デュアルテンプメータ装着計画

ヨシムラ:テンプメータ3兄弟
バイカーズステーション00/11月号より

・エンジンの熱問題

 エンジン、内燃機関は燃料を燃やしその燃焼エネルギーの一部を出力に変換している。一部と言うのは、燃料の持つエネルギーを全て出力に変換することは理論的に不可能で、どうやっても熱や音が発生するためにエネルギーロスを生む。エンジンが熱を持つのはそのためである。それはエンジンを構成する機械部品に熱膨張を引き起こし悪影響を与える。しかし内燃機関が登場して百数十年、技術の進歩とともにそれらの問題は、通常使用においてはほぼ解決したと言える。現在の車社会はその証明であろう。通常使用での温度範囲を設定し、冷却系を設計、設定温度での各部品の熱膨張率を考慮した部品設計によりエンジンは信頼性を得たのだ。そのためアイドリングが必要なのだが。

 だが、それは通常環境を必要条件としたものであり、十分な放熱環境が得られない場合はその限りではない。内燃機関は何をどうやっても熱を生むことからは逃れられない。放熱できなければエンジンは延々と温度上昇し最終的にピストンの焼きつき等を引き起こし、二度とその鼓動を打たなくなる。それをも回避するため、多くの車やバイクには油温計または油温警告灯が付いている。十分な放熱環境が得られない時の最終手段、壊れる前にエンジンを止めるために・・・。

・ジェベ公の熱問題・・・テンプメータ(油温計)装着立案

 御存知かとは思うが、現在うちのジェベ公はパワーフィルター化計画(ジェベル改造計画その2)実行中なのだが、どうも排気温度が高いような気がしてならない。エンジンもどうも熱っぽい。しかしそれは体感的にそう思えるだけであって確証があるわけではない。なぜならジェベ公には油温計も油温警告灯も付いてないからだ(空冷、特にオフロードモデルはほとんどついてないみたい)。全くガイドラインとなるものが無いのにあれこれ考えても仕方が無い。かと言ってオーバーヒートや焼きつきが起こっても困る。もしエンジン温度が異様に上がっていたとしたら・・・などと考えるとおちおち安心して走らせられない。

 と言うことでテンプメータ(油温計)を付けよう、と思い立った。早速調査してみる。問題となるのは金額と温度センサーの取り付け方法である。安くても付かなければ意味が無いし、付いたとしても高いと費用対効果の面で意味が無い。ところがほとんどのテンプメータは1万円台であった。高い!!! ただ単に油温が知りたいだけなのにそんな金出せるかぁー!!! しかも温度センサーは油温警告灯のセンサーと置き換える方法をとっているのであった。前にも書いたがジェベ公にはそんなもの付いていない。全く話にならない。

 即廃案。

 ・・・この計画は企画倒れになったかに見えたが、あることがきっかけとなり事態は180°アクセルターンすることになる。

 00年春、いつもの用品店のHPを覗いたときであった。そこに新製品情報としてヨシムラのデジタルデュアルテンプメータの紹介が載っていたのである。

・ヨシムラ:デジタルデュアルテンプメータとは

 ヨシムラはレーシングパーツメーカーとして有名な会社。マフラーではサイクロンが有名らしい。パーツだけでなくチューニングしたりレースにも参戦してるみたいだが、いまいち良く知らなかったりする。最近では、スズキGSX1300R隼のフルチューンコンプリートモデル「隼X-1」を100台限定発売したりもしていた。売れたかどうかは謎だが・・・だいたい256万円するんだし。でも下手な外車を買うより安くて速いか。そう言えばバイクパーツのフリーマーケットに行ったらヨシムラが出店していたのだが、ダンボール箱いっぱいに隼のウインカーを売っていたのはかなり笑えた。元の隼から剥ぎ取ったパーツが100台分あるわけだからなぁ・・・ウインカーは400個発生する計算になる。記念に買おうかとも思ったが、このまま余らせておいたほうが面白いので買わなかった。

 話を戻して、そのヨシムラがレーシングパーツのひとつとしてまず始めに出したデジタルマルチテンプメータと言うものがあった。液温、電圧、時計の3つの機能を備えた代物である。針の動くアナログ式のテンプメータなどの比ではないコンパクトかつ軽量なボディ、結構こいつにふらふらっとしたこともあったが、価格¥17,500-(当時)なり・・・もちろん却下である。でもかっこいいなぁとは思っていた。

 そこに颯爽と登場したのが、デジタルデュアルテンプメータであった。HPで知ったときには私は既にテンプメータ装着は廃案となっていたので、単なる興味本位で内容を読んでいた。だいたい名前から察するに油温と水温の2つを測るわけで、だったら空冷のジェベ公には全く関係のない話である。それにデジタルマルチテンプメータの上位機種なんだからそれより高くなるのは当然と言える。さらに費用対効果が悪くなるものに購入検討する気などさらさらなかった。

 説明を読むと、上位機種だけにかなりの機能が付与されていた。予測されたように2つの液温が同時計測表示ができ、電圧、時計機能は先のデジタルマルチテンプメータと同じ。さらに付与されている機能が2つ、1つはストップウォッチによるラップタイム計測である。レーシングパーツだけあって走り屋さん仕様な機能である。そのときはスイッチを手元まで配線できることが書かれていなかったので、別にそれはストップウォッチ単体で買ってきたほうが遥かに使えるじゃないの? と否定的な反応だった。まぁそれはいい。問題はもう1つの機能である。それは・・・

 「タコメータ機能」。

 わたしはその言葉に反応してしまった。ちなみに説明しておくがタコメータとは、エンジン回転計のことである。バイクは普通ではロードスポーツバイクにしか付いていない。そのカテゴリ以外で付いているほうが珍しい、もちろんオフロードくずれのジェベルにも無い。おそらくレヴリミット(エンジン回転数上限:それ以上でエンジンを回しつづけると壊れる)を気にする必要が無いエンジン特性だからだろう。だいたいジェベルには無くても何の問題も無い代物なのだが、エンジンをいじると出力特性はエンジン回転数が重要だし、それになによりタコメータはメカフェチのロマンがある。アクセルを開けると、エンジンの発する音と振動が体を刺激しそれにシンクロしてメータの針が動く・・・あぁもぅたまりませんね。ロードスポーツのVTR250を購入するときに、これでタコメータ気分を存分に味わえるぞ!!! と思っていたら、実はVTR250にはタコメータが無かったと言うオチがある。確かめて買えって? そうかも知れん。

 とにもかくにも、タコメータ機能にひかれてしまった私は価格を見た。値段を見なきゃ始まらない。で、本体価格¥27,500-なり、しかもセンサー別売りでセンサー1個¥3,500-、つまり合計¥31,000-なり。かなりちゃぶ台返ししたくなった。3万円あれば19インチ前輪が組めるがな!!!(※リムとスポークセットで3万円。現在21インチホイールが余っているのでそれを組替えれば出費はそれだけで済む) ・・・とは思ったのだが、いかんせん私はこういったおもちゃ的機能豊富な代物にかなり弱くて(十徳ナイフとか見るとドキドキしてしまう)、しかもタコメータ機能まで目の前にぶら下げられると付けなきゃならんという強迫観念(煩悩とも言う)が私を襲い始めた。うーむ、まいったなこりゃ。

 ということで取り付け方法の調査へと入っていくことになる。そう、まだジェベルに付くのかどうかわからないからだ・・・。


ふたをしているボルト
ドレンボルト

・果たしてジェベ公につくのか?


 さて問題はジェベ公につくのかどうかである。前述のようにテンプメータのセンサーは湯温警告灯のものに置き換えるというものであり、ジェベ公にそんなものは無い。しかし、エンジンのどこかにセンサーのネジ径が合い、置き換えても問題の無いネジがついていれば話は別である。最悪ドレンボルトを置き換えられれば装着は可能である。ただ、ドレンボルトはオイルパンの底部にあり、実湯温より20°Cほど温度が低くなる(この情報は四輪の話で二輪の場合は定かではない)ので好ましくない。

 置き換え可能なボルトを探すのに最も有効なのがパーツカタログである。私の推測としてエンジン共通のDF125Eにオイルクーラーが装備されていることからどこかにオイルの取り出し口があると思った。ただ、DF125Eはオイルの戻り口が右クランクケースカバーを別部品にして設けていることはわかっていたので、取りだし口も無い可能性があった。そのためジェベル125のパーツカタログと、以前から購入していたDF125Eのパーツカタログを見比べて調べてみた。するとありました、右クランクケースカバーに単にふたをしているだけのボルトが。このボルトのネジ径、長さがテンプメータのセンサーに適合するなら話は早い。このボルトを実車からはずしてボルトのサイズを測れば良いのだが、一度はずした部品がもう一度付け直せる保証が無いので新たに注文して計測することにした。ということでいつものバイク屋に注文。

 後日、部品が来たということで取りに行く。実物を渡されるとどこかで見たことのあるボルトであった。家に帰ってその似ているボルトと比較する。するとまったく同じものであった。そのボルトとは、ドレンボルト。ちょっと鼻水出そうになった。そりゃ確かにどちらもエンジンにふたをするだけのものだが、このボルトは頭が低くなめやすいのである。そんなもんドレンボルトにするなよ〜、いらんもん共通にしやがって。まぁいいや。

 さてボルトの計測に入る。必要なのはネジ径、ネジピッチ、ネジ長さの3点である。このうち、ネジ長さだけはテンプメータのセンサーのリストに表記されていないのでセンサー実物を見て判断するしかない。最悪、長い場合はスペーサをかまして調節することもできるのでこの時点では考慮しないことにする。ということで残る2点を計測してみる。ネジ径を測ると13.6、ちょっと少ないがM14であろう。ネジピッチは山4つ分が5mmなのでピッチは1.25となる。M14で1.25ピッチのセンサーがあるのかを調べる。あった、バンディットなどに使われるものが適合する。ということはバンディットの純正湯温警告灯(標準で装備されていたらの話だが)が流用できるということか・・・しかしバンディットは水冷エンジンなので危険な温度の設定が異なる可能性があるのでなんとも言えない。ともかくネジ長さの問題を除いてセンサー装着はクリアした。

 あとはセンサー単品を購入して装着できるかどうか確認してデュアルテンプメータ本体を買えば良かったのだが・・・そのつもりだったのだが、そうはしなかったりする。



湯温センサー

・清水ダイブでデュアルテンプメータ購入

 00年7月某日、友人リラ君といつもの用品店の別店舗に買い物に行った。なにやらセール中らしい。何を買いに行ったのかと言えば、デュアルテンプメータである。まずセンサー装着確認してから買えば良かったのだが、二度手間になるし何せモノが3万円もするのでセール中に買えなかったら損である。もしセンサーが付かなかった場合はVTRに付けるということで同時購入に踏み切った。でもVTRに付くかどうかはいまだ調べてないので本当に付くかどうか謎である・・・。

 店に入って品物を探すと最後の1個であった。店員さんの話によるとあまり数を作ってないらしく注文しても入ってこないそうである。。まぁモノがモノだけに大掛かりな生産ラインは無いだろうし、この時期に作られた隼X-1に標準装備されていることから考えて、品薄になっていたのは納得できる。しかし、最後の1個をつかんで幸運だったのか、はたまた不運だったのか・・・。

 何はともあれ、本体とセンサーの購入に成功、約1割安で買えた。

・デュアルテンプメータ内容

 モノを見た時点で困ったことはデュアルテンプメータ本体の取り付け方法がベルクロによる簡易固定のみだったことである。ええっ!! そりゃ困る、簡単にパクられるがな!!! 取り付けステーを付けるにしても本体は完全にはめ殺しのブラックボックス状態で穴をあけるわけにはいかないのである。完全にバイク本体に装着したい私にとっては大問題である。これは困った。

 それに取説を読んでもう1つ困ったのは、どこにも「防水」や「水濡れ厳禁」と 書いていないことだ。どっちやねん!!! これもバイク本体に装着する場合には問題となることである。防水じゃないからベルクロによる簡易固定なのかも知れない。またまた困った。

 実はさらに困ったことがあったが、後日判明したことがある。電源接続用の端子があったのだが、取説には接続の仕方が書いてなかったのである。しかしこれはホームセンターに行ったときに同じものが売ってあり、裏に接続の仕方が書いてあった。どうやら一般的な方法らしい。が、素人がつけることを考慮して取説には書いていて欲しいものである。ズブの素人はこんなもん付けないって? そうかも知れん。

ボルトをはずす
センサー装着完了
延長ケーブルの配線

・センサー装着

 いろいろと問題が山積みだが、当初の計画どおりセンサーの装着に入った。まずジェベ公をジャッキアップして傾けた。なぜかと言えば、目的のボルトはエンジンにふたをしているので、はずすとオイルが漏れる可能性があったからだ。オイルパンより少し高い位置にあったので傾けるだけで問題無いだろうと推測したのだ。で、ボルトをはずす。間違い無くドレンボルトであった。はずしたところを覗くと奥にすり鉢状の底があった。底の一部が欠けていて穴があいている。ここからオイルに接続できるであろう。さて、底があるわけだがすり鉢状になっているのでこのままセンサーが装着できそうである、というよりまさにセンサーのための形状に見える。とりあえずクラッシュワッシャ無しで入れてみた・・・うむ、入る。クラッシュワッシャをはめて装着、トルクもかかり問題は無さそうである。

 このことから、一概には言いきれないが、スズキのエンジンはオイルクーラー取り出し口と湯温警告灯センサー口は共通設計になっていると思われる。そうとわかってもあんまり応用がきかないので、だからどうしたと言われても困るが・・・。

 センサー本体の装着が済んだので、延長ケーブルにスパイラルチューブを巻いてメータ廻りまで配線してとりあえず終了。デュアルテンプメータ本体に接続してみたかったが電源をどこから取るのか決めてなかったので後日とする。



電源の探索
ニュートラルランプの配線
接続端子装着
アースはホーンのボルトでフレームに
デュアルテンプメータに灯がともる
ビニールテープで防水
余裕を見てまとめる

・電源を取る

 電源をどこから取るのかはサービスマニュアルの配線図を見る必要がある。まず考えなければならないのは、どの状態でデュアルテンプメータの電源がONになるべきなのかである。取説によると通電時に自動的にONになると書いてある。そうすると最も良いのはバイク本体の電気系統がON(メインキーがONの状態)と同時に作動するべきであろう。

 ということで、配線図にマーカーでバッテリーの+から通電している(+に直接つながっている)配線に色をつけていく。メインキーはONで通電しているということで通過。本来はメインキー以降の配線にかまさなければメインキーと同調しないのでそれ以前に色をつける必要は無いはずだが、いちおう確認のためつけておいた。ちなみに写真はキルスイッチもON(RUN)にして書いているがこれも確認のためである。キルスイッチ以降に電源を取ればキルスイッチに同調するようになるが、特に意味がないし配線が長くなる(ハンドルスイッチから引っ張ってくる必要がある)ので却下である。

 そんなこんなで、書き終わったらどこから取るのがベストなのかを考える。もし接続に失敗して元の配線が断線しても走行に支障のないところが良い。そして出来るならメータ本体に近いほうが何かと便利である。その2点で考えた場合、ニュートラルランプ配線手前から電源を取ることにした。これなら断線してもニュートラルランプが点かないだけで走行に問題は無いし、もともとメータ廻りの配線なのでテンプメータ本体にも近くなる。

 あとはアースをどこにするかだが、フレームアースだし手ごろなところにボルトがあればそこにつければ良いのでそれは現物合わせでやることにした。

 では作業に入る。まずニュートラルランプの配線を探すわけだが、バイク本体の配線類というのはテープやチューブで他の配線と共にコーティングされていることが多いので、どこで目的の線だけを抽出できるかが問題である。たいていはソケットや端子などの末端部分でテープ、チューブ類は無くなるのでそのあたりが狙い目である。パーツカタログを見る限りニュートラルランプの配線もソケットによりランプに接続されているので、それを探し出すことにする。たどっていくと、ヘッドライト下の空間にこぢんまりと居座っていた。うーむ・・・これはヘッドライト以下もろもろごと外さないといけないのではないか? と、一瞬青ざめたが、ジェベ公の右エラから無理矢理引っ張ったら作業できるくらいは出てきたので万事OK。そこに電源取り用の接続端子でニュートラルランプ+配線とデュアルテンプメータの+配線を合体させてやる。この接続端子がどういう仕掛けなのかは割愛させていただくが、あんまり気持ちの良いものではなかった。というもの、なんか断線させそうで怖いのである。

 これでニュートラルランプが断線せずに、しかもデュアルテンプメータの電源が取れているかどうか確かめることにする。まずニュートラルランプのチェック、ちゃんとついた。で、デュアルテンプメータはどうだろうか・・・アースをホーンのボルトでとりあえず取ることにする。バイク本体メインキーをOFFにして、電源配線をテンプメータ本体に接続する、・・・うむ、通電していない。それはそれで良いのだが、これでメインキーをONにして点かなければ失敗ということになる。ではメインキーをON・・・

 おおっ!!! 点いた!!! ちゃんと液晶に表示が!!!(←かなり嬉しい)

 はっはっは、私の勝ちだ!!!(?) なんと言いますか、調べて調べてがんばって取り付けた部品がちゃんと動いたときっちゅーのは最高やね。まぁ、モノがもともと汎用部品だから比較的楽だという話もあるが・・・。

 湯温センサー配線もつないでみると、ちゃんともっともらしい表示が表れた。まぁ、これが正しい温度かどうかは調べる方法が無いので定かではない。信用しておこう。

 配線は問題無いということで整形しておくことにする。電源接続端子は防水のためビニールテープで上から徐々に巻いていく。そしてまたヘッドライト下に突っ込んでおいた。テンプメータ電源配線は余りに余りすぎたのでタイラップで結んでおいた。

 ということで今日の予定作業は完了。悲しいがテンプメータを外してしまいこんだ。まだ取り付けステーを作っていないからだ。はて、一体どこにどうやってつけたらいいものか・・・。

・とりあえず動作チェック

 取りつけステーの問題もあるが、まだタコメータ配線をしていないのでそれに取りかかることにする。タコメータ配線といっても単にハイテンションコードに巻きつけるだけ。うーむ、こんなもんで本当に動くのか? と不安になったがとりあえず動いた。よしよし、これで4サイクル単気筒に設定を合わせてっと・・・あれ? アイドリングで600回転? んなアホな。ノーマルジェベルのアイドリングが1400回転なのに600回転なんかエンジン止まってまうって。おかしいやろ。ということで4サイクル2気筒にしてみるとそれらしい値が出た。・・・変だ。・・・まぁいいや。

 とりあえずテンプメータをスピードメータ横に置いて走ってみた。タコメータはどんどん値を増してゆく。おおっ!!! ちゃんと動いているじゃないか!!! メインジェット域まで加速してみてからタコメータを見た。あれ? 3000回転? んなアホな。メインジェット域といえば5000回転以上は回っているはずだ。どこで表示が変わったのか加減速して調べてみる。すると5000回転付近で表示が半減している。回し続けていると半減して5000回転になっている表示が10000回転をたまに示したりする。・・・変だ。

 これらのことから考えて怪しいのは2箇所、テンプメータがバグっているのかイグニッションコイルがいかれているのか。ジェベ公も7年目のバイクである。イグニッションコイルがいかれててもおかしくはない。ただ、今まともにスパークプラグから火花が飛んで走っていることは事実なわけで、これを交換する気にはならない。うーん、どうしよう・・・。

 で、結局どうしたかと言えば、そのままにした。アイドル調整には今のままで十分対応できるし、表示が半分になっても判っているぶんには読み取れないことは無い。とりあえず、メータ本体を固定できないことには話が進まないのでステーを自作することにする。


ステー構造

・取りつけステー自作

 さて、車体本体への固定方法だが、前述のようにメータには取り付けに使えるような形状は一切無い。さらにスイッチ類が前面に配置されているのでケースに収めるわけにもいかない。はて、どうしたものかと考えていたが、結論はコの字金具と透明板でセンターあたりを挟みこんでしまうということだった。液晶表示面だけ透明板を巻けばスイッチは押せる。それでできたステー付きメータをゴムを噛まして車体に取り付ければ良い。というラインで攻めてみることにする。まずは材料探しから始めるわけだ。

 近くのホームセンターへ行き使えそうな材料を探す。板ゴム、透明板(PET材)、ステーを車体に固定するのに使える配管用金具はすぐ見つかったが、いかんせん一番大事なコの字金具が無い。L字金具や2段L字金具はあるのだがコの字は無い。1時間ほど金具売り場の前で思案したあげく、2段L字金具の先を自分で曲げることにした。材質自体それほど硬くなかったので、万力を使えば曲がると思ったのだった。うーん、確かに曲がるには曲がったんだけどなぁ・・・。

 家でさっそく曲げてみた。万力で固定してグイッ。うーむ・・・、ダメだ・・・。Rが大きいのである。曲げる力が広範囲に分散してしまうのでこうなってしまうのだ。本来曲げ加工はプレス機及びプレス型を使用するので、曲げ&押しつけで曲がる力を集中させて小さなRで仕上げることができるのである。人の力では曲げられても(作用点が離れていればその分トルクが発生する)押しつけまではできないので不可能であった。・・・プレス機とはいかないまでも(でもあっても型が無いと使えないが)HOZANの鉄板曲げ器が欲しい・・・。でもこんなことのためだけに買うのも馬鹿らしいので、何とかRを小さくするよう努力してみた。出来ることと言えば曲げの力を集中させることだけだったので、金具を鉄板で挟んで曲げてみた。んー、まぁこれでいくか・・・。

 透明板(PET材)はライターであぶってからコの字に曲げてみた。これもうまくはいかなかったが、それなりに曲げれたのでまぁ良しとしよう。で、金具と透明板の双方をコの字に曲げれた。この2つでメータを挟み、ボルトで固定するわけだ。組む段階でボルトでメータを軽く押してやれば、より良い固定ができることに気づいて実行。単に挟んでいるだけではすっぽ抜ける可能性があったので(出来てから考えようと思っていた)、思わぬところで問題解決。

 なんとか出来あがった。さてとこれでホントに車体に固定できるのだろうか・・・? 実は固定方法は考えていても実際付くかどうか確認はとっていなかったりする。

装着完了!
このメータ上のブレーキホースが邪魔

・車体への固定

 車体への固定確認はしていなかったが、たぶん付くであろうという希望的観測があった。ジェベ公にはDFのライトガードを装着させていたのでメータをマウントする場所が多くあったからだ。あとは現物あわせでなんとかなるであろうと。

 固定方法はゴムをかました配管固定用金具で2箇所とめるだけ。ゴムをかます理由は振動緩和のためである。ヨシムラも耐振動性ぐらいは考えて作っているだろうが、こういう電子機器は出来るだけ「浮かす」のが鉄則なのでそうしたまでである。

 で、実際取り付いた。付けた場所はスピードメータ上のライトガードの端。ライトガードを外さずにやったためレンチが入りにくかったりしたが、まぁつけにくいということは外しにくいということなので盗難の可能性も低いわけである。浮き具合も良く、ぼよよんとしている。必要な配線を施し、作動を確認してから整形をしてやる。

 メータ取りつけ作業終了。よっしゃぁ〜、付いたぁ〜!! と、喜んでジェベ公にまたがってみた。ふにゃりとサスが縮んだ。まぁ、これは当たり前のことである。するとブレーキホースがにょきっと出てきてくる。・・・。・・・うーむ、

ブレーキホースでテンプメータが見えん・・・。

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・。はっ!!! いかんいかん、時が止まってしまった。しかし・・・ブレーキホースがスピードメータ上を通っていることはもちろん認識したいたのに、なのになぜ気づかなかったんだろうか・・・。しくじった・・・。

 取りつけるのに苦労もしたし精神的にダメージも食らったので、このままでいくことにした。どうせ湯温はとまってから見てもいいわけだし・・・でもタコメータを見れないのは痛いか・・・。








待て次号!!

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