先生、日本のこと教えて

解答乱麻 さいたま市立芝原小教諭 斎藤武夫

多くの良識ある国民の声が実って、この夏採択される中学校のすべての教科書から「従軍慰安婦」という言葉が消えた。強制連行説がうそだったからである。なぜ、教科書にうそが書かれたかといえば、文部科学省の教科書検定にまことに不道徳な決めごとがあるからだ。

「近隣諸国条項」という取り決めは宮沢喜一元首相が官房長官のときにできた。

中国や韓国が不快に思うようなことは(たとえ事実であっても)書いてはならない、それらの国が気持ちよく読めるようなら(たとえうそであっても)フリーパスにしますという話だ。日本が悪いと決まったことなのだから、日本の悪を書くのなら何でもOKだが、日本の肩を持つような真実を書くことはまかりならんということである。

教育の場にこのような不道徳が行われて、どうして健全な児童生徒が育つのだろう。文部科学相は虚心に真実を探求してほしい。このような不道徳な教育を強いる為政者を、私は教師として許すことができない。その取り決めのために、日本軍が南京で何十万人もの一般市民を殺しただの、朝鮮人を強制連行しただのといったうそが教科書に書かれてきたからである。

そのおかげで日本の児童生徒は「日本なんて大嫌いだ」「こんな日本に生まれてこなければよかった」「ぼくらのおじいちゃんたちは残虐な人殺しだったんだ」と考えるようになったのである。彼らは教育によって健全な愛国心や先人への敬愛の情を奪われ、公共心よりも私欲に生きるようになったのである。

さて、そのような検定フリーパスのうその中に近隣諸国と関係ないうそが一つある。それは沖縄戦に関するうそである。なぜそうなったのかはわからないが、近隣諸国条項制定時に沖縄戦のうそもフリーパスになったのだ。来年の春から使われる教科書にも次のようなうそが書かれていることが分かっている。

「6月には日本軍の組織的な抵抗が終わりましたが、集団自決をせまられた人々もあり」(大阪書籍)、「日本軍にスパイ容疑で殺されたり、『集団自決』を強制されたりした人々もあった」(日本書籍)。後者の「注」には「軍は民間人の降伏も許さず、手榴弾を配るなどして集団的な自殺を強制した」とまで書かれている。

これらの問題点については、すでに曽野綾子氏や中村粲氏によって明らかにされてきたことだが、今回藤岡信勝氏を始めとする自由主義主観研究会のフィールドワークによって、すべてが明確な作り話であることが分かった。

つい先日刊行された服部剛著『先生、日本のこと教えて』(扶桑社)は、この集団自決の真実を授業のテーマとして取り上げている。服部氏は知る人ぞ知る横浜の中学校の社会教師である。同書に紹介されている歴史と公民の授業はどれも感動的だが、一層素晴らしいのは服部先生が育ててこられた生徒たちである。服部先生の授業と生徒たちの発言や感想文をぜひともお読みいただきたい。服部先生の社会科教育は、まさに現代日本の希望である。

(2005/7/27 産経新聞)