風を読む

論説副委員長 矢島誠司

安全保障理事会の拡大を柱とする国連改革は、米国が「日本を含めた2カ国程度」と独自案を提案したことで行方が混沌としてきた。

日本は今のところ、新常任理事国数は6カ国とするG4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)提案に留まる方針だが、最終的にどうなるかは予断を許さない。

そうした中にあって、逆に一段と明確になってきたのが中国の「反日キャンペーン」だ。日本の新常任理事国入りを是が非でも阻止しようという中国の組織的、国際的な策動が、ますます激しくなってきているという。

ある日本の外交筋が、怒りをにじませながら言う。

「中国は途上国に対し、日本を支持するな−と、すごい勢いで脅している。そこまでやるか、とおもうほどの恫喝外交だ。(態度表明を迫る)踏み絵を踏ませるようなことまでしている」

途上国の多くは、内心では日本を支持しているが、中国の脅しを前にしては苦慮せざるを得ない。しかもG4案では、第一段階の安保理拡大の枠組みに関する決議案は記名投票の予定だ。「中国の切り崩し工作は確実に効果を上げている」(同筋)という。

どう対応すべきか。日本外交はまさに正念場を迎えている。

例えば、中国の不当な圧力外交を世界に知らしめる。途上国に対しては、中国か日本かの二者択一を迫るのではなく、中国も日本もの”二者択二“を促す。それがアジアにおける危険な一国覇権の事態を防ぐ道とも説得する。

独自案を示した米国とは、とりわけ密接な協議を続ける。

中国の「力の外交」に対抗するには、従来の日本的な相手国重視の「徳の外交」に加え、「知略の外交」が必要となる。

(2005/6/27)