コーワSWを作ったコーワ(興和)と云うのは、あの「コルゲンコーワ」のコーワと同じだそうで、なんだか愉快な話です。 特徴的なのはこのフロントビューで、普通は距離計の窓やファインダーの四角い窓、採光窓など窓のたぐいがならんでいるのですが、これにはそれらは無くて、代わりにケプラー式ファインダーの小さな穴がちょこんと付いています。それも富士山みたいな円錐のてっぺんに穴が開いているんです。 レンズはコーワ28ミリF3.2。まぁまぁ悪くはないレンズで、もちろん現在でも十分以上に実用に耐えます。ついつい手の出るカメラです。 |
軍幹部も実にシンプルなもので、巻き上げレバー・シャッターボタン・フィルムカウンタ・巻き戻しレバーです。そして大きく「KOWA SW」とロゴが彫り込んであります。これが良いですね。ライカM6みたいなのは寂しすぎます。 絞りとシャッタの調整は、鏡胴部のリングで行いますが、28ミリレンズ故に鏡胴が短くてリングの幅も狭く、決して使いやすいものではありません。 距離リングには1mと3mにクリックがあり、3mの数字はオレンジに塗られています、また絞りリングのF8にもオレンジ色が塗られておりスナップマークを意味するようです。 |
バックはもっともシンプルです。左上にファインダーアイピース、中央にフィルムインジケーターです。裏蓋は圧版の分だけ突き出ています。なんだか一時のローライフレックスみたいで格好が良いです。デザイン的にはごちゃつくけれど。ボディ表面は細かなピラミッド型の凹のついたゴムで感触は良いです。大きさは僕の手にはちょうど良くて、本当に持ちやすいカメラに仕上がっています。ですから、僕が使うとかなりのスロゥシャッタでもぶれることはありません。シャッタと云うと搭載されているシャッターはセイコーのSLV。そう、ちゃんとV、つまりセルフタイマーが付いています。確かマミヤCの105mm3.5DSと云うレンズにも、セイコーSLVが搭載されていましたっけ。僕は、ちょっと頼りないですが、このセイコーSLVと云うシャッターが大好きです。 |
さて、フードです。 専用のフードは今ではすごい値段が付いています。でもフードの無いのはどうにも気分的によろしくないのでいろいろさがしていたところ「hama」製の広角レンズ用フードが見つかりました。早速付けてみますと、これがなかなか悪くはない。ケラレもありませんし、作例に出ていたような妙なゴーストも無くなったようです。 しかし・・・ |
これがファインダー像なのですが、ご覧の通り画面の下の方、全体の20パーセント近くがケラレてしまいます。フードの上面がきっちり写っていて、ロゴまで読めるのですがこのデジカメ写真ではわかりにくいかも知れません。 専用フードは非常に浅いもので、効果のほどは疑問ですがファインダー視野の邪魔になることはなさそうなものです。 ファインダー像は多少ゆがみますが明るくすっきりとしています。大変明快なファインダーと言えるでしょう。 |
コーワSWはどういう訳か最近珍品扱いされて居るようで、嫌な気分です。このカメラは、単純明快+軽快さが一番の美点だと思いますから、コレクターが飾って眺めるのはちょっとねぇと思います。実際、不満なく良く写りますし、写すときのシャッタも感触の良いものです。巻き上げは多少ごろごろしますが、これはこの頃の国産機のレベルでしょう。とにもかくにも自然に手が伸びるカメラでコンタックスG1+ビオゴン28mmやGR−1なんかと比べたって、トータルでは決してひけを取らない・・・と云うと誉めすぎかもしれませんが、僕のバッグの中に入っていることの多いカメラではあります。 |