【感想】
- 登場人物が6人
ハンブル母子(フローラ、フェリックス)、パイ父子(ジョージ、ロージー)、ミス・マーシー、庭師ジム
- 花と蜜蜂が話に彩りと一貫性を与える。
華やかなフローラは、蜂の世界で言えば女王蜂
- どう決着がつくのか途中までハラハラしているが、ラスト5分で心が洗われた気分になる
- 父親の人柄(学者肌)を想像させるために、フェリックスは神経症で吃りという極端な設定になっているのか
(昨年の流行語で言えば、理系人間(ジェイムズ)と文系人間(ジョージ))
どちらかと言うと英国対米国趣味? フェリックスのテーマはビートルズでジョージのテーマはグレン・ミラー。
所在無げに(身を守るように?)手を胸に置いて、目を細めて口を開けてだらーっと立っているのが、情けなさ満点。 濡れそぼった長毛種の愛玩犬のようだ。
- ジムの正体が判った上で、もう一度観てフェリックスの表情などを確かめたいが、ジョージのガラガラ声が苦痛なので、一回に留めておく(喫煙者の人に多い、ノドがヤられているのに体力に任せて出しているような大声で、身体全体に妙なバイブレーションが来て消耗する)。
【セットなど】
- セットが固定。「トイヤー」にしても、「DEATHTRAP」や これにしても、さくさく展開するのでリズムがいい。
- ライティングが暗いときがある(夕方や夜のシーン)。 2幕で2度、タバコを吸うシーンがあるが、立ち上る煙がクッキリみえる程度に暗い。
- フローラが登場すると、客席まで香水が漂って来る。
【ストーリーに沿って】
(順番が間違っていたり、抜けていたりするかも知れません)
第1幕
- ハンブル家の庭(初夏)
フェリックス、マーシー、フローラ、ジム
舞台暗転中は「熊ん蜂の飛行」が鳴っている。
ぶーんという蜂の羽音。
納屋の前にフェリックス(いのっち)が立っている。
胸にエンブレムの入ったヨレた半袖ポロシャツ、ニッカボッカーズ、白のハイソックス。
フローラは青い、背中の開いたドレスにサングラス。
ジムが花の手入れをする。
自分はフロリバンダの薔薇が好きだが、フローラは香りの高いハイブリッド・タイプの薔薇が好きだ。
薔薇に名前を残したジョゼフィーヌという女性は、どんな人だったのかな?とジムとフェリックスが会話。
実は、まだ蜂は残っているんだ。
- ハンブル家の庭(2週間後)
ジョージ、フローラ、フェリックス
ジョージはグレン・ミラーが好き。
CDウォークマンとヘッドフォンで聴いて社交ダンスを踊る。
リサイクル・ショップで働いているマーシーに ちんちくりんのベストをもらって、ポロシャツの上に着ている。
- ハンブル家の庭(7月)
ジム、フェリックス、マーシー、フローラ
マーシーが、フェリックスが服用中の薬の名前を聞き出そうとする。
フローラはホルターネックのノースリーブブラウスに(記憶曖昧)、華やかなプリントのフレヤースカート。
蜂蜜の壺を骨壺代わりにして、フェリックスにプレゼント。 誕生日のラッピングで。
プレゼントの中味を知ったフェリックスが「え〜?え〜?」と顔じゅうを口にして唖然としている様子が、いのっちだぁ(和)(坂本さんの露悪ネタ(「オレ、整形したんだ」などの)に驚いているときの)。
入学式の話
ジョージが迎えに来て、フローラはスカーフを帽子代わりにして出かける。
フェリックスがジョージと、どうしたら楽に自殺できるか?という会話をする
- ハンブル家の庭(同じ日のはず)
ロージー、フェリックス。ジョージとフローラが帰って来る。
ロージーが興味津々という感じで庭に入って来る。
快活そうな若い女性。
フェリックスを見つける。
看護婦だけでなく、キャリアアップのために助産婦の勉強もしている。
出産に際して男性の役に立たないことと言ったら、イライラしてしまうけど、自分はひとりで産んだから気楽だった、というようなこと。
過去と決別するためのビンタ(効果音)
「フェリシティが弟を欲しがっているの」と子作りに挑戦しようとするロージー
お姫さま抱っこでハンモックに連れて行く。
フローラとジョージが酔っ払って戻って来る
「チャック閉めたら」と去っていく
第2幕
- ハンブル家の庭(夏の終わり)
マーシー、ジョージ、フローラ、ロージー、フェリックス、最後にジム
「Chattanooga Choo-choo」が鳴っている。
テーブルがセッティングされる。
フローラはアイボリーのしなやかなワンピース。
マーシーがスープの味付けに 骨壺の粉を使ってしまう。それも大量に。
「フローラは自分が世界の中心だと思っている」というロージーの言葉を、フェリックスはそのまま母に投げつける。
日常生活では自分というものがないのか?
茶のチェックのスーツ。
フローラがグランジと言うが、地味なベイシティローラーズみたい。
ハンブル家とパイ家が結婚するとハンブル・パイ…臓物のパイに乾杯(昔、そういうバンドがあったような?ハンブルパイとは嫌われ者の代名詞らしい)
ロージーに
母親が強烈過ぎて、父親の記憶があまりない。
唯一の記憶、人類が月面に立った日、父さんは泣いていた
フェリシティの身長は腰くらい。
フェリックスは、ロージーが去った後も、腰くらいの子供に話しかけるシミュレーションをしている。
フェリックス「入学式で、僕は振り返らなかった。」(自分はマザコンじゃないと言いたい?)
朝、届いた手紙をフェリックスがフローラに渡す。
王立植物院(記憶曖昧)から、新種の蜂を認定する証明書。
天体観測する人は、新星を発見して自分の名前をつけるのが夢だが、養蜂家の夢は、新種の蜂に名前をつけること。
でも、ジェイムズは自分の名前はつけずに、フローラの名前をつけていた。
感激するフローラ。
望み過ぎたことが私の不幸だった。
ジェイムズはいつも正しい言葉を使っていた。
ジョージが暴れて、フェリックスを殺そうとする。
一匹の蜂がジョージを撃退する。
庭師ジムが奥に立っている。
「あれは女王蜂だ。最後に残った一匹だ。攻撃性はないが、怒らせちゃいかん」
フェリックス「見えるんだね、母さんにも。夏の初めからずっといた」
ジムはジェイムズの亡霊だったらしい(Jimは Jamesの愛称だとは言っても、ありふれた名前だし)
向かい合って歩み寄りながら、二人が最初に会ったときの状況を交互に話す。
コートが翼のようだった
「君は空から降ってきたの?」
あなたのように私を見つめる人はいない。
フェリックスが大学に戻る準備のために引っ込む。
フローラに、彼女のために植えた花の名前(学名)を教える。
セント・ジョーンズ・ワーフもあった。
フローラ、嗅覚が戻る。
女王蜂はひとりで冬を越すんだ。
ジム、姿を消す。
車のエンジン音が聞こえる。
フェリックスを呼び戻すフローラ
今度は、別れるとき、手は振り続けないわ。
と言って、家に入る
ラストもフェリックスがひとり。
それでいい ………… それでいい
- カーテンコール
終了アナウンスの後の3回目のカーテンコールで 2/3くらいスタンディングオベーション。
【パンフレット】
|