八百善の人々  NHK 月曜ドラマ 21時 

原作  「菊善 八百善の人々」 宮部登美子      脚本 前川洋一   音楽  渡辺俊幸
杉山汀子(ていこ) … 夏川結衣                杉山福二郎(ふくじろう・夫) … 吹越満   
杉山了二(りょうじ・福二郎の父) … 杉浦直樹     杉山れん(了二の妻) … 星由里子
中島みどり … 井川遥                     わか(仲居) … 美保純
楠木茂一(くすのきしげいち・汀子の父) … 橋爪功     鈴木彦次(小鈴)(ひこじ・こすず・板前) … 金子昇
鈴木清次(大鈴)(せいじ・おおすず・板長) … 塩見三省  高木惇子(じゅんこ・福二郎の姉) … 三原じゅん子
杉山静子(しずこ・福二郎の妹) … 久我陽子
八百善の人々★★★★ 7話 「最後の茶会」(終)
指をヒョウソウ(爪の周りの炎症で治りにくく痛い)で患い店を辞めると言う小鈴(金子昇)を汀子(夏川結衣)は必死に説得する。小鈴は包丁を片づけ挨拶する。福二郎は大学病院で聞いてきた、リハビリすれば、曲がったままでもそれなりに仕事が出来る。しかし小鈴のプライドは許さない。汀子「八百善を見捨てるの、板長あっての店だ」。了二がやって来て、喜寿の祝いを忘れたのか。従業員達も説得に来る。小鈴は了二の喜寿の祝いまでに機能回復するよう頑張ると誓った。刺身も満足に切れず並びも駄目だ。指は壊疽になり、切断するしかないと思う。何と八百善から目と鼻の先に安い京料理屋が開店、値段は半分だ。汀子は味に自信を持っていたが、予約取消が相次ぐ。わかの店は長続きせず夜逃げした。従業員は「ざまみろ」というが、汀子と福二郎(吹越満)は明日は我が身と思った。子供を連れて実家に帰るが、家出と騒ぎ、笑。今回は違い、借金の返済を待って貰う。実父に汀子は愚痴る。子供がやっている、メンコに汀子は入って取り返す。今こそお前の出番だと励ます。二人は宴会に使ってもらおうと営業に力を入れるが成果はあがらない。小鈴は指のリハビリに努めたが回復は遠く、自棄になり酒に逃げようとする。みどり(井川遥)は怒り慰め支える日々が続いた。しかし指を使わず蕪剥きができるようになった。しかもみどりが妊娠した。皆は喜ぶ。
福二郎の営業で店は宴会客に使われ出すが、了二(杉浦直樹)は飲み騒ぐ宴会に複雑な思いだ。了二は「押し屋」という、通勤客を押して詰め込み仕事があるのだ、世の中変わった、時の流れに勝てない、と呟く。半年後の了二の喜寿の祝いの日は、小鈴も板長の仕事を立派にこなし茶会は盛会の内に終わった。皆が集まり、了二は「時代は変わった。もう風流など理解されない」と八百善の閉店を宣言する。もう前から決めた、赤字を補填できない、余力のあるうちに辞める。しかし福二郎は9代目は私だ、やめない。汀子も、私たちの夢だ、もう少しやらして下さい。義姉も店を閉めることに反対だ。営業に協力してくれる。福二郎は腰の低い営業マンだ。必死だったが、赤字は増えるばかりだ。家族で外食すると和食なのにアイスクリームが出た。思わず二人は時代が変わったことを自覚する。全員集まり、閉店を決意する。「いいおかみさんになった」と言われた。1か月後、従業員と別れの日が来た。涙だ。板場は全員一緒に変わることになった。引っ越し、空っぽの店で了二は「これで3度目だ、素人のあんたに女将をさせた私を怨んでいるね」。汀子「感謝しています、ここで味わった経験はかけがえのないものです」。了二は涙ぐむ。福二郎も不甲斐なく済まないというが、汀子は胸張っていいよと言う。小鈴と子供を抱えたみどりがやって来て、八百善が復活する日を待ちます。感激する二人だ。汀子「頑張ろう」、福二郎「付いていきます」。9年後、「ばーかぁー」が聞こえ喧嘩だ。東京オリンピックがテレビで流れる。銀座で八百善を復活した。実家の皆を呼び、汀子は床前の掛け軸を説明する。本当の女将だ。
相変わらずレギュラー陣は満足の演技です。清水アキラさんも渋く出ていた。最終回はまとめになるので、盛り上がりには欠けるのは仕方ない。
八百善の人々★★★★★  6話「最大の危機」
みどり(井川遥)との結婚を前に、小鈴(金子昇)に呼び出された汀子(夏川結衣)に、何かを語ろうとする小鈴だったが、結局言えない。思わず汀子は小鈴に体当たりしてしまう。福二郎(吹越満)は「安心、清姫、じゃになった」なんて、戯言だ。福二郎は関西に新しい店を出す。そして最終的に八百善の全国展開計画を進めたい、と意気込んでいる。小鈴とみどりの結婚式だ。みどりは店を辞める。長男秀太郎がバイオリンを奏でる。微妙な音で長い。その時福二郎に面会人が来ていた。資金調達の小豆相場が暴落した。汀子「幾らよー」(大声)。福二郎「1千万円だよ」。家族会議だ。汀子も責められ、謝る。れん(星由里子)「汀子さんを責めても仕方ない、福二郎が勝手にしたのだから」。福二郎「八百善の味を広めたかったのです」。了二(杉浦直樹)は道具を売り、家を抵当に入れ、金を借りた。汀子は実家の父(橋爪功)からも全財産を借金した。妹の結婚資金も差し出す。いい人だ。八百善は最大の危機だ。しかし全額返済できず、店の経営を圧迫した。福二郎「才能ないのかな、駄目亭主だと思っているだろう」。汀子「とっくの昔から思っている」。汀子「冗談、空元気でいいから、くよくよしない、胸張って、はー、はー」笑い出す。この笑い声はいい声です。福二郎「いい嫁さん貰った」。汀子「今頃分かったの」
店の従業員も心配している。昔の仲居わかが客を取っている。仕出し弁当も他が真似しだした。仲居のあき(楠トシエ)は腰が悪く仕事もままならない。小鈴は質を落とさず料金を下げる工夫する。福二郎は金策といいながら、駄目でやけ酒を飲む。セーターに赤い口紅が付いている。満員電車だ、と言い訳だ。汀子は叱責する。汀子「ばーかー」。福二郎「本気で店のこと考えていた、本気で八百善の味を知って欲しかった」。無念だ、汀子の胸で泣き崩れる。小鈴は家に帰るが重い空気だ。朝早くあきが来た、徳利を割ったことが心苦しく、お暇を下さい、と申し出る。全員が見送る。昭和30年3月、小鈴は泊まり込んで研究している。指の傷が治らない。みどりが着替えを持ってくる。つれない小鈴だ、あやまる汀子だ。みどり「店を思っているだけじゃない、分かっていました、あの人が一生懸命仕事するのは、若奥さんのためです、あの人が好きなのは若奥さんです」。汀子「考え過ぎよ」と言う。小鈴はヒョウソウだ。福二郎は病院へ行くように命令する。肩から三角巾だ、1週間で治る。やっと新しい仕出し弁当ができる。小鈴が家に帰ると、みどりは書き置きして、「私は必要とされていない、お世話になりました」。この家出で、八百善は大騒ぎとなる。福二郎がみどりを見つけ出した。小鈴「あいつが勝手に出て行った、仕事がありますから」。汀子「仕事に逃げているだけだ、お店を思ってくれるのは嬉しい、みどりさんはあなたの女房だ」。福二郎「小鈴は不器用な人間だ」。無理矢理連れてきて二人を会わす。二人が見守る中で、話す。みどり「亭主の病気を他の人から聞くなんて」。小鈴「仕事が大変なんだ」。みどり「若奥さんのためでしょう」。小鈴「違う、若旦那のためだ、泣いていたんだ、八百善に誇りを持っている、うちはじいさんから世話になっていた、その主人が悔し涙を出している、俺は若奥さんが好きだった、でもそれは結婚するまでだ、結婚した時にすっぱり捨てた、今は俺にはお前しかいない、お前は俺の女房だ」。みどりは泣く。みどり「ごめんなさい」。それをみて、汀子と福二郎も一喜一憂で手を握っている。仕出し弁当は少し盛り上がるが経営は苦しい。従業員全員が結束し頑張りだした。何と小鈴の指が黒く壊疽していた。おしまい。来週は最終回だ。
テンポの良さ。涙あり、笑いあり、ツッコミあり、ボケあり、日本ドラマの真骨頂だ。夏川さんと吹越さんの漫才は素晴らしい。夏川さんは着物だが、跳ねる元気さに励まされる。金子さんと井川さんの夫婦もしみじみでした。しかし、世の中は変化していく。その中で店も変化しないといけないのだ。八百善という重い看板は昭和を乗り切れるのだろうか。今日去った「あき」さんのように時代の中で消えていくのだろうか。ともあれドラマって素晴らしいです。
八百善の人々★★★★ 5話  『恋の味付け』
昭和29年10月、福二郎(吹越満)の入院の原因は酒の飲み過ぎ・胃潰瘍だった。汀子(夏川結衣)のプロレス技ではなかった(笑)。福二郎は、自分が癌だと思い泣いている。ところがすぐに元気になり赤坂の芸者の見舞いに鼻の下を伸ばしている。いいですね。定番の旦那根性丸出しです。汀子はこれを機会に、みどり(井川遥)への援助の理由を追及する。福二郎はいとこだからと煙に巻く。しかも胃が痛み出す。夫婦の第1バトルだ。汀子が店に行くと、福二郎とみどりの関係は店の者に知れ渡り、みどりは女将の座を狙ってると言う者もあった、「女の一生」音羽信子の映画だ、と言う。問いただそうとする汀子は、みどりと喫茶で話す。家賃を払って、通っていることを知っていると汀子が言うと、みどりはあなたが考えていることはありません。私を助けてくれただけです。真相を語ろうとするが思いとどまり、黙って店を辞める。そして了二(杉浦直樹)が汀子に真相を話した。みどりは7代目の妾の子で孫で、福二郎のいとこなのだ。不幸で群馬で両親と死に別れ、預けられたところが芸者の置屋で、自然に芸者になった。それを見つけて、芸者を辞めさせたのだ。納得したところに、店の仲居がみどりの家には別の芸者勝丸がいて、福二郎の愛人だそうだ。しかも入院中の福二郎のところへ行くと、青年実業家という怪しげな人物がいた。事業の拡大を図っている。ついに福二郎が真相を白状する。これも夫婦喧嘩だ。汀子は馬鹿と頬を平手打ちする。第2バトルです。義母れんから了二も若いときは女遊びがひどかったようだ。福二郎を許して下さいと言われた。汀子「もういいです」。みどりの所へ汀子は謝罪にいった。みどりが別れさせたのだ。みどりも汀子さんに謝った。二人とも悪いのは福二郎だ、と気があった。
その夜、杉山家で話し合いがあった。みどりと彦次(金子昇)と結婚を勧めた。彦次の亡き父の清次も了解している、遺言だと言われた。汀子も賛成だ。八百善に帰って、みどりは「断った方がいい」と汀子に言う。気に入っているが、元芸者なので一つや二つは恋している。相応しくない、もったいない、と言う。みどりが「私は汚れている」と言うと、汀子は大笑いだ。新派の台詞みたいだ。汀子「これからが大事だ」と言う。板場でも二人はぎくしゃくしている。みどりは思わずコップを割り指を怪我する。血を流すが、舐めると思ったがしなかった。了二から彦次は躊躇しているので、汀子が彦次に聞いてくれと頼まれる。汀子は彦次に聞く、「他に好きな人がいるの、本当の気持ちが知りたい」。そんな時に元仲居のわかが「八百久」という江戸料理屋を開く。開店の日に、ばったりわかと汀子はばったり会う。わか「様子を見に来たのでしょう、気楽に食べて貰うのです」、と言う。それを聞いて、汀子は店に入る。料理はたいしたことはない、手間を惜しんでいる。喧嘩はヒートアップする。この負けん気のよさが汀子の面白さだ。やけくそで食べて飲みつぶれた。みどりは汀子と彦次が一緒に偵察にいったことに、何かを感じた。そして汀子をおんぶする彦次を見てしまう。背中で汀子は「早く福二郎、退院して来い」と呟く。そして、福二郎の病室に彦次の母が婚礼を了解したことを告げに来た。結納、挙式の前日に福二郎が退院してきた。その日、彦次は汀子に「私は、私は」で終わる。来週は、予想どおり、福二郎が借金で大変な事になり、彦次は汀子のために店を一生懸命やっている、と判明だ。
井川遥さん、結構自然で好きですね。そして、やはり夏川さんの江戸っ子の気っ風の良いキャラは最高ですね。ピッタリです。吹越さんもとぼけた演技満載です。良い味わいのドラマが続きます。名人の仕事をみるようだ。
八百善の人々★★★★ 4話『夫婦奮闘』
福二郎(吹越満)は元芸者みどり(井川遥)を八百善へ仲居として迎え、その馴染み客を店へ呼ぶ魂胆だ。早速みどり目当ての客はやってくるが女目当ての下品な客だった。汀子(夏川結衣)はみどりの赤い髪留めが気になった。以前赤い髪留めの女と夜の街へ消えて行く福二郎を見たのだ。
開店一年目の決算は大赤字だった。無心を乞う汀子・福二郎に了二(杉浦直樹)は自分達で切り開けと厳しい。汀子は分かりましたと言い切る。福二郎はは汀子に資金繰りも押しつける。店の電灯を明るくする。銀行はちょっとしか融資してくれない。みどりに酒を持って来させ福二郎は飲む。喧嘩だ。予約なしで突然の馴染みの客がくる。客は京料理がおいしいという。汀子は小鈴(金子昇)とともに偵察にいく。プチ不倫でしょうか。ネクタイを直して貰い小鈴は緊張だ。店ではご主人様と奥様と呼ばれる。薄味で京野菜を代表として素材の味が生きていてなるほど美味しい。客あしらいもうまい。しかし八百善の板場を預かるからには伝統の味を受け継いで行きたいと夢を語る小鈴だ。料理通の続編を出したいのだ。アク抜きで蛸を叩く大鈴から料理を教えられた。汀子も食材ではなく工夫の江戸料理だと、今ははっきり言えるのだった。二人は良い感じだ。

汀子は江戸料理の教室と仕出し弁当をしたいという。福二郎は反対だ。父の了二に頼みに行こうとするが、福二郎は面倒くさい、夢は夢だ、現実とは違う、とふて寝する。朝靄の中で、実家に汀子は無心にくる。意地がある。ここでは姉妹喧嘩だ、妹の嫁入り資金がなくなる。福二郎が迎えに来て、親父に頼むという。「俺たちの夢だ」。父の前で、汀子と福二郎は頭を下げる。7代目に了二が頼んで、同じようにお茶室を造った。了二は蔵から骨董品を売って資金を調達したのだ。
料理教室は好評で、教室の人が旦那を連れてきて、更に知り合いを連れてきた。仕出しも好評だった。黒字になった、昭和29年10月にテレビを買う、みんなのテレビだ。洗濯機も買った。掃除機も買ってくれる、汀子の楽になるためなら、と言う。感激し泣く。しかし、そんな時に、みどりの家の家賃を福二郎が払っている。しかも福二郎の後を付けると、みどりの家に消えた。一人でテレビを見ていると、福二郎が帰る。早速夫婦喧嘩だ。「身請けして、妾を店で働かしたのね」。出た、夫婦喧嘩にプロレス技だ。今度は福二郎が追い出された。そんな時、福二郎が腹痛を訴える。昨日のプロレスの技のせいでしょうか(笑)
最後に夫婦喧嘩が登場して、しかもテレビでプロレスを見ていたので、プロレズの荒技が出たので4つ★を堅持しました(笑)。自分はおじさんなので、井川遥さんの着物姿も結構好きです。演技は重視しません。
八百善の人々★★★★ 3話  4月11日   『大鈴の味』  夏川さんの喧嘩の勢いに参りました
大鈴(塩見三省)が脳溢血で倒れたので皆集合する。福二郎は香水のにおいをつけてくる。なかなかすぐに集まらない。しかし翌日に亡くなった。喪服の汀子は板場をみて涙する。しかし店を休めない。小鈴「板長がが亡くなったことはお客には関係ない」。福二郎は板長を小鈴(金子昇)に任せたいという、了二(杉浦直樹)は味見をする。了二「大鈴の味だ、八百善の味です、頼むよ」という。頼みの綱を失った汀子(夏川結衣)は落胆する。大鈴を失った八百善は動揺する。馴染みの客も離れる、「堅苦しいのだ、大鈴が死んじゃおしまいだ」と聞く。板長になった小鈴を快しとしない板前達だ。味が違い、やり直しを言われると、久夫「偉そうにしやがって」と反発する。汀子は「小鈴の味方だ」と思わず激励する。ある日汀子が財布を忘れ、夜の八百善に帰ると、小鈴を除く板前や仲居らが店の料理・酒で宴会をしているのを汀子が発見する。お茶漬けを食べるのが原則だが、客がいなかったので残り物を食べた。仲居頭のわかも汀子を軽くあしらう。徹底的に追及すると言う福二郎(吹越満)だったが、わか(美保純)と面談し一転弱腰になる、「夢でも見ていたのではないでしょうか」。皆で口裏を合わせたのだ。予想通りです。ことを荒立てたくないのだ。汀子は了二へいく。お決まりの夫婦喧嘩だ。気っ風良く怒る汀子だ。
仲居・さと(広岡由里子)が真実を告げた。小鈴が酒の量が減っていたのを気づいた。大鈴が倒れた日も宴会を小鈴に見咎められ、殴り合いの喧嘩になったのだ。その後、大鈴も戻り怒ったところを倒れたのだと。さらに、わかは福二郎が赤坂の芸者みどり(井川遥)とできているという弱みを握っているので咎められないと言う。汀子は福二郎を追及するがとぼけるばかりだ。手が出る、大喧嘩だ。朝起きると汀子はいない。実家の深川に帰ると汀子はトラックを持って引っ越しだ。大鈴の無念を晴らす為にも従業員との溝を埋めようと汀子は一家で店に住み込む事にしたのだ。やる気をみせるのだ。母のれんは孫達を淋しい思いをしないようにと助言される。一緒に暮らしていると、余計放任してしまう。ところが、何と従業員が夜逃げした。調理場は3人、仲居もわかがいない。汀子は一致協力して頑張りましょうという。客から板長が変わっても味は変わらないという。ビールが足りないので、汀子は商売敵の店から借りて自転車で持ってきた。ビールの味が落ちるだろう? 非常事態だ。小鈴は中学卒業の新人を入れようと提案する。了二は「小鈴、お前が八百善だ、汀子さん、逞しくなった」。汀子「大鈴さんおおかげです」。了二「大鈴の魂がまだ残っているのですね」。ある日、みどりが店に仲居として雇われることになった。その髪飾りに汀子は気づいた。胸騒ぎがする。
とにかく夏川さんがいいですね。気合い、行動力、女は強い。吹越さんとの掛け合いも殴り合いも漫才みたいでテンポいいですね。てるてる家族を思い出しました。それにしてもわか(美保さん)はあっさり八百善を捨てましたね。どんなにイイ味でも、従業員の態度があれではちょっとがっかりだな。ドラマとしてのエピソードが必要なので、こうなるのでしょうが。
八百善の人々★★★ 2話  4月5日   『ハリハリ漬けの味』
菊亭八百善が開店した。汀子(夏川結衣)も店に出たが料理の名前がわからなかったり、熱燗や料理を落としてわか(美保純)から説教されたりと散々な初日だった。終了後の反省会はさんざんだ。まお決まりですが。掛け軸の蜀山人も理解しない客層に「風流を解さなく、居酒屋替わりだ」と、父の了二(杉浦直樹)は憤慨する。おまけに帰宅すると長男・尊之が熱を出している。汀子は自信をなくし仕事と母親を両立するのは無理だと思ってしまう。丁度よく見てくれる人を見つけることができた。仕事を覚えるのに一生懸命だ。開店直後は忙しかったがやがて客足が途絶える。赤字になった。了二が風流を解する客以外は断ってしまうのだ。お客様を選ぶのはどうかと意見する汀子に福二郎(吹越満)に相談するが、逃げ腰だ。そこに予約の電話が入り汀子は引き受けるが、政治家だということで断れという。了二は「八百善の商いの方法がある、私の目の黒いうちは八百善の伝統を変えるつもりはない、変えたら八百善ではなくなる」と言う。福二浪が断ることになった。そんな夜、福二郎が飲み屋の女と連れだって歩いているのを見つける。そしてホテル街へ消えた。帰ってきた福二郎に問いつめる。必死で言い訳する。店のことや女のことで、また喧嘩だ。「独り立ちできないボンボンだ」。「ボンボンというな」。「亭主らしくしろ」
やはり実家に帰ってきた。毎回帰るパターンですね。早速迎えに来る。取っ組み合いの喧嘩になるが、父親(橋爪功)が一喝だ。子供の前で喧嘩はやめろ。茶事の日が来た。お得意さんを招待して、会席をだして、お茶を出すのだ。茶の心得のある仲居の一人が事故で休む。急遽、汀子が担当することになった。箸の置き方でも問題だ。格式ありますね。水芥子がないが、大鈴(塩見三省)が持ってくれた。無事終わった。了二「よくやった」。汀子「大鈴さんが付いていたので良かった」。今日で汀子も了二の気持ちも分かるようになった。八百善の料理は手が込んでいるのだ、手間を掛けているのだ。汀子は味見をさせて貰う。大鈴は話をする。江戸は土が悪い、野菜も水も駄目だ、手間を掛けるしかない。江戸時代の少しのハリハリ漬けが3分(5000円)もかかった。尾張の大根を選んで味醂で洗っていたのです。それを見せて納得して貰ったのだ。大鈴は「大丈夫、立派な女将になれる」
了二の妻れんが、200年の大国と恵比寿像を渡す。毎日、御神酒とお米を供えるのだ。汀子はやる気になってきた。仕事も覚えてきた。ところが夜中に了二が家に来た。大鈴が倒れたのだ。意識不明の昏睡だ。大変だ。支えてくれる協力者がいなくなると辛いです。夏川さんを初め役者さんの着物姿は良いですね。さり気ない心遣いが感じられます。
菊亭 八百善の人々★★★ 1話    3月29日  『かつおにカラシ?』
昭和28年、深川育ちのちゃきちゃきの江戸っ子・汀子(夏川結衣)は杉山家に嫁いで6年、江戸っ子らしく喧嘩は絶えない。最初はカツオに何を付けるか原因だ。サラリーマンの夫・福二郎(吹越満)との間に2人の子をもうけごく普通の家庭を営んでいた。杉山家は「八百善」(八百屋の善太郎から)という江戸時代から続く高級江戸料理屋を生業としていたが、空襲で店を焼かれ営業を止めていた。料理屋を再開すべく建て始めていた。それを福二郎は汀子と一緒に見に行く。板長の大鈴は塩見三省さんだ。江戸時代の八百善のお茶漬けの話だ。注文してから半日でお茶漬けが出て、勘定は1両だった。宇治の茶で、水を玉川上水へ飛脚に取りにいかせたのだ。大変手間暇がかかったのだ。長男(利重剛)は音楽家だ、奥さんは久我陽子さんだ。義理の長姉惇子に三原じゅん子さんで厳しい。義理の母は星由里子さんだ。
そんな折、福二郎の父は8代目の了二(杉浦直樹)が、営業再開にあたって自分は引退する。秀太郎は利重剛は猛反対だ、廃嫡しょうとしている。音楽家で商売に向いていない。秀太郎は生活出来るようになれば納得した。店は次男・福二郎に任せる、汀子が女将をやれと宣言する。自分は素人だととまどう汀子だが、素人なら勉強せよとにべもない。不承知ながら女将修業(奥だけでなく若くて美人だから客扱いもやるように)を告げられる。家に帰り江戸っ子の汀子は喧嘩だ。「聞いていない」。しかし「料理を食べられる、上手いぞ」と言われやる気になった。古くからの仲居頭・わか(美保純)らから冷たくあしらわれ、板場の小鈴(金子昇)からは怒鳴られる始末だ。若奥さんと小鈴のバトルは互いに謝りながらも主張する、痛み分けだ。了二は従業員を前に開店前の挨拶をする。引退し福二郎が9代目を継ぐことを告げる。早速初めての釜の一番初めの八百善の弁当を食らべれる。しかも福二郎は飲み屋でなな子というメモの書いてあるマッチを見つけ切れてしまい喧嘩だ。取っ組み合いは汀子の圧倒的な強さで面白い。耐えかねた汀子は実家に戻り深川木場の父・茂一(橋爪功)に、自分はサラリーマンに嫁いだのだ、店を継ぐのなら離婚すると訴える。汀子のいうことに何でも「いいよ」という。気っ風がいい。
福二郎が迎えに来る。そこで福二郎の子供時代は料理屋なのに母の料理がなく、まかないの料理で、普通の家庭の友達が羨ましかった。しかし空襲で焼かれた時、お客から「いつ再開する」と何度も言われ、お客のために両親は頑張ったと理解するのだ。そして店を継ごうと決意した。そもそも二人の出会いが、結婚式の汀子のくしゃみだ。福二郎「くしゃみに惚れた、帰ろう」。汀子「自信がない、看板が重すぎる」。福二郎「亭主の夢に付き合ってくれ、俺にはお前が必要なんだ」。抱き合う、純愛のストレートでした。丁度桜の季節でした。結構しんみり、ほのぼのでした。
   ☆    ☆
昔ながらの家だ、そして頑固そうな父親は杉浦直樹さんだ、もう風格とも最高です。脇を固める俳優さんもばっちりだ。田中実、清水あきら、楠トシエ、原作が宮尾登美子さんだ、NHKの手堅いところです。汀子は若奥さんですが、仲居としてはシロウトですから、微妙な立場です。しかし江戸っ子で気っ風がいい。旦那との喧嘩も江戸の華だ。楽しいですね。夏川さんは両頬のえくぼで可愛いです。あなたの隣以来ですね。NHKが似合いそうですね。江戸情緒と昭和を楽しめる。好きなパターンです。