【感想】
- テンポが良くて楽しかった
脚本と出演者と演出家が うまく噛み合っていた。
"ファンキーなオジサン(byいのっち)" の河毛さんは、きっと こういう軽妙洒脱な持ち味の人なのでしょう。
ベッドシーンもマンガチック。
- とにかく健くんが可愛くてねえ。
裸眼で身体や動きを観ても可愛いし、双眼鏡で お顔を覗いても可愛いし、ふつうの青年として あり得ないくらい可愛いので、なかなか "ベンジャミン" と認識出来なくて、"ケンジャミン" という感じだった(演技云々ではなくて、外見が圧倒的に可憐なので)。
上半身も無駄がなくて綺麗だったが、脚(膝の周囲)が とんでもなく綺麗。
自分の中で健くんのイメージは、年齢関係ない永遠の少年なので、宣伝で言っているような成長物語(モラトリアムの優等生が、なんとなく人妻との関係にハマったものの、娘を真剣に愛するようになる)が、どうにも
そぐわない。
"人妻との不倫" にしても、可憐盛りの健くんが演じると、倫理的にいけないことに見えなくて困った。 何をしたって "健は健"。
- 自分には むしろ、ロビンソン母娘の成長物語に見えた。
ロビンソン夫人は、ベンジャミンとの会話(口ゲンカ)を通して、子供が出来たから結婚したけど実はロビンソン氏を愛していなかったことを思い出して、離婚を考える。
エレーンは、母に愛されていないぶん、父親に愛されようと、(たぶんオモシロイ娘なのに)優等生でいようとしていたのを、ベンジャミンに引っかき回されてるうちに本来の自分に目覚める。
…それに なんとなく、健くんには(アイドルさんには?)、そういう、女性の人生を解放していく役のほうが、女性を通して自分が変わっていく役より似合っている気もする(少なくとも舞台では、そのほうが楽しい)。
- ロビンソン母娘の、一筋縄で行かないけど基本的に 前向きなところに共感が持てた。
- ロビンソン氏も、ベンジャミンのお父さんも、不完全燃焼だった青春が 密かにコンプレックスらしい。
ロビンソン氏は、ベンジャミンに もっと羽目を外せ、と言うし、お父さんは ベンジャミンの放浪の旅を応援する。 帰って来たベンジャミンが売春婦を買ったと(たぶんウソを)言うと、でかした、みたいな表情。
- (ストーリーにしても、ベンジャミンはまだ就職もしてなければ、どんな仕事に就くか決めてもいないのに、エレーンを愛して手に入れただけで、大人になったと言えるのか?とツッコみたくなる)
- (遊園地で遊んだ後のような爽快感があって楽しかったのだけど…健くんをはじめVメンバーそれぞれの「トイヤー」を観てみたい気持ちになった(グローブ座だったし)…「シェルブール〜」や「FOOTLOOSE」は、坂本さんがベストだと思うので 他の人は想像出来ないが、「トイヤー」は、演る人それぞれのピーターがありそうなので、(いのっちも良かったが、)いのっち以外の人でも観てみたいと思う)
【セットなど】
- 舞台装置も簡単。
三方を格子柄の壁。 舞台裏に抜けるドアや、小部屋(クローゼットやバスルーム)が隠れている。
壁の隙間から、星空やネオンサインが見える。
やはり格子柄の大きな板が舞台前方に降りてきて、舞台を隠す。 そこに、街などの映像が映って、その前で芝居しているうちに、舞台セットが変わっている。
リアリズムより、サクサク話を進行することを大切にしているようだった。
【ストーリーに沿って】
(順番が間違っていたり、抜けていたりするかも知れません)
第1幕
- ベンジャミンの部屋(実家)
いきなり、ダイビング・スーツ姿
水中メガネとシュノーケルを着けてベッドの上に座っている(呼吸の音)。
階下では、ベンジャミンの卒業パーティーをしているらしい。両親が呼びに来る。
ベンジャミンの父親とロビンソン氏は、一緒に事業をしている。
ロビンソン氏の最初の助言は「これからはプラスティックの時代だ」
もっと後の助言は「若い頃にはハメを外せ」
ロビンソン夫人が部屋に迷い込んでくる
赤紫のドレス(下は黒の下着)。肌色のボディスーツの上に下着着用。肌にラメを塗っていた。
ベンジャミン、ベッドのヘッドボードの陰で服に着替える
白のワイシャツとコットンパンツ(白?)。
「あなたが赤ちゃんの頃から知っているのに」
ドギマギして、シャツを後ろ前に着たり、クローゼットの何かでコケたりする。 ズボンの前開きからシャツがツンと飛び出している…なんていう小ネタも。
(大人の男性と並ぶと、健くんの細さが判る)
- ベンジャミンの部屋(実家)
旅に出ると両親に告げる
お百姓さんなど、身体を使って生活している "本当の人々" と触れ合うのが目的らしい。
(ホントに、周囲が中産階級ばっかりなんだろうな。)
(「人生には飽き飽きしてるのさ」って、そんな可愛い お顔とラブリーボイスで言われても(汗))
- (幕の前)旅に出る
ステンカラーのコート
- ベンジャミンの部屋
放浪の旅は10日で飽きたらしい
シャスタ山脈の火事を消した話。
女性を買った話に、でかした、という表情の父親
- (幕の前)公衆電話
ロビンソン夫人に電話して、待ち合わせ場所にホテルを指定されるベンジャミン。
- ホテル(フロント)
秋吉さんはレザーのスーツ。
ベンジャミンは、フロントでの頼みかたが判らず、また照れからシングルの部屋を取ってしまう。
夫人は離れたところでタバコを吸っている。
呼び出しベルを使ってコミカルな小ネタ。
最後、夫人がニッコリとダブルに変更。
- ホテル(部屋)
舞台装置の壁の隙間に星空。
ここでも、照れまくりのベンジャミンはコミカルな動作。
抽象的というか、体操的な、マンガちっくな動き。
そのまま 時が経っている。
もう こんなことは止めようというベンジャミン
ロビンソン氏と結婚したのは、子供が出来たから。
今は 余裕かましているロビンソン夫人にも、そんな若気の至りの頃があったことを、無邪気なのか嫉妬なのか根掘り葉掘り聞き出そうとするベンジャミン。
いつまで寝ているんだ、と両親が立ち代わり注意しに来る(色違いでお揃いの(安っぽい?)ガウン)。
夫人は、エレーンとのデートに猛反対。
- (幕の前)待ち合わせ場所のエレーン。ヤンキーに絡まれたり、風俗のスカウトに声を掛けられたりする。
- バーでのデート
ヤンキーが集まっているようなバーに連れて行く
「ハンバーガーに使う肉1食分のために、牛のエサが5食分の穀物が必要」と、なんだかエコロジーなエレーン。
最後にストリッパーと何かを通じ合うエレーン
(2階席まで煙くなるほど、タバコがモクモク)
(星野真理さん、名前を聞くのも演技を見るのも初めてだったが、星野さんのお蔭でエレーンを好ましく感じられた。単なる頭でっかちの優等生に見えて、最初は拒絶していたストリッパーと気持ちが通じ合ったりする柔軟さや前向きさが、星野さんの個性に よく合っていた)
- ロビンソン家
緑色のベルベットのガウンのロビンソン夫人
ベンジャミンがエレーンをドライブに誘いに来る。
追い返そうとするロビンソン夫人。
「今まで他の人と関係があったけど、今は君が好きだ」と告白。
エレーン、母親との仲を知ってショックを受ける。
- ロビンソン夫人の部屋
この母娘の会話が楽しかった。
酔いで目が回ってるエレーンに、「目を引っ張るとラクになる」と、二人してキツネ目のヘンな顔。
吐きそうなエレーンに、「カーペットの上は止めて」と、ワガママな夫人。
ロビンソン氏は歌が上手かったらしい。 夫人が、高い声が出る方法を教えて、何でも歌えるようになったら、歌うのを止めてしまった。
(アル中の母親と、ヤケ酒の悪酔いした娘…なのだけど、この二人のやりとりは何だかイイ。罵り合った後、すぐにロビンソン氏や悪酔い解消法について、ふつうに喋ってる)
- (幕の前?)ベンジャミンの部屋?
「エレーンと結婚する」発言に大喜びのベンジャミンの両親
実際は、まだプロポーズもしてないと知って 何だソレ?
第2幕
- バークレーのベンジャミンの部屋(エレーン)
ストーカー状態のベンジャミンに、もう やめてくれと頼む。
エレーンにプロポーズ。
カールもプロポーズしているらしい。
エレーン、立ち去ろうとして戻って来てベンジャミンにキスする
- バークレーのベンジャミンの部屋(ロビンソン氏)
夫人から離婚を切り出されたロビンソン氏。
妻を寝取るなんて、キミはワタシに何か恨みでもあるのかね?と泣く。
- バークレーのベンジャミンの部屋(両親)
不倫するようなヤツはおかしい、と精神科に行くことになる
- (幕の前)アヤシイ精神分析医
ベンジャミンと両親はビーズクッションに座っている。
精神分析医(?)は、ヒゲもじゃでヨガの瞑想ポーズ。 うさん臭いし、こんな医者を頼りにするなんて、いかにベンジャミンの両親が動揺しているか察せられる。
「嫌いと言えば食べさせず、好きなものばかり食べさせていた。なのに、何が気に入らなかったの?」という母親の話から、ベンジャミンが過保護に育てられたことが判る。
- 教会(エレーンは客席から登場)
(サファリジャケットのようなベージュの上着)
ベンジャミンが結婚式に乱入して、新郎を殴ってエレーンを略奪したところらしい。
ベンジャミンのプロポーズに「あなたに人生メチャクチャにされたくないの」と一度は断る。
ロビンソン夫人が「そうやって、いつまでも父親の お気に入りの娘でいなさい。小心者で自分から何も出来ないんだから」と憎まれ口を叩くので、「そうじゃないわ!」とベンジャミンに着いていくことにする。
ロビンソン夫人は、離婚を切り札に、ロビンソン氏に言うことを聞かせる。
すぐに飽きちゃうでしょ、といいつつ祝福
- モーテル(?)のフロント
宿泊代を負けてもらう
高級ホテルと違い、ここは先払い。
- モーテル(?)の部屋
ベンジャミンにせびったタバコをふかし、「ファスナー下ろしてくれない?」というエレーンは、以前ベンジャミンが言ったこと(ロビンソン夫人の誘いかた)を覚えているのか? 「この母にしてこの娘あり」なのか?
今後、ベンジャミンがエレーンの尻に敷かれそうな予感がして、シニカルな感じした。
タバコ吸わなさそうなベンジャミンのポケットに、ちゃんとタバコがあるのがビックリだ!
エレーンの大好物はチェリオス(シリアルの商品名らしい)
ベンジャミンのトランクの中からチェリオスが出てくる。
ベッドの上でジャレ合いながら食べ始める … ストップモーションで幕
- カーテンコール
深々とお辞儀する健くんの背中にシャツが汗で貼り付いていた。 お疲れさま
【パンフレット】
- 白い表紙のA4サイズ。
- コントラストがソフトなモノクロの写真。
カメラマンは Wink Upの小林ばくさん。 健くんの自然な表情を捕らえている。
稽古シーン数ページ。
- 出演者の紹介とコメント。
健くんは4ページ、秋吉さんと星野さんが3ページ。
- 演出家、音楽評論家、おすぎさんが文章を書いている。
個人的には おすぎさんより、短くても良いのでVメンバーの文章が読みたかった。
(せっかくグローブ座がジャニーズ専用になったのだから、トニセン三部作のときのように出演者がリレーで文章を書く、というのはどうでしょう?(健くんの文章が載っているパンフレットを買うために「TRUE
WEST」を観に行かないといけなくなるけど))
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