シェルブールの雨傘(再演)
セットなど
ストーリーに沿って
パンフレット
感想
2003年01月16日(木) 19:00〜19:50 20:05〜21:10
2003年01月19日(日) 18:00〜18:50 19:05〜20:10
於:東京グローブ座
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【セットなど】
- 傘を散りばめた網
大道具の階段2つで空間を使う。
左右に離して配置したり(基本)、2つ合わせて幅広の階段にしたり(ジュヌビエーヴの結婚式)する。
舞台の客席に近いところに、雨が降ります(最前列の希望者には、ポケットレインコート貸し出しあり。でも濡れたい人のほうが多かったようだ(いい記念になるものね))。
雪…は小さく切った銀テープ。 リーダーのノドに貼り付かないか、思わず心配になってしまう。
ステージ全部を使わずに、コーナーだけにライトを当てることも多かった。→他方のコーナーでは次場面のスタンバイ。
ヘッドセットのマイクが前頭部にある(目立たないが、気付くとちょっと妙な感じ)。
- 演奏
楽団が小規模
サントラでは、オーケストラの音楽と、ビッグバンド風のジャズがハッキリ分かれていた。
演奏スタイルやリズムの対比を重視しているような印象を与えるサントラ版では、自動車修理工場のちょっと騒がしいジャズから傘屋の情緒的なストリングスの音楽に変わると、世界が違い過ぎて、ギィとジュヌビエーヴが結ばれない運命にあることをひしひしと感じさせたりする。
舞台では各シーンの音楽を通して、統一感があった気がする。
ギィとジュヌビエーヴの住む世界が違う、とはあまり感じなかった。
- 訳詞
ところどころ違和感があった…裏返せば、それ以外は馴染んでいたということでしょう。
三連符ではないところが、日本語の文字数の都合で三連符になっていたりすると、アレッと思う。
音符の数と文字数が合っていないのは仕方ないとは言え。
固有名詞の位置は変えないで欲しいと思った(フランス語でも日本語でも「ジュヌビエーヴ」は「ジュヌビエーヴ」)。
ギィの突然の早口「ジュヌビエーヴ!」
原語では1音。 別に名前は呼んでいない。
宝石店
カサールの「ローラン・カサー "ル。です"」
原語では次の文。
全般的にせりふが省略されていた。
音の数の都合だけでなくて、そのまま言うと日本語では理屈っぽくなる場合にも、省略されていたようだ
その影響は、良いほうにも、物足りないほうにも。
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【ストーリーに沿って】
★坂本さん登場シーン
★☆坂本さんダンスシーン
第1幕
- プロローグ★☆
雨の中、傘を差して行き交う人々。
ジュヌビエーヴとギィが別の方から現れ(ギィは自転車に乗っている)、親しげに軽くダンス。ギィ、恋に恋する青年といった表情で空(客席のほう)を見上げている間に、ジュヌビエーヴは人込みに紛れて見えなくなる。焦るギィ。
黒の革ジャン。リーバイスのジーンズは新品(別に構わないが)
自転車に乗って登場する。
坂本さんが客席を見つめるときの潤んだ瞳。 夢見るような表情。
一気にロマンチックなラヴストーリーの世界に引き込まれる。
- 自動車修理工場★(☆)
《活気のあるジャズ》
汚れた白のツナギ
同年代の若者数人と働いている。 ボスの残業命令をピエールに振って、仕事の後の娯楽についてワイワイと意見を交わしている。
「金曜の夜に残業なんて、ヒドいぜ」
オペラの演目は「カルメン!」と言った後、階段の上でフラメンコを踊って一人で悦に入っているのは、ギィと言うより坂本昌行(笑)。 ファンとしては和みポイント。
「やっぱりダンス!」と主張する同僚に手を取られ、社交ダンスの女性役(?たぶん)を割り当てられるギィ、脚がもつれている。
ギィは「ciao!」と挨拶して工場を出て行く。
- 雨傘店の前★
《ジュヌビエーヴとギィのテーマ(ブランコのように揺れるメロディ。恋に逸る気持ちを示すように、メロディーの上下が激しく目眩く感じ)》
ブルーのシャツに茶色の背広の上着
「モナムール、モナムー」と、ジュヌビエーヴが待ちかねてギィに話しかけて来るが、傘屋に客が来て中断。通行人の中にカサールさんが混じっていたような?
- 雨傘店の中
《引き続きジュヌビエーヴとギィのテーマ》
傘屋に男性客が来る。エムリー夫人が応対。帰って来たジュヌビエーヴに傘を出させる。
- エリーズの部屋★
《エリーズの部屋のテーマ(穏やかな優しいメロディ)》
車椅子に乗ったエリーズに、マドレーヌが「アンナと王様」の本を読んで聞かせている。 しかし、エリーズはギィのことを考えて上の空。
ギィも年頃だから、素敵な彼女が出来るといい、とエリーズ。
ギィはただいまを言うなり、夕飯を断って奥で着替え始める。
気もそぞろなギィは、奥から着替えながら出てくる(笑)
白シャツにレジメタルタイという新入社員のような服装。 シャツのボタンもいくつか
していなくて、ネクタイも首にひっかけただけ。
観客の前でネクタイをキュッと締める(ファンサービス(笑)?)。
綺麗な女性と会うんだ、好きかもね、というギィに安堵(?)の涙を流すエリーズ。
ギィに密かに恋しているマドレーヌ。 ギィに「悲しそうだね」と言われてしまう。
- ダンスホールの前★
《?》
ジュヌビエーヴはローウエストの茶のワンピース。襟元に共布のリボン。
ワンピーズは仮縫い中で針が付いているらしい(←その割には、その後で踊ったりしているが)。
- ダンスホール★☆
《コンチネンタル・タンゴ(?←記憶曖昧)》
ジュヌビエーヴ、飲み物のオーダーがレモネードというのが、初々しい感じで可愛らしい(きっと緊張しているのだろうな…)。 同じものを頼むギィ(坂本さんにレモネード…激しく似合わない(笑・坂本さんとアップルパイくらい似合わない))。
男性陣(坂本さんと男性ダンサー)がひと通り踊った後、女性と組んでペアダンス。
社交ダンスを踊りながら、家を抜け出すためにママについたウソが危うくばれるところだった、とギィに言うジュヌビエーヴ。
「私、ウソがヘタなの」とスネる様子は、彼氏に甘え放題のお嬢さんそのもの(でも可愛い)。
《曲がマンボに変わる←ジュヌビエーヴがマンボだと言っていた》
- 海岸通り★
《ジュヌビエーヴとギィのテーマ》
もう深夜なのに、離れがたい二人。
ジュヌビエーヴが手鏡を覗き、「私の化粧はヘンじゃない?ここ(頬)は?」と訊ねると、ギィがそこにチュッ。
ふつうの男女がやったら顰蹙もののバカップルだが、この2人に限っては可愛らしくて、もう笑うしかない。
家族として一緒に暮らす将来の生活の夢を語り合う二人。
身体を使って「真っ白なガソリンステーション」の建物の形を示すギィ。
「もう、ボクのことをママに話してくれた?」と問うギィに、
ジュヌビエーヴ「まだ、だってきっと『まだ若すぎる、結婚なんてバカな』って反対するに決まってるもの」
- 雨傘店
エムリー夫人が、ジュヌビエーヴが予想した通りの言葉で結婚に反対する。
《エムリー夫人、たしなめるように強く歌ったり、宥めるように優しく歌ったり》
《ジュヌビエーヴ、歌曲のような優しい旋律》
まるでメンデルスゾーンのような優しい歌曲風のメロディでギィへの想いを歌うジュヌビエーヴは、エムリー夫人から、恋に恋する少女のように見えるのかも知れない。
店のドアをノックする客がいるが、あきらめて帰る。
郵便が来る(深夜なのに)。 借金返済の督促状らしい。
《急に曲が緊迫感のあるスピーディなジャズに変わる》
どうするの? 母娘で あれこれ迷った末、ネックレスを売ることにする。
《解決案が出たところで、長調に転調》
- 宝石店
《カサールさんのテーマ。穏やかな優しいメロディー》
デュプールがカサールの持って来た宝石類に感嘆している。
エムリー夫人とジュヌビエーヴが入って来る。
ジュヌビエーヴは白いベレー帽に短い白いマント。 可愛すぎ。
《エムリー夫人の告白》
ネックレスを手放すまで、娘と相談したいそう迷ったことや、店の窮状を切々と訴えるエムリー夫人。 断るデュプール氏。 母娘、帰ろうとする。
《カサールさんのテーマ》
カサールさんがネックレスの買い取りを提案。
「パリやロンドンでなら、すぐに売れるでしょう」
さりげなく褒め言葉が巧みなカサールに、虚栄心(ミーハー心)くすぐられたように、うっとりするエムリー夫人。
- 雨傘店
《小粋なジャズ←記憶曖昧》
カサールさんの訪問が遅れているので、ヤキモキしながら待っている母娘。
ジュヌビエーヴ、カサールさんの到着を待たずに、出掛けてしまう。
カサールさんが封筒に入ったお金をエムリー夫人に渡す。
- 海岸通り★
自転車と黒ジャンパー
ジュヌビエーヴは家出してでも結婚しようと切実ながらも明るく言うが、召集令状を受け取ったばかりのギィは悲痛な表情で聞いている。
《シェルブールの雨傘のテーマ》
その日の朝、召集令状が届き、アルジェリアに行かなければならないことを告げる。 「兵役は2年」「今の状況から見て当分は(戻れない)」
2年も待てない! 寂しくて死んじゃう! 隠れてちょうだい、と取りすがるジュヌビエーヴを宥めるギィ。
いちゃつくカップルが二人の目に留まる。
「最後の時を無駄にしないで、美しい思い出を作ろう」とジュヌビエーヴを部屋に誘う。
原語の歌詞にはないところで「ジュヌビエーヴ」とあり、坂本さんがたいへん歌いづらそうに力を込めて発音していた。
- エリーズの部屋★
《?》
車椅子のエリーズはギィを心配するためか、体調がすぐれないようだ。
エリーズに見つからないように奥に行くジュヌビエーヴ。
叔母さんにお休みの挨拶をして、奥に行くギィ。
- ギーのベッド★
ギィとジュヌビエーヴが部屋に入ると、すぐに暗転。
《オモチャのピアノが、可愛らしく ぎこちなく「シェルブールの雨傘」のテーマを演奏》
ステージュ前方中央で、裾がフレヤーになった白いスリップ(ドレス)を着た女性ダンサーと、柔らかな白シャツをはだけた男性ダンサーが、リフトしたり、ロマンチックな中にも親密なダンス。
女性はほっそりした人で、男性は長髪を後ろで結んだ人。 男性ダンサーは、カサールさんのプロポーズのときも、ギィがジェニーのベッドに入ったときも、同じ人だった。
- エムリー夫人の部屋
《悲しいが愛らしいメロディー》
ガウン姿のエムリー夫人、白のコットンの寝巻のジュヌビエーヴ(激カワ)
「あの人が兵役に行ってしまう、私は生きていかれない」
泣き崩れるジュヌビエーヴを慰めるエムリー夫人。
- エリーズの部屋★
《エリーズの部屋のテーマ》
マドレーヌがギィの荷物を作って持って来る。
エリーズ、遺産はギィに譲るので、手紙をちょうだいとギィに頼む。
ギィ、真剣に肯いて、エリーズの手を握る。
- 駅★
《シェルブールの雨傘のテーマ》
ステンカラーのコート
下手の階段上に二人で腰を下ろして、ギィがジュヌビエーヴの肩を抱いて。
別れ際、ジュヌビエーヴの「行かないで!」の声に、荷物を置くギィ。
肩に顔をもたせ掛けてターン。
腕を大きく拡げてから抱擁。 そのまま抱き合ってデュエット。
(この間、ずっと悲痛な表情の坂本さんがメチャクチャ可愛い)
(坂本さんの歌(声の振動)を、音と身体で受け止めている藤谷さんは、かなり体力を使うだろうと想像。お疲れ様です)
2人の声が交差して聞き取りづらいが、ジュヌビエーヴは「ギィ、忘れないで」など、未来を暗示するようなことを言っていたようだ。
最後は跪いて、手と手を握り合い見つめ合ったところで、暗転。
第2幕
- ジュヌビエーヴの悲しみ
人々の行き交う通り。毛皮のマフラーをして、医者から戻るジュヌビエーヴ。
- 雨傘店
《?》
店のウィンドーの外を通る若いフランス兵と、彼に抱きつく女を見て、倒れるジュヌビエーヴ。
エムリー夫人に問い詰められて、妊娠したことを告げる。
動揺するエムリー夫人に対して、ジュヌビエーヴは産んで育てる決心を固めている。
カサールさんとの晩餐
公現祭のゲームをする3人。
ジュヌビエーヴが紙の冠を戴き、願い事をするように言われる。
カサールが「まるで赤子を抱いた聖母マリア」とジュヌビエーヴを褒めたので、娘の妊娠を知っているエムリー夫人はドキドキする。
頬が火照ったのを、「飲み過ぎたようですわ」とごまかす。
気分が悪いと退出するジュヌビエーヴ。
カサールがエムリー夫人に「ジュヌビエーヴを戴きたい」と切り出す。
娘の妊娠を知ったばかりで、内心 してやったりなのに、「娘はまだ私にとって子供なので、結婚と聞いて驚きました」と渋って見せるエムリー夫人。
《音の上下や転調の激しい、ジェットコースターのような不安定な曲。結婚についてのカサールさんの真剣な気持ちと、エムリー夫人の悲喜こもごもの気持ちを現している?》
女の貫祿十分の中川さんが圧巻。 主役の若い2人が他のキャストに変わったとしても、エムリー夫人だけは中川さんが演じそうな素晴らしさ。 せりふだけ読むと、世知長けて計算高い女に見えなくもないエムリー夫人だが、中川さんの大らかさのお蔭で憎めない女性に感じられる。
エムリー夫人「でも、まだあなたのことをよく知りませんし、娘になんと伝えてよいやら」
《カサールさんのテーマ》
ジュヌビエーヴという理想の女性に出会うまでの半生を、ロマンチックに歌うカサール。
上手で、シャツを着崩した長髪男性ダンサーが恋への憧れに のたうつように踊る。
- エムリー夫人の部屋
《?》
ギィからの手紙が来ないので嘆くジュヌビエーヴ。
「手紙も書けない危険な前線にいるのかしら」と心配する。
カサールさんからは、絵はがきが着ているらしい。
- 野戦地★
フランス兵服(帽子が頭の上にちょこん)
中央奥の、少し高いところに肘をついて横になって手紙を書いている(手帳みたいな便箋に)。
《ジュヌビエーヴとギィのテーマ(鼻唄調)》
「ぼくの子供が男の子なら、… 名前は…」
身体を横たえているので歌いにくそう。
- カーニバルの日
《三拍子のノスタルジックなメロディー。「みんな 浮かれ てーー。カーニバルは
嫌い だわ」》
- 雨傘店
《?》
やがて生まれる赤ちゃんのために、セーターを編んでいるエムリー夫人。
お腹が大きくて醜い、と気にしていたジュヌビエーヴも、エムリー夫人に「身重の女は綺麗よ」と言われて納得。
楽天的な母娘が、微笑ましい。
- ジュヌビエーヴの孤独★?
エムリー夫人は、カサールさんからの贈り物をジュヌビエーヴに渡す。
ママとジュヌビエーヴの口論。
《緊張感に満ちた難しそうなメロディ》
お腹の大きい自分を見ても、もしカサールさんの気持ちが変わらないなら、断る理由がないと悩むジュヌビエーヴ。
上手からカーニバルに紛れて登場する軍服のギィ(無表情)。
ジュヌビエーヴを咎めるような視線を送る。ステージ奥に移動して、じっと見つめる。
《シェルブールの雨傘のテーマ》
「どうして私ひとり残っているのかしら」とせつせつと歌う。
個人的にはこの辺りが泣きポイント。
(舞台上に坂本さんがいると、つい視覚の歓びが優先してしまう)
- 結婚式
《オルガン曲》
参列者が出てきた後、下手からウエディングドレスにベールを着けたジュヌビエーヴ登場。 言うまでもなく美しい。
カサールと手を取って、階段を昇っていく。
上手で、紺のレインコート姿のマドレーヌが呆然と立っている。
暗転。
- 海岸通り★
ギィ帰仏。 少し右脚を引きずっている。
《わびしい感じのシェルブールの雨傘のテーマ》
他の帰還兵たちと、待っている若い女たち。 雨の中、女性は傘を差している。
期待を込めた目で傘の中を覗き込み、ジュヌビエーヴを探すが、いない。
落胆するギィ。
- 海岸通り★
マドレーヌが迎えに来る。
- エリーズの部屋★
《エリーズの部屋のテーマ》
マドレーヌが、ギィにジュヌビエーヴが来ない事情を説明する(原作はエリーズ)。
ジュヌビエーヴの嘆きを聞いていると、まるでギィの手紙は届かなかったような印象を受けるのだが、実際には、手紙のやりとりがあったようだ(ギィが怪我で入院したため音信不通になった)。ジュヌビエーヴとしては、毎日でも手紙が欲しかったのだろう。
ギィとしては、ジュヌビエーヴの手紙がだんだん よそよそしくなってきて不審に思っていたようだ。
ギィが膝の怪我の話をする。 膝の痛みで天気を当てられるよ。
《多少マイナーな軽快なジャズ》
エリーズが部屋に入って来る。 《エリーズの部屋のテーマに戻る》
ギィが戻って来たので、もう思い残すことはない、と感涙。
- 自動車修理工場★
《修理工場の音楽は、いつもビックバンドのジャズ》
仕事は手抜き、勤務態度は悪いとボスに叱られ、「辞めてやる!」と癇癪を起こすギィ。
(ツナギを脱ぎ始める。)
- ホテルのバー★
「ワイン、もう一杯 … お代はこれで」
「小銭はないのか。まったく今の若いヤツときたら」と店の主人に言われ、ケンカしそうになるギィ
薄物を身にまとった女性と水兵が踊ったりして、このバー、ほとんど置屋です。
黒のロングドレスのジェニーに誘われるギィ。 ヤケ気味に着いて行ってしまう。
ジェニーは出掛けに、店の主人に「やったわ!」みたいな小さなサインを送る。
- ジェニーのベッド★
暗転後、舞台上手でスポットライトを浴びた男女ダンサーが、粗暴な感じのエロぽいダンス。ちょっとムッチリした体型の女性はベビードールのような下着を着ている。
ジェニーのベッドにスポットライト。
ズボンにシャツをたくし込む身支度が丁寧(笑)。 ウエスト細すぎ(涙)。
ジェニーはタバコを吸いながら、ジュヌビエーヴの話をする。 どうやらジェニーも、密かにギィに憧れていたらしい)。
《ギィ帰仏からこのシーンまで、シェルブールの雨傘のテーマや、ジュヌビエーヴとギィのテーマがたびたび
もの悲しく流れ、ギィの未練が感じられる》
- 海岸通り★
《場末のバーのようなピアノが流れる》
塀に寄り掛かる(襟元はなんとなく着乱れている)ギィは、微妙に「のけぞり坂本」。
マドレーヌがエリーズの訃報を伝える。 ギィ、自分の過ちに目が覚めた!という表情
《オルガンでじゃじゃーん!》
- エリーズの部屋★
《ジークフリート牧歌を彷彿させる優しいメロディー》
ここに残るのは辛いから、と荷造りするマドレーヌ。
残ってくれと頼むギィ。
今のあなたは、暗くてトゲトゲしくて別の人みたい、私が力になれそうにないわ、と断られそうになる。
「もし、ぼくが是非残って欲しいと頼んだら、残ってくれる?」
「もちろんよ」
マドレーヌは身寄りがないという歌詞が省略されている。
そのせいで、ギィが自分のワガママで残るように頼んでいるように聞こえてしまうのがイヤ。
マドレーヌも遠慮しているのではなくて、ただ勿体付けてるように見えてしまうし。
初演時ほどギィが弱々しくなくて良かった。
(初演時は、子供みたいに膝を抱えていて、痛々しいくらい弱そうだった … 坂本ファン的にはカワイかったのだが、まるでマドレーヌが ギィの不幸(ジュヌビエーヴに振られ、叔母さんに死なれた)に付け入ってギィの彼女の座についたように見えて、マドレーヌの印象を悪くしていた気がする)
再演版のギィは、「悲しいけど、明日からのことも考えなくちゃ」という感じ。
マドレーヌに残ってくれと頼む坂本ギィの目はキラキラ。
- カフェテラス★☆
マドレーヌがカフェテラスにいると、ギィが張り切って走って来る。
スーツ。白のワイシャツに色の薄いレジメンタルタイ。
マドレーヌも襟の開いたピンクのワンピースでオシャレに。
《三連符が小洒落た華やいだ音楽》
ガソリンスタンドの権利書を持ったギィ、マドレーヌにプロポーズ。
マドレーヌ、「あなたの心には まだジュヌビエーヴが居るのじゃない?」
ギィ「ジュヌビエーヴのことは、過ぎた話さ」
曖昧に言える日本語って便利!!!
原語では「ジュヌビエーヴのことは、もう考えたくない」のように もっと理屈っぽい表現で、日本人にはイヤな感じに聞こえる(フランスではふつうの言い方なのかも知れないが)。
しかも、坂本さんのすこーん!と抜ける陽性の声で歌われた(語られた)ら、彼の過去なんて
誰でも許してしまうだろう。
ギィの夢は、たとえ ささやかな生活でも、ひとりの女性と同じ目標を持って生涯頑張り続けること。 だからマドレーヌ、着いて来てくれないか。
感謝の涙を浮かべるマドレーヌ。
坂本さんのダンス〜星奈さんとのデュエット・ダンス。
舞台の幅いっぱいに使った大きな動き。
ラストは椅子(テーブルだった?)の上に乗って上に掲げた手のひらを合わせる。 ダンサーたちが周囲で祝福するように踊る。
(この間の着替えって忙しそう。星奈さんは髪型も変えなければならない)
- ガソリンスタンド(マドレーヌ)★
《クールなモダン・ジャズ。 オトナの雰囲気》
襟がボアになった紺のジャンパー(ESSOの作業着)
事務所のデスクには、アルミの灰皿
クリスマス・ツリーのセッティングを終えたマドレーヌが、坊やを連れて買い物に出掛けようとする。
「冷たい手」とギィの手を頬で温めるマドレーヌ。
マドレーヌの「愛しているわ」に、ギィ、後ろから抱きしめる(TRのラストシーンを思い出させる)、子供を高々と抱き上げる
子供が「ciao」と挨拶するのは、きっとパパの教え(笑)。
- フィナーレ(ジュヌビエーヴ)★
クラクションが鳴り、黒のファーコートを着て髪をアップにしたジュヌビエーヴが入って来る。
黙って見つめ合う二人。
《アルジェリア出征前に熱く愛を誓い合った、二人のテーマ曲がインストでバックに流れる》
寒いわね、と言うジュヌビエーヴを事務所の中に呼び寄せるギィ。
ギィ、落ち着くためのようにタバコを銜える。
坂本さん、ホントに吸っていた(苦笑)。
店員が注文を取りに来る
クリスマス・ツリーに気付くジュヌビエーヴ。
「それはうちの家内が」
ギィの答えに、彼が家庭を持っていることを察する。
ギィが、ジュヌビエーヴの黒い服に気付く。
エムリー夫人が亡くなったと答えるジュヌビエーヴ。
ギィ、ジュヌビエーヴの娘の名前を聞く。
「フランソワーズ。ここに呼びましょうか」
ちょうどそのとき、店員が戻って来る。
ギィ「終わったようだ」
二重の意味があるようにも取れるギィの答え。
今は幸せだと答えるギィの顔を、万感の想いの表情で見つめて(でも心なしか微笑んでいるような?)、ジュヌビエーヴ、来たほう(下手)に去って行く。
(ジュヌビエーヴにしても、(心ならずと言っても)振った相手が、今、元気にやっていたほうが、パリで安心して生活できるかも)
ギィ、ジュヌビエーヴが去ったほうを見て、物思いの表情で立ち尽くしている。
バックの音楽が一段と盛り上がる頃、マドレーヌたちが帰宅し、場が和やかになる。
マドレーヌからギィへのクリスマス・プレゼントはマフラー … 毛皮コートのジュヌビエーヴに対して、つつましい生活が偲ばれると思うのは、穿ち過ぎかも。
ギィがフランソワを抱き上げて、マドレーヌを笑い合って幕(16日)。
日によって多少違うみたい。 19日は子供を抱いて、マドレーヌの肩を抱いていた。
ギィ一家が素敵なので、このシーンがハッピーエンドに見えて、ほのぼのしてしまう。
- カーテンコール★
カーテンコールでは、肘パッチのついた黒のブレザーに着替えている(あの青ジャンパーではあんまりだものね)。
2度目に登場したとき(坂本さん上手から、藤谷さん下手から登場、見つめ合ってゆっくりと歩み寄りながら)、テーマを一節、歌う
坂本「ぼくの心は永遠に君のもの」「君をこの手に抱き締める」
藤谷「あなたの腕に抱かれる その日を夢見るわ」
みたいな歌詞。
坂本さんのツヤっぽい声で歌われる王道のラヴソングに、ファンとしては、一も二もなくうっとり。
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【パンフレット】
- 前回のような「別モードの坂本昌行(端正で繊細そう)」はないが。
大判の1ページにソロで写っている写真も多くて、部屋に飾れそう(ずっと一昨年の11月のカレンダー(家具屋の優しそうな青年)のままだった)。
ギィっぽい茶系のスーツ(チラシやCMになっているもの)。 どの写真も、バンビのような瞳と、コケティッシュに上がった口角をしている。
ウエスタン調の青シャツ+黒ジーンズ(「演技者。」の先行発売告知時に着ていたもの)。 これはかなりアイドル・モード。 でもシャツからキュッとした鎖骨が覗いている写真もあり、満足(しかもシャツがジャストサイズで体型がよく判る)。
- 坂本さん紹介ページに、いのっちのコメント。
- 栫ヒロさん
今回は、「シェルブールの雨傘」という作品への思い入れ。
初演時の写真が数枚(今回より、だいぶ髪が長かったのね)。
この人は男性だろうか、女性だろうか。 「権利保持者」なんて厳めしい肩書から男性を想像するが、V6デビュー以前の坂本さんを目敏くチェックするくらいだから、女性なのかもしれない。
- 稽古風景
- ファンクラブで予約した場合の記念品は携帯ストラップ。
昨年のアジア公演のオフィシャル・ツアーの記念品と、飾り部分が違うだけで後は同じ。 飾り部分はグレーの滴型で、「シェルブールの雨傘」と書いてある。
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【感想】
- 2時間足らず、ただただ陶酔して見入って&聴き入っていたので、言葉にするのが難しい。
(坂本さんと、ジュヌビエーヴ役の藤谷さんだけでなく、今回はマドレーヌ役の星奈さんまで美しいのだから、何という眼福! … 他のキャストのかたがたも、それぞれに魅力的(エムリー夫人、ジェニー、エリーズ,etc.
)。宝石商のデュプール氏なんて、役柄としてはカサールさんの引き立て役なのに、あんなナイスミドルである必要があるんだろうか(笑))
(映画版では、素敵なのはジュヌビエーヴとカサールくらい(エムリー夫人とエリーズはまあまあ)。 ギィもマドレーヌもあまり感じが良くなくて、ジュヌビエーヴの敵役にしか見えない。 郵便配達はオジサンだし(新大久保版では東山義久さんという若いダンサー))
(しかも、新大久保版のキャストは素敵なだけでなく、自分で歌っている!(映画版は本職の歌手のプレレコ←それはそれで合わせるのが難しいのかも知れないが))
アドリブの入る余地がない構成された作品だから、ウケ狙いの脇役さんにイライラすることもなく、安心してうっとり出来たのが幸福だった。
- 再演決定前
まさか再演されるとは思わず、単に2000年のシェルブールの回想のためにサントラを購入。
ルグランが作曲の腕に縒りを掛けて作った多彩なスタイルの曲の虜になってしまった。
作曲の技法、演奏の技巧を凝らして、無礼なくらい聴くものの心を掻き乱してくれる名曲の数々。
テンポを自在に揺らす
フィナーレのオーケストラのリタルダンドとディミニエンドと言ったら、これでもかっ!という感じ。 あざといくらいだ。
テーマと変奏
他の歌を歌っていて、気分によって以前のメロディーが戻ってくる。
同じメロディーでも、長調と短調を行ったり来たり。
不安な気持ちは転調(2幕のジュヌビエーヴの曲、難しそう)
次のシーンに繋ぐ(「まだ若すぎる〜」ジュヌビエーヴ→エムリー夫人)
- 曲だけでも好きな上に、その曲が坂本さんの声で歌われるのだから、幸福の2乗。
- 坂本さん
登場するシーンは、全て可愛くて麗しかった。
メークで眉を整えすぎていないのも良かった(坂本さんは眉を整えすぎると、女性が男装したような顔になってしまう)
ジュヌビエーヴや、ジェニーとベッドに入った後の、男女の親密なダンスは、舞台でギィと両方やるのは無理 … トニコンでやってくれないかな?って、相手役は誰が?(また長野さん(笑)?)
しかし、(初演時に続いて) 悲しいはずのシーンなのに、坂本ギィの悲痛な顔が可愛くていとおしくて、思わず微笑んでしまうのは … ファンとしては楽しいのだけど、出演者のかたがたには申し訳ない。
- 藤谷さん
ジュヌビエーヴらしさでは出色。
可憐で美しい顔と、スラリと華奢で少女らしい体型は、あらためて言う必要もない。
細くて言葉がハッキリと聞き取れる声。
運命にもてあそばれて悩む不安な歌に、細い声がよく合っていた。
メロディーに感情を込めるのがうまい。「ひとりぼっちは…怖いの!」タメてから一気に訴えられると、見ているほうもグッと来る。
- 星奈さん
カフェのプロポーズのシーンでのピンクのワンピース姿の、ほっそりした胸元、スラリと伸びた脚、藤谷さんに負けず劣らず立ち姿が美しい。
そして何と言っても、踊るときの優美な動き! すっかりファンになってしまった。
ただ、星奈さんのダンスの優美さに気付いたのが、2度目の観劇のプロポーズのシーンだったので、個人的に何とも心残りになった(最初の観劇ではどうしても坂本さんだけを見てしまうので)。 もう一度、気合を入れて堪能したかった…。
いつか、全編美しいダンス(凄いダンスでなくて良いので、美しいダンス)のミュージカルを、坂本さんと共演していただきたいと思った。
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