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NO MAN'S LAND 



2007年06月01日(金) 19:05〜20:45
2007年06月05日(火) 19:10〜20:45
2007年06月11日(月) 19:10〜20:45
2007年06月17日(日) 14:05〜16:45

於:東京グローブ座
【感想】

1月に坂本さんが この芝居に主演するというニュースを聞いたとき、ミュージカルでないのが意外だった。
「どうして、夢と希望を与えるアイドル様が、ミュージカル・スターの坂本さんが、希望のカケラもない戦争ものに???」(同じことを思った坂本さんファンは多いでしょう)

でも、坂本さんのキャリアを考えると、「ボーイ・フロム・オズ」で、ミュージカルのある一面を極めてしまった気もするので、ここでストレート・プレイに取り組むのも、これからの飛躍のために良いのではないかなぁ、と考え直した。

とは言うものの、"戦争" という言葉に対して、かなり拒絶反応はあった。
いわゆる「坂本さんが出演なさらなければ、絶対に観なかった演目」だった。
(ふだんからV6メンバーが出演した舞台しか見ていないけど、本当はもっと色々 観たい演目があるが、仕事や家族の状態を考えると、前売りチケットは買いづらいのだ)

その拒絶反応を乗り越えるのに、最初の2回を使ってしまったような気がする。
(また、予習として読んだ映画版の脚本の設定/人物像とのギャップについていけず、色んなレベルで疑問が湧いて、ストーリーをアタマで理解しても心で理解する心境になれなかった)


3度目の観劇でやっと、舞台版の物語を受け入れられるまで心が柔らかくなった。

そして、その後は、平和を望んでいる3人が結局は殺し合わなければならなくなった理由を考えていた。

ジェーンが救出に来て、塹壕を出られる者(ニノ)、出られない者(ツェラ)、出たくない者(チキ)に分かれたとき、今までの均衡が崩れて、殺し合いに戻ってしまうのは、何とも皮肉。ジェーンの目的は救出だったのに。

(しかし、3人が平等に逃れられなかった状況は、生き延びる希望が皆に平等にないという絶望的な状況での小康状態だったのですね)




実際に戦争に参加して、そこで記録映像を撮っていた監督による原作。

平和な日本で、観念的に捉えている "平和" や "戦争" というイデオロギーに比べて、その合間を彷徨っている、曖昧な感情(でも、お話は判りやすかった)。きっとそれが現実なのでしょう。





役者さん全員がプロフェッショナルで、すぐに芝居の世界に引き込まれた。
それぞれの役者さんではなく、チキ、ツェラ、ニノ、ジェーンとして実感出来た。

と言っても初めて観たときは、心の底で平和を求めているチキがニノに銃口を向けたりするのが理解出来なくて…。 「坂本さんは『戦争体験がなくても、戦争体験を想像することは出来る』と仰っていたけれど、自分には想像力がないみたい」と しょんぼりしていた。
 出演者4人の自然で等身大の演技に接するうちに、登場人物の感情を実感することが出きるようになってきた。
 きっと自分が、平和や戦争を観念的に、戦うか戦わないかの1か0で捉えていたので、現場の複雑な状況が実感出来なかったのだと思う。



今までずっと話し合いで物事を解決してきた穏和なツェラでさえ、軍隊に入ってしまうのだから!
身の回りが戦争へと雪崩ていくとき、ひとりひとりの平和を願う気持ちは、なんて非力なのだろう。


ニノは複数のセルビア軍兵士をひとりに集約したので、二面性のある性格になっていたかも知れない。

ラストでチキを挑発するようなことを言うのを聞いて、「ひょっとしてニノは自分の死に場所を求めて職業軍人になったの?」という疑惑が湧いたた。

ジェーンは

声だけのご出演、ジェーンの上官シャルリー・タンゴの篠井英介さん


坂本さん。
せりふとせりふの間、感情の流れが本当に自然。
動と静、怒りと優しさ、など、相反する感情の間を揺れ動いているが、唐突さも芝居臭さも全く感じずにチキの心の動きを表現していたと思う。

ご本人も「LOOK at STAR!」などのインタビューで語っているように、稽古が始まる前に台詞を覚える(疑問点が事前に明らかになる、稽古で芝居に集中出来る)鈴木勝秀さんの演出方法の効果かな?

これからも、稽古前に台詞を覚えて、稽古では演技に集中する方法を続けてくださいね>坂本さん。
(未来の共演者のかたがたもよろしく〜)







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