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【舞台装置】
劇中劇の劇場のカーテンと亡霊のマントが同じ素材。
少し透けていてラメがキラキラ。
- 【だいたいのあらすじ】
羽沢(バイトしながら、この劇でフォーティンブラス役をもらっている青年。長野さん)
「ハムレット」に"友情出演"している映画スターのキンキラおじさん
「ハムレット」の主役であるキザな俳優
ハムレット役の俳優の太鼓持ち(サンダンスの弘二監督の腰巾着時代は、もしかするとこんな感じ?)
オフィーリア役の全盛期をほんの少し過ぎかけている女性アイドル(山川恵里佳ちゃん)
芝居を志す若いカップル(男性(岸川)はオズリック役で村上信五)
元アングラ演劇青年だった、おじさん俳優。羽沢の話し相手 … 「ニワトリの首から生き血を吸うことができなくて、アングラを止めちゃったぁ」
スキンヘッドのオカマっぽい美青年若手俳優
劇場の主と呼ばれる薄幸そうな中年女優
そこそこキャリアがありそうな女優さんたち
文学青年っぽい演出家
劇場に出没する男性の亡霊
それぞれにコンプレックスを抱えている( 悩みがないのは、理屈を超えたポジティヴな世界に生きている映画スターのオジサンくらい
)が、「夢に向かって頑張っているんだ」と力説してハッピーエンドになだれ込むのは、いつか観たような横内さんの脚本。
有無を言わさずに持って行く長野さんのパワーに押し切られて、観客の自分もハイテンションになっていった。
- オープニング
(たぶん、日によって違う)
バイトから劇場に駆けつけた羽沢が、元アングラおじさんと会話。
着替えなきゃ、とジャンパーを脱ぐと、水色のタンクトップ。 背中には血糊がついていて、「トイヤー」のピーターの衣装。
踊るか何かしてめくれて お腹が見えるのは、ちょっとしたファンサービス(笑)。
元アングラおじさん「この劇場は、よく脱ぐねぇ」…「シェルブール〜」はほとんど肌が見えませんでしたが(ネクタイ締めるのと、ワイシャツをズボンにたくしこんだ程度)。
雨傘も出てきた。
- ハムレット役の俳優はカッコつけるばかりで、せりふはカンペを見ているひどい芝居で、脇役たちはすっかりふて腐れている。
カーテンコールでは、羽沢は紹介を飛ばされてしまう。
岸川とその彼女だけが、ただ黙って役に打ち込んでいる。
- 舞台裏で酒盛りする元アングラ、オフィーリア役のアイドル、羽沢の前に、フォーティンブラスの父と名乗る亡霊が現れて、明日の芝居でハムレットに復讐することを約束させる。
- 劇場の主のような中年女優によると、その亡霊は、やはり俳優だった岸川の父らしい。
そして彼女は彼の不倫相手で、岸川と岸川の母から、父/夫を奪った過去がある。
- そしてハムレット役の俳優は、映画で監督夫人の女優をケガさせたので現在仕事がないだけでなく、トラウマで剣を使うシーンで妙なテンションに陥るらしい。
- 女性アイドルは、バラエティのロケで死にそうな体験をしたり(しかもスタッフがいい加減)、写真集撮影でカメラマンのセクハラに遭ったり、私だって、辛い仕事をしてきたのよ、と。
- 次の日の芝居が終わって、また現れた亡霊は、昨日の偉そうな態度とは違う。
中年女優や、岸川を思い出すことを拒絶して、演劇の世界に没頭しようとして、ついには自分はハムレットだ、とまで主張始める。
- 数夜の芝居と亡霊との会話を繰り返すうちに、亡霊自身も、演劇に没頭して、でも演劇に心残りのまま死んでしまったコンブレックスがあることが次第に明らかになっていく。
- 共演者や亡霊の演劇への熱意に触れて、羽沢は自分を侮辱するハムレット役者に反論する(もろに横内節なので、ちょっとデジャヴ(←もともとこちらが先))。
- ハムレット役者のコンプレックスの張本人、彼をクビにした映画監督が芝居を観に来た夜、名誉挽回にと燃える彼を中心に、「演劇の神様が笑ってくれた」と舞台が熱を帯びていく。
白けていた役者仲間が和解して、強烈に明るいダンスシーンでハッピーエンド。
- 【長野さんのツボ】
- 80年代のディスコソング(よく聴く曲だけど、タイトル不明)で踊る。
ウリウリでキラキラな笑顔、澄まし顔が眩しい。
もこもこした手がご愛嬌。
もちろん、演技&照明で体温が上がった身体は、ツヤツヤのもち肌(羨)。
- 面白さか微妙で、客が反応に困りそうなネタでも、勢いで押して笑いに持って行ける重戦車・長野さんの偉大さを再認識。
- 【その他】
- 岡村さんの演出だけに、亡霊シーンの光った布を使った見せかたなどは美しかった。
- 太鼓持ちダニエルがティッシュの箱を持って、ハムレット役の俳優の後に着いていくのは…面白いんでしょうか(困惑)?
- ハムレット役の(元)スター俳優が、劇中劇のラストで歌う。
後で、「やっぱりチハルじゃ盛り上がらん」
「WAになって踊ろう」で盛り上げようとするが、観客は苦笑しているだけ(汗)
前半では割と憎まれ役なので、その人にV6歌われても、当惑してしまう。
- 出演者が色白だったから…ではないと思うが。
照明が明るくて、出演者の表情がハッキリ見えた。
「シェルブール〜」「トイヤー」は暗くて、この劇場は電力か何かの制約で明るくできないのか?と思っていたが、「フォーティンブラス」では、ふつうの舞台の明るさ。
(出演者が汗だくだったが…もしかして、電球との距離が近過ぎ?)
「シェルブール〜」もせっかく前の席に当たったのだから、これくらい明るいところで出演者をハッキリと観たかったな…。
- 【パンフレット】
- 何と言っても、長野さんへの坂本さんのコメント(長野さんを紹介する文と言うより、長野さんへのコメント)。
何なんでしょう、無口な夫が妻に出した10年目のラヴレターみたいな この文面は。 オタク心を煽っているのか(笑)!?
でも、坂本さんの肉声が聞こえてきそうな、彼らしい文章で、読めて嬉しかった(欲を言うと、直筆で掲載していただきたかった…)。
- トーンを抑えた雰囲気のある写真が多い。
- 出演者への一問一答、稽古風景など。
楽屋の必需品のポラロイド(本人のコメント付き)が楽しい。
長野さんは、漢方っぽいのど飴。
- ラストに、世界の有名劇場物語のコラム。
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