ハチロー   NHK   月  21時15分 

制作 安原裕人
演出 富沢正幸
原作 佐藤愛子「血脈」
脚本 田向正健
音楽 坂田晃一
主題歌 「うた」 歌・月の203号室
(公式HPから)
「りんごの唄」、「長崎の鐘」、童謡「ちいさい秋みつけた」、そして「おかあさんの詩」、数々の美しい抒情詩を残した童謡詩人・サトウハチロー。実は、彼は、世間の常識とモラルに収まることなく一生を駆け抜けた、永遠の不良少年だった――。原作は、ハチローの異母妹・佐藤愛子による「血脈」。ハチローの父・紅緑からハチロー、愛子と受け継がれた佐藤家の荒ぶる血を克明につづった大作をドラマ化するにあたり、ハチローの生き様に焦点を絞ります。
ドラマは、愛と憎しみに揺れる親子を軸に据えた壮大な家族劇で、反発の対象だった父親とやがて同じ修羅の道を歩んでいくハチローの姿を捉えます。昭和を振り返る風俗史的な視座を合わせもちつつ、痛快無比な男とその家族の波乱万丈の物語を、エネルギッシュに音楽的要素豊かに描き、放送80年となる2005年の巻頭を飾ります
サトウハチロー 略歴
明治36年(1903年)東京生まれ、昭和48年(1973年)死去。
ベルエポックの雰囲気漂う昭和初期は、東京浅草・エノケン一座の座付き作家。「麗人の歌」「二人は若い」「あゝそれなのに」など、トーキー揺籃期の映画主題歌の作詞者。焼け跡に流れた大ヒット曲、「りんごの唄」、「長崎の鐘」。NHKラジオ「話の泉」の人気解答者。復興期に生まれた「ちいさい秋みつけた」「かわいいかくれんぼ」など童謡の数々。そして、テレビの草創期から高度成長の時代に一世を風靡した「おかあさんの詩」…。このように、舞台、映画、ラジオ、テレビ、活字メディアなど、ジャンルにとらわれず、その時代の大衆文化の最前線で活躍した。
サトウハチロー 唐沢寿明
歌川るり子 2番目の妻 鶴田真由
妻くみ子 松本明子
江川蘭子 3番目の妻 松尾れい子
高倉美紀子 女剣劇 小川真由美
福士幸次郎 松方弘樹
アイン 今井雅之
母ハル 烏丸せつこ
継母シナ 原田美枝子
弟 節 西川忠志
弟 ひさし 忍成修吾
父 佐藤紅緑 原田芳雄
ユリヤ  長女 永井杏
忠     長男 江藤一輝


ゲスト  
 
6回 ジャンニ吉岡(岡村喬生さん)のダイナの歌楽しみました。福士松子(根岸季衣さん)。沢井刑事(石倉三郎さん)


3回 大村親分(丹古母鬼馬二さん)、三条(嶋崎靖さん)、ごぼう売り(橘家二三蔵さん)、ユリア(松元環季さん)

2回 マリ(女給):小林美紅、ルリ(女給):松田希、マノン(モデルさん):江口ナオ、審判:寺門ジモン、社長:田山涼成、倉野教授:斎藤暁


とにかく役者が揃って、楽しそうなドラマになるでしょう。唐沢さんが楽しみです。鶴田、松尾、松本の3妻も楽しめそうです。あんなに美しい詩を残すには、多分、自分も他人も汚して生きたので出来たのではないでしょうか。破滅、いや破天荒な人生を描くことで、時代を描き、日本の心と歴史を描いてくれるでしょう。予想★★★★★です。全9回。


ハチロー★★★   7回  「男は挽歌だった」  3月6日放送

佐藤紅緑は青森の生まれ、正岡子規に師事して、還暦を迎えた。新たな幸せは望まない、面倒でもある。今回の語りは紅緑さん自身です。毎回変わるのです。タイトル。
ハチローが家に帰るが、るり子はいない。お手伝いさんがいるだけだ。るり子は忠を連れて出て行った。長女ユリヤにハチローは「しっかりしなさ」と駄目出しだ。兵庫の甲子園へるり子は行っていた。紅緑とシナの所へ来たのだ。シナ「ハチローは相変わらず、あなたのせいではありません、誰かさんの血のせいです、別宅が2軒では忙しくて仕方ないですね」。るり子「時々帰るが、些細なことで怒って出て行く、仕事は忙しい、死ぬほどです」。シナ「噂では他にもいるような」。るり子「私は数えないようにしています」。シナ「家出するにも忠を連れてきた、あなたは偉いわ」。るり子「おねえちゃんは私がいなくても平気ですが、この子は小さいですから」。シナも紅緑は一日くらい心配させろと言う。るり子は忠は大事だったのですね。
そのハチローは弟の節に「ひさしの金を取った、、自殺した原因はそれもある」。節「謝っている、親爺にも責任がある」。ハチロー「とにかくるり子を探してくれ、金は払う、何が起こるか分からない」。節「動くには金がいる」。節は無理心中を心配している。こちらも夫婦喧嘩になりそうだ。節「兄貴と暮らせば死にたくなる、死んでるかもしれません」。極論まで出ました。ハチローは金を渡す。そこに電話がある。締め切りの確認だった。そこに三条が「純情二重奏」の詩の締め切りだった。ハチローは忘れて出来ていない。三条「今夜中に」。ハチロー「作曲家を呼んで、ここで2時間で仕上げる」。ハチローが三条にるり子の家出を話をすると、三条は「あらま、危険ですね、最初から電信柱の女は危険ですよと申し上げました、先生はるり子の怖さを知らない、彼女は東京から消えたら、明日はハルピンに現れる女です、何するか分かりませんよ」何だか笑えました。電信柱の女は危険、感電すると言うことですか。ハチローは寝て、起きて仕事する。ハチローが顔を洗って呼ぶと、突然、るり子が出てくる。るり子「帰ってきた、お父さんに言いつけてきた」。るり子はお茶を入れる。ハチローは出て行ってしまった。
ハチローは蘭子の所で「帰ってきたぞ」と登場だ。紅緑の語り。−−−親は、自分と違う能力を子に求める、普通は同じ子が出来て、自分の限界を知らされることになる、ハチローは私とよく似ている−−−。節が紅緑の所に行来、借用書を見せる。節「俺も一生懸命生きている、兄貴みたい映画や流行歌を描いているわけではない、地道にやれば、収入は少ない」。紅緑「だから、返せない借金しても良いのか」。節「自分で返す」。紅緑「恥を知れ」。節「自分で返す」。節の妻「あなたには返せないわ」。紅緑「物を書くと言うことは、貧乏を覚悟しうるのだ、覚悟が出来ないのなら、他の仕事をしろ、誰もお前に書いてくれと頼んでいない、大事なことは書くことではない、自分の力で生きることだ」。節「兄貴も食えなかった、それを色々良い先生を紹介して食えるようにしたんだろう、俺には先生を紹介してくれなかった」。親子喧嘩だ。紅緑「区別していない、30にもなって親のせいにするか、未だに仕送りして貰って、何が不足だ」。節「俺たちはいつも不足していた、仕送りで生きていた、その間、お父さんは何をしていた、恥を知ればいいのだ」。紅緑はシナを外す。二人になって、紅緑「言いたいこといえ」。節「恨むよ、俺たちを捨てってあの御あの所へ行った、母もひさしも死んだのは、全てあんたの浮気のせいだ、葬式にも来なかった、何で傲慢でいられるのだ、あんたの人生は価値があるのか、何の価値もない、薄汚いだけだ、おれも一生懸命やって来た、金が何だ、みんなドブにたたき込んでやる」。そこまで言ったら、お終いだよ、そして、金を捨てって借金ばかりじゃ、自分の破滅じゃないか。父が悪いわけではなく、あんたが悪い
昭和11年2.26事件。日本は大きく変わりだした。昭和12年日独伊協定。 ♪モズが枯れ木で♪  これもハチローの詩だったのか。名曲ですね、学生時代に良く聞いた物だ。反戦歌と思った時期もありました。驚いた。昭和15年貼る。るり子は二人の子供をもうけた。アインが来ている。紅緑は喜んでいる。ハチローはすぐに出て行く。長女の早苗、次女の愛子。紅緑は可愛くて喜んでいる。紅緑にシナがやって来て、早苗が煙草を吸っていた。紅緑は認めない、怒る。帰ってきた早苗に注意する。紅緑「煙草許さん、あんなもの吸うのは商売女だけだ」。早苗は「約束します」。愛子も約束させられる。紅緑「お嫁にいくのだ、どこの誰に見られても恥ずかしくないようにしないといけない」。早速、早苗は部屋で煙草を吸っている。早苗「反抗の姿勢だ」。愛子「面倒やな」。早苗「そうや面倒でないと、自分の思うように生きられない」。愛子「窓締めて、おとうさんに見つかったら、勘当やね」。早苗「自由の象徴だ、反抗して自由を勝ち取る、勘当も面白いかもしれない、新しい世界が見える、腰抜かすわ」。ふすま越で紅緑が聞いている。愛子「年やから可哀想や」。驚く紅緑だ。そこに電話があって、森山君からだ。手紙を出したという。中味を読んでシナを読んで、読ます。紅緑「絶対許さん、書き直さん」。馬鹿女を担当にして、書き直せと、怒る。丸めて、踏みつける。丸めた手紙を延ばして、シナは後で、最後まで読む。若い女性の開放的な姿を見て、紅緑先生も時代との違いを思い知ったのですね。辛いな、創造的な仕事をしていると、。
シナがハチローの所にやってくる。ハチローはソファで寝ていた。シナを見つけて、「親父が死んだか」とうろたえる。シナ「紅緑も認めている」。ハチロー「親父は古い」。シナ「浮気なら歓迎、淋しいらしい、年を取るのは、そう言うことなの、ご自分でも時代とずれてきたことを感じ、あなたと遠いことが淋しい」。紅緑−−−色々やった、新聞記者、俳句、小説、脚本、劇団経営、撮影所経営、政治団体と関わった、私の小さな人生だった、結果、この世に残せそうな物は子供達だけだ、それで十分だ−−−。ハチローが私を京都に呼んだ。アイン、三条とハチローは三味線で流行歌で踊る。  ♪小雨の丘♪  せりふまで入って、ハチローが歌い、踊る。唐沢さんもミュージカルをやっていたのですね。母を慕う歌で、紅緑は豪快に泣いた。遂に日本はハワイで奇襲攻撃した。三条は戦争映画の主題歌に軍歌を要請している。つづく。
今週は節がかなり登場して、ハチローや父と喧嘩をしましたね。兄弟での確執は、当事者は問題だ。しかし、節が借金をして居直っているのはどうも共感できません。早苗:新妻聖子、愛子:柳沢なな   この二人のいきなりの登場には驚いた。可愛らしくて、昔の大正時代のモダンガールの感じもあり、素敵です。よく似ていますね。愛子さんは原作者ですが、紅緑の娘さんですよね。調べる元気がない。



ハチロー★★★   6回  「神様は貧乏だった」  2月28日放送

(一回見ただけの感想だけになります、確認していません、間違っていると思うので、すみません)

クミ子は啖呵を切って、シナの待つ家に帰ってくれる。しかし、大泣きだよ。うれし泣きでも悲しくても泣くけど、悲しい泣きだよね。タイトル。
るり子は怒っている「私の家よ、馬鹿」と大喧嘩だ。子供たちは「今日から私たちここで暮らすのでしょう」。鳩子「おとうさんは女に騙されやすい」。夕食の希望を取る。タダシ「おかあさんはどこに行ったの」。おぜんで丸くなって食べた。楽しそうだ。ハチローは警察に呼び出された。蕎麦屋で無銭飲食の福士を引き取りに行ったのだ。刑事(石倉三郎さん)がハチローの出世を喜ぶ。一緒に歩いて行くことになった。昔の人はよく歩いたものです。家に着くと、福士の家は居候で一杯だ。妻(根岸季衣さん)が洗濯をたくさん干している。丁寧に詫びる。詩人の木戸もやってくる。大阪から歩いて17日かかってやってきた。埃だらけだった。熱湯で消毒だ。シラミやダニを防ぐためだ。ハチローは「怠けているのだ」。福士「家傾いている、本の重みで傾いている」。床に隙間が空いている。ハチローも一緒に外を見る。遠くに筑波山が見える、不思議な感じだ。福士「筑波山がよく見える日は気持ちが晴れる、僕みたい生き方は意味ないと思うかもしれないけど」「はちろー「先生と尊敬している、居候は怠け者だ」。福士「作家、経済の猛勉強をしている、金を稼ぐ暇はない、そういう時期があるでしょう、いいじゃない、手助けしたいやつもいる」。ハチロー「いいです、疑問がないのなら」。福士「人間には大事な時がある、支え合うのは親子や友達の関係だ」。ハチロー「支えられるのは自分だけだ」。福士「自分を無にしなきゃいけない、だからできないのだ、自分を支えるのは、人を支えると言うことです、その時本来の姿が見えてきます、あんた変わったね、情けない感じがします、自分のことしか考えていない、お父さん、お母さんに支えられた、あんたは人を支えたことがあるだろうか、女性を物にしたらしいけど、何人を支えていますか」。 ♪エンゼルはいつでも♪  何だか聞いた歌ですね。福士のところで居候と食事する。
ハチローは蘭子とワインを飲んでいる。そして、ハチローは家に帰るが、るり子は出てこない。子供は4畳半にいる。タダシは押入の中だ。るり子おばさんが夕方まで入っていなさいと言われた。タダシが出てくると撲たれるので、前で守っているのだ。ハチローはるり子に談判に行く。るり子「悪さしたから」。ハチロー「謝れ」。で喧嘩になる。タダシは猫の手を血が出るまで噛んだ。ハチロー「俺が命令している、意見を聞いていない」。るり子「偉そうな口が聞けるの、1週間ほったらかして、どこにいったの、蘭子のところ、真由美、裏切っている、子ども立ちに謝りなさい」。ハチローは子供たちのところに行く「撲たないと約束した」と言う。出てきた子供たちを抱く。「申し訳ない」と泣く。相変わらずの放蕩の日々だったのだ。 ♪ダイナ♪ 
ハチローは福士の家に行くと野草を摘みに行ったのだ。おかずだという。ちびた鉛筆、ほころびだ着物の洗濯があった。留守をしていた詩人の木戸が、「福士先生は、あなたに支えられたところが多い、あなたという存在が重要なのですよ」と話す。ハチローのごちそうを皆で食べる。福士妻「細胞が元気になる」。木戸「生まれて初めてハムを食べた、おいしい、お金は必要だ」。福士「金を儲けるのは大変だ」。妻「誰も彼も敵にみえる、貧乏で良かった」。みな大笑いだ。床の隙間から筑波山を見ている。ハチローと福士は、父島でみた風景だ、と言う。福士「15歳で君は不良で父島の感化院に入ることになった、なぜか同伴した、志願した、僕も行き詰まっていた、行かなかったら生きていなかったかもしれない」。ハチロー「福士さんと一緒だから、海に入らなかった、一人では淋しくて生きていられなかったかもしれない」。福士「僕たちは父島に着いて、空を見上げた、透明だった」。ハチロー「透明で、吸い込まれるようだ、違う色だった」。福士「僕たちは真に透明な物を見た、僕たちは透明だった、だから大事な物が見えた」。ハチロー「ずいぶん昔だ」。福士「大丈夫、僕たちは筑波山を見た、普段は見えない、見えるときと見えないときがある、一度立ち止まる事できないか、君は疲れている、僕が支えるよ」。ハチローは泣いて有り難うと言う。ハチロー「僕にはもう透明なものをみるのは無理です、汚れた人間になりました、あなたの詩に、感謝という詩がある、その中に、あなたやがて最後の時が来て、願わくば、有り難うと言って、この人生に別れましょう、とある。僕は、この人生に有り難うといえません」
ハチローとアインは「もう駄目だ」と酔って叫んでいる。そして、客と喧嘩だ。 ♪エノケンのダイナ♪ サトウハチローの詩さ、唐沢さんが歌う。またまた喧嘩になる。皆でダイナを歌う。殴られた痕の顔で、家に帰ると、タダシが立っている、今日はユリアが泣いている。お弁当にタラコと入れたら、るり子おばさんに叱られた。ハチローは喧嘩だ「忙しくて、やっと帰ったら、タラコで子供が泣いているこんなところでいい仕事ができるか、俺は出て行く、馬鹿」と怒る。ひどい詭弁で、またもや逃避するハチローだるり子は荒れてしまう、皿を割っていく「冗談じゃない、私の方よ」。ハチローは叫ぶ「駄目だ、汚い、どうするのだ、貧しく、人のためになり、柔和なお地蔵様のように生きられない、人生の最後に有り難うと言えない、助けて欲しいくらいだ」。るり子「家でしてやる」。蘭子のところで「るり子も真由美も捨てる」。蘭子「助け上げる」。つづく。
今回は貧乏で、何も持たないことの余裕、楽しさ。金を持つことで、汚いと感じて叫ぶ苦しさ。この二つの対比でしたね。このために福士さんがいたのですね。貧乏で大阪から17日で歩いてきた詩人、きっと多くのものを見、聞き、楽しんだのだろう。本当の贅沢かもしれない。その時間があるのだもの。金がないときは17日の時間がある。ハチローは金はあるが、そんな時間はない。唐沢さんは歌まで歌うがんばりでした。今回はアインが余りでなくて福士さんの回でした。のんびりできました。るり子は今なら虐待一歩手前だし、ハチローは保護遺棄だ。微妙だな。でも、ハチローの苦しみも分かる気がします。あの時代が、懐かしく思えてきたよ。小川真由美さんはスタパで、アインはハチローの分身だと言っていましたね。これまでの解釈で間違いないようです。かなり小川さんは暴走してましたけど。ユリヤの永井杏ちゃんまだ目立っていないかったな、残念。忠の方が目立っていた。ゲスト:ジャンニ吉岡(岡村喬生さん)のダイナの歌楽しみました。福士松子(根岸季衣さん)。沢井刑事(石倉三郎さん)



ハチロー★★★   5回  「泣いた日もあった」  2月21日放送

久が死んだ、ハチローは連載や仕事が一杯だ。節が久を面倒見ることになっていた。そして、電話がかかる。心中だったのだ、お袋の実家の玄関先で女と心中した。タイトル。
兵庫鳴尾で、紅緑「福士を呼んでくれ、電報を打てばいい、誰か」と呼ぶ。シナが段取りをつけるが、紅緑は落ち込んで「訳分からないじゃないか、結婚前に、何で心中なんだ」。ハチローも苦しんでいた。るり子「女の人は助かるらしい、新聞社が・・」。ハチロー「お前が聞いておけ、何も浮かばない」と荒れている。るり子--ハチローも紅緑先生もよく怒鳴るが、本当は気が弱い、そういう気の弱さが久を死に誘った-- 紅緑はハチローに電話して、「行ってお詫びしろ」。ハチロー「僕は忙しい、締め切りを延ばしてヒイヒイ言っている、仙台へ行けない、久は節が一切引き受けると言った、節は無責任だ、いつも嘘ばかりついて、約束を果たしたことない、お父さんもお母さんも行かない方がいい、行ったら新聞記者におもしろがって取材されます、僕は忙しい、僕はもう仕事こなすだけで、内輪の話を新聞に載せるのですか」と喧嘩だ。夜は机に向かって、寝ている。るり子は--久が亡くなったことを、悲しめない、それより、この人が外に女の人を2人も囲っているので、そのほうが重大問題だ-- 
くみ子のところにシナがやってくるが、くみ子は泣いている。シナは汽車でくたびれた。おみやげは昆布さんだ。子供は学校だ。シナ「旦那は?」。くみ子「帰ってきません」。お茶を飲む。シナ「心中の原因分かったの?」。くみ子「ここには情報が入らない、私は捨てられた」。シナ「駄目よ、捨てるなら、あんたから捨てなさい」。くみ子は首をかしげている。くみ子「私、あの人を捨てられます」。すぐにその気になるくみ子さんは結構好きです。シナ「外に二人も女がいる、戦争は久さんの弔いが終わってからですが、ハチローが別れ話を持ってくる前に、あなたから別れてやりなさい、女の意地でしょう」。くみ子「先生、私、これから女優は無理でしょうか、私は自分を捨てます、正気です、あの人を捨てって、自分を捨てる、蛇みたいに脱皮して別人になって、人生を踏み出したい」。くみ子は蛇のまねをする。くみ子「できれば毒蛇になりたい」。シナ「女優はやめたほうが、蛇でなく犬に見える」。くみ子「そうですか」。そこにアインが急に登場した。
るり子のところに節夫婦が来た。ハチローが節に心中の顛末を聞く。節「面倒をを見たが、心の内までは見ていない」。ハチロー「自分の責任で久を見ると行って、親父から金を貰った」。節「そうだ、しかし久が仙台に帰るというので、久の金は久になった」。ハチロー「俺たちの弟は、この世で生きることをやめた、死を選んだ」。節「俺にも監督不行届の責任はあるが、出会った女が悪かった、何度か自殺未遂した女で、道連れに選ばれた、結婚したいと言われてふらりとした、馬鹿な奴だ」。ハチローは節をげんこつで殴る。ハチロー「久の結婚式、親父から300円預かったろう、その金どうした」。節「あいつから、一時借りた、4月には返す約束だった」。ハチローと取っ組み合いになる。節「エゴイスト、ガリガリ亡者」。
アインはくみ子に右腕は動かない。肩をぶち抜かれた。シナ「良かった、名誉の負傷でしょう、鼻が高いでしょう」。アイン「まだ、親分には顔出していない、こんな格好で親分の前に出て行ったら、泥を塗ったことになる、俺はお国のために死んでくると言ったのです、今更生きて帰ったと言えない、銃殺だ、死ぬ前にハチローに挨拶を」。シナは笑い出した。ハチローは喧嘩した後、仕事を始めるが、酒を頼む。世話の少女「顔が腫れた、赤チンがいい」。ハチロー「付けるわけ行かないだろう、ピエロみたい」。少女「ピエロって?」。ハチロー「俺みたい奴だ、早く行け」といらいらして怒る。そこにアインが来た。アインは土下座し謝る。アイン「面目ない、死んでくると見栄を切ったのに、お国のために死ねなかった」。ハチロー「いつでも死ねる、死に急ぐことはない、久が死んだことは知っているか」。アイン「お前の身代わりだ」。ハチロー「天はお前に命をくれたのだ」。アイン「俺が死なければ、親分の顔も潰れるし、俺も気が済まない」。ハチロー「お前の代わりに久は死んだのだ、ありがたいと思え」。アイン「身代わりになれば良かった」。ハチロー「生きて帰って嬉しいよ、今日から久はお前の中で生きる、死んで久を殺すな」。アイン「俺は俺だ、親分のところに行って、わびを入れて、生きるか死ぬか決めて貰う、久さんは置いていく、お前に会えたからそれでいい」と去っていく。
アインが美紀子の芝居小屋に行く。そこに親分がやってくる。親分「てめえ、生きているな、いつ帰ったんだ」。アイン「2日前です」。親分「何で挨拶にこない」。アイン「この後、挨拶に」。親分「座長より俺が後か」。アイン「おかあさんの顔を見てからと思って、すみません、肩を打ち抜かれて、右腕を使えなくて」。親分「お国のために名誉の戦死とはいかなかったわけだ」。アイン「申し訳ない」。親分「国のために、死にたいというから軍に手を回した。特別に入隊して貰った、葬式のつもりで盛大な出征祝いもした、祝儀もいただいた、死の門出を涙で祝って貰った、それが戻って来やがった、何で戻った」。アイン「負傷した兵隊は、本国に送り返された、役に立たないからです」。親分「俺の顔はどうなる、お前の出任せで、俺の顔が潰れてもいいのか、この世界で約束を違えたら、生きていけない、自分から死にたいと言ったのだ、死んで見せろ」。アイン「へぇ〜い」。親分「立派な男として、言ってみろ」。アインは小刀を出して、腹を刺そうとするが震えて止まる。親分は小刀を取り「命を与えた物が、命を奪うことになる、立て、お前を男にしてやる」と言って、小刀をアインの顔に持って行く。しかし、その時座長が立ちで、小刀を払ったのだ。アイン「おかあさん」。座長「てめえ、子殺しの罪はお前だ」。親分「女のくせに調子に乗りやがって、ついでにてめえも殺してやる」と小刀を振りかざす。座長「願ってもないことだ」と向かい合う。ハチローがいて「荒っぽいことは」と止めに入る。アイン「お父さん、お母さん」と止める。しかし、殺陣が始まる。親分の頭から血が流れる。そして倒れる。ハチロー「弟の久が死んだ、もうやめてくれ、命の雨は、お前が悪い」。アイン「おとつあんの頭の血が止まらない」。座長が見ると、「何ともない峰打ちだ、かすり傷でも一人前に血が出る、血流が多いからだ」。アインは感心する。アイン「本当のことを教えて下さい、俺の本当のお父さんなのですか」。親分「そんなことない、我が子を殺す親がどこにいる」。アインは親分の首を絞めながら叫ぶ。親分は意識がなくなる。ハチローはアインを殴り、やめさせる。ハチロー「何だこの野郎、戦争に行かせたのが悪かった」。座長「死ななくて良かった、どんな親に何で捨てられたのか、兄弟はいたのか、アインは知る権利がある」。アイン「知る権利はある、久も18なのにおとなしくていい奴だったのに」。 ♪ボクとお節句♪ 久の回想シーンだ。アインはハチローの分身だとしても、ここまでアインのネタばかりになると退いてしまうぞ、彩りの脇に徹して欲しいよ
くみ子は子供たちと一緒だ。紅緑と福士とシナは酒を飲む。ハチローは手紙を読む。久の遺書だった。るり子--久も詩人になりたかった--- 遺書「兄さんへ 本当に地獄が存在するとは思わないが、現世に地獄はあることは確かだ、つまらない不良少年のボクが死んでいくことは、ハチロー家の人たちには何の痛痒も与えないだろうけど、太った大詩人サトウハチローに、兄さんは、泣き虫の兄さんは、また泣くに違いない」。ハチローは根を潤ませて呼んだ。
兵庫鳴尾、るり子---佐藤家の実情を詳しく知るものは、なかなか難しいことで、家族が多い上に、それぞれが住所を変えていたからです、紅緑先生が子供たちに勘当を連発してたことも、その原因だったと思う---。福士が紅緑に「連絡が行ったと思いますが、久さんは以前勘当されていましたので、東京でハチローさんの家にいて、仙台に行きました、お母さんのお墓のあるところに戻りたかった、そこで会社に就職して、まもなく同僚の女性と恋になり、それが今度の結婚話に繋がった、久さんの自殺は生活苦だったそうです」。シナは驚く。福士「聞いたところでは、久さんは先生が節さんに与えた300円のうち、久さんに与えられたのは20円だったそうです」。驚く紅緑だ。福士「あとは節が着服した、先生、節さんの悪い噂を以前から聞いています、残念だが、みんな先生みたいに、せめてハチローさんみたいになりたかった、けど、才能は遺伝する訳じゃない、みんあ苦しんだ、ハチローさんも悪いことをして、30回勘当しました、ついに父島に島流しになった、僕がご一緒しましたが、今思えば、ハチローさんはよく立ち直りました、久さんは立ち直れなかった」。紅緑「それが一番の原因か、久はそういう絶望の中で、自殺を考えたのか」。福士「一番の原因は生活苦だったようです、節から最初に渡された20円で、久さんは部屋をかり、家財道具を買い、生活を始めました、先生から毎月20円送られる金が一度も届かなかったそうです」。紅緑「私は久を勘当した、勘当した以上、甘やかしてはいけないと思った、送金を忘れて、節を通して渡していた、毎月20円節に渡していた」。福士「久さんには1銭も届かなかった、そして、ついに暮らしに困窮した」。紅緑「かわいそうに」と泣く。夜、紅緑は「春寒く 我が身の罪に 泣く日かな」と書く。ハチローの詩「ああ、今日も生きている、そんな毎日が続いていく、僕はべそをかきながら、マリアさま、十時を切っている、米櫃のふたを開いて、よろこんでみる、五合弱、 ああ明日も生きられる、そんな毎日がつづいてゆく、ぼくはお腹をへらしてはならないと、少しも便所にいかなかった」を読み泣く。「久〜」。
子供たちを着飾り、くみ子は写真屋に行く。戸締まりして出かける。長女は永井杏ちゃんだ、大きくなった気がする。夏の汗の中でハチローのところにくみ子と子供がやってくる。応接間に子供が入る。子供はピアノに喜ぶ。ハチローが入ると、長男「何で、こんなところにお父さんがいるの?」。鳩子と長男が抱きつく。ハチローとくみ子は部屋を出て、二人に話す。くみ子「子供たちを今日からよろしくお願いします、3人ともあなたの子供です、今日まで私が一人で育てました、今日からあなたが育てってください、私はやりたいことがあります、お別れします、さようなら」。ハチロー「子供たちには何と言ってあるのだ」。くみ子「もうお別れはすまして亜rます、失礼」。続く。
久の忍成さんは予想通りキャラ通りに、心中してしまいました。これで話がまとまると良かったのに。だから、その物語も福士さんのせりふで終わるのでなく、演技で見せて欲しかった。忍成さんの悲しい愛の物語なら美しかった気がする。少なくとも中途半端に登場したアインと親分と座長の話は余計だった。アインのテンションの高さが、悲しい今回には不必要だった。意味も分からなかったし、別の回にして欲しかった。それにしても、紅緑先生の子供たちの確執には驚いた。紅緑先生は金を出すからだよ。勘当というと金も出さないのですよね。口を出さず、音信不通にして、金だけ出す。しかも節を通じてというのは最悪だ。久は就職もしたから、生きて行けたと思う。そうでなければ、当時は皆生活苦で心中していたよ、笑い。久はやはり繊細だったのだ。才能はあったかもしれないが、紅緑先生はハチローの時みたいに、才能面で援助しなかったのですね。最後まで母を捨てた紅緑を久は許さなかったので、受けなかっただろけど。せっかく美しく、泣ける話にできたのに・・・忍成さんの美しい顔を見たかったのに、残念、評価ダウンだ。最後にくみ子がシナに乗せられて、子供を置いていくなんて、これは来週は楽しそうだ



ハチロー★★★★   4回  「桃の花が咲いた」  2月14日放送

これまでのまとめ。昭和8年早春だ。カフェで飲んだくれているハチローだ。作詞を次々こなしている。収入も増えた、女性との関係も増えた。芸者遊びで、野球拳だ。叫ぶ。突然番場の忠太郎の芝居だ。「おか〜〜あ〜さん」。見ているハチローとアインも泣いている。楽屋に行き、ハチロー「ご苦労さんです」というと。おかあさんは小川さんですね。女癖を注意される。おかあさん(座長)「人間は一人前になったときが大事だ、すぎその気になって大人物になれない、駆け出しがレビューやオペラを持ち出すので女剣劇が下火になる、アインは俺が拾うってきた、年下に捨てられていた、そのままじゃ30分で死んでいた、連れて帰ると紅緑先生と親分がいて、罪滅ぼしに育てることにした、でっかくなった」。二人とも口答え出来ない。
ハチローの弟のひさしが大きくなって、忍成君で、ハチローの家にやって来た。るり子が迎える。そこにピアノが運ばれる。るり子の長年の夢だったようだ。洋間も作ってもらったのだ。そして、練習するという。手伝いの音子(ねこ)が挨拶する。おとこではまずいのだ。ひさしは、兵、仙台と色々回っていた。ひさしは今日から暮らす。るり子がひさしの本当の気持ちを知りたいと言う。ひさい「ハチロー兄さんは情けない人です、るり子さんのことは何も知らない、僕の気持ちを心配しなくて、長くお邪魔しない、僕の居場所はどこにもない、オヤジは母や僕を捨てた、ハチローにいちゃんが、あなたと暮らすために家族を捨てた家です、ここはにいちゃんが父親と同じ過ちを犯した場所です、母が生きていたら、僕は生涯仙台を離れなかったでしょう、でも仙台に母はいません、だから、僕には行くところがない」。いつもの忍成君は絶望のアパシーにも似たクールです。思わずるり子「だめよ、弱音を吐いちゃ、しっかりしてよ、自分だけが不幸と思っているらしいけど、あなたは良い方なのよ、両親がイテ、金があって、学校にも行かせて貰って、どんな不自由があったの、おとうさんが家族捨てて出て行ったというけど、生活に困ることなかったでしょう、いいじゃない、お父さんなんていなくなっても、うるさいのがいなくなったと思えばいい、うじうじする前に、何でも好きな事しなさい、そうすれば恨みは飛んでしまう」。ひさし「人間は、何でも好きなことをしてはいけない、好き勝手なことをしたら、この世は破滅します」
江川蘭子が雪道をタクシーで走る。松尾れい子さん登場です。脚本家の菊田一夫の恋人でした。ハチローが横取りしたのだ。もう一人芸者の真由美さんを囲っていた。悪魔に魅入られているようだ。紅緑が家にやって来て、るり子が話す。「先生の元気な姿をみて嬉しい」。紅緑「元気ないよ、何でこんな事になった、お前と再会するなんて想像もしなかった、ハチローには家族がある、馬鹿息子が悪い、しかし、お前は世間を見てきた、関西で映画をやった頃、お前の面倒はずいぶん見た、だったら我が家族に不幸をもたらすのだ、恨みでもあるのか、さっさと消えろ」。るり子「私はハチローさんを愛しています」。紅緑「お前からみれば男は同じだろう、軍資金は出す、よそで男を作れ」。るり子「先生の指導をたくさんうけました、演技、人生とは、その教えを守って生きています、いかなる困難に出会っても愛を信じていれば、その愛に死ぬる覚悟で貫けと、先生はおしゃった」。そこにシナがやってくる。急いで帰ろうとする紅緑だ。覚悟を決めろと言う。シナが来て「何でここにいるの、説明しなさい、あなたがるり子さん、ハチローには家庭があるの、結論を言うわ、奥さんに返しなさい」。るり子「私はハチローさんを縛っていない、恋に落ちた、運命的な出会いです」。シナ「私も女優です、あなたは売れなくなって、ハチローさんを誘惑した」と喧嘩になる。シナは紅緑にも「あなたは昔この女と関係でもあったの}と詰め寄る。大正解です、前回あんなに反対した理由がこれだったのですね。凄い。シナ「あなた、丈優に戻りなさい、演技の便挙をしなさい、男を誘惑するばかりが演技じゃないの」。ひさしが現れ、「今日から、ここにすむように節にいちゃんに言われた、父さんの撒いた毒がこうして回っていくのですよ、お父さんの罪は重いですよ」。紅緑「もっと言え、耐えられないことを言え」。久し「僕は仙台に帰りたい」。
ハチローはクミ子の家へ帰ってきた。ひな祭りで子供達が遊んでいる。「ひな祭り」の唄が流れる。これもハチローの詩なのか。クミ子は夕食を作っている。ユリヤが玄関を見ると、ハチロー「ただいま」。子供「お父さんが帰ってきた」。ハチロー「ノートを取りに来た、皆で元気で」。クミ子は何もないように振り返りもしなかった。いや動揺をかくすためかおひな様の前で、ハチロー「今晩わ」。お茶をのみ、お菓子を食べる。土産を明ける。可愛い子供達です。可愛い博多人形でした。タカシには飛行船と独楽でした。クミ子も喜ぶ。タカシは恥ずかしかったのだ。一緒に遊ぶ。クミ子「ご飯食べていくますか」。子供達は離れない。ハチローは泣く
カフェでハチローは荒れている。酒を飲んでいる。アインがやってくる。顔をあざだらけのアイン「女に振られたか、メートルが上がっているのか」。ハチロー「喧嘩したのか」。アイン「みんな頭がおかしいのだ」。ハチロー「俺は誰を愛せばいいのだ」と食ってかかる。アイン「アインスタイン「日本に来て、示した」。ハチロー「アインスタインが示したのは、訳が分からないということだ、それで、お前はアインになった」。アイン「一般相対性理論、つまり男と女の愛の組み合わせを数字に表した、どういう男と女が合体できるか、難しい理論なので素人には分からない、それで、みな分からないと言った、俺は分かっている」そうか、多分こんなに難しい相対性理論が日本で受けた理由はこれだったのかもしれない。翻訳して相対性との日本語にした人が偉い。日本人は大好きですが、感じはエロイよ、爆。そこに三条も来て「何といっても、全ては関係からなるのですから」。おっと、これは真理をいいあてました。さすが帝大卒業です。アイン「駄目だ、俺は軍人になる、親分の盾になろうとしたが、死ねなかった、もっとでかい物ために盾となる」。ハチロー「死にたいのか、行きたいのか」。アイン「国のために死ぬ、俺は死ぬ、御雨は生きろ、俺はお前の代わりに死ぬ、そうすればお前は不死身だ」。三人で軍歌を歌う。
紅緑と親分と座長の3人ですき焼きを食べる。3年前か、座長は女言葉だ。3人の関係は微妙だ。親分は真実を知りたい。アインを育てたし、親分は入隊させた。座長は死んでこいと言えない。紅緑は本人の意志だという。カフェでアインも含めて、出征式が行われる。木遣り唄を歌う。ハチローも来ていたし、女給も正座している。親分が浪々と壮行を述べる。アインは挨拶代わりに「雪の進軍」を歌う。親分もハチローも歌い出す。
ひさしが花を持って、墓参りする。亡くなった母には身近な子でした。ハチローはるり子に帰って、2時間で出て行く。そこでるり子から、蘭子は誰ですか。ハチローはピアノがほこりだらけだ。るり子「蘭子も、芸者の真由美の家も調べた、文句を言いに行くわ、これからどうするつもり」。ハチロー「頭のネジが外れている、ほっといてくれ」。るり子「ほっとけない、変よ、誰を愛してるの、誰も愛せないの、教えてよ」。思わず手をかげる。るり子「どこかおかしい」。ハチロー「分かっている」。ある夜、仙台から電報が来る。ひさしが・・・つづく。ひさしは自殺したのかな??
先週は福士さんがナレーションでしたが、今週は亡くなった母でしたね。ハチローの女癖が直らなかった。親は教師になるか、反面教師になるかだ。ハチローは同じ道を歩む。ひさしは正反対だ。どちらも影響を受けたのですね。ひさしの言うとおり、父さんの撒いた毒がこうして回っていくのですよ、お父さんの罪は重いのです。紅緑も分かって、もっと言えと言うしかなかった。ハチローは結局、人を愛せないのでしょう。紅緑はシナを愛することで、自分を捨てた。だから、愛すると、罰を受ける、いつも真剣に愛せない。可哀想だったり、魅力的な女がいると、関係を持つが、本当に愛すると人を傷つけるので、寸止めして、次をあさるのだ。愛の狩人のパターンです。でも、クミ子と子供達のシーンは泣けましたね。一番戻りたいところだと思うが、罰として戻らないのだ。このドラマ一つ一つの場面が時系列でしっかり描かれているので、落ち着いています。おじさんにはテレビなら、この方がいいでね



ハチロー★★★★   3回  「なんでもやった」  2月7日放送

昭和5年秋、ごんぼう(牛蒡)売りの歩く町。ハチローは浮気でクミ子と夫婦喧嘩だが、クミ子は牛蒡(ごぼう)で殴っている。ハチロー「あ、いたい」。クミ子「誰に会いたい」。
長男が生まれたのに。ハチロー「名前も売れて、エノケンとの仕事もある、これからだ、機嫌直してチョンマゲ」。クミ子「ばか〜〜」。ハチロー「久しぶりに帰ってきたのに、尻をたたいたりして、忙しいのだよ〜〜」。タイトル。
福士「これまでは遊びだったんですよ、女の予感は恐ろしいですね」。男二人飲んだくれている。三条「銀座も裏にはいろいろある、品良く味も濃いのが、銀座お嬢のエロティシズムじゃありませんか、闇を通って竜宮城です」。ハチロー「安城ちゃん、映画プロデューサーにしておくのはもったいない、学校は? 僕は免状を持っているのは中学生まで、あとは偽学生」。三条「それが帝大で物理、ブッスリじゃありませんよ」。ハチロー「じゃ、ほんまもんのアインスタインじゃないの、あんた、上つ方の尊いおかたなのでわ」。三条「祖父の祖父は天子様の傍にいましたようで」。ハチロー「大江戸は未だ消え去らずだあ〜」。そこに洋装の女性が電信柱にうずくまっている。ハチロー「どうなさったの」。女「申し訳ない、気持ちが悪く、タクシーを降りた」。三条「電信柱の女は要注意です、電器が走りますよ」。女「ほっといてください」。ハチロー「あれ〜〜、う、う、」。三条「勘弁してよ、歌川ルリ子さんじゃないの」。ハチロー「ルリ子さ〜ん、いつぞやお会いした、佐藤紅緑の息子ハチローです」。ルリ子「ハチロー、さんちゃん、気分悪かったの」。ハチロー「自動車を用意して」。三条「女の前田と豹変して、自動車は無理です」。ハチロー「運転できるのか、やりなさい、盗むの大好き」。結局、タクシーを盗んだ? 
兵庫、鳴尾。父佐藤紅緑が自分の作品「麗人」を見ている。その中の歌の作詞はハチローなのだ。三条が来てシナにまで調子よく話している。父「麗人の歌の作詞はこれでいいのか、持ち上げたら人生を誤る、その詩をどう思う」。三条「先生から原作を貰い、ハチロー先生の死を貰うのが最大の狙いで、私どもからお願いしています、最高だと思います、初めての流行歌にしては最高です」。父「お前は馬鹿か」。シナがとりなす。シナ「怒鳴るなら息子で、人様に八つ当たりして」。父「知ってしまえばそれまでよ、知らないうちが花なのよ、何だ、知ったかぶりして、綺麗な薔薇には刺がある、当たり前だ、大馬鹿者、仲間内のいい笑い物だ」とツッコミ爆裂。三条「そんなこと御座いません、聞けば完璧と思います、メロディよし、歌手もよし、では失礼します」。三条はピアノを弾いて歌う。そこに手紙が来る。見て父「ハチローとルリ子が・・」。
ダンスホールで、踊る。そして、ワインと食事、映画と逢い引きを重ねる。そして、喧嘩、激しいキスまで。「麗人の唄」が挿入されるけだるく甘い歌声は昭和独特のノスタルジーですね。クミ子の皿割は回数が増えていったようだ。そりゃ松本朋子さんは貧乏な妻にいいが、遊ぶなら小金が貯まれば鶴田さんですね、簡潔にして展開していく
ここで福士さんが弁士のように説明だ。「父が浮気して、息子も浮気する、本人は本気だと言う、父と同じだ、少年時代の怒りや悲しみは忘れたのでしょうか」。ハチローが久しぶりに家に帰った。ハチロー「忙しくって、少年雑誌、エノケンだ、エスポワールだ」。クミ子「知ってるの、女の事だ、どうするの、歌川ルリ子、上がる必要ないわ、彼女のために家借りたんでしょう、そこに行けばいいわ、あなたの全てを知っているわ、嘘つきで、女好きで、無責任で、ガリガリ亡者で、少しばかり売れたからって、浮気するなんて、下品で情けない」。そこまで言われたらハチロー「浮気じゃない、本気だ」と言い捨て、出て行ってしまう。さりげなく折り詰めを持って行く長女が悲し面白し。
アインの飲んでいるところにハチローが来る。女給たちは「景気悪いから、喧嘩は飲んでからにして」。ハチロー「何で告げ口する」。アイン「お灸、試練だ、恋をするなら試練もなければつまらない、紅緑先生に知らせれば、険しくなる、恋もしがいがある」。ハチロー「人の恋をせせら笑うのか」。アイン「そうだよ、父親のマネして遊ぶ馬鹿息子なんて、笑える」。喧嘩が始まる。そこに大村の親分が止め入る。皆に小遣いを上げて、一緒に飲む。大村「先生は元気か、小説『ああ玉杯に花うけて』は売れているようだな」。ハチロー「死ぬほど」。親分「先生はただの本書きじゃない、金儲けは上手く、度胸もある、情けもあって、自分を捨てることも知っている、人を殺すことも知っている」。ハチロー「人を殺したことがあるのですか」。親分「たとえばの話だ、親不孝して、人に迷惑かければ、先生はあなたを黙って殺す」。ハチロー「おやじはそんな立派な人間じゃない」。親分「俺は先生に人生を学んだ、大きな権力を求めるな、富は分配しろ、愛を欲しがってはならない、戦う志手の息は必ずとめろ、そうやって生きてきた、先生は正しかった」。そこに銃弾が撃ち込まれる。親分は肩を撃たれるが、「警察は呼ぶな、どうだ、撃たれても死ななかった、まだ正しいと言うことだ」。
紅緑は書いている、郵便局に出させる。仕送りをシナは分配している。シナ「毎月送金することは良いことかしら」。父「雀の涙の稼ぎだからね」。シナ「最近は仕事があるってことよ」。父「食えるようになればやめる、馬鹿が、歌川に入れ込んで、女を知らない、騙されたのだ、根性が悪い、一時は人気があったが、今は半分だ、ハチローがボーとしているのだ」。シナ「クミ子さんからは、ハチローさんが追いかけている」。父「断固別れさせる、勘当させる、東京へ行くか」。シナ「無理よ、今ハチローさんがやっていることは私たちが昔やったことよ、私たちが許されて、ハチローさんは許されないの」。父「相手が歌川だからだ」。シナ「あの頃、私も色々言われた」。父「ルリ子とお前は違う」。シナ「まさか昔ルリ子酸と関係があったのじゃないですよね」。父「馬鹿な、ハチローに私と同じ事をさせたくないのだ」。シナ「じゃ、私たちは失敗だったってこと」。父は逃げ出した。♪アラ本当かしら♪ が始まる。鈴木清一作曲だ。外人3人組の微妙な日本語の唄だ
ルリ子、赤い薔薇、夕日、家をハチローが訪れる。暗いまま返事がない。2階の横たわっている。薬の瓶が空になっている。寝かせようとするが、興奮している。逃げだそうとする。押さえるハチローは寝ずの番だ。やっと、元気になった。しかし、ルリ子は物憂げだ。ルリ子「近づかないで」と良い、酒を飲んでいる。ルリ子「別れた方が良い、紅緑先生も奥さんも知っている、私は悪い噂の女だ、誘われて上海にもいったわ」。酒瓶を取り上げる。悲しげな鶴田さんは鼻に掛かった声が良いですね。大好き、まあ誰でも好きですが、笑い。ハチロー「お前はまだ健康じゃない、昼から酒飲んじゃ駄目だ、お前の体から毒は出て行った、あと一息だ」。ルリ子「あんたとは別れる、早く帰れ、馬鹿野郎」と恐ろしい声を上げると、ハチローは思わず投げ飛ばす。ハチロー「何で手をあげたんだろう、オヤじにも口を出させない、お前にケチ付けるやつは半殺しだ」。ルリ子は気が付いた。手を握るハチロー「何も心配するな、別れるなんて言わないでくれ、お前に惚れているんだ、頼むよ」。二人はきつく抱き合う。ルリ子「助けて」。
父とシナが東京にきて、クミ子とハチローと話す。父「誰にも過ちはある、この辺で、考え直せ」。ハチロー「解決しょう来た」。父「修復する言葉を言え、破壊することを言うな」。父はアインに聞く。アイン「ハチロー、クミさんに謝れ、礼儀が必要だ」。アインは父が読んだのだ。シナ「クミちゃんしっかり、3人の子供がいるのよ」。クミ子「だから別れたいのでしょう」。ハチロー「そう願いたい」。クミ子「みんなの前でそう言って早く帰りなさい、離婚はしないから」。ハチローは帰ろうとすると、父「喧嘩詩に来たのか、話し会いに来たのか」と止める。ハチロー「もうお互いの気持ちは分かっている」。シナ「だったら、ハチローさん誠意を見せなさい、うちから送った金も暮らしには少ししか回さない、あとは遊ぶ金に使ったそうじゃ、送金必要ないくらい仕事しているのでしょう、それなのに送金させているなんて親不孝です」。父「ルリ子とは別れろ、色々問題あって後で必ず困る、これは命令だ、理屈はどうでも良い」。ハチロー「これは個人の問題だ、お父さんシナさんとは関係ない」。父「別れないなら、勘当だ」。ハチロー「分かりました」。クミ子が大泣きする。アイン「ハチローと一心同体です、一緒に勘当してください、俺は関係あるのだ、先生から始まったのだ、先生はハチローで清められる、ハチローを止めてはなりません、清めの罪を犯させなさい、そうすれば2つの罪が消えるのだ」と大泣きする。ハチロー「クミ子、俺はお前を愛している、しかし、別れなければならない、別れてくれ、あいつは病人だ、俺の他に助ける奴がいない、俺は行かねばならない」。アイン「あ〜〜〜あ〜〜〜」と雄叫びだ男の屁理屈ですが、アインはもう一人のハチローを表現しているのでしょうか。ただ、言っていることは宗教が入っていて理解不能のママだ。
ハチローは家を出て行った。福士「もう戻りませんでした、仕事は多忙で、女性も紅緑先生そっくりだ」。子供にハチロー「ちょいと出かける、お仕事だから」。しかし正座した子供二人は首を横に振る。クミ子「大丈夫、お仕事だから」と強い。まあ、殆ど家にいなかったからだ負ぶった長男にも「可愛い顔してる」。クミ子さよなら」。女二人は手を離さないでしがみついている。ハチローとの別れを予感しているのか、最後に抱きしめて皆泣く。クミ子「あんたは馬鹿よ
ルリ子と一緒に暮らしだした。ルリ子は機嫌がよい。抱き合う。しかし世の中は戦争への道を進んでいた。アインも出征する。つづく。
昔から男は馬鹿と決まっていた。愛すべき馬鹿だったのだ、破滅と背中合わせだったが。今では馬鹿だと切り捨てられてしまう。父の血を引いたハチローもルリ子との危険な恋に落ちていく。ハチローのあいつを助けるのは俺しかいない、これは良くあるパターンですね。しかも、クミ子はシナと連携が取れていて、しっかりしている。子供3人も作ったから、安心して任せられる。裏の不機嫌なジーンも浮気などがテーマだが、昭和の色合いの濃い、こっちの方がおじさんの好みです。分かるのです、馴染んでいます。ドラマでは福士さんが弁士のように登場しました。新キャラの三条さんも、いかにも良そうな感じです。家柄が良くて、学歴もあるが、腰が低い、しかし、見るところは見ている。侮れません、粋すぎると嫌みです。そして、アインはハチローの別人格として描いているのかな、そんな気になりました。父と、同じ道を歩むハチローの対決は、身勝手さが現れていましたね。父はハチローの一番の理解者で、一番の協力者で、一番の評論家なのです。ともあれ、昭和の懐かしい臭いのする、このドラマ大好きです。
月の201号室は外人3人組のグループの名前ですか? ボーカル:ブレンダ・ヴォーン、アージー・ファイン、ロビー・デンジー。
ゲスト:大村親分(丹古母鬼馬二さん)、三条(嶋崎靖さん)、ごぼう売り(橘家二三蔵さん)、ユリア(松元環季さん)




ハチロー★★★★   2回  「なんでもやった」  1月31日

ハチローは机に向かって書いている。そしてマンドリンを弾き始める。クミ子の語り、詩人は机に向かっているものと思ったが、1ヶ月の20日も家にいなかった。何処にいるか分からない。詩は一銭にもならない。クミ子んお家族は紅緑からの仕送りで生活していた。どうするつもりか・ 素人野球のキャチャーをやっていた。タイトル
ハチローはキャチャーをやっている。ボールをとりタッチするが、巨漢にぶつけられ球をこぼす。夜は盛り場で、小さなノートを広げている。ビールやブランデー、カクテルと少しずつ飲んでいる。話しかけられると、ハチロー「月末には必ず払います」。弟の節だった、近衛團に入っている軍人だ。節「にいちゃんが羨ましい、詩を書いて生きられるのだから、金はおやじから巻き上げればいい、俺は除隊したらおやじの家に戻って、迷惑を掛けてやる」。ハチロー「そんなの面倒だ」。節「他にしょうがない」。女給さん「兵隊さん相席でないよ」と言うと、ハチロー「俺の弟だ、近衛師団だ」。ここで女給は節に寄っていく。ハチロー「好きなことをやっていくことだ」。節「おれの好きなことはオヤジを困らせることだ」。
兵庫、鳴尾。オヤジの紅緑「故郷、弘前の酒は旨いな」。弟子の詩人福士が相手する「はい」。紅緑「こんなところまで来るなんて」。福士「仲間の会ありまして、ところで劇団の方は」。紅「大失敗、家内はイプセンとかチェーホフとかいうけど、所詮西洋人の芝居だ、頭を黄色にしようがやる方も見る方も分からない、日本の客は歌舞伎や浪花節とかが一番いい」。福士「西洋人と日本人は根本的に違うと思う」。紅緑「ハチローなんか、二人目が生まれたのに、ちゃんとした仕事をしない、節みたいに軍隊でしごかれたほうがいい、自らの力で家族を養う決心がない、この水谷を東京に派遣した、母親が亡くなったことが、新しい決心したと思ったが、どうにかやる気にしないと、どうせ私は親ばかです、一刻も早くなんとかしたい」。福士「考えましょう」。紅「私も悩みがある、シナが東京に行った、浮気しているかも知れない」。
シナはクミ子の家に行く。シナ「私に会えて感激しているの」。クミ子は嬉し泣きだ。そこにヒサシが出てくる。泣くクミ子にシナ「またハチローさんと喧嘩したの?」。クミ子は中に入れるが、「1週間帰ってこない」。シナ「しょうがないわね」。クミ子「これでも、私シナさんおお付きしながら、女優を夢見ていたのよ」。シナ「知っていたわよ、それがこんなことになって、あなたがハチローさんを望んだのでしょう」。クミ子「私は騙されたのよ、心は穏やかでない、紅緑先生が、君は年上だし、息子の面倒を少し見てやってくれないか、お手伝いかと思い、はいと言ったら、結婚申し込みを承諾して、結婚することになったんですよ」。シナ「ハチローさんと別れたいの」。クミ子「誰が別れたいなどと言いました、紅緑先生が別れさせると言ったんですか、紅緑先生のお言葉を無視できません」。シナ「あなた少し変よ」。クミ子「私はずーと変なのです、別れろというなら、紅緑先生と差し違えます」。ヒサシが出てきて「帰れ」と冷たく言う。泣き騒ぐクミ子に、シナ「クミ子、いい加減にしてよ、あなた自分で話し作って泣いたり笑ったりしているけど、はた迷惑よ、女優に向いているかもしれないけど」。クミ子「やっぱり女優になれますか」。笑い。ヒサシは出て行く。シナは芝居を見に東京に来た。シナ「1週間も何しているの、浮気しているじゃないの」。クミ子「金がないわ」。シナ「金がなくても浮気するの」。クミ子「私たちには愛はあるのよ」。シナ「そういう男は別の愛を欲しがるのよ、気を付けなさい、親が親なのだから」。クミ子「駄目〜」。
後で聞いた話ではハチローは東京美術学校の生徒とお友達になり、彫刻科の教室に出入りしていた。東京美術大学で裸婦のデッサンをしている。NHKサービスしすぎじゃないの。受信料稼ぐためでしょうか、笑い。ハチローの親友のアインが金盥で洗濯して、生徒の洋服を取る。モデルの女の子と知り合いで、ポースの指導もしている。下級生が来て、モデルが都合悪いので参加すると、金を取る。水曜日に教授が来た。ハチローは逃げ出さないで、生徒の格好をする。不審がる教授だが、アインが教授を呼び出して事なきを得る。しかも、池でほろほろ鳥(七面鳥)の釣りをしている。鍋にして食べる。アイン「しょうもないな芸術家は」。ハチロー「お前に芸術の価値が分かるか」。アイン「分からない価値はない、食い物も取れない男が裸の女を描いたところでなんの価値がある、裸の女には価値があるが、絵に描いた餅に価値はない、大事な事を知っている」。ハチロー「お前の親分は浮世絵が好きで、歌麿や北斎を集めている、親分のところで言えるか、行こうぜ」。アイン「俺はこの世に未練はない、殺せばいい」。モデルはキスして、仲良くしよう。アイン「お前の亡くなったおふくろさんが、大事な話をした」。喧嘩になる。アイン「大事な話を聞かせてやる、仙台に帰る前の日に聞かせてくれた、外国の有名な話しだ、ある男が逮捕された、身におぼえなから、必死に無罪を主張した、しかし裁判では死刑の判決になった、男は嘆き悲しんで死刑執行の日を待った、そして、死刑は執行された、ギロチンの刃が落ちてきたとき、男ははっと、自分が有罪であることに気づいたって話しだ、俺は分かった、大事な話だって事だ、人間は罪なくして生きられない、だから綺麗に生きろって言ったんだ」と泣き出す。「さがしてる さがしてる」の歌が流れる。ハチローとアインは肩を組み泣く。宗教のなるとやっぱり理解できないわ。残念
ハチローが8日ぶりに家に帰ってきた。二人の娘に土産をだし、可愛がる。クミ子「晩飯のお金頂戴」。ハチローは80銭しかない。クミ子「おとうさんおお金が届くのは毎月5日だから9日あるのよ。家にはもう1銭もない。クミ子「その場限りのことを言う。。ハチロー「俺はその場限りではない、自分が有罪であることを知ったんだ、今日から心を入れ替える」。大笑い、ハチローは安易だな、でも好きです。クミ子「まさか警察沙汰じゃないでしょうね」。そこに、男がくると、クミ子はハチローを隠す。そこに出版社の社長が来たのだ。ハチロー「詩集は出したいが金はない、不景気ですね社長自らが勧誘に回るなんて、すみません、でも金が貯まったら、第1詩集はお宅から出します」。社長(田山さん)「サトウ先生、詩集を我が社から出させて頂きたい、先生の許可があれば協力します、雑誌や同人誌での先生の作品を見まして、是非とも我が社から第1詩集を」。ハチロー「自費出版でなく、そちらで出したいと言うことですか」。社長「700部、印税は5分で容赦願いたい」。ハチロー「僕を馬鹿だと思っているのですか、オヤジの差し金に決まっている、糞オヤジ、こんな話し信じられるか」と怒る。クミ子は謝る。社長「お疑いのお父様は佐藤紅緑ですか、それは知っています、しかし紅緑先生は正岡子規の門下ですから、自由詩の出版社は恐れ多く、傍に寄ることも出来ません、一度もお目もじかなったこと御座いません、紅緑先生とは関係ない話です」。クミ子「この人は紅緑先生の名前がでるとすぐにこうなります、お許し下さい、病気ですから」。ハチロー「じゃ聞こう、僕の詩の何処がいいのですか」。社長「先生の詩と最初に出会ったのは少女クラブでした、少女画報と先生の阿sクには透明な魂を感じます、人間が一番失いやすい子供の心を感じます、童心というか、読む物をして大事な原点に引き戻してくれると思います」。半分は本当だったと思いたい。
兵庫、鳴尾で紅緑と福士が話している。福士「先生の指示に従って、今東光君と相談しました」。紅緑「私は彼の母親と弘前で同級生だった、大変なかあさんなんだ」。福士「今でも衰えていない、青森の女ですね、出版社決まりました」。シナが酒を持ってくる。女の子が顔を見せる。紅緑「それで」。福士「ハチローは先生の差し金と疑ったが、社長が納得させました、出版にこぎ着けました」。紅緑「申し訳ない、いつか恩返しします、ハチローにも、何かスタートする物が必要でしょう」。福士「ただ、先生の力が裏で働いていると疑われると困ります」。紅緑「いや、人間それほど自分に冷静になれるものじゃない、今回のことも自分を疑うか、自分を信じるか二つに一つだ、2分の一だ、私の差し金か、自分の才能か、君ならどうする、私なら、自分の才能だと信じたいね、人間自分には一番甘いのだ、そうでなければ生きていけません、ハチローは必ず自分の才能を信じます、私に分かる」。詩集が出来る「爪色の雨」。ハチローは大喜びだ「世間が俺を認めた。クミ子「ハチローさんが、こんなに喜んだのを見たのは先にも後にもこの時だけでした。るい子が登場して、つづく。
場面の展開もしっかりしている。キャラもしっかりしていますね。クミ子も松本明子さんは、そのままですが、この役にはピッタリかも知れません。シナの付き人で女優志望だったんですね。それにしても結婚のいきさつが面白いし、ハチローとクミ子の関係も微妙だが面白いです。シナの原田美枝子さんがまた、当時の女優らしいし、ちょっと危ない飛んだ人妻にピッタリですね。しかし最後に詩集で喜んだハチローだが、オヤジの差し金だったんですね。これをチャンスを考えるか、怒るべきか絶望すべきでしょうか。これは難しい。ハチローの運命は苛酷ですね・・だから優しい詩がかけるのでしょうね。マリ(女給):小林美紅、ルリ(女給):松田希、マノン(モデルさん):江口ナオ、審判:寺門ジモン、社長:田山涼成、倉野教授:斎藤暁



ハチロー★★★   第1回『かあさん死んだ』(1月24日放送)

大正14年2月、浅草のカフェで遊ぶハチロー(唐沢寿明)は顔に怪我している。「生まれながらの泥棒だ」と女給相手に、嘘ばかりだ。女給は震災で両親が死んで「この世は儚い」と亡く。そこに親友アインが同じく顔に怪我して登場だ。アインに言われるまでもなく、ハチローは父紅緑の金で生きているのだ。そこに居候が店に来て、仙台からの電報が来る。言えん家に帰ると、妻くみ子が、電報で母・ハル(烏丸せつこ)が仙台の実家で亡くなったという。暗い顔のハチローだ、寝ている二人の子供の顔を見る。ハチロー「いいことがあると、倍返しみたいに悪いことが押し寄せてきやがる」と呟く。列車に乗って、一家は汽車で帰る、アインも付いてくる。「たくさん悲しい思いしたから、天国連れて行ったのかな」と長女に語りかける。母の悲しみは、父が愛人を作って家を出て行ったことにはじまる。
10年前ハチローが中学生の頃、母は亡き、3人の男の子に叱られている。父・紅緑(原田芳雄)ははちろー、節「ちゃんと勉強するのだ、勉強しないで立派な人間になれない、一生懸命勉強するのだ」と言うと、出て行った。ハチローは「許さないぞ」と襖を蹴る。不甲斐なく母にも、怒れと叫ぶ。母「神様は全てを見ている、おとうさまをないがしろにしてはいけません」。はちろー「姦淫の罪は重い、天罰だ」と石を投げる。父・紅緑は小説を書き上げている。そこに福士がやってくる。母ハルに金の事などを話した。福士「お子さんも傷ついている、今回は賛成できません」。紅緑「くどい、芸術家には自由が必要だ、一番の的は自分の心を偽ることだ」。そこに石が投げ込まれてる。そこに女優志望のシナ(原田美枝子)が登場する。さらに2発目が命中する。兄弟は大喜びだ。紅緑は、あいつらだと思うが、次々石が命中する。紅緑が来てハチロー「情けない、怪我人がでたらどうする、情けない」と怒る。ハチローは憮然としている。ハナが来ると紅緑「お前が甘やかすからだ」。ハルが止めに入る。ハチロー「皆を捨ててt、好きな女の所へいけばいい、その代わり金をよこせ」。ハナは神様に謝る。ハチロー「金よこせ」。
そこにシナが節の所にやってくる。「石が頭に当たると死んじゃうよ、何なの、私が気に入らないのね、私がお父さんを取ったと思っているのでしょう、男らしく言いなさい、別れろというなら、別れます、石を投げるのは卑怯よ、逃げるの」と問いつめる。シナ「私は女優、子供産むより、舞台に立ちたい、あんたは子供だからわからないだろうが、私が父さんを引っ張り込んだのじゃないの、父さんが私を強引に引っ張ったの、私が考えているのは、チェーホフとかストリンドベリとか、島村抱月先生のをやりたいの、でも舞台から離されて、子供産んでしまう、私は駄目になる、革命の嵐の情熱の舞台が欲しい、これじゃ死にたいわ、節、埋もれちゃ駄目、出発しなくっちゃ、人形の家のノランのように、有り難う」と熱く自分の気持ちを語る。すっかり訳の分からない女優でした。
ハルと男3人の夕食がはじまる。ハルはキリスト教です。紅緑の所でも夕食だ。シナ「あの子の気持ち分かる、早苗に形見の狭い思いをさせないためには、私の関係を正式にしたいが、そのためあの子たちに悲しい思いをさせたくない、矛盾しているようだけど」。紅緑「お前の話は矛盾している、正式にしょう、私の気持ちは素直なんだ、生きると言うことは人に迷惑を掛けることなんだ、一人だけで傷害を終えれない、裏切られたり、自分が良くなるときは誰かが悪くなることです、それだ生存競争だ、負けたらお終いだ」。シナ「あの子らもあなたの子供、競っての勝てないわ」。紅緑「自分に負ける」。シナ「舞台に戻りたい」。紅緑「正式に結婚したいのかどちらだ」。シナ「私もよく分からない」。紅緑は平手打ちして「綿心お気持ちをもてあそぶのは許さん」。そのあと、抱き寄せる。紅緑「いいよ、舞台に戻れば」。
母は離婚後、節とひさしを連れて仙台に戻った。本家が頼りだった。何年かすると、胸を病み、神に召された。ハチロー一家は汽車に揺られて仙台に向かった。実家での通夜にでる。しかしハチローは仙台駅で別れたようだ。アインとくみ子が出ていた。ハルの妹サト(左時枝さん)が仕切っている。そこにハチローが泥酔してやってくる。くみ子が怒るが、妹は歓迎する。飲み屋の金を払わせる。ハチローは謝るばかりだ。最後のお別れと言われて、母の死に顔を見る。ハチローは無言だが、アインが大きな声でむせび泣く。アイン「おかっさんはキリスト教だ、これ仏式じゃないか」。ハチロー「いいんだよ」。アイン「どこがいいんだ、親不孝者め、悲しくないのか」。ハチロー「申し訳ない」。アイン「俺はシンシュアタンだ、俺はおっかさんに死ぬほどお世話になったんだ、俺は捨てられていたのを、おかあさんはクリスチャンだ、これじゃ神様の声が聞こえない、魂がすくえないだろう、おかあさん」と泣き叫ぶ。ハチローは立ち上がり、棺を開けて、「おっか〜あ〜さ〜ん」と声を絞り出す。そしてハチローはアインを押し倒して「てめえ、うるさいんだよ」。下のひさしが黙って立っていた。ハチロー「ひさし、大きくなった」。ひさし「おかあちゃんは、お兄ちゃんをすっと待っていた、節兄ちゃんは軍隊にいったし、僕一人だったんだ」。ハチロー「ゆ〜る〜して下さい」。歌が流れる「悲しくてやりきれない」。♪このやるせない ♪もやもやを、白い雲は流れ♪ ここの歌では泣けた。つづく。
連続9回なので、ゆったり流れていました。良かったです。唐沢さんも熱く演じてくれそうですね。ベタでもいいのです、破滅の生き方だが、作った詩は優しく美しい。その謎は何だろう。これからも楽しそうです。ただアインの今井さんの存在が強すぎた初回です。シナの原田さんの矛盾=アンビバレンツの徹底ぶりには、壊れた者を感じました。昔はよく、この手のキャラが多かったです。サト役の左時枝さんのセリフ、訛って聞き取れなかった。凄いのでしょうか。初回は子供役が主だったので、まだまだですね。でも期待通りの感動になるでしょうね。