2006年 1月 ドラマ                 出雲の阿国       NHK    金   21時
スタッフ

■原作・・・有吉佐和子
■脚本・・・森脇京子
■演出・・・渡邊良雄
■プロデ・・・谷口卓敬

■主題歌・・・
キャスト


阿国・・菊川怜
三九郎・・堺雅人
傳介・・鈴木一真
九蔵・・津田寛治
お菊・・原田夏希
お加賀・・尾上紫
梅庵・・織本順吉

お婆・・新屋英子

三右衛門・・蟷螂襲
阿国の母・・出口結美子


おあん・・石橋奈美(3話)

語り・・益岡徹

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阿国…菊川怜

「歌舞伎の祖」とされる踊り手。出雲からの出稼ぎで踊りに来た大坂で秀吉の側近・梅庵の目に留まり、京の都の四条河原に小屋掛けをして舞の才能をみごとに花開かせていく。時代の変化に翻弄されつつも、踊りに、恋に、命の炎を燃やし、天下一の歌舞伎者として歴史にその名を残す。

お加賀…尾上紫

阿国と血のつながらない姉妹。阿国一座の一員として大坂へ出稼ぎに来るが、故郷に残してきた許婚のことが気になり、阿国と別れ、出雲に帰っていく。後年、阿国が出雲に帰った折に再会を果たす。

梅庵…織本順吉

阿国を見出した大坂の寺の住職。秀吉の御家来衆をつとめ、時代の先を読む目利きでもある。阿国たちを自宅に連れ帰り、大事な客をもてなす余興にしようと稽古をつけ、それが阿国の長い生涯の旅の始まりとなる


三九郎…堺雅人

 阿国と恋仲になる鼓打ちの青年。梅庵のもとに身を寄せ、世に出るきっかけを窺う日々を送っていたが、ある日偶然目にした阿国の踊りに心を奪われる。彼女の踊りの才を利用することによって、自分も芸人としての成功を得ようとする。


傳介…鈴木一真

 もとは狂言の一座にいたが、その後、梅庵に仕えるようになり、梅庵が連れ帰った阿国一座の面倒をみる。三九郎との恋に悩む阿国を優しく支える。のちに自分も阿国一座の一員となり、阿国の流転の生涯に最後まで付き添う。



 期待と最終評価

どうだろうかな? NHKの金曜時代劇は楽しみにみている。でも、これまで前作シリーズものだった。新しいドラマだ。菊川怜さんは、コメディやサスペンスならいいのだが、シリアスになると受け付けない。男優は結構好みのおじさんたちだ。「わかば」の原田さんの時代劇姿を見るのが楽しみでもない。原作の有吉佐和子さんも、昔の濃い受けねらいの作家ですからね。なんだ〜〜はっきりしろと言われそうだ。期待★★です、予想は★★★で、序盤でみる習慣が付くと終盤面白くなると思うのですが・・・

 公式HPから

NHK金曜時代劇。踊りに、恋に、命の炎を燃やし、歌舞伎の祖として歴史にその名を残す 女性・阿国の波乱の人生をドラマで描く。
故郷・出雲をあとにして、阿国 (菊川怜)たちの一行は大坂へ出稼ぎにやってきた。 神事でにぎわう天満宮の境内で憑かれたように踊る阿国を、秀吉の側近・梅庵 (織本順吉)が見出す。梅庵のもとに身を寄せる鼓打ちの三九郎(堺雅人)と恋に落ちる阿国。秘すべき恋の苦しみに身を焼かれながら、阿国は出雲に帰らないことを決意し、三九郎のかたわらで踊る。それは、恋に生き、踊りに生きた、阿国の人生の旅の始まりだった…。



 あらすじとコメント  全6回

出雲の阿国★★★☆  5回「恋の亡霊」  平成18年2月10日放送

前回のまとめ。姉と妹のけんか。慶長8年、阿国歌舞伎は世間に知れ渡った。三九郎とお菊の二人は仲がよい。残りの阿国の仲間は客が入るので喜んでいる。三九郎は「黙れ、くだらない」と怒る。芸術派なのだ。夜も三九郎はお菊と一緒に寝ている。それで、傳介がやって来て、阿国に酒を注ぐ。
阿国「ずっと一緒だと思った、私が踊れば一緒だと、出雲に帰らなかったのも、三九郎と一緒だから、簡単に終わるのか」。傳介「天下一の踊り手じゃ、しっかりしろ」。阿国「何もいらん、三九郎さえ戻れば・・」。傳介「終わったのだ、お前と三九郎は、よく頑張った、もう頑張らんでもよい、楽しい夢を見ろ」傳介は、淋しそうな阿国が好きなのだろう
阿国歌舞伎は客を集めている。お菊は、こんな曲はいらんと言い捨てる。そこに笛の音が聞こえる。
都で有名な伊達男の浪人・名護屋山三郎(永澤俊矢)だった。阿国は「出雲の川のせせらぎ」と笛の音に合わせて即興で踊り、さらに客の評判を取る。この即興性が歌舞伎の神髄だったのだろうか、今でいう異業種のセッションだ。山三郎も満足気だった。山三郎はキリスタン殿に勤めていたが、殿が亡くなって、都にいるのだ。槍の達人でもあった。その評判に対して、お菊「どこがいけんのじゃ、三九郎の言われる通り踊っている、何故だ!?」。それから、毎日、山三郎は小屋に来て、阿国は笛と一緒に踊った。三九郎は下がる、お菊「妬いているのか」。三九郎「あぁ〜〜」。
山三郎の所に阿国は、出かける。
そして、阿国は山三郎の大脇差しを貰って、歌舞伎に使う。傳介も登場して、笑いを取るこの何でも入れて、どんどん変化させていく、斬新性が歌舞伎の本質の一つなのかも知れない。しかし、山三郎もやって来て、その笛とともに、阿国は嬉しそうに踊る。傳介は「お邪魔様」と舞台から消えるしかない。夜の月を山三郎は片手でつまむ。しかし、山三郎のところに会いに来た阿国は「どこへ行くか不安だ」。山三郎「どこへ行くものか」。二人はすっかり、愛し合っていた。抱き寄せられながら、阿国「山三郎様、私が踊りをやめたら・・?」。山三郎「やめたければ、やめればいい、ここで一緒に暮らそう」。阿国「本気か・・」と嬉しそうに微笑む。
それから、
阿国は、夜は山三郎の家に泊まるようになった。朝、三九郎と会う。勘平からお招きを受けた。そして、三九郎は「(今の阿国の)あんな踊りは客の憂さ晴らしだ」と嘲笑する。阿国「憂さ晴らしでいい、それが私の誇りだ、勘平様には阿国歌舞伎をごらんいただく」。勘平に呼ばれて、松平秀康、天下の移ろいに翻弄された男だ。松平「笑った、阿国、世に幾千万のおなごあれど、天下一のおなごは、おぬしだけだ、俺は天下一になれなかった、世継ぎが決まると、誰も来なくなった、商人の勘平だけだ、太閤殿下は生きていれば、おもしろがっただろうに、阿国、今一度踊れ」。秀康は側室の子であったため、幼少時には家康からは遠ざけられており、1579年に長兄松平信康が岳父織田信長により自刃を命ぜられると、兄の死後は弟の秀忠が嫡男とされ、秀康は庶子とされた。阿国は踊る。秀康は見ながら、涙を流している。
夜、三九郎は「もし太閤殿下がおいれば・・喜ばれた・・」と秀康の言葉を思い出していた。自らの目標だったものは阿国は実現したのだ。三九郎は阿国に敗北したのだ。山三郎と阿国「秀康は私は天下一になれず、劣っていると言ったが、私は踊っているだけだ、ただ、踊り続けている」と膝で寝る。秀康を泣かせた天下一・・。
阿国たちの小屋の周りでは、遊女屋が歌舞伎小屋を建て、遊女たちの踊りと、阿国一座にはない三味線の音色と、安い木戸銭で阿国たちの客を奪う。一座は儲けなくても、遊女にはいればいいのだ。
山三郎は小屋に行かなくなった。山三郎「夢を叶える男だ、城を建てたい」。阿国「つまらん、城は崩れる、時が移ろえば」と肩を揉む。山三九郎「つまらぬか、城は」。阿国「はい〜」。遊女の歌舞伎小屋の影響で阿国の一座の客の入りは悪くなった。そんな時に、山三郎がやって来た。しかし、笛を吹くこともなく、去っていく。淋しく、舞台から見送る阿国だ。
夜、山三郎の館に行くと、都を出て行った。阿国「何故だ」。世話人「妹のところに仕官の旅に出た、都に戻らない、その品は置くに様に差し上げるようにとのことです」。阿国「一人にして」。山三郎が残した着物、装飾品などをさわる。山三郎の笛もあり、その笛を胸に抱く
阿国の所に、三味線の鑑貞が来て、お菊は三味線を習うという。鑑貞は「銭はいらない、聞いておれ」。この鑑貞の三味線はこれだけなのか。傳介が阿国を誘う。傳介「皆出かけた、阿国がいるからやってこれた、お前がお前らしく踊れば小屋は持ちこたえる、責めるつもりはない、淋しいな一人は・・お前を笑わせてやれない、待っているのか、山三郎様を」。阿国「あぁ〜」。傳介「いつまで」。阿国「ず〜とじゃ」。傳介は行ってしまう。
阿国は一人で残る。そこに声かけた女を傳介は抱く。そして、あっという間に、女に傳介のややこができたのだ
阿国の前に、山三郎の使いが来る。便りを持ってきた。机にあったのだ。
山三郎様はお亡くなりになりました。手紙には、城作りを命じられ取り組んだが、城の場所に異を唱える武士に突然斬られたのだ。阿国「城のために命を・・」と狂ったようになき笑う。山三郎−−今一度武士として、己の力を試したい、お前は私に思い出させてくれた、天下一を踊れ、今も鮮やかに思い出す−−。阿国は再び踊り出す。「南無阿無陀仏〜」。客席に派手な衣装の阿国が武士の格好で登場する。阿国が山三郎を演じているのだ。深々とかぶった笠を取り払い、阿国が顔を見せると、客席は驚く。そして、昔の阿国歌舞伎を一心に踊り出す。それを三九郎は見ている。三九郎「あれは化け物だ、直ぐに飽きられる、また新しい踊りを見つける、もう手が届かない」。阿国−−私は天下一の踊りを踊り続ける、命果てるまで−−−。亡霊が出て、踊る噂が出て、阿国歌舞伎は盛り返した。
お菊と三九郎が消えた。そこに九蔵が現れた。阿国「用はない」。久蔵「出て行くのはお前達だ、今日から、この小屋は儂の物だ、三九郎とお菊に金を渡した」。三九郎を阿国は越えてしまったのだ。
阿国は歌舞伎に時代の何でも取り入れた。形式を越えて、新しい物を取り入れた。自分が愛し、捨てられ、永遠に失った山三郎さえ、自分の歌舞伎に取り込んだ。形式で、芸術に高めたい三九郎は「阿国はお化けだ」と呟き、お菊と共に姿をくらます。これで、阿国は完全に一人で踊りだけで生きていくのですね。三九郎はお菊に取られ、傳助は一座の女に取られ、山三郎は男の夢にとられた。おっと、九蔵が残っていた。最後に登場して、来週は絡んでいくのですね。
菊川怜さんも、今回の山三郎との濡れ場はちょっと、よかったし、踊りも良くなってきた。でも、一代記を一気に6回で表すので、駆け足になってしまった。ドラマとしての深みがない。出来事をなぞっていくだけになっている。それはそれで、その行動の裏側を推測する楽しみがあるのかも知れない。山三郎が何故、阿国よりも男の夢の城を選んだのか。阿国にストレートに「つまらん」と言われたからだろうか? 阿国が自らの夢を突き進んでいる姿を見て、自分の夢を実現したくなったのだろうか? もっと、曖昧なものがあるのだろうか・・・。      ゲスト:伊達男の浪人・名護屋山三郎(永澤俊矢)、怖い顔ですが、何故か凄みの演技に見入ります。調べると白夜行の亮司の母、弥生子を演じている麻生祐未さんの旦那さんですね。


松平秀康について
遠江に生まれる。側室の子であったため、幼少時には家康からは遠ざけられており、1579年に長兄松平信康が岳父織田信長により自刃を命ぜられると、兄の死後は弟の秀忠が嫡男とされ、秀康は庶子とされた。
1584年の小牧・長久手の戦いの後に家康と豊臣秀吉が和解すると、人質として秀吉の養子となる。1587年の九州征伐が初陣で、豊前岩石城攻めなどに参加、小田原合戦にも加わる。90年に秀吉に実子秀頼が生まれると、下総国結城城主結城晴朝の姪と婚姻し結城氏を継いだ。92年からの秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)においても出陣する。
秀吉死後の1600年、関が原の戦いにおいては宇都宮において上杉景勝・佐竹義宣を牽制する。戦後は福井67万石を与えられ、「制外の御家」と呼ばれ厚遇された。04年には松平姓を名乗る。梅毒を患い、34歳で死去した。同年、弟の松平忠吉(家康の4男)も病死している。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


出雲の阿国    4回「姉と妹」(2月3日放送)

(公式HPから)  懇親会で、見ていないので、これで容赦
 阿国(菊川怜)たちの一座が、五条の橋の袂から四条河原へ小屋を移して3年。南蛮風の衣装を着た阿国は、都の人々を魅了し、阿国一座の人気を不動のものにしていた。そこへ、阿国の出雲での許嫁・九蔵(津田寛治)が現れ、阿国は戸惑う。九蔵は淀川の堤の普請に駆り出されたのだが、逃げ出して阿国に会いに来たのだ。出雲へも帰れない九蔵は、傳介(鈴木一真)から金を受け取り、阿国の前から去るが、偶然にも三九郎(堺雅人)が通う遊女屋に雇われ、再び阿国たちに付きまとうこととなる。一方、梅庵を亡くした傳介は、一座に加わることとなり、傳介の得意とする絲縷は大評判となる。そんなとき、出雲から17才に成長したお菊(原田夏希)が小屋を訪れ、阿国のように踊りたいという…。


出雲の阿国★★★★☆   3回「天下一」  平成19年1月27日放送

(公式HPから)
三九郎(堺雅人)に愛人・おあん(石橋奈美)が現れ、阿国(菊川怜)は頭を悩ます。三九郎は「おあんと縁を切る」というが、おあんは三九郎に女房気取りでつきまとう。そんなある日、三九郎が留守をしている間に、百姓たちが阿国一座を取り囲む。よそ者を入れることも置くこともならん…という天下様のおふれ(太閤検地によるもので、しかも国民を身分で分けることになった)に従い、阿国たちを追い出そうとする。阿国と三九郎の仲を引き裂こうとするおあんが、百姓たちに告げ口したのだ…。

(感想と結末)
今回で、阿国の中ではっきり目指す物が変わってきた。そこが際だってドラマの軸となりそうだ。
(1)三九郎(堺雅人)〜一座の中で鼓をやっていて、足利将軍に褒められた。一座は徳川家康の三河に流れたが、三九郎だけは天下一の野望に魅せられたのだ。
どうしても、天下人の太閤に取り入って天下一になりたい。梅庵へも、付け届けをして、雇われ人として身分を確保して貰う。そして、梅庵を通じて天下一になりたいのだ。今回、京でも、大阪でも梅庵との距離が離れてしまう。京5条でも、太閤の通り道に小屋を造った。そこで、通る太閤に阿国の踊りを見て貰った。しかし、そのもくろみは些細なことから崩れる。ちょっとした、太閤の言葉が家臣を通じるうちに、太閤が怒ったことになり、三九郎は梅庵から縁を切られる。三九郎は、梅庵を恨むことになる。そこには三九郎と阿国ができていることも梅庵を怒らせたのだが・・
(2)阿国(菊川怜)
彼女は天下一には何の興味もない。民衆に踊りを楽しんで貰いたいのだ。しかも、三九郎とも梅庵を気にすることなく、ただ愛して欲しいのだ。踊りたい、愛されたい、欲望の刹那で今を生きていきたいのだ。カブキものの宿命を受け入れている。今回、三九郎の愛人おあんが出現した。阿国は、6年も付き合っているおあんに反発する。しかし、おあんの「お前も三九郎に捨てられる」との言葉に怖れがらも、それすら受容していく。最後には、おあんに踊りを見て貰いたいと願う。ちょうど太閤が通る時、かがり火の中で、おあんに見て貰う。おあんも阿国の踊りに感動する。人の男を愛し合った女同士が、互いの立場を理解しあう、ここは見ていても感動でした
(3)梅庵(織本順吉)〜この老人は阿国の踊りを認めた人物だ。しかし、それはあくまでも、太閤に取り入るために使えるかどうかだったのだ。三九郎と阿国の出来ていることで、不信を抱くが、太閤の阿国たちの踊りが受け入れやれなかったので、一気に三九郎たちと縁を切る。すがる三九郎を振り払う時の織本さんのミエの恐ろしい表情は最高でした。傳介は梅庵に付いているんですね。

太閤検地が時代を大きく変えている。それを民衆のレベルで描いたドラマを余り見たことがなかった。たしかに阿国たちは、土地をはなれ、カブキモノとして、京や大坂で流れているのだ。民衆同士で対立したりするのだ。こらが楽しみでした。
阿国たちの踊りもかなりうまくなった印象だ。とくに五条の河原の常設小屋では、かなり美しかった。太閤の行列も緊張だったな〜〜〜。おあん役の石橋奈美さん、以前はトレンディな女優さんで登場してましたね。今回、素晴らしい演技でした。女の嫉妬や男への依存を演じていたと思いました。来週は何と妹が大きくなって原田夏希さんが登場して、大きく絡んできそうですね〜〜。それも楽しみです、評価アップです。


出雲の阿国★★★☆   2回「涙と微笑み」(1月20日放送)

阿国たちの綺麗な着物の早変わりは好評で、一行も大喜びだ。傳介も来るが、三右衛門を初めとする数人は帰りたくなったのだ。阿国は「帰らん、踊り続ける、出雲に帰らん」。お加賀「目をさませ、久蔵がまっている、阿国をたぶらかさないで」と三九郎に言う。3ヶ月後、太閤検地で、農民は自分の土地に帰れと命令が来る。女たちは、帰ると2度と出して貰えない、
残るメンバーと帰るメンバーに別れる。三右衛門「どうにもならなかったら、皆を連れて帰れ」。お加賀「久蔵はいいんだね、なら幸せになれ、三九郎様に可愛がって貰え、幸せにならんかったら承知せん」。阿国「お菊に謝っていたと伝えてくれ」。涙。
1か月後も、阿国たちは梅庵からのお呼びがないのだ。阿国と三九郎は二人のことが梅庵に伝わると困るのだ。傳介「梅庵が湯治に行かれる、元気になって戻るだろう」。三九郎「ことづてはないか」。傳介「まかない分は自分たちで何とかしろかもしれない、町で踊るか、日銭を稼ごう」と決める。阿国は大喜びだ。
梅庵は1ヶ月の但馬へ湯治に出かけた。
阿国は小さな小屋をかけて興業をした。傳介が笑わせる。狂言の座に元いて絲縷イトヨリを得意とする狂言師だったのだ。早速三九郎は絲縷イトヨリの謡を始める。阿国は三九郎から口述伝授で謡を教わる。阿国は謡いながら踊り出した。しかし、阿国は吐き気が起こる。夜目覚めて、阿国は腹をさする。分かりやすいが妊娠だろう。
阿国は踊りに精彩がなくなった。三九郎から厳しく指摘される。阿国は「誰にも言ってはならぬのだな、すまん」。三九郎「踊る限り一緒だ」。阿国「踊れなくなったら・・」。三九郎「踊らずにはいられない、梅庵さまから天下様に近づく、決して誰にも知られてはならない」。世間では、天下様の側室(淀殿ですね)が世継ぎを孕んでいるので、城(淀城ですね)を建てたのだ。阿国「天下様のお子で城が建つのか」。そこで梅庵は急いで但馬に湯治から城に駆けつけたが、三九郎「遅いと怒られ、謹慎を申しつけられたのだ」。阿国「生まれてくる子のために、全て許そうと思う、子を持たぬは天下一の貧乏人だ、笑える」。そして三九郎にそっと、
阿国「三九郎と私の子は綺麗な顔をしているか、出来たんじゃ・・嘘じゃ気にするな」。三九郎の鼓で阿国は踊る
三九郎「明日は休みにする」。みなで淀川に行こうと話をする。しかし、阿国「どんな城だろう、一人のおなごのために作られる城、見たい、どうしても見たい」。風の強い日に阿国は城を見に行くと一人で十里も離れている城を目指して出かける。そこに傳介がやって来て、阿国が気がかりで、追いかける。
河原で阿国は倒れていた。傳介は抱える「また今度じゃ」。阿国「誰にも祝って貰えないやや子もいる、可哀想にのう、動いた、くやしいのか、悔しがることはない、三九郎と二人心から愛して出来た、どうすればいい」と呟く。傳介は阿国を抱えて歩き出す。しかし、阿国は倒れた。阿国は出血したのだ。傳介は近くの家に助けを求める。その家の老婆は驚いて、阿国たちを入れて寝かす。傳介は、自分たちは天下様の踊り人だ、と告げる。老婆「百姓は、天下様がきらいじゃ」。そして、気づいた阿国に小さな声で、老婆「水子の始末はしておいた」。阿国は起きようとする「ついさっきまで、生きていた私のややこが〜〜」と半狂乱で叫ぶ
三九郎の元に傳介が帰ってくる。阿国は残って寝ている。傳介「阿国が孕んでいた事を知って、何で止めなんだ」。三九郎「わしも途方に暮れていた、梅庵様は許さない、お前が付いていてくれて助かった、礼を言う、お前の留守に天下様の許しが出た、夜が明けたら、阿国に会いに行く、いつ起きられる」。傳介「米や味噌を持って行け」。三九郎「祝いごと好きな梅庵様は、踊りを見せたがる、早う治ってくれ」。
阿国はうなされて、残したお菊を思い出した。そこに三九郎が老婆の家に来て、付き添っていた。三九郎は薬を持ってきてくれた。
老婆「気の利く亭主で、米と味噌も持ってきてくれた」。起きた阿国の手を握り、三九郎「すまなかった」。阿国「大丈夫か」と言うと泣いた
傳助は味噌などを見舞う女たちに持って行かせた。そして、淀城ができたことも知らされた。阿国は「天下様の側室は城で子を産む」と感慨にふける。そして、歩けるようになった。月夜に阿国は踊り出す。
踊るシーン、白い透けた布ひとつだが、そこそそ美しい。それを百姓の子お松が見ている。そして、もっと踊ってくれ、見たいと言うちょっと美しいシーンでした
半年後、阿国は戻ってきた。淀城では鶴丸が生まれていた。三九郎は皆で京へ行く。梅庵様も京にいる。三九郎は梅庵に阿国は病で臥せっていると告げてあった。そこに百姓の子、お松がやって来た、ここに置いてくれ。老婆が来て、返せと殴り込みくる。お松「田んぼより、踊っている方が好きだ」。老婆「踊って何が実る、種を植えて、実がなって、人を肥やす、かぶいて土から離れて、根無し草だ」。お松「阿国たちは綺麗だ、枯れていない」。阿国「帰れ」。三九郎「また来い」。お松は連れ戻される。阿国「おばばの言うことは正しい、何も残らない」。傳介「楽しんだ心が残る」。阿国「楽しんだ心」。傳介「踊りを見て楽しんだ客がいる」。お松が再びやって来た。老婆がまた、追いかけてくる。三九郎「お松、そこにいるのだろう」。言われて出てきた、お松「生まれて初めてじゃ、私は死んだと言ってくれ、口減らしになる、阿国みたいに踊りたい」。老婆「言い出したら気が済まない、しかし阿国、この男は食わせ物だ、いづれ朽ち果てる、お前はまだ若い、いい加減かぶいた真似はやめて、女の幸せをつかめ」。阿国「ややこはいらん、踊りがある、楽しむ人がいる、おばばは楽しんでいるか、楽しんでも良いじゃろ」。老婆「戯言、お松、いつでも帰ってこい、ずっと待っている」。三九郎「お松をきちんと育てよう」。
一行は京に向かった。出雲を出て3年後だった。初めて見る京の町の華やかさに圧倒された。南蛮人の行列がある。三条大橋で会う約束をした。そこに女が三九郎と近づいた。したしげな女だ。続く。
今回は、阿国が踊りに専念してプロになろうとする決意の回だった。そこには妊娠と流産という。女の業を一つ克服したのだ。城まで作らす妊娠もある、でも、阿国は忍んで自分一人で抱え込んだ。その時、老婆との出会いは、阿国をさらに前へ進めた。最初は親切だったが、娘のお松が阿国の踊りに感動して、ついて行った。そこで、老婆の「踊って何が実る、種を植えて、実がなって、人を肥やす、かぶいて土から離れて、根無し草だ」の論理に、阿国は答えを作ったのだ。それが多分阿国の人生の指針になった。阿国「楽しんだ心」。阿国はこのために自分の人生の全てを注ぐのだろう。明確なエピソードで、明確な答えが出ている。原作の重みだろうか・・納得のいくものでした。菊川さんが、馴染んだ。エロはないが、確実に進化していた。評価アップです。


出雲の阿国★★★  1回「かぶく女」(1月13日放送)

昔の回想、逃げる男と女。女はお守りを握りしめる。
お婆−−お前の親は鑪の(たたらの)国(出雲)から、逃げた。身分の釣り合わぬ恋に身を焦がして・・おとうはお前達を逃がすために、身を犠牲にした−−。母は子供が産み落として、死んだ。村の男達「母は頭領の娘、男は下働き、駆け落ちした。かぶいたのだ。ふしだらなことをした。鉄を取るのに、山の石を川に投げ込んだ、ぎょうさんの砂が流れて、村の川底は高くなり、洪水だ、始末するしかない」。集落の男は、殺した方がと言うが、お婆は命と引き替えに産んだ子だ、育てると言う。息子は、「うちには乳飲み子がいるから」。お婆「乳を貰える、儂が育てる」。息子「いじめられる、今死んだ方が」。お婆「生きてみんと分からん」。母の形見お守りを渡す。しかし、お婆の頼みだと、乳飲み子に言う。「けっしてかぶいてはいけない」。
その子はあっという間に、綺麗な女になって、都に行って、踊って金を稼ぐのだ。お加賀は許嫁に会いに行く。阿国は亡くなった、お婆に墓に参る。そこに、九蔵は、「許嫁だから、都に行くな」。阿国「実の娘が行くから、仕方ない、ここにいても、どうにもならない」。九蔵「踊りたいのだろう」。阿国「踊りたい、出雲から出てみたい、ここでは、淋しいだけだ」。九蔵「俺の嫁になれ、安心させてくれ、後生だ、抱かせろ」と言う。そして、
九蔵「お前のおかあも、かぶいた、後生だから、淋しくて気が変になる」と泣いて頼む。阿国は「かぶくと、本当に淋しくなくなるか、おらもか」と言うと、九蔵に抱かれる。阿国「何も変わらない」
翌日、16歳の時に阿国は大阪に出る。1588年(天正16年)1月、大坂の天満宮は、鷽(うそ)替えの神事で賑わっていた。そこに出雲の国から出稼ぎにきた百姓の娘たちの踊りの一座がいた。踊り始めようと阿国が言う。そこを大村由己梅庵(織本順吉)が通る。一座の前口上が始まるが、梅庵は通り過ぎる。阿国が引き留めると、
梅庵「芸人は客を追うな、客に追われるものだ」。阿国「おらの踊りは見ていない」。阿国が追いかけると、鷽替えの神事の人混みの中に揉まれる。そして阿国「温かい、踊りたい」と陶酔におちいる。阿国の踊りが始まる
関白秀吉の御家来衆(おとぎしゅう)である梅庵は、阿国たちを大事な客をもてなす余興として、屋敷に召し抱える。目の肥えた客人に備えて、一座を都風に厳しく稽古をつける梅庵だ。そんな中で、梅庵の身の回りの世話をする傳介(鈴木一真)は、阿国たちのよき話し相手だった。
一月後、阿国たちは、出雲大社の巫女の踊りとして、梅庵の客人の前で踊ることとなる。塗笠を被り僧衣の胸に鉦を提げた阿国を先頭に、華やかな衣装をつけた裸足の娘たちが現れ、唄い踊り出す。太鼓と鈴の巫女の踊りだ。インスピレーションの創作ダンスですね。菊川さんの上気した顔が美しい。そのとき、一座にはない鼓の音が聞こえる。
鼓を打っていたのは、三九郎(堺雅人)。梅庵に世話になっている三九郎が屋敷を訪れ、偶然見た阿国たちの踊りに駆られて、思わず鼓を打ち鳴らしたのだ…。その鼓に合わせて、阿国は新たな踊りを始めるセッションなのですね。梅庵がやりおったと舌打ちする
阿国と三九郎は廊下で会う。梅庵「出雲からだが、只の百姓だが、出雲の巫女と信じた、ひょっとすると天下様もお好きかも知れない」。三九郎は「あのもの面倒を任せてくれ」と申し出る。阿国の踊りの特訓が始まる。三九郎「腰を入れるのだ、座れ、みぐるしい、立て」。
1ヶ月後、長居するうちに一座は不安になってきた。一座の長は、天下様の命令で田んぼを決めて、ひょうっとすると田んぼ取られるかも知れないと話す。秀吉の天下統一の検地刀狩りですね。阿国と三九郎は二人で話す。阿国は「出雲に帰らないといけない」。三九郎「2年前、能の一座から、鼓一つで出た、帰るところがない」。阿国「帰りたくない、お婆は死んでしまった、ずっと一緒だと言うたのに・・おとうとおかあは、おらが生まれる時にいなかった、おらはいじめられて育った、出雲から出たかった、しかし、いずれ帰らないといけない」。
三九郎「捨てられるかも、ふるさと」。阿国「かえるとこがないとどうなる?」。三九郎「前に出るしかない」。阿国「淋しくないか?」。三九郎「いまも淋しい、お前の踊りはいい、出会う定めだった、儂と阿国は」
梅庵は留守にするという。天下様と京に出かけてしまう。そして、阿国達に「おぬし達は堺へ出向くように」と言い残す。その夜、一座の長は「今夜、逃げ出す、出来るだけ遠くに逃げる」。しかし、阿国「金持ちで、綺麗なべべくれる、堺から帰って、きっちり話せば、梅庵様も返してくれるかもしれない」と説得する。
その夜、鼓を打つ三九郎に阿国はやってくる。三九郎「お前が来てくれるとねごうていた」。阿国は三九郎に抱きつき「温かだ」。二人は結ばれる。♪琵琶の邦楽だ♪
三九郎「誰にも言うな、梅庵に見つかると、裏切ることになる」。阿国「なぐさみものか」。三九郎「梅庵様は芸人同士の色恋をきらう、知られたら、この世界に戻れない」。阿国「私は三九郎がいてくれたら、踊れなくても生きていける」。三九郎「踊っているお前に心惹かれた、踊らなくなったら、儂らが別れる時だ」。阿国達は堺に旅立ち、商人達に大好評だった。末吉官兵衛の家でも褒美の着物を貰った。次の踊りには梅庵も来るから、褒美を与える。貰った三九郎は阿国に、これで小袖を縫って踊れと言っている。阿国「このままでいい、巫女でないのに、嘘を付いている、三九郎のことも隠している、嘘はいやだ」。抱きしめて三九郎「お前が踊れば、儂はお前のそばにいる」。二人は忍んで抱き合う。阿国「こんなに暖かいのに、心には触れない、怖くてで踊れない」。三九郎「今日も踊った、昨日も踊った、明日も踊れるはずじゃ」。阿国「踊らない」。
三九郎「出雲に帰れ、帰るのじゃ〜〜」と怒って声を強めて言う。三九郎「間違いじゃ、甘えだと思ったが、間違いだ、梅庵様のところで出会って、耐えてきた、お前の踊りがあれば、表舞台に出られる、もう少しで手が届く、そう思っていた、無念じゃ」と立ち去る。阿国は立ちつくす。仲間の義理の妹のお加賀が聞いていた「騙したんだ、お前は三九郎様といたかっただけだ、お前は本当の母と同じ、ふしだらな女だ」。お婆−−ふしだらとはかぶくことだ、お前のおかんのように決してかぶくな−−。阿国は泣く。
ふと気づくと三九郎の鼓が聞こえていた。阿国は懐から、母の形見を取り出す。いじめられた幼年時代を思い出す。梅庵が見ている中で踊る。見ていたものから「衣装が地味だ」。阿国の心の叫ぶ「おらは淋しかった、おかあが分からなかったからだ、でも、おかあは幸せだった、ふしだらでも、命がけでもおとうを好きなって、生き抜いた、おらも、ふしだらでかまわない」。
巫女の白い衣装を脱ぎ、赤い着物で踊る。阿国「おばあ、許してくれ、私はかぶく」。梅庵「早代わりか、鷽鳥が、見事に変わった」。阿国「出雲の阿国です、死ぬまで踊ります、末永く、ご贔屓ください」。そして三九郎に阿国は「三九郎、出雲に帰らない、お前と一緒だ」と心で呟く。続く。
菊川怜さん、ところどころ聞き取れないな。でも、踊りも演技も東大卒業生にしては、まあまだ、笑い。ただ、以前から言っているが、唇の広角が下がっていて、上品とは言えない。これが唯一残念だ。初回は、導入で、最初の5分ほどで、父よ母の恋と阿国の出生の経緯が語られる。多分史実では全く謎だから、有吉さんの創作だろう。伝説の人には、更に一層の伝説が必要なのだ。
時代劇と言えば、濡れ場です。九蔵や三九郎との濡れ場は、ここはもっともっと、時代劇風に描いて欲しかったです。NHKの21時なので、直接的に描けないが、もう少し、美しく描けるだろう。前の慶次郎の映像は、濡れ場ではないのに、めちゃめちゃ綺麗でした。菊川さん的な限界か、演出の限界か・・? ★3つは残念だ、ここが綺麗な映像なら評価アップできた。
三九郎も伝説だろう。堺さん、真剣な顔でしたね。孤独な情熱を秘めた芸術家は、お似合いでした。もちろん、織本さんと新屋さんの両ベテランは存在するだけで、凄みのオーラがある。締めて盛り上げてくれました。そうだ、金曜ドラマは歌舞伎つながりだった。

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