楽章を重ねるごとに高揚感が高まり、音楽と共に団員と聴衆の一体感が生まれる。最高の演奏だった。

 私の席は、1列目8番。指揮者の少し右側、今回の配置では第2バイオリンのトップのすぐ横という場所。オペラを除けばそんな席に座ったのは初めてで、舞台にでてくる楽団員の人達を(多分嬉しげに)眺めていたら、第2バイオリンの前の2人が微笑みかけてくれた。