富士通コンポーネント
FKB8540 (Libertouch)


●はじめに

 今回取り上げるのは富士通コンポーネントの最高級キーボード「Libertouch(シリーズ名:FKB8540)」です。実は当サイトでキーボードの 紹 介は、初めての試みなのですね。前に一度「キーボードの洗浄」という形でキーボードを取り上げたことがありましたが。最初のキーボード紹介で、このキー ボードを取り上げることができたのは幸運です。なかなか良いですよコレ。

 富士通コンポーネントによると、「パソコンの普及に伴いキーボードは、年齢性別を問わず使用されるようになってきております。ユーザーは、操作性の違い によりキー入力の快適さや疲労感が異 なることに気付きはじめており、パソコンに同梱されたものではなく、自分にあったキー感触のキーボードを単体で購入する傾向が見られるようになってきまし た。」なのだそうです。(プレスリリースより)

 しかし、1万8000円のキーボードというのは、思い切ったことをしましたね。この値段、特定用途向け製品を除くと間違いなくトップクラスでしょう。価 格的にも東プレのRealforce双璧をなす製品ですが、その実力は如何に?

 …というのは後々じっくりと検証するとして、こういう遊び心の少ない高級キーボードが発売される環境、良いですよね。ワンタッチキーだのマクロキーだ の、キートップが光りますとか液晶付きですとか、下らぬ機能をゴテゴテと付ける割に肝心の押した感触が悪いキーボードしか発売されない環境は悪夢ですな。 打つとやかましかったり、場所を取ったり、高級のなんたるかが分かっていないキーボードが多すぎます。ね?ロジクールとかマイクロソフトとか、その他有象 無象。ゲーマーとかってああいう高価格キーボードに満足しているのですかね?


●そとがわ



 一見すると富士通の製品です。いや、富士通の子会社なのだから当たり前ですか。でも、HappyHackingKeyboardでおなじみのPFUは、 富士通グループですけどロゴマークが違いますし。

 キーボードって横長で撮影しにくいのですね。



 というわけで雰囲気を変えて斜めに撮影。遠巻きに見るだけなら、エレコムなどが販売するいかにも安物なキーボードと大差はありません。キートップはレー ザ印刷だし、ShiftキーやEnterキーが文字キーと同じ色遣いですし。でも実際にキーを押すと、「ギョッ」とする訳ですが。また、手に取ってみる と、その重さに「何じゃコリャ?!」となりますね。多分Realforceより重いでしょう。IBMのバックスプリングキーボードを彷彿とさせます。




 Libertouchロゴマークです。ハッキリ言って格好悪いです。「リベルタッチ」という言葉が格好悪いし、「Libertouch」というデザイン が格好悪い。「L」を筆記体風に、「iber」を斜体に、「t」を太字に、そして「t」の上に「・」を付ける、コレすべて意味不明です。意匠を凝らしたつ もりで、一般ウケすることを願ってのことだと思いますけど、おそらく逆効果です。また口に出すのが恥ずかしくなってきます。「リベルタッチというキーボー ドなかなか良いよ」とか。ここいら辺、富士通がどう頑張ってもソニーになれない所以なのですが、別に富士通がソニーになる必要はないと思うのです。 Fujitsuロゴだけ配せば良いじゃん、と思うのは私だけですか?

 キーボードって「Realforce」とか「Majestouch」とか、この「Libertouch」とか、格好悪すぎではないですかね。小さなとこ ろが背伸びして一般ウケを狙った結果というものでしょうか。要するに予算と時間をかけていないような気がします。これがマウスだと、ロジクールの「MX- 620」とか「Click!」とか、それなりに分かりやすく、恥ずかしくなくまとめられているように思いますね。キーボードって、本体に付いてくるものを 利 用するのが長く一般的でしたからね。まだ別売り製品って成熟していないのでしょう。




 NumLockやCapsLockのインジケータが中央に位置しています。不思議です。でもテンキーレスキーボードとか作りやすいでしょうね。




 本来NumLockインジケータが鎮座まします場所には謎の凹凸が。これ、最初写真で見たときは、Felicaリーダ付きモデルとか計画しているのか な?と思ったのですが、実際に見てみると、カードを置くには狭いように思います。名刺を置くのも無理があるような(←というより意味がない)。何を意図し ているのでしょうね?名前でも書いておけというのですか?




 キーの傾斜です。「Esc」キー列と「半角/全角」キー列、「Shift」キー列と「Ctrl」キー列は同じ傾斜のキートップみたいで(撮影後すぐに会 社に持って行ってしまったため、未確認です)、典型的なステップスカルプチャーですね。

 人によっては、キーの下のスイッチが設置される基板が湾曲していないとダメだとか、キーの傾斜が全部異なってないとダメだとか(どちらもマニアな話で す)、いろいろ言われますが、まあ6列の内4列が違う傾斜なら良いのでは?




 実はスペースキーが特殊です。微妙に背が高いことに加え、角が丸みを帯びています。これは良い目印になりますよ。個人的には、「変換」「無変換」「カタ カナ」キーはもう少し狭くして、その分スペースキーを広げて貰えるとうれしいです。




 「Windows」キーです。写真写りが悪くて恐縮ですが、これでレーザー印刷キートップが分かりますかね?一方Fujitsuとか Libertouchなんかのロゴマークはレーザ印刷ではないような雰囲気です。

 最近のWindowsキーは窪みがあるみたいで助かります。「Alt」キーと間違えて押すことがだいぶ少なくなりましたよ。(できれば「Alt」キーの 方に「F」「J」のような出っ張りを付けて欲しい…。)

 余談ですがこのキーボードはWindowsキーが左側にしかありません。つまり108キーボードです。




 キーボード裏側です。ここはあまり他のキーボードと変わりないように思います。

 分解するときは、ネジを全て外した後、下側中央の3つのツメを外す必要があります。分解はそんなに難しくはありません。

 そういえば、このキーボードを買ったら、裏側に書かれている「REV:」を確認しましょう。「01A」「02B」であれば、リコール対象です。メーカの Webサイトに専用窓口の案内があって、2008年12月末までは営業している模様。(2007年9月11日のプレスリリースを参照のこと)




 裏側の左側アップです。ケーブルを右側左側に逃がす溝がありますけど、中央にも逃がせるようになっていれば良かったのに、と思います。また、右側・左側 にしても、途中でカクッと90度曲がって結局上から出すような構造です。これも完全に右側・左側に逃がせるようになっていれば良かったのに、と思います。

 なんか写真右上に窪みがありますね。コレはUSBコネクタです。



 USBコネクタのアップです。このキーボード、USBハブ機能が付いているのです。ただこれにしても、USB1.1なんですよね。なので事実上は無線マ ウスのレシーバ専用コネクタです。…だったら、コネクタを90度回転させてですね、レシーバを差したときに出っ張らないようにして貰いたいのですが。飛び 出しているレシーバってかなり邪魔なのですよ。

 ケーブルを逃がす溝とか、USBコネクタとか、惜しいですよね。あと少しのところで、ハッキリ言って気が利かない。


●はざま



 このキーボードには不思議なブツが添付されています。カラフルです。




 さらに不思議な什器が添付。これはキートップを外すために使います。外したキートップから什器を外すには、キートップをスライドさせるのが良さそうで す。

 で、外したキートップには青いブツが付いています。このブツこそが、キーの荷重をコントロールするラバードームなのです。最初は青一色で45g。これを 白や赤に取り替えることにより、55gや35gに変えることが可能です。




 こんな具合です。どこを取り替えるか迷いますが、まあRealforceのように、人差し指で打つキーを重くして、小指で打つキーを軽くするのが一般的 ではないかと。

 …ところが、ここに意外な落とし穴が。

 白(55g)が15コ、赤(35g)が15コ付いているのですけどね、皆様お手元のキーボードを確認してみて下さい。文字キーだけでも、人差し指キーは 16コ、小指キーも16コありますが?つまり紅白1コずつ足りないのです。「誰が15コなんて決めたんだ??責任者出てこい!!」、という結果に。気が利 いているようで気が利いていないですねぇ。

 あとこの形状からして、埃や汚れのお手入れがしにくいですね。お手入れのしにくさは寿命の短かさに繋がるわけで、嗜好性の強いキータッチを除くと、 Realforceと比べたときの最大の弱点になると思います。




 スペースキーの裏側です。バネの両側に「+」の出っ張りがあるでしょう?この部分、普通のキーボードなら、スタビライザーのスライダーが刺さっていると ころです。スタビライザー?スペースとかShiftとか長いキーの端を押してもちゃんと綺麗に沈み込むようにするハリガネのことです。




 あら不思議、スタビライザーを固定する機構がないじゃないですか。そう、このキーボードはスタビライザーがどこにもないのです。最初キートップを外して ラバードーム(荷重を変える赤や白のゴム)を交換できると聞いたとき、スタビライザーを素人に外させるのは難しかろう、などと思ったものでした。どういう 工夫があるのかな?と思って楽しみにしていたら、なんと無いとは。でもキーの端を押しても問題なく入力ができます。コレが高級キーボードの恐るべき品質な のでしょう。思えばRealforce106もスペースキーを外したとき、スタビライザーはありませんでしたね。

 ただ、日本語キーボードは大丈夫でも、英語キーボードの長い「バー」のごときスペースキーになるとどうなんでしょうね。人気があればバリエーションモデ ルを出します、みたいな臭いがプンプンするキーボードですけど、英語版が出たとき、スペースキーがどうなっているのかが興味深いです。


●うちがわ



 分解してみました。コントローラ側とスイッチ側を、ケーブルで繋ぐというのは、オーソドックスなキーボードでは今時珍しいです。まあUSBコネクタがあ るのが普通と違いますが。そつなく綺麗に作っていますね。ここいら辺にも値段の違いは現れています。




 コントローラチップのアップ写真です。Cypressのものを利用しているみたいですね。Cypressといえばゲームパッドでよく見かけたものです が、キーボードのコントローラも作っているなんて。USBハブ機能もこの半導体が担っているものと思われます。




 外側で話題になった謎の空きスペース。明らかに何かネジ止めできる構造ですよね。やはりFelicaリーダ/ライタ?富士通のことだから、指紋認証用の 何かですかね?




 スイッチ側。これまた明らかにメンブレンシートで、鉄板で押さえるタイプです。このキーボードは間違いなくメンブレン最高峰だと思います。バックスプリ ングはうるさいし大きいですし。




 キートップ裏側。実はこちらも金属板なのですよ(かなり重く分厚い)。つまり鉄板2枚のキーボード。これがメンブレンでなのに異様に重い原因ですね。 ちゃんと 設置できれば、安定感はかなり高いですよ。←重いが故に設置できない場所もあると思いますので…。


●おわりに

 ここまで、キーボードの特徴を見てきました。キータッチには触れていませんけど、これは個人の好みが分かれるところですからね、あまりどうこう書くより も、是非店頭で触ってみていただきたいと思います。私の評価としては、Realforceよりも高く、職場に持ち込んで1日中打つキーボードとして使って います。打鍵音は高級キーボードの中では非常に静かだし、舶来製品のように無駄に大きくもない。カールケーブルでもない。本当にレベルの高い競争が行われ ていて、富士通コンポーネ ント(と東プレ)には感謝することしきりです。

 問題は値段が高いことですか。

 やはり18000円のキーボードというのは、おいそれと購入することはできません。ここいら辺、下位のFKB8520シリーズ後継品で対応していただき たいところです。

 あと値段と満足度で気になるのは、気が利いているようで気が利いていないところがいくつかあること、それと、妙な安っぽさが散見されるところです。ロゴ マークとか、レーザ印刷のキートップとか、あと最初に書いた通りこのキーボード、高級品なのにShiftキーやEnterキーが文字キーと同じ色なので す。18000円でこれは無いでしょう。デザイン上の配慮?いや、黒モデルだけならともかく、白いキーボードもあるわけですし。なんとなく中途半端さが感 じられてならないのです。

 例えばですね、色を分けるなら、オフィス用と家庭用とか分ければ良いように思うのですよ。で、そのときのカラーリングは、富士通パソコンのオフィス向け と家庭向けに合わせるとか。今のままだと、結局どのPCに繋いでもそれとなく浮いてしまうような気がします。確かに、キーボードは見た目よりも、打ったと きの感触が大切です。でもそれは5000円のキーボードの話ではないかと思います。

 ま、カラーリングはともかく、あと少し最初に頑張っておけば、量産段階のコスト(不良品発生率とか作りにくさとか諸々)は変わらずにより良いキーボード になったと思いますね。でもキータッチは個人的に秀逸なのでアリなキーボードだと思います。

(初掲:2008年1月6日)

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